ご注文はチノくんですか?   作:岩ノ森

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koi先生もしかしてダークファンタジー描きたいんでしょうか。ちょっと見てみたい気も・・・


Day Dream Cafe

 「ルック♤ミー!チェンジ♢ミー!!ドリンク♧ミー♡!!!」

 「ココアが言うとハマってるなー」

 「チノ君のクラスの出し物かわいかったね」

 「ギリギリで見れてよかったわ」

 この間のチノ君のクラスのアリスランドの掛け声。チノ君はアリスの恰好で友達と言ってたけど可愛かったなあ。

 「チノくーん!うちでもこの呪文取り入れようよー!」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「っ!・・・・・っ!!」

 「・・・・・・・・・・・・」

 チノ君は顔を真っ赤にして、店の奥へ引っ込んでしまった。

 「ココア、チノ君と何かあった?」

 「変なことしたら私に言えよな。とっちめてやるから」

 「ああうん・・・そういうのじゃないんだけ・・・ど・・・・・」

 私も恥ずかしくて、チノ君と目を合わせられない日々が続いていた。

 

 

 文化祭以降チノ君の様子がおかしい。

 原因は分かってる。私のせいだ。

 

 『私が、世界で一番チノ君が大好き』

 

 「うごおおおおおおおおおおお!!」

 一時のテンションに任せて、あんなことを!!

 しかも、自分の・・・む、胸まで触らせて・・・・・。

 あんなことしたんじゃあドン引きされてもしょうがない!!

 「大丈夫か?ココア?」

 「リゼちゃん!!」

 「私でよければ相談に乗るぞ?」

 リゼちゃんに相談、したいけど・・・。

 「・・・多分死に瀕しちゃうからダメ」

 「そんな過酷な事件に巻き込まれたのか!?」

 耐性のないリゼちゃんにこんなこと話したら、卒倒しちゃうのは見え見えだった。

 

 

 「メグ何それ?鏡の国のアリス?」

 「続編出てるの知って興味出ちゃった」

 「私そのラスト好きよ。女王と鏡のアリスが・・・」

 「ネタバレ禁止!!」

 

 「今度は鏡の世界に行くんですか?」

 チノ君がメグちゃん達に話しかけてる。

 私以外にはいつも通り・・・。

 (私、恋人なのに・・・)

 チノ君はフユちゃんにキスされた。

 だから恋人として負けないように、私も勇気を出したのに・・・。

 

 分かってくれないのかな・・・チノ君・・・・・。

 

 ハッ!ダメダメ!!賢くていい子なチノ君は心の中ではきっと分かってる!!

 そんなチノ君を疑うなんて姉として恋人としてやっちゃいけないことだよ!!

 「ちょっと鏡で自分見直して姉度上げてくる!!」

 「そのズレたポジティブさ好きだよ」

 

 

 「なんか違う・・・」

 鏡の前でポーズを決めるけど、いまいち決まらない。

 こういうことじゃないって分かってるのに、でも正解も分からないよ。

 「鏡よ鏡、チノ君の理想のお姉ちゃんと恋人はどんな人~?」

 

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 「ふう、戻らないと。あれ?更衣室にいたはずじゃ?」

 いつの間にか全然別の場所に移動していた。でも鏡は目の前にあった。

 「誰もいない・・・」

 さっきまでマヤちゃんたちがいたはずなのに、誰もいなかった。みんな帰るの早くない!?私に愛想尽かした!?

 「ってあれ、チノ・・・くん・・・・・?」

 いつの間にか私の傍にチノ君が静かに座っていた。静かすぎて気付かなかったくらい。

 でも・・・・・。

 「何でそんなに縮んでるの!?アリスのキノコでも食べた!?」

 最近背がますます高くなってきたはずのチノ君は、私より背が小さくなっていた。

 「チノ君?チノ君ってば?」

 「・・・・・・・・・・・」

 (ガン無視!!)

 とうとう彼氏にいない者扱いされた・・・。

 幽霊ってこんな気持ちなのかも・・・。

 

 「今日は休みだというのにそこにおったのか。ゴホゴホッ」

 「不法侵入者!?」

 突然現れた白いお髭の似合うおじいさん。私こんな人見たことないんだけど!?

