評価、感想くれた人ありがとうございます。
以上
「みんな、今日は何か予定ある?」
朝食も食べ終わり、これから何をしようかと考えていた時、ちょうど大神からそんな誘いがあった。
「俺は特に無いぞ」
「白上も同じく。」
「余も大丈夫だよ。」
答えるとそれに続く形で、白上、百鬼が口を開く。
しばらく何も無かったため、カクリヨに来て間もない俺はともかく、2人もやろうとしていた事は大抵終わってしまったようだ。
「よし、それでは今日はキョウノミヤコに行きましょう。」
「…今日は…キョウノ…」
ツボにはまったらしく、プルプルと震えている百鬼は置いておいて。
キョウノミヤコでは、前回幽霊騒動で行ったきりだな。
あの時、百鬼と出会ったが今思い返しても強烈な出会いだった。印象的にも、物理的にも。
しかし、何でまたキョウノミヤコなのだろうか。
「また幽霊が出たのか?」
「いや、そんな話は出てないよ。今回は少し別件。」
違ったらしい。別件と言うことは、また何か起きたに違いないが。
今回は荒事にならなければ良いのだが。
「それで、何があったんですか?」
白上が手を挙げながら質問をする。
大神ももったいぶる気は無いのか、すぐに答えた。
「うん、ミヤコで最近、人がいなくなるんだって。
昨日まで元気だった人たちが、次の日にはどこにもいないとか。」
人が消えるのか、神隠しなんて言葉が頭をよぎる。
そういえば神隠しといえば、
「あ、透くんピンときた?」
「あぁ、俺も元の世界から見たら神隠しと同じ状況だよな」
そういうこと、と大神が指をさす。
他の二人も納得ている。
今回は本格的にカクリヨの異変の調査になりそうだ。
「なるほど、上手くいけば今回ですべて解決なんてこともあり得るんですね。」
「透君の記憶の手がかり、見つかると良いね。」
「そうだな…まぁ、期待しすぎないように気を付けるよ。」
百鬼の言葉に曖昧に返す。
どうやら、今回の結果次第では先日先送りにした問題のツケを払わされそうだ。
(一応、覚悟はしとかないとな。)
とにかく、切り替えようとほほを叩く。
気合が入ったところで話の続きが始まる。
「それで、今回は四人いるのでキョウノミヤコの東西南北で分かれて聞き込みをしようと思います。
時間は到着してから夕暮れまで、集合は前の宿で。」
瞬く間に方針が決まっていく。
大神は全体的に能力が高いが、こういうことに関しては特に秀でているように見える。
「と、いうことで。説明が終わったところで早速出発します。」
「「「おー!」」」
大神の号令に三人そろって声を上げる。
急な出発にもかかわらず、十分足らずで全員そろいキョウノミヤコへ向かう。
「あ、そうだった、なぁ百鬼。百鬼レベルの強さのアヤカシって実際どのくらいいるんだ?」
「