「はい?」
「だから、ハチマンの実家に行くぞ」
「い、いやいや、何言ってるんですか!アイテールはどうするんですか?!」
「それは大丈夫だ、今連絡があって治すのに時間がかかるらしい、俺たちが手伝った所で時間がかかる事には変わりないんだ、だったらお前はその間に家族に無事を伝えてくればいい」
そんな、今更家族に会いに行って何になるんだよ。
八幡自身また会えるのか?と今まで考えた事はあった、だがいざ戻ってくるとどうすればいいのか分からない。勝手に出ていって勝手に帰ってきたんだから何を言われても受け入れるつもりだがそれでも・・・
「怖いか?」
「・・・本当にどうやって俺の思ってること分かるんですか?」
「顔に書いてあったからな。安心しろ、俺達がいる」
隊長は俺の肩に手を置いて言ってくる。
「・・・はあ、わかりました。行きましょう」
「決まりだな」
「ここからなら少し時間がかかりますけどね」
「そんなに遠いのか?」
「電車で2〜3時間くらいだ」
「随分時間がかかるな」
バルキリーで行くわけじゃないからな、てかそんなの飛んでたらニュースになるわ。
そして俺たちは電車に乗って銚子から稲毛に向かった。
「はえーこれが電車なんかね」
「周りとか畑と住宅街ばっかりだな」
「球状星団と違ってゆとりがあるんだよ」
「運転手がいる」
「そっちと違って自動運転の電車すら一般化してませんから、技術的にはそっちの世界に劣るんです」
「確かに、発達した文明とは思えない」
「地味に失礼だがそうだ、こっちはマクロス何てもの空から落ちてきてないからな」
ここら辺の話は前に隊長にも言ったな。
そうこう話している内に電車は乗り継ぎをする駅に到着し別の車両に乗り換える。マジで長いな、座りっぱも意外ときつい。
そしてまた長い時間座っているとアナウンスが聞こえ次が目的の稲毛の駅に着くそうだ、俺はそのアナウンスを聞くと懐からメガネを取り出した。
「どうしたメガネなんか掛けて」
「知り合いに顔を見られたくないんで、メガネを掛ければ分かりにくいかと」
((((いや、別人でしょ))))
全員が内心そう突っ込んだ。
「はあ、帰ってきてしまった」
「ここがハチマンの生まれた町ですか」
「そうだ、特に目新しいものなんてないだろ?」
むしろ俺が『あれ?こんなに静かだったっけ?』なんて思ってるわ。
「取り敢えず今はハチマン君の実家に行きましょ?」
「・・・そうですね」
カナメさんがそう呼びかけ俺を先頭に実家へと向かっていく。実家自体駅からそう遠くないため10分程で着くが、八幡の足取りはどんどん重くなっていく。
そして着きました実家、17年住んだはずなのに何故か他人の家のように感じてしまう。やばい、心臓がバクバク言ってる。俺は玄関横のインターホンの前に立っているがチャイムが鳴らせない。
「大丈夫だ、さあ行ってこい」
「ッ!」ピンポーン
隊長の一言で決心が着き俺はチャイムをならした。
「はーい、どちらさま、で、す、・・・」ガチャ
「よ、よお。久しぶりだな、小町?」
出てきたのは我が妹の小町だった。少しやつれたか?
「お、おに、ちゃ・・・お兄ちゃん!!」ガバ!
「うわっ!」
小町は涙を浮かべ体当たりする勢いで八幡に抱きついた。
「バカ!ボケナス!八幡!なんで急にいなくなったの?!」
「わ、悪かった・・・あと八幡は悪口じゃない」
「どうしたの小町、そんなにさわい、で・・・」
「うるさいぞ、こま、ち・・・」
玄関先で小町が騒いでいることに気がついた両親もやってきた。2人も少し痩せた感じするな。
「は、八幡・・・」ボタボタ
「い、生きてたのか」ボタボタ
「あ、ああ・・・まあな」
「このバカ息子!」
「どれだけ心配したとおもってんだ!!」
そう言いながらも2人も俺に抱きついてきた。待ってマジで苦しい!