 「体調悪そうですけど、大丈夫ですか?」

 「おじいちゃん・・・あまり無理しちゃ・・・・・」

 「心配するな。今日は気分がいいんじゃ」

 私を無視して話が進んでる・・・・・。

 そんなに嫌だったの?私の愛・・・・・。

 でも何だろう・・・。この感じ・・・・・。

 「あまり無視すると本当にいなくなっちゃうんだからね」

 

 ガターンッ ドササササッ

 

 寄りかかった拍子に段ボールの中の荷物がけたたましい音を立てて落ちた。

 「嘘です許して!リストラと離婚はやめてぇぇぇ!!!」

 

 

 あ、お母さんが作った制服

 

 ボクには可愛すぎます・・・

 

 ボクはおじいちゃんとお揃いでいいんですが・・・

 

 おじいちゃんがどうしてもって言うなら・・・

 

 ボク、お店を繁盛させておじいちゃんを喜ばせたいです

 

 寂しくないですよ 今のままで

 

 

 「・・・・・・・!」

 ああそっか。

 今の不法侵入者はきっと私だ。

 「素直でないのは誰に似たのか・・・ワシか」

 あれ、その声・・・。

 

 「この制服を着れば、お母さんと一緒に働けますかね」

 !

 「・・・ごめんなさい、弱気なことを」

 「大丈夫じゃ。きっとサキと同じくらいお前を好いてくれる人が現れる」

 「そんなこと・・・ボク、明るくないですし」

 違う。

 違うよ。

 今は離れ離れだけど、きっと私ここに来るから。

 

 ふと気が付くと、私はラビットハウスのホールにいた。

 「あれ、何でこんな所に?」

 と思ったらドアが開いた。

 「お客さん・・・?」

 出てきたのはさっきの小さなチノ君。

 「私が見えるの!?」

 「? ごめんなさい、まだお店開く時間じゃなくて」

 そう話すチノ君は身長以上に小さく見えた。

 それに、それ以上に寂しそうに。

 「・・・チノ君」

 「え?何でボクの名前を?それにその制服・・・」

 「大丈夫。お姉ちゃんに任せなさい」

 

 「はい、できたよ」

 そうやって作ったのは、いつも作ってるラテアート。

 「これ・・・」

 「ティッピーだよ。もう今じゃ毎回上手に作れるようになったんだ」

 「何でティッピーのことを・・・?」

 「ほらほら、冷めないうちに飲んでみて?」

 「い、いただきます」

 チノ君はラテアートを口に運ぶ。

 「おいしいです・・・!」

 「でしょでしょ!?」

 何せ私のラテアートとラビットハウスのコーヒーだもんね!

 「だからさ、大丈夫だよ」

 「え・・・?」

 「チノ君のコーヒーは美味しいから。それにここ、いいお店だし」

 私はチノ君の小さな頭にふんわりと手を乗せる。

 まるで昔みたい。

 

 「チノ君のことを大好きになってくれる人、たくさんできるから」

 

 だから、未来で待ってて。

 

 ■■■■■■■■■■■■■■■

 

 私は更衣室の鏡の前にいた。

 「あれ?何してたんだっけ・・・?」

 何かしていたはずなのに、思い出せない・・・。

 「ココアさん!!」

 物思いに耽ってると、ドアが勢いよく開いた。

 「文化祭の責任取ってください!ココアさん考案のパンケーキがまた食べたいって・・・」

 

 ギュッ

 

 「えっ・・・?」

 私はチノ君を見るなり。

 その胸に飛び込んで、ぎゅっとチノ君の体を抱きしめていた。

 

 「なっ・・・?こ、ココアさん、仕事中です・・・!」

 今のチノ君の体は意外と大きい。それに最近、筋肉が付いてきたのか、意外と固い。

 昔のモフモフしたチノ君とは大違い。

 でも、私にはそれが安心できた。

 「大丈夫だよ、チノ君」

 「・・・ココアさん」

 「私、チノ君とずっと一緒だから」

 「・・・・・ココア」

 チノ君は私を力強く抱き返してくる。

 私もさらに強く抱きしめる。

 

 私、チノ君のこと、ずっと世界で一番大好きでいるからね。

 

