あと、先に言っておくと夢オチなのでご安心ください。
「リゼさん、オーダー入りました」
「おう、分かった」
「お邪魔しまーす。あら、忙しそうね」
「私たちも手伝うよー」
「いらっしゃい千夜さん、メグさん。お願いします」
ココアさんとシャロさんが卒業して都会に行き3年が経ち、今度はマヤさんまで都会に行ってしまった。
僕とリゼさんと千夜さんとメグさんは木組みの街に残り、いつもの日常を続けていた。
「漆黒の夜空に浮かぶ叢雲、お待ちどう様です」
「千夜さん、カプチーノですよ」
「あらごめんなさい。いつもの癖で」
千夜さんはココアさんととても仲が良かった。それにシャロさんとは幼馴染として姉妹同然に育った。そんな二人が離れてしまったのだから、心の寂しさは察するに余りある。
「間違えてミルクココア出しちゃった」
「大丈夫ですよ。2番テーブルのオーダーこっちでしたよね?お願いします」
「うん、分かった」
メグさんもマヤさんとは幼馴染で片時も離れたことがなかった。そんなマヤさんと初めて離れ離れになったのだから、心に穴が開いたようだろう。
「全く、ココアはまだ休憩中か?」
「リゼさん、ココアさんは・・・」
「あ、ああそうだった。都会だったな・・・」
リゼさんは毅然としているように見えて人一倍寂しがり屋だ。寝言で何度もココアさんやシャロさんの名前を口にしているのを耳にした。ココアさんがいなくなってずいぶん経つのに、未だにココアさんの名前を店内で呼んでしまう。それほどに大切に思っていたんだろう。
「チノ君?」
「大丈夫?」
「休憩するか?」
「え、ええ。大丈夫ですよ」
それに、僕だって・・・。
喫茶店も終業時間となり、一先ず仕事が終わる。これからは夜の時間がやってくる。
「んっんっ」
「ううんっんっ」
「はっはぁっ」
僕とリゼさん達3人は、僕の部屋で熱い口づけを交わしていた。
「んんっん~」
3人の美女の吐息で息が詰まりそうになる。
「チノ君・・・」
「大丈夫・・・?」
「休憩・・・するか・・・・・?」
3人が僕の方を見据えてくる。目は妖しい紫色に輝いていた。
「大丈夫です・・・まだやりましょう・・・・・」
そうして僕は、また3人と唇を重ね合わせた。
僕たちは不倫していた。
どうしてこんな関係になったかは簡単だ。
ココアさん達が都会に行って寂しいという話になり、リゼさん達が僕の家に泊まった。
それからだ。僕たちが秘密の関係を持ったのは。
僕はココアさんと恋人だ。こんな関係持っちゃいけないのは分かっている。
でも、寂しくてしょうがなかった。
誰かとぬくもりを交わさないと、僕たちみんな変になりそうだったんだ。
「チノ君、疲れたね」
「ええ」
メグさんがダラーッと僕の部屋の床で寝ている。服が崩れていて、所々肌が露出している。
「汗もかいちゃったな」
リゼさんは薄手の服を着ていた。凹凸のはっきりしたボディラインがしっかりと見えていた。
「みんなでお風呂にでも入りましょうか?」
千夜さんはかなり緩めの服を着ていて、胸元やら色んな所が見えていた。覗き込めば大事なところが見えそうなくらいに。
「・・・入りますか」
「やったー」
「チノ君背中流してあげるわね」
「お前はチノの奥さんか」
一緒にお風呂に入ったのだって一度や二度じゃない。
こういうのを爛れた関係と言うのだろう。
そんな関係がズルズルと続いていた。
「いいお湯だったねー」
「チノはそれどころじゃなかったみたいだがな」
「見すぎよチノ君。私たちのハ・ダ・カ♡」
「セクシー女優みたいに言うな」
「しょうがないじゃないですか・・・」
「男の子だもんねー」
何度も見ているはずなのに、未だ慣れない所もある。
だってあんな光景、男なら誰だって凝視してしまう。それくらいの美しさだった。
今その光景を見れるのは、世界でただ一人。僕だけだ。
その背徳感が心地いい。
「チノ君、鼻の下が伸びてるよー?」
「いえ、そんなことは・・・」
「「「・・・・・・・・・・」」」
「すみません・・・・・・」
「別にいいわよ。チノ君に見られるならやぶさかじゃないし」
「まあ・・・そういう関係だしな・・・・・」
メグさんと千夜さんはあっけらかんとしてるけど、リゼさんは未だにモジモジすることが多い。それぞれに良さがあって可愛いと思う。
「今日も泊っていい?」
