惑星SR388からの物体X   作:ちゅーに菌

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メトロイドドレッドたのちい(小並感)


サムスさんぶつかる

 

 

 

 

 サムスがあなたのシップに来てから数日が経過し、少なくとも船内の日常生活はマトモに送れるようになり、自ら船内の仕事を買って出るようになった頃。

 

「………………」

 

 格納庫の隅にてあなたはサムスと対峙していた。あなたの眼前に不動で佇み、真顔で床の模様を眺めている彼女を見つつ、あなたは何とも言えない表情を浮かべている。

 

 あなたはこのような状況になっている原因であり、格納庫の区画を区切る衝立代わりになっている一枚壁に視線を映す。

 

 そこには永遠に残ると思われていた耐久性の壁の一部のブロックが理不尽にも吹き飛ばされてしまっていた。ご丁寧に人型に抜けており、まるで現代アートのようであろう。

 

 しかし、アートには疎いあなたにとってはただの壁の穴ボコであり、彼女のいつもと違う様子と、彼女がひとりで訓練していたことから推測すると。

 

あなたが監督していた外でサムスが起こした完全な破損であろう。

 

 しかし、強固で水平な一枚板の上に建つ広い格納庫で起こった事と、サムスのパワードスーツに付いているスピードブースターを思えば、あなたは何が起こったのかを容易に理解できた。

 

「………………!」

 

 また、サムスの方に視線を戻すと、彼女は床を見つめたまま口を横一文字に結びつつ、ぷるぷると震えていた。

 

 それはこれから怒られる事を覚悟している子供のようにあなたには見え、特にそんなつもりはなかったあなたは目を丸くしつつ口元を緩めると、彼女の頭に手を伸ばして撫でた。

 

「――――! 怒らないのか……?」

 

 最近、改めて気付いたが、記憶喪失の彼女は大きな子供のようなものである。しかし、キチンと言い付けは守り、やることはやるため、あなたが口角泡を飛ばす理由などどこにもないのだ。

 

 それよりもあなたは何があったのか、サムスの口から聞かせて欲しかったため、それを頼むと彼女はポツリポツリと話し出す。

 

「その……。格納庫内で走り込みしていたらいきなり身体が光り出して……ビックリしてしゃがんで右往左往してたら壁にものすごい勢いで飛んでしまって……」

 

 どうやらやはり彼女は"シャインスパーク"をしていたらしい。ここ数日でミサイル以来の機能のスピードブースターを取り戻して何よりである。

 

 それと共にこのリトルリバイアサン号の格納庫の仕切り壁の一部に、設計図にはなかったダッシュブロック壁などという安上がりな代物を採用してやがった銀河連邦軍にあなたは憤慨していた。

 

 シャインスパークなどダチョラやイシュタルなどの原生生物ですら可能なため、建材としては簡単に破壊出来る上、再生建材ではないため壊されたら壊れっぱなしなのである。

 

「シャインスパーク……?」

 

 シャインスパークはサムスならば、一定距離を走ると発動し、加速するスピードブースターを利用した応用テクニックだ。

 

 そんな加速移動中にしゃがみ動作を行うと、急停止して高速ダッシュが中断されるが、行き場を失ったスピードブースターのエネルギーが身体に溜まり、サムスの全身が光輝く状態が維持される。更にこのとき、垂直ジャンプを行うと空中を超高速で突き進むシャインスパークが発動するのである。

 

「…………?」

 

 言っては見たもののサムスはハテナを浮かべた様子だった。その気持ちはよく分かるあなたは、とりあえず彼女にあなたから離れるように言うと、格納庫の端まで下がる。

 

 そして、天井の端で電球がひとつ切れている箇所を指差すと、替えの電球を持ち、そのまま駆け出した。

 

 電球の切れた天井の端まで半分を少し超えた距離に差し掛かった直後、あなたは光りを帯びると共に急加速し、電球の真下に着いた瞬間に急停止するとシャインスパークによって垂直に跳ぶ。

 

 砲弾のような跳躍により、照明に取り付いたあなたは手で電球を回して交換を終えると、そのまま自由落下して着地し、彼女の前まで歩いて戻る。

 

