小町side
バカ、バカ、なんでよ、なんでまた居なくなろうとしてるの。もっと居てよ、もう居なくならないでよ。
「もっとダメなお兄ちゃんでいてよ・・・・」
八幡side
「すみません、お騒がせしてしまって・・・」
「いや仕方がないことだ」
「八幡、あんたどうしたいの?」
「・・・」
「まだアイテールが治るまで時間はある、その間に決めておけ」
「・・・はい」
そうだ、アイテールが治るまで時間があるその間後悔がない選択をしなくてはいけない。俺はそう考えていた。
「そう言えば皆さんこれからどうなさるんですか?」
「そう言えば考えていませんでしたね」
「完全に忘れてたな、アイテールに戻ってもいいが・・・時間がかかるな」
「でしたらその船が治るまで家に泊まっていきませんか?」
「い、いえそういう訳には、それにこの人数ですし・・・」
「部屋はまだあります、問題ありませんよ隊長」
「それにこの辺じゃホテルとかありませんし」
無いわけじゃないけど高いんだよなあそこ(俺ガイル第5話のホテル)
しかもここからまた戻るにしてもルートを覚えてないだろうからまた俺もアイテールに行かないと行けないんだよな。
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
「それは良かった、じゃ私は夕飯の買い出しに行ってこなきゃ」
「手伝いますよ?」
「いえいえ、お客様にそんな事お願いできませんよ。ゆっくりくつろうでいてください」
「タダで止まる訳にも行きませんから、大丈夫です、これでも鍛えているので。なあハチマン、ハヤテ?」
「ああ」
「まあそれなりに」
あんな地獄の特訓してるんだから多少は力が着いていると思う、着いてなかったら中尉にもっと地獄を見せられる可能性がある。
「そうですか、じゃあお願いします」
「私達は、そうね、ねぇハチマン君」
「はい?」
「コマチちゃんの部屋って何処?」
「2階の階段近くの部屋ですけど、どうするんですか?」
「少しお話しようかなって思って、女の子同士の方が色々話しやすいでしょ?」
確かに、今の俺じゃまともに取り合ってくれないかもしれない。ならここはカナメさん達に任せた方がいいか。
「わかりました。小町をお願いします」
「うん、任せておいて!」
「ハチマン、行くぞ」
「はい」
俺は隊長達と共に近所のスーパーに向かった。
小町side
あれから少し経ったけど、まだ現実が受け入れられないや。嫌だよ小町、またお兄ちゃんが居なくなるの。ずっと部屋で俯いていると扉をノックする音が聞こえた。
「はい・・・」
「あ、えっと、コマチちゃんだったよね?」
「はい、あなたは、カナメさん、でしたっけ?」
「えぇ、ちょっといいかしら?」
「・・・はい」
お客さん相手にあまりやってはいけないけど元気が出ないなりに声を出し3人を部屋に招き入れた。
「へぇここがコマチの部屋なんだ」
「はい、えっと、3人はどうして・・・」
「ちょっと話がしたくてね?」
私と話を?でも話なんて。そう思っていたらフレイヤさん?がタンスの上に置いてあった写真を手に取り
「わあ、この写真ハチさんと写っとるんね」
手に取った写真は去年兄の入学式前に一緒に撮った写真だった。
「それは去年撮った写真です」
「なんか初めて会った時と同じ顔つきですね」
「ちなみにその写真を撮った後にお兄ちゃん、犬を助けようとして車に引かれちゃったんですよね」
「ハチマン君らしいわね」
そうだ、お兄ちゃんは人と関わらないようにしているのに困ってる人とかに手を差し伸べてしまう。
「お兄ちゃん、いつもぐうたらでダメ人間で将来の夢が専業主夫とかぬかしてましたけど、誰かのために動けるんです。だから、いつも傷ついているんです」
「え?」
「カナメさん、お兄ちゃんと会った時にどこか怪我をしていませんでした?」
「・・・そう言えば初めて会った時あちこち怪我していたわね、でも海で溺れた時にした怪我だと思っていたわ」
