メトロイドドレッドコンプに手を出し始めました。今回のシャインスパークの難易度高い……高くない……?
頂いたご感想は作者が見落としていなければ全て返信いたします。回を経る毎にサムスさんがポンコツになっている気がしますね。後、初投稿です。
「最近、こわい夢を見るんだ」
サムスがこのシップに来てから1ヶ月ほど経った頃。1日も終わった就寝時に何故かあなたのベッドに枕持参で潜り込み、真顔で並ぶと天井を眺めているサムスは急にそんな事を言い始めた。
布団の端を両手で確りと掴みつつもその身体は小型電動マッサージ器か何かのようにぶるぶると小刻みに震え続けており、到底あなたは寝れたものではない。
このような奇っ怪な行動と安眠妨害を両立して来る彼女は、実は人類種ではないのではないかと思い始めるあなたであったが、多分鳥人族のDNAのせいだろうと半ば投げやりになりつつ、彼女が見るという悪夢の相談に乗ることにした。
「聞いてくれるのか……?」
すると彼女は天井のシミを眺めるのを止め、身体を横にしてあなたに向き合う。
このまま、さながら電動こけしと化している彼女を放置すれば、あなたのコリは良い感じにほぐれているかも知れないが、睡眠時間と天秤に掛ければ自ずと後者になっただけである。
「何処かはわからないんだがな……。暗い場所で私は何かを見付けるために歩いていたんだ」
暗い場所。何かの隠喩かも知れないため、あなたは覚えておく事にする。夢とは本人の体験談やトラウマが現れる事が多々あるため、一考に値するだろう。
「暫く探索していると、それまでは開かなかったゲートと赤いハッチが開いたからそこに入った」
ゲート、赤いハッチ。その上、開かなかったものが開いたらしい。ぶつかった精神的な壁と、それが図らずも何かの切っ掛けで乗り越えられてしまったと言った経験だろうか?
「そしたら――あのベビーメトロイドが沢山入った巨大なガラス菅が部屋いっぱいにあったんだ……!」
急に夢がえらく具体的になった。
まあ、控えめに言っても普通のヒューマノイドからすれば地獄絵図であろう。どうやら手近な怖いものがそのまま夢に出たのかも知れない。
サムスが2~3日に1度はベビーメトロイドに張り付かれて絶叫している様を目にするため、そのせいなのが濃厚だろう。
最初は緊急事態だと考えていたが、次第に何度も吸収されている様子を目にする内に、意外とサムスは吸われても大丈夫そうだと思ってしまったのがいけないと言える。
メトロイドは合成栄養物質などの人工食糧には反応しないため、バイオエネルギーを与える必要があるので、たまに給仕になるぐらいならいいかなどと本人の意思を無視した妥協が無いかと言われれば嘘になってしまうからだ。
ちなみに流石のあなたもサムスだけを生き餌にはしておらず、もっぱらメトロイドには自身の生体エネルギーを与えており、頻度としてはサムスが吸われるよりもあなたが与える方が若干多い程度である。
また、やり過ぎも善くないので、1日置き程の頻度が望ましい。
「私を見るなり、アイツらはガラス菅を突き破って襲い掛かって来て……。私は頑張って倒そうとしたが……ベビーメトロイド達に囲まれて身体中に取り付かれて……それで――それで――」
それで?
