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以上
「あ、いたいた、透さーん!」
百鬼との稽古も終わり、水浴びをして帰ってくると、何やら上機嫌な白上が声をかけてきた。
ここまで機嫌のいい白上は初めてみる。
「どうしたんだ、何か良いことでもあった?」
聞いてみると白上は、はい!と答えて、ニコニコとしながら後ろ手に持っていた物を見せてくる。
その手には薄い透明な箱状の物体がある。
何かのパッケージだろうか。
「じゃーん、さっき新しいゲームが手に入ったんですよ!
ウツシヨから流れてきたらしいんですけど、定期的に奉納してくれる人がいまして!その人が持ってきてくれたんです!」
どうやらゲームのソフトらしい。
目を輝かせながら話しているところを見るに本当にゲームが好きなのだろう。
その内、頬擦りをしかねない勢いだ。
しかし、確かこういったものは、電気が必要だったと思うが、それはどうしているのだろうか。
「今から発電機を回してくるのでちょっと待っていて下さい!」
「お、おう。」
そんなものまであるのか、そこそこ知識はついてきたと思うのだが、カクリヨについては謎が深まるばかりだ。
「あれ、百鬼、どこ行くんだ?」
白上とすれ違うように百鬼が手荷物をもって今から玄関へ向かおうとする。
「ちょっと行くところがあって、多分明日には帰ってくると思う。
そろそろ行くから、フブキちゃんによろしくね。」
「分かった、気をつけてな。」
手を振って百鬼は神社を出ていく。
しばらくすると、白上が走って帰ってくる。
「透さん、早く、こっちですよ!」
白上は勢いをそのままに俺の腕を掴むと駆け出す。
突然のことにロクな抵抗もできないまま、引っ張られるがままについて行くと、シラカミ神社の白上の部屋へと辿り着いた。
なんだかんだで、白上の部屋には来たことはなかったな、と少し新鮮な気分になる。
「どうぞ、入ってください。」
「あぁ、お邪魔します。」
テンション高めに言う白上に今一現状を理解できないが、言われた通りに部屋に入る。
「では、飲み物をとってくるので、適当に座っててくださいね!」
慌ただしく部屋を出ていく白上を見送りつつ、カーペットの上に腰を下ろす。
いきなり連れてこられたが、部屋は綺麗に整えられている。
大きめのモニターが窓際に鎮座しており、そばにはいくつものゲームのパッケージとコントローラが積み上げられている。
「透さーん、開けてくださーい。」
部屋を眺めながら待っていると、ドアのすぐ外から声が聞こえてくる。
ドアを開けてやると、そこには片手にコップを持ち、もう一方には大きめの飲み物。そして、ありったけ持てるだけ持ちましたと言わんばかりのお菓子やつまみが大量に。
「おい、これどこから持ってきたんだ?」
確か、白上が食べ過ぎないようにと大神が大量のお菓子を隠しているのを見た記憶があるのだが。
この量は確実にそこから持ち出している。
「ふふふ、ミオは私を甘く見すぎなんですよ。
この白上に、見破れぬ謎はない!」
ドヤ顔で決めポーズをとる白上。
さて、どうしたものか、今日はちょうど大神がいないんだよな。
まぁ、いないから持ってこれたんだろうけど。
今からでも止めるべきだろうか、ここで止めれば大神から叱られることは避けられるが…
「いつもはばれてしまうんですけど、今が絶好のチャンスなんです。
透さん…」
こちらを申し訳なさそうに見つめてくる白上に観念する。
どうやら最初から共犯者にするつもりだったらしい。
「…分かったよ、その代わり俺も一緒にゲームやらせてくれよ」
そんな顔をされては断れるものも断れない。
半笑いで言ってやると、白上に笑顔が戻る。
「はい、もちろん、最初からそのつもりです!
