「チャック中尉、シザース軌道時のエネルギーロスに気をつけろ」
「ウーラサー・・・」
「ミラージュ少尉、右後方の注意が薄い。アラド隊長の援護がなければ落とされていたぞ」
「はい・・・」
「ハチマン、お前は前に出すぎだ。操縦技術は問題ないが本来は後方支援がメインの機体だ、狙撃の技術も悪くは無いが決していいものでは無い、熟練のパイロットなら簡単に避けられるし最悪味方にも当たるからな、少なくとも今回の訓練の距離で腕や足を正確に射抜けるようにしろ。それから・・・」
「はい、はい、はい、すみません、はい、はい・・・」
((滅茶苦茶ボロくそに言われているな(いますね)))
俺は散々色々言われ心がポッキリ折れた。次はハヤテの番なのだが・・・
「・・・」
「・・・以上だ」
「ちょっと待てよ、呼び止めておいて俺には何もなしかよ!」
「論外だ、話をする価値は無い・・・いや、ひとつ忠告しておこう」
「?」
「実践で躊躇うな、確実に敵を落とせ。今までの戦いを見てお前は敵の翼しか狙ってない。ミラージュ少尉、お前もだ」
「・・・ッ!空中騎士団はともかく、新統合軍のパイロットは操られているだけです!」
「隊長やチャック、ハチマンも翼ばっかり狙ってるぜ?」
「それは隊長達に技術があるからだ、現にハチマンも無理だと判断した時は操縦席を狙って撃っているからな」
俺もなるべくなら人を撃ちたくは無いがそれで他の人間の命が奪われそうになるなら迷わず撃つ。そうしないとまた無くなりそうだからな。
「お前たちは違う、このままでは確実に死ぬ」
「っ!・・・」
「中尉、私のミスに着いてもう少し詳しく!」
「お前の操縦は正確だ、ミスもあえて言えばで収まるくらいだ。だがそれが問題だ」
「え?」
「お前の欠点はその正確な操縦で飛ぶ事だ。だがそれ故に動きが読まれやすい。その操縦では歴戦のパイロット相手だと直ぐに落とされてしまうぞ?」
「読まれやすい・・・」
「お前はハチマンの機体のテスト飛行の時に戦ったが落とされただろ?いくら最新鋭のロックオンシステムを使っていたとしてもあんなに直ぐに落とせると思うか?」
「ッ!?」
いや、実際そのシステムありきなんだけどな今の戦い方。それにあの時は手加減されてると思ってたんだけど・・・
「ハヤテ准尉は未熟だが時々予想出来ない動きをする。デタラメだが操縦センスだけは認めよう、いずれ死ぬことに変わりは無いがな」
そう言いメッサー中尉は去っていった。
「あいつ、気にする事はないぜミラージュ」
「そうだぞ、俺とか散々ボロくそ言われ続けてるんだぞ?」
「流石にそれと比べられたら、な?」
「何故か少し元気になった気がします」
ちくしょう、自分で言っておいてあれだけど地味に傷つくな。でも何でなんだ、俺そんなにミスしてたか?まあそれは後々考えるか
「訓練終わったし帰るか!」
「そうだな」
「私はまだ残ります」
「俺も残るわ」
「お前らよくやるよな、疲れないのか?」
「ほぼ日課になってるからな、あまり苦ではない」
最近休むと直ぐに追い抜かれる気がするからサボれないんだよ。それから俺とミラージュはシュミレーター室で訓練を続けた。
「はあ、また勝てませんでした」
「最初より長い時間戦えてたじゃねぇか」
「勝ってる貴方に言われても嬉しくありませんよ・・・」
「勝ってるって言っても時間が掛かっているけどな。メッサー中尉ならもっと早くクリア出来てる、俺はただ中尉の真似をしてるに過ぎねぇんだよ」
隊長やハヤテ、それに白騎士の様な自分の飛び方を俺は持ってない。だからとことん真似るしかないしひたすらトレーニングを続けなければ俺はいずれ死んでしまう。流石に2度目は許されなさそうだからな。
「結構やったな、流石にそろそろ終わろうぜ」
「はぁ、そうですね」
結構な時間トレーニングしてしまった。明日起きられっかな?