「お兄ちゃんがいなくなった日にお兄ちゃんの部屋で血だらけの制服を見つけたんです、それからお兄ちゃんの学校のクラスメイトの人たちに色々聞きまわったら暴力とかイジメとか色々受けていたみたいで・・・」
「なんて卑劣な・・・」
「でも親とかに相談しなかったの?」
「ハチマンの性格からしてそういうのは他の人間には話さなさそうですが」
「その通りです、お兄ちゃん自分の事って基本的に誰にも話さないから雰囲気とか周りからの情報とかで知っちゃうんです」
小町は握りこぶしを作り力を目一杯入れてしまう。すると爪がくい込んでしまったのか血が流れてきた。
「あっ、血が・・・・」
「え?あぁ、すみません」
兄のことを話し、更には血まで出してしまったせいなのか暗い雰囲気になってしまう、流石の小町もこの雰囲気に耐えかねたのか話題を変えた。
「そ、そう言えばお兄ちゃんは向こうでどんな感じなんですか?!」
「そうですね、だらしないのはこちらの時と変わりないかと」
「そうね、あとは色々巻き込まれたりとかも?」
「そうなんかね?」
「あれ?知らないんですか?」
「フレイヤは入ったばっかりだから、あまり彼のこと知らないのよ・・・」
ちなみにこの時フレイヤは八幡の事をヴァール扱いしてしまったことは伝えていない。
それから普段の行動とか訓練中の事なども話せる範囲で小町に話した。
「あのお兄ちゃんにそんな才能が・・・」
「ほんと、妬ましい限りですが」ハイライトオフ
(あんまり掘り下げない方が良さそう)
「か、カナメさん達の方は、ワルキューレ、でしたっけ?どんな曲を出しているんですか?」
「それなら・・・ほいな」
フレイヤはいつも持っている端末を取り出しイヤホンの片方を渡した。
「これが・・・いい曲ですね!」
「そやろ、アタシワルキューレの歌が大好きだからオーディション受けたんよ!」
「予選があったこと忘れてたけどね?」
そんな事あるの?そう思っているとワルキューレの曲が終わり次の曲に入った。だが流れてきたのはワルキューレの曲ではなかった。
「あれ?ワルキューレの曲じゃない?」
「あ、ランダムに再生するようにしちゃった、今変えるk「ちょっと待ってください」?」
曲を変えようとした途端小町が待ったを掛けた、その曲を聞くと小町は驚いた顔で
「この歌、そっちの世界の歌だったんだ・・・」
「この歌?」
小町が聞いているのは『愛・おぼえていますか』だった、この曲は嘗て八幡の持っていたイヤリングで聞いていたため小町自身、自分の世界の昔の歌かと思っていたのだ。
「ちょっと待ってください、『愛・おぼえていますか』はこちらで歌われたはずです!」
「あれ、お兄ちゃんから聞いてないんですか?お兄ちゃんの持ってるイヤリングの話」
「イヤリング?」
「そう言えば、たまにつけてたわね」
「そのイヤリングから色んな歌が聞こえてくるんですよ、でも何故が親には聞こえないみたいで・・・この曲もそのイヤリングから聞こえてくるんですよ」
「なんでだろう?」
「そこまでは、でもあのイヤリングも人から貰ったものらしいですし」
「貰った?」
「はい、長髪の男の人?から貰ったらしいです」
「何故そこに疑問形が着くのでしょうか」
しょうがないじゃないですか、お兄ちゃんだってよく分かってなかったんですから。
「後で調べさせてもらいましょう」
タダイマー
「お母さん達が帰ってきたみたいですね」
「私達も手伝いに行きましょう」
3人は帰ってきたお母さんたちの手伝いをするために下に行こうとした。するとカナメさんが扉の前で立ち止まって小町に言ってきた。
「コマチちゃん」
「はい?」
「ハチマン君のこと、もう少し考えてくれない?」
「えっ」
「確かに、私達はこれから戦争をする事になるんだけど、立場とか、色々な事を捨てて言うとね、私は彼にいて欲しい」
真面目そうなカナメさんから意外な言葉を聞いて驚きを隠せないている、そしてカナメさんは続けた。