さぁ、今日はとことん遊びますよー!」
その言葉を皮切りに、俺たちは様々なゲームで遊んだ。
最初にやったのは二人でゴールを目指すアクションゲームだ。
「あ、透さん、そこ壁ジャンプですよ。」
「マジ?あ、落ちた。」
小気味よい音が鳴りながらゲームオーバーの画面に。
く、意外と難しい。
「透さん、まだまだですねー」
「うるせー、次行くぞ次」
半目で笑いながら、煽るように言ってくる白上を無視しながらコンテニューを押す。
この後3回くらい同じ画面を見たのちようやくクリア。
次にやったのが、お互いを吹き飛ばす格闘ゲーム。
割とキャラが多くてどれを選ぼうか迷ってしまう。
「透さんはどのキャラ使うんですか?」
「んー、あ、これ強そう。」
選んだのは王冠を被ったワニ。
カウントダウンと共に試合が始まる。
白上は黄色いネズミを使うらしい。
「あぁ!!電撃うぜぇ!」
「ダメージを稼いだとこで…そこぉ!」
掛け声とともに、スマッシュがまともに入りKOの文字が画面に表示される。
「くそ、やるじゃねぇか」
「いえ、透さんもなかなかのお手前で。」
次は負けてなるモノか、と気合を入れる。
コツは掴んだ次こそは。
「あ、ちょっと、埋まったんですけど。透さんお慈悲を!」
「問答無用!」
ボクシンググローブを付けた拳で放たれたスマッシュが白上のキャラをとらえる。
再び小気味よい演出と共にKO画面が流れる。
「よし勝った!」
「あぁー、負けたー。」
言いながら後ろに倒れこむ白上。
気が付けば、かなりの時間ぶっ通しでやっていた。そろそろいったん休憩にするか。
同じように倒れこみながら体の力を抜く、ゲームをしていると自然と力が入ってしまうのはなぜだろうか。
隣り合って寝そべっていると、白上が何やらもぞもぞと動き出す。
視線を向けてみると、何やらベットの下に手を伸ばしている。
「どうしたんだ、白上。何か見つけたのか?」
「はい…えっと、あ、取れた。
透さん、映画興味ありますか?」
取り出したその手にはDVDが入ったケースが握られている。
もう何でもありな気がしてきた。
そのうち自動車でも出てきそうだ。
そんな、カクリヨに呆れながらも、しかし映画には興味がある。
「映画か…いいな、見ようぜ。」
「そう来なくては!ちょっと待ってくださいねー」
そういうと白上は手際よくセットすると、程なくして映画が始まる。
どうやら見た感じアクション映画のようだ。
画面を見ながら、ふと気になっていたことを聞いてみる。
「なぁ、白上。なんでここまで良くしてくれるんだ?」
いや、ありがたいんだけど、と当初からの疑問をぶつけてみる。
もともと、身元不詳の男を家に住まわせるのは抵抗があってもおかしくないのに、白上は笑顔で迎え入れてくれた。
その理由が知りたい。
白上は画面に目を向けたまま少し考える。
「そうですね…理由といわれるとこれといったものは答えづらいんですけど…
明日後悔したくなかったからです。」
「明日?」
はい、と白上は答えると続ける。
「例えば、あの時。透さんを見捨てて放っておいたとするじゃないですか。
それで、ご飯を食べて、ゲームをして、眠って、朝を迎えたとき、私は後悔するんです。
今頃あの人はどうしてるんだろう、お腹を空かせていないだろうかって。
私はそんな思いはしたくないです。」
だから、透さんを助けたのは私のためなんです。と自嘲気味に笑いながら言う白上に、心のどこかでつっかえていたものが取れる気分だった。
あぁ、白上はそういうやつなんだな。
「優しいな、白上は。」
「何ですか―急に。ほめてもお菓子しか出ませんよ。」
照れたように笑う白上に、出るのかよと突っ込みながら差し出されたお菓子を受け取る。
少し、変な空気になってしまったな
「まぁ、どちらかというとお人よしだけどな。」
「あ、褒めてなかったんですね。返せそれー!」
からかうように言うと白上が掴みかかってくる。
伸ばされた手からお菓子を遠ざけながら、二人で笑いあう。
やっぱり、こいつとは気が合うらしい。
この距離感が何とも心地いい。
そんなふざけ合って、笑い合って、時に煽り合いながら、朝まではしゃいでいた。
ふと、瞼に光を感じて目を覚ます。
どうやら、遊び疲れて眠ってしまっていたらしい。
隣では白上が体を丸めて眠っている。
欠伸をして伸びをしながら体を起こす。
部屋を見渡せば、昨日のまま散らかったお菓子の残骸たち。
大神たちが変えてくる前に片づけておかないとなと、さらに見渡すと、笑顔のままこちらを見ている大神が目に入る。
…大神?
ぶわっと冷や汗が流れる。
あ、終わったと、心の内で悟る。
「…んー、あれ、透さん、おはようございます。」
丁度よく白上が起きてくる。いや、この場合丁度良くないな。
もう少し幸せの夢の中にいてもよかったのに。
「?黙ったまま、どうしたんです…あ」
詰んでしまった現状に気が付いたのだろう、小さく声を上げると白上も固まってしまう。
さて、どう言い訳したものか
「お、大神、これは、そう、事故なんだ」
「はい、外からお菓子が部屋に飛んできまして、それで…」
「二人共」
大神が口を開いた瞬間そろって押し黙る。
「正座」
「「…はい」」
寝起きとは思えない速度で綺麗な正座を披露する。
そこからはひたすらお説教となる。
途中、白上が悪戯気に笑いかけてきたので応じて笑いあっていると、正座の時間が増えました丸
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