 そうやって長い時間抱きしめ合ってると。

 「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 「「あ・・・・・」」

 ナツエルちゃんたちがじっとこっちを見てることに気づいた。

 「「「「出直します・・・」」」」

 「「待って!お客さん!!」」

 

 

 「ふまふま~」

 「もひもひ~」

 「人語話そう・・・?」

 もちもちパンケーキを口に詰め込んでくれてるナツエルちゃん。満足してくれて良かった。

 「でも喫茶店で出すならまだ改良の余地があるね」

 「でも文化祭も今のココ姉の作ってくれたのも美味しいよ」

 「ホントフユちゃん!?」

 「うん。ね、チノ・・・?」

 「あ、は、はい・・・・・」

 「クスッ・・・・・」

 「っ・・・・・!!」

 「ヴェッ!!」

 チノ君とフユちゃんがまた耽美な雰囲気に!!

 

 ギュッ

 

 「ちょ、こ、ココアさん!!」

 「フユちゃんも好きだけど、私が世界で一番チノ君のこと大好きなんだからね!!」

 「大丈夫、望むところ・・・」

 私とフユちゃんの間でバチバチと火花が散っていた。

 

 「ナツメちゃん、あれ修羅場・・・?」

 「そうだね・・・私たちもあの中にいずれ入らなきゃ・・・・・」

 「うん、でも・・・・・」

 「おいコラチノ、フユに何したんだコラ」

 「ちゃんと言わなきゃ二度と陽の目が見れないよー?」

 「ぐええごめんなさい・・・予測もつかない事態で・・・ぐへええ・・・・・」

 「それまでにチノさん生きてるかな・・・」

 「うん・・・・・」

 

 

 「ココアさん・・・ごめんなさい・・・・・」

 「うん?フユちゃんのことなら大丈夫だよ?」

 「いやそうじゃなくて・・・いえそれもありますけど・・・・・」

 チノ君はもじもじとしていた。私にあまり目も合わせてくれない。

 「僕・・・ココアさんに顔向けできないです・・・・・」

 「え?どゆ事?」

 あのキスのこと?でもそんな感じはしなかった。

 「文化祭で帽子の取り違いをしてしまった上に、アドリブの舞台のフォローもさせてしまうし・・・時間が経つほど罪悪感が増してしまって・・・・・」

 そうだったんだ・・・。

 私の事、ずっと考えてくれてたんだ・・・・・。

 「大丈夫だよ、チノ君」

 「え・・・?」

 「私の事、ずっと考えてくれてたんだね。嬉しいよ」

 「ココアさん・・・」

 お互い大好きだから、たくさん失敗もし合う。

 でも大好き同士だから、助け合えるんだ。

 「・・・・・・・」

 「・・・・・・・」

 お互い見つめ合って・・・。

 唇も近づいて・・・・・・。

 

 「今仕事中だぞー」

 「「ひゃいいいっ!!」」

 リゼちゃんの一声で元に戻った。

 

 

 「物にもドラマがあるなら、記憶もあるのかな?」

 「鏡にずっと話してるとおかしくなるらしいから気を付けろよ?」

 「たぶん白昼夢でも見てたんですよ。日向ぼっこして寝ぼけてただけですよね」

 「まるで私がおさぼりさんみたいに!!」

 白昼夢かあ・・・・・。

 「白昼夢ってデイドリームって言うんだって。素敵な響きだよね」

 「やっぱ居眠りしてたんですね」

 「自白したな」

 「違うってぇ!!」

 きっと想い出に浸れる、素敵な夢だよね。

 

 

 

 その晩、僕は夢を見た。

 おじいちゃんがウサギになる前、喫茶店にやって来たピンクの制服を着たお姉さんの夢。

 その人の作ってくれたティッピーのラテアートはとても美味しかった。

 でも肝心の顔が思い出せない。

 「んんっ・・・」

 まるで白昼夢を見たかのような気分で目を覚ますと、隣にココアさんが寝ていた。

 幸せそうにだらけきった寝顔だ。

 ・・・きっとその人も、ココアさんと同じくらい。

 いや・・・・・。

 「ココアさんの方がずっと素敵ですよね」

 僕はココアさんの頬にキスをして、再び眠りについた。

 

 




最新刊のオンラインゲーム回、佐倉さんがアテレコしたら面白いと思うんですが何年後になるかな・・・
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