「いつもはひねくれた事ばっかり言ってるけど、彼がいると私も含めて皆が楽しくやれてる。それにね、これまで何回か戦う時はあったけど彼のお陰で多くの命を救うことも出来たの」
「でも、もう一度、お兄ちゃんは苦しむかもしれないですよね?」
「そう、絶対に死なない戦場なんてないし、もしかしたら私達が死んでしまうかもしれない。彼って自分の事はいい加減だけで仲間の為なら自分が傷つく事でも簡単にやってしまうけど、それくらい彼にとっては守りたいものがあるんじゃない?もし彼の目の前で誰かが死んだら、彼はもっと苦しむと思うの」
確かにそうかもしれない、その言葉は生まれてから何年も一緒に生きてきたからわかる。お兄ちゃんは何時もそうだ、リスクリターンの管理はできる癖に
いざとなった時その管理はザルになる。だから自分が好きな物が無くなりそうになると自分が犠牲になってしまう、そんな兄だ。
八幡side
夕食を終え小町は部屋に戻り俺は風呂に入って両親と隊長達は色々話していた。
風呂に入りながらずっと考えていた。俺はここに居たいのか、もう一度苦しまなきゃ行けないのか、もう一度家族といたかったのか。
「いや、答えは決まってるか・・・」
俺は風呂から上がって隊長に自分の中の問の答えを伝えに行くことにした。
「お?上がったか八幡」
「ああ、隊長、少しいいですか?」
「・・・ああ」
隊長も俺の顔を見て何を言いたいのか察しが着いたのか俺の目をじっと見つめ話を聞く。
「やっぱり俺、皆と一緒に戦いたいです」
「「ッ!!」」
「・・・いいのか?こっちに来たら二度と帰って来れないかもしれないんだぞ?」
「覚悟の上です、それに・・・せっかく手に入った物が俺の居ない間に無くなってる方が、俺には苦痛ですから」
「・・・親御さんは、どうですか?」
両親2人とも顔を俯かせている、それはそうか、悪い言い方をすれば死にに行かせてくれって言っているようなものだ。昔ならともかく今どきそんな場所に行かせたい親などいるもんじゃない。すると親父が口を開き
「私は、八幡のやりたいようにやらせたいです」
「貴方・・・」
「良いのですか?もしかしたら死ぬかもしれないのに」
「・・・今まで、八幡が自分から何かをしたいと言ったことが無かったんです。そんなこいつが、命懸けで何かをしたいと言ったんです。なら親として出来るのはそんな息子の背中を押してやることが1番なんじゃないかと考えたまでです」
「親父・・・」
「そりゃ、八幡には死んで欲しくない。でもこの前の出来事で色々考えると今までこいつにしてやれた事は数少ない、その事を後悔しました。だから、八幡がやりたい事をやらせてやりたいんです」
俺自身あまり気にしていなかったが、思い返すと小町に構う事の方が多かったな。
「・・・分かりました、息子さんの命、預からせて頂きます」
「やったなハチマン!」
「ああ」
今日この日、俺は本当の意味でデルタ小隊の人間になることが出来た。そう感じる。
「そう言えば、俺たち何時出発できるんですか?」
「あーそれなんだが、あと数日かかるらしい」
話によるとどうやらフォールドシステムに損傷が出ているらしくしかも結構重要な場所らしい、そこの修理に時間がかかるみたいだ。
「まあ、出発するまでゆっくりしていよう。これからが大変だからな」
「そうですね」
「なあ、俺ハチマンの部屋を見てみたいんだけど」
「は?別に面白いものなんて何も無いぞ?」
「いいからいいから」
俺はハヤテに押され自分部屋を見せることに、黒歴史になるようなものないよな確か・・・
八幡達がリビングから出ると
「なんか、凄く遠くの人間になった気がしてきたな・・・」
「男はいつだって成長するものです」
「はは、違いない」
息子の成長ぶりを見て嬉しいような悲しいような、そんな感覚になっている父親、するとカナメさんが
「あの、少し、相談があるんですが・・・」
「ん?どうしたんだカナメさん?」
「実は・・・・」