 ちなみにあなたはスピードブースターなど必要なく生身でシャインスパークをしている。小さい頃はよく野良ダチョラと競走したものだと少しだけ望郷を覚えたあなたであった。

 

「なるほど……ダッとしてビュンだな」

 

 あなたの見本をビックリするほどフィーリングで解釈して来たサムスであるが、彼女は凄まじく飲み込みが早いため直ぐにモノにするだろう。流石は銀河最強の戦士である。

 

 すると彼女は自身が走り抜いた仕切り壁の接触面で少しだけ剥き出しになっているブロックに目を向けた。そこには"〆"のような図形が刻まれたダッシュブロックがあるばかりだが、何か言いたげなようなので疑問を聞く事にした。

 

「そもそもブロックとはなんなんだ……?」

 

 するとサムスは中々に核心を突きつつ、余り誰も気にしない真理に切り込んで来る。

 

 ブロックが何かという質問は非常に難しいものであると唸りつつ、あなたは一例として経験に基づいて語った。

 

 ブロックとは一部の建材が、経年劣化や周囲の環境への適応などで物質そのものが変成した結果であったり、そもそもが建材として用いられたりしているものだと思われる。前者はフェイクブロック・ボムブロック・ミサイルブロック・スルーブロックなど、後者はダッシュブロック・パワーボムブロック・スクリューブロックなどが挙がるだろう。

 

「ん……? んん……?」

 

 明らかにサムスは理解出来ていない様子のため、あなたは格納庫の隅に積まれたコンテナの中からスクリューブロックを取り出して運び、それを彼女の目の前に設置して見せた。

 

「えっ――?」

 

 彼女が驚くのも無理はない。昔はあなたも最初は疑問に感じたものだが、コスパがよく建材としてとても優秀なため、今となってはどうでも良くなっている。

 

 とりあえず、ダッシュブロックが壊れて出来た穴をスクリューブロックで埋めて補修しようとあなたは考えたが、格納庫に幾つかあったものだけでは全く足りなそうであったため、彼女を連れてブロックを保管している倉庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんしょ……」

 

 明くる日。現在、あなたとサムスはあなたの仕事の関係で幾つもの小さなコンテナを運び出している途中であり、長い廊下を並んで歩いていた。

 

 サムスは縦に3つ積んだものを両手で前に抱え、あなたは片腕に5つ積んで達磨落としのようにバランスよく持つと共に、あなたの能力のひとつである念動力(テレキネシス)を使って、更に追加で幾つも何らかの機械部品をふよふよと浮かせて運んでいる。

 

 テレパシーを使えるあなたが他の超能力が使えたとしても特に疑問はないだろう。

 

『――? ――?』

 

「――――――!?」

 

 すると、突如として前方の通路をまた脱走していたベビーメトロイドが通り過ぎる。恐らくサムスを探していたらしく、若干蛇行しつつ移動していた。

 

 新しいケージやカゴや檻を何度も作っているが、どうやらベビーメトロイドは全くお気に召さないらしい。1日2~3回はお散歩している姿を見掛けるため、ここ数日であなたも慣れたものである。

 

「ミ゜」

 

 そして、驚いたサムスは飛び上がったと共に大きく後退し――その後頭部を壁と天井を繋ぐように生えていた鉄パイプに打ち付け、声にならない悲鳴を上げた。

 

 彼女の手元からスクリューブロックが床に落ち――サムスの頭がモザイクを掛けたように一瞬だけ視界がブレると共に、"オレンジ色のアメーバ"のような何かが飛び出した。

 

「――!? ――!?」

 

 サムスは頭を抱えて硬い床をのたうち回っておりそれどころではない。

 

 まあ、床でゴロゴロ転がる彼女を見る限りではまだまだ元気そうであり、このアメーバも鳥人族由来の彼女の能力的な何かだと思われるため、別段害のあるものではないのだろう。

 

 あなたも千切れた手足などを医療用ホチキスで止めておけば直ぐに繋がり、なんならば欠損しても時間が立てばまた生えるため、他人の事をとやかくは言えないのである。

 

『――――――』

 

 そのアメーバは何をするわけでもなく宙を中々の速さで漂うばかりだったが、ある瞬間から思い出したかのようにあなたへと向かって来た。

 