「ええ。僕は別に」
「じゃあ朝までコースね」
「そういうことしか考えられんのか?」
3人を泊める、なんてこともしょっちゅうだった。
入浴やら夕食やらを一通り終えた後、僕たちは僕の部屋で映画を見ている。
見ている映画は「うさぎになったバリスタ」。もう円盤が焼き切れるくらい見ている。
「・・・・・・・・・・・」
全員、物も言わず薄暗い部屋の中で画面に見入っていた。部屋が暗いから妙に耽美な雰囲気が立ち上っている。
ふと横を見る。
千夜さんは一筋の涙を流していた。
「大丈夫ですか?」
「うん、ありがとうチノ君」
千夜さんにハンカチを差し出す。
「私、親友の心を裏切ってるなって思ったの」
ハンカチで涙を拭きながら、千夜さんは鼻声で言った。
「チノ君はココアちゃんの恋人なのに。横から入って来て寝取って。親友失格ね」
そんなことない、と言いたかった。
でも、僕には言える資格がない。
「うっ・・・ぐすっ・・・・・」
リゼさんも膝を抱えて泣いていた。
「もう戻れない・・・。ココアたちが帰って来ても、きっと元の関係に戻れない・・・・・」
顔が涙でぐしょぐしょだった。もう一つのハンカチを差し出す。ハンカチをクシャクシャにするくらいの勢いで顔を拭いていた。
「きっと私、マヤちゃんに怒られちゃうね」
メグさんの瞳にも涙が浮かんでいた。
「私もチノ君もココアちゃんのこと大好きなのに、ひどいことしてるんだもん」
全員が全員、泥の底なし沼に堕ちてもがいていた。
その沼を作り出した原因は僕だ。
でも、もうどうすることもできない。
僕は彼女たちの姿を見て、美しいと思ってしまった。
「みんな、泣くのをやめて」
励ます資格もないのは分かっている。
「僕たち、みんな共犯です。悪い子だったんです」
でも、何も声をかけないわけにいかなかった。
「だから、あなたたちだけのせいじゃないですよ」
僕は後ろから、3人の実った体を抱きしめた。
柔らかかった。
僕の部屋のベッド。4人で身を寄せ合っている。
3人はそれぞれ体の肉付きがいい。
リゼさん千夜さんは元々だったけど、メグさんも高校生になって急に色々大きくなった。
リゼさんは引き締まっていて、千夜さんは大福みたいにモチモチ。メグさんは幾重にも折りたたんだショーツのようなふんわり感があった。
やることを終え、狭いベッドの上で眠る僕たち。
「ココアさん、ごめんなさい」
3人の寝顔を見ながら、僕は恋人に謝罪をした。
「でも、この人たちのことも好きなんです」
僕は眠っている3人にそれぞれキスをし、目を閉じた。
そしてまた、明日が来るのだろう。
「「「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!!!!!」」」
それぞれの家で、大声を上げて跳ね起きるココア、シャロ、マヤの3人。大量の汗をかき、体がびしょ濡れだった。
「「「ゆ、夢・・・・・・・・・・」」」
各々の家のベッドの上で今が現実であること、まだ高校を卒業していないことを確認する。どうやら、3人で全く同じ夢を見ていたようだ。
「「「ハーッ、ハーッ・・・・・」」」
耽美だが縁起でもない夢を見た3人は、息も絶え絶えだった。
「チノ君!!リゼちゃん!!私がオーダー取ってくるから大丈夫!!!」
「は、はい・・・」
「ああ・・・」
「ちちち千夜!!ほほほほほらラビットハウスのコーヒー飲みなさい!!ここここここ心が鎮まるわよ!!!!!」
「え、ええ・・・」
「メグ!!たまには私が奢るからさ!!!好きなもん頼めよ!!!!!」
「う、うん・・・」
「何かあいつらおかしくないか・・・?」
「すごい構ってくるわね・・・」
「熱でもあるのかなー・・・」
「変な者でも拾い食いしたんでしょうか・・・?」
4人で集まってヒソヒソ話をする。でもいくら話し合っても原因は分からなかった。
「「「みんな!!!!!」」」
「「「「は、はいっ!!!!!」」」」
「「「大丈夫!!!絶対帰ってくるから!!!!!寂しい思いさせないから!!!!!!!」」」
「「「「ははは、はいっ!!!!!」」」」
突然上げられた大声に、素っ頓狂な声を上げるしかできない僕たち。
今日もラビットハウスは平和です。
構想がまとまるまで閑話を投稿したいと思っています。
原作話もなるべく早めに投稿したいです。