「あ、あのーそろそろ離した方が・・・」
「「「え?」」」
「し、死ぬ・・・」
「は、八幡!」
「生きてるか?!」
「か、辛うじて・・・」
自殺しようとして生きてたのにまさか家族に殺されかかるとは思わなかった。そして両親と小町は俺の後ろに人がいることに気がつく。隊長は目が合うとお辞儀をし、近づいてくる。
「八幡、そちらは?」
「あーこの人は、今働いてるところの上司だよ」
「働いてる?!」
「あの八幡が?!」
「ごみぃちゃんが、働く?!」
そんなに驚くことなのか?驚くことだな、今まで専業主夫になりたいって言ってたんだから俺が自分で働いてるなんて口にしなかったからね。あと小町?酷いよ
「は、初めまして。八幡の父です」
「母です・・・」
「妹の小町です」
「アラド・メルダースです、そしてこっちが」
「カナメ・バッカニアです」
「ミラージュ・F・ジーナスです」
「フレイヤ・ヴィオンです」
「ハヤテ・インメルマンです」
とそれぞれ自己紹介を済ませ隊長達を家に上げた。両親たちからまず問い詰められたのは今までどこに行っていなのか聞かれたのだが、小町たちの反応は勿論
「はああああああ?!」
「「・・・」」
小町は発狂、両親は口をあんぐりさせてる。顎外れてないか?
突然の異世界転移なんてものが自分の子供から聞かされたら誰だってびっくりする。さらに八幡は向こうで使っている機械の類を見せると両親2人とも頭を抱えてしまった。
「色々訳が分からないけど、八幡が無事ならそれでいい」
「そうね」
「うん!」
なんか面と向かってそんなこと言われるの恥ずかしいんだけど
「そう言えば働いてるって言ってたけどどんな所で働いているんですか?」
親父が隊長に職業のことを聞いてきた。隊長は少し顔を強ばらせ真面目なトーンで話し始めた。軍事企業で働いていて今まさに戦争になりそうなことを包み隠さず話した。
「と、言うことなんです」
「戦争が始まるなんて」
「申し訳ごさいません、こちらの都合で彼を兵士にしてしまいまして」
「いえ、それしか道が無かったのならないのは仕方がないので」
「でもでも、これでお兄ちゃんは死にに行かなくてもいいんだよね?!」
「っ!・・・」
俺は言葉を出せなかった。こういう事態が起こるかもしれないと考えたことがあったが未だにその答えがでてこないからだ。正直帰りたかったかと言われると多分そうなのかもしれない、ただ、あの時のことが頭から離れない。
向こうの世界に居たいのか?だが向こうはこれから戦争状態になるが空を飛ぶのは楽しい、ワルキューレやデルタ小隊のメンバーと過ごす日々、こんな俺が一緒に居てもいいのかと思える仲間と離れたくない。この2つの考えがずっと頭を巡っていく。
「お兄ちゃん?」
「な、なんだ小町?」
「なんで何も言わないの?」
「い、いや・・・」
「まさか、まだ向こうの世界に居たいって思ってるの?!」
小町は怒鳴るように俺に問いただしてきた、だがその目には怒りというより何かを恐れている目だ。
「どうして、なんでそんな事で悩んでんの?!もう飛ばなくてもいいんだよ?!」
「こ、小町・・・」
「落ち着きなさい・・・」
「お兄ちゃん、何か言ってよ!」
「小町、俺は・・・・」
なんでだ、ただ言葉を発すればいいのに、その言葉がでてこない。何も言えない俺を見て小町の怒りは頂点に達してしまった。
「〜っ!!お兄ちゃんのバカ!ボケナス!八幡!!」
「っ!!」キーン
小町は俺に罵声をあびせリビングをでて自分の部屋に駆け込んで言ってしまった。