「そこでいつも目が醒める」
肝心なところで目が覚めるというのは悪夢にありがちな事だろう。覚えてないからこそそれが気掛かりになり、また似たような悪夢を見る事にも繋がる。
「後、紫色の私を見た気がする」
加えて"空を浮いて消えた"などと支離滅裂な発言まで見られる始末だ。いつの間にかサムスの心はかなり擦り切れているのかも知れない。これは紛れもなくあなたの監督不行き届きであろう。
「ん……」
手が届く距離のため、あなたはサムスの頭を撫でた。年長者としてこれぐらいしか今は出来ないが、彼女の震えが少しずつ弱まる様子から多少はマシになったかも知れない。
彼女の瞳が徐々に閉じ、微睡んで行く様子を眺めつつ、あなたは彼女の夢に出て来たメトロイドと
銀河連邦で隔離が必要な重要施設では、職員の役職ごとに出入りを制限するためにセキュリティレベルを0~4の5段階で決められている。これは銀河連邦共通であり、傘下の企業でも設備投資段階で銀河連邦から融資を受けていたのならば、同じ基準を取り入れた筈だろう。
また、セキュリティレベルは色分けされており、その色はそれぞれ
まあ、所詮それはただの夢の話。
しかし、彼女が何処から来たのかを考えると、どうにも夢と割り切るには腑に落ちないと考え、健やかな表情で寝息を立て始めた彼女をあなたは眺めるのであった。
◆◇◆◇◆◇
明くる日の就寝時間にはやや早い程の頃。
「………………」
あなたは食卓を挟んでサムスと向かい合っており、何故か彼女はダークサムスの格好に外見を変化させつつ、頬杖を突いて無言であなたを見詰めてきていた。
珍しく大変圧力を感じる彼女だが、その理由はあなたが頬を掻いている姿と、スプーンが伸びたプリンの空容器があなた寄りの位置に置かれている事から推し量れるだろう。
あなたが冷蔵庫に入っていたので、夜食に食べたプリンがサムスのものだったため、搾られている図である。しかも食べ終えた現行犯を押さえられたのだ。
「………………」
『……! ――!?』
今のサムスの威圧感は凄まじく、いつもは彼女を見付ければ元気に飛び付いて来るベビーメトロイドが周囲でまごまごしてしまう程だ。実に可愛らしい最強の戦士である。
いつもそうしていれば襲われないのではないかと思うが、よく何もないところで
『急げよ ニューロンのニューロンの谷間へ♪
掘り出せ 隣人の隣人のコスモを♪ 駆け出し 細胞の細胞のスキルを♪
動かせ レスキューのレスキューの遺伝子を♪』
同じ部屋にいるE.M.M.I.はあなたが叱られ始めてから何故かよく分からない歌をずっと歌っている。しかし、歌詞がまるで聞き取れないか、意味を成さない羅列に思えた。恐らく何処か遠くの離れた銀河の言語なのだろう。
このロボットは少しメンテナンスが必要かも知れないとあなたは思い始めた。
「旨かったか? 私のプリンは」
するとわざわざ倒置法を用いてサムスが聞いてくる。余ほど腹に据えかねているらしい。こんな有無を言わせぬ彼女をあなたは見たことがない。
次の瞬間、殺気を感じたあなたは発言と共に首を傾けたところ、頭があった場所をミサイルが通り過ぎ、偶々直線上に居たE.M.M.I.にの頭部に当たった。
『取り出せ ヒト科の枠 救済の技法を♪』
しかし、採取装置までリズム良く伸び縮みさせながら行うロボットダンスを交えつつ、無駄に美声の合成音声で歌い続けるE.M.M.I.は意に介す事すらしていない。
どうやら感想を求めていた訳ではなかったらしい。銀河連邦軍時代ならばあなたの直属部隊は互いに煽り合いからの乱闘になっているため、まだまだサムスはとても優しいと感じる。
それにしても来たばかりの頃は、味がわからない等と言っていた彼女が、プリンひとつにこれほど食意地が張るまで成長した事を喜ぶべきか、嘆くべきかは微妙なところだろう。
「プ、プリンひとつ……だと……?」
そして、どうやらまた地雷を踏んだらしい。あなたの頭部に向けられ、怒りでぷるぷる震えているブラスターの銃口がその証拠である。
あなたとしては、体内で精製されるプラズマビームを自身に当てても傷ひとつ付かないあなたの身体に対し、最近サムスが取り戻したワイドビーム程度でどうやって貫くのかという方が気になるところだ。しかし、流石に彼女のご機嫌が大変ナナメのため、それどころではないだろう。
しかし、そもそもプリンを作ったのはあなたなため、新しい物を今から作ると言っているのだが――。
「あのプリンが……ッ! あのプリンがよかったんだッ――!」
いつものようにぷるぷる震えるサムス。キレた手前引っ込みがつかなくなっているのか、怒り慣れていないのか。あなたは何となく後者に思えた。
食い物の恨みの恐ろしさはあなたも良く知るところだが、方向性の良し悪しは兎も角、彼女も随分感情豊かになったものだ。