次の日
『惑星イオニデスにてヴァールシンドローム発生』
「第3種兵装設置開始!」
「エアリアル起動、脱出システム作動確認」
「今回はデブリやアステロイドが多いからライフルは外していけ」
「そんなに多いんですか?」
「あぁ、あれだけあると狙撃は難しいからな」
なるほどな、ちょっと試してみたかったけどまた今度だな。
『新統合軍の兵士も既に70%が操られ、空中騎士団も現れた。α、β小隊はポイントチャーリーの防衛を、Δ小隊はポイントA4へ。これまでの借りを返してこい!』
『デルタ1よりデルタ5へ、お前にとっては初の宇宙戦だ。大気圏内との機動の違いや推進剤の残量に注意しろ?』
「了解、行くぜミラージュ、死神野郎に目にもの見せてやろうぜ!」
「言われなくても・・・」
俺も注意しないとな、普段が他より動かないことが多いから忘れそうなんだよな。と色々気にしているとメッサー中尉から通信が入る。
『ハチマン、今回は俺に着いてこい。白騎士を落とす』
「・・・俺着いて行けるか分からないんですけど」
『問題ない、最悪意識を削いでくれればいい』
それって落とされろって事か?!囮に慣れってか?!流石にそれは嫌だ。意地でもついて行ってやる!
そして後ろではワルキューレがライブを始めそれと同時に俺達も発進し操られている新統合軍と戦闘を開始。俺は前方に居るナイトメアプラスの右腕と脚を狙って発砲、狙い通り右腕と脚が破壊され身動きが取れない状態になった。
次のターゲットを探しているとメッサー中尉から通信が入る。
『直上より、ウィンダミア機!!』
「ッ!来たか!」
『ハチマン行くぞ!』
「了解!」
メッサー中尉に続いて進んでいくとその先にウィンダミア機、それも他と違ってゴールドのラインが入っているやつが向かってきていた。
「白騎士・・・」
そして白騎士と交戦を開始、細かくブーストしてなるべく止まらずに相手から視線を外れない様に動き回るが追いつくのがやっとだった。なるべく相手の視界に入るように動く。
「ほう、2人とも風を読むか・・・」
「Δ2!後ろ上方!」
メッサー中尉の後ろから狙う機体があり俺はそのカバーに入る。こいつ、強いぞ?!この動き、飛び方が洗練されている。こっちの機体を先に倒さないと先行かれる。俺は目の前の敵機を倒すことにした。だが数機ウィンダミア機に抜かれα、β小隊にカバーしてもらうがそれも抜かれワルキューレに向けてミサイルが放たれる。アイテールの砲門がミサイルを破壊するがその隙にウィンダミア機が近づく。
『見つけたぞ裏切り者!!』
「裏切り者?・・・」
「うおおおぉ!!」
「はぁ!ハヤテ!」
直ぐにハヤテが止めに入りウィンダミア機を突き放し追撃をする。が、敵機に逃げられてしまった。すると
『メーデー!メーデー!』
「ミラージュ?!」
通信から聞こえてくるのは焦った声で助けを求めていた。しかもウィンダミア機2機に挟まれ逃げられない状況に
『ハチマン行けるか?!』
「無理です反対方向です!!」
ここからじゃどう動いても間に合わない!また、救えないのか?!だがそんなミラージュの元へハヤテが向かう。ミラージュにトドメを誘うとしていたウィンダミア機を後ろから攻撃し破壊した。その時ウィンダミア機から脱出する兵がいた、それをもう一機が助けようとしたが間に合わず若い兵士は爆発に巻き込まれた。
そして、ウィンダミア機は全軍撤退していった。
お久しぶりです!まだ生きてます!