 あなたもアメーバをベビーメトロイドのように摘まむ為に空いた片手を伸ばし、互いの距離が徐々に縮んで行き、あなたの指に触れる――。

 

『――――!!』

 

『――!?』

 

 その直前で、いつの間にかこちらを見つけて飛来していたベビーメトロイドが、あなたが触れるより先にアメーバを抱えるように奪取した事であなたの指は空を切った。

 

 そして、直ぐにベビーメトロイドはアメーバに吸い付き、みるみる内にアメーバは体積を失って消滅し、最後には何も無くなってしまう。

 

 目を丸くしたあなただったが、そのままの勢いでベビーメトロイドが床に踞るサムスに向かいそうだと考え、ひとまずは摘まんで止めておく事にする。

 

「いたい……」

 

『………………!』

 

 しかし、ようやく頭を擦りつつ立ち上がったサムスへの捕食感情以上に、ベビーメトロイドが何やらやりきったような様子をテレパシーで感じ、あなたは首を傾げるばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは研究所区画じゃないか?」

 

 研究所区画に来ると、行き先を知らなかったらしいサムスは疑問符を浮かべていた。

 

 あなたはそう言えば、特に理由もないが話してはいなかった事に気づきつつ、研究所区画の一室に入り、部屋の照明を灯す。

 

 それから持ってきた小さなコンテナや機械部品を手近な机に置き、それを彼女にも促してから部屋の中央の台座に鎮座するソレの前までやって来る。

 

「これは……ロボットか?」

 

 そこに佇んでいたのは3mを超えるサイズの人型ロボットであった。黒を基調に白の装甲があしらわれ、モノアイが特徴的な機体であった。

 

 開発中のため、まだ余り出来てはいないが同様の機体が他にも部屋には後、"7体"置いてあり、それぞれあなたが手作業で製造しているということはサムスも理解出来ただろう。

 

 折角なので、この半ば完成している試作機にだけは銀河連邦に引き渡す予定はないため、テストを兼ねて起動することにした。決してあなたがサムスに見せたかった訳ではない。あくまでも起動テストである。

 

 また、この試作機は汎用AIではなく、あなたが開発した高性能AIを搭載しており、成長すれば感情を持つため、サムスの友達になれるという大義名分もたった今考えた。

 

 

『――――――――――』

 

 

 機体に動力が入り、独特の駆動音と無機質な点滅音が響くと共に、糸が途切れた操り人形のように項垂れていた機体が息を吹き返すように力が入る。

 

『A big black bug bit a big black bear, but the big black bear bit the big black bug back.

 

 Blaukraut bleibt Blaukraut und Brautkleid bleibt Brautkleid.Brautkleid bleibt Brautkleid und Blaukraut bleibt Blaukraut.

 

 Карл у Клары украл кораллы, а Клара у Карла украла кларнет.

 

 いろはにほへと ちるぬるお

 わかよたれそ つねならぬ

 ういのおくやま けふこえて

 あさきゆめみし えひもせす――』

 

 そして、最初に女性の合成音声で音声部分の音声出力テストが始まり、滑らかで抑揚はあるが、感情の全くない声が暫く響く。

 

 それを終えると最後の仕上げとばかりにモノアイが輝き、真っ赤な淡い光りを宿すとサムスを見下ろす。

 

 

『――おはようございます。こんにちは。こんばんは。私は惑星外多形態機動調査機(Extraplanetary Multiform Mobile Identifier)、型番は00――"E.M.M.I.(エミー)"と申します。あなたのお名前と遺伝子情報をご登録ください』

 

 

 これは平和利用目的という双方合意の上、あなたが銀河連邦の依頼で誠意開発中の惑星調査ロボット――E.M.M.I.(エミー)であった。

 

 

 

 

 






オマエノシワザダッタノカ




~簡易当時人物紹介~

あなた
割りと何でも出来る超人(1話 人物紹介参照)

サムス
たまにダメージを受けるとアメーバっぽいものが出る銀河最強の戦士

ベビーメトロイド
そのアメーバが好物の人工生命体

E.M.M.I.(エミー)
平和利用目的で造られ、戦闘用武装の一切を積んでいない絶対安全ロボット。特技はQTE。


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