ちなみに仮に立場が逆で、相手がかつての部下だった場合、あなたは笑顔かつ自然な流れで
「なんだ……?」
仕方なくあなたはとっておきの切り札を出すことにした。向かうは冷蔵庫の隣にあるアイス庫だ。
この最近、サムスのアイスビームから着想を得て開発したアイス庫は、アイスクリーム類を入れるための冷蔵庫ではなく、庫内の時空間を歪めることで入れた対象物のエントロピーを停止させて長期どころか電源の続く限り、扉を閉じた瞬間の中身を無限に閉じ込めるという優れものである。
庫内で極低出力のアイスビームを常に照射し続けているようなものなため、中型冷蔵庫サイズにも関わらず、有り得ないほどエネルギーを食うので、惑星破壊兵器の燃料レベルの異常な動力を積んでいるシップでもなければまず稼働不可能な欠陥がネックだ。
「む……」
そして、アイス庫からあなたが取り出し、サムスの目前に置いたそれは、タバコを吹かしたニヒルな中年男性が描かれたビーカーに入ったプリンであった。
これはただのプリンではない。かつて人類種が地球に居た頃から創業している老舗プリンメーカー、スペースマーロウのカスタードプリンである。
あなたが合成した人工卵や人工甘味料などを含むケミカルな材料中心で作ったプリンとは違い、少なくともきちんと本物の鶏卵や砂糖をふんだんに使用された高級品。紛れもなくアイス庫に入れておくに値する一品だ。
プリンから一切視線を外せていないサムスの様子を見れば、この切り札の絶大な効力が伺えるだろう。
「な、なんだ……。こっ、こ……こんなもので買収などされな――」
ちなみに百数十個ストックしており、味はこのカスタードプリン以外に10種類以上あるが――。
「食う」
あなたはサムスの食欲が怒りを上回った瞬間と共に、ボディカラーと細部がダークサムスからいつものオレンジのパワードスーツに戻る様を刮目した。
彼女と日頃から接している者ならば、ほんの僅かに口角が上がっており、とても上機嫌だということがわかるだろう。
女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かで出来ているため、サムスもお砂糖とスパイスと
『――? ――! ――♪ ――――♪』
それはそうと、サムスの雰囲気が軟化した事で、ベビーメトロイドが再び吸い付こうとしそうなので、テレパシーで呼んでから指で撫でて構い倒しておく。
自分から指に絡まってくるコレを見ていると、本当に野生で生きれるのか心配になるレベルに思えるが、こう見えて宇宙史上最強クラスの特定外来種なのが不思議でならない。
"ごはん"
『――♪ ――♪』
それからあなたはテレパシーでそう伝えつつ、ベビーメトロイドの口に指を添えると、ちゅぱちゅぱと甘噛みされつつ生体エネルギーが吸い取られる。接触面に吸盤を貼り付けらたような感覚を覚えると共に妙な生暖かさがある。
普通ならばメトロイドに吸収を受ければ大惨事だろう。しかし、ベビーメトロイドのためとても小ぶりな為に控え目な吸収量であること、あなた自身の生体エネルギー総量が星間移動を行う宇宙生物レベルに莫大であることが幸いし、ベビーメトロイドがどれだけ元気に吸おうともまるであなたには微笑ましい限りであった。
むしろ、プラズマビーム精製器官などが過剰に生体エネルギーを生み出すため、適度に抜かれており、調子が良い程である。
『エミーには何か無いのですか?』
そう言えばこのベビーメトロイドは、何故か"いつまで経っても脱皮をしない事"を不思議に考えていると、E.M.M.I.がそんな事を言いつつ指を咥えるような動作をしながらやって来た。
ロボットにプリンを与えても仕方ないため、あなたは具体的に何が欲しいのか聞くことにする。
『スクリューアタック』
それ以上、お前は何を目指しているんだと思いつつ、これ以上無断でサムスからデータを吸い出すのは良くない事を懇切丁寧に語った。
結局、少しあーだこーだと互いに話し合った結果、何故か銀河連邦の一般市民データベースアクセス権を譲渡するに至る。
「ん……」
そして、E.M.M.I.とそんな話をしていると、ゆっくり味わってひとつ目のプリンを食べていたサムスが、頬にカラメルソースを残しつつ空の容器をこちらにちらつかせて来た。
口では言わないが、おかわりという意味を察したあなたはアイス庫から取り出すプリンの味のリクエストを聞くと共に、表情を緩めるのだった。
メトロイドドレッドをプレイしながらナチュラルにマオキン族をマキオン族って読んでて、そりゃつえーわとか思ってたちゅーに菌って奴がいるらしい。
~簡易当時人物紹介~
あなた
サムス
おやつは別腹
ベビーメトロイド
サムスは主食
エミー
尊敬する人物:マザーブレイン
アメーバっぽいもの
惑星生態系破壊RTA宇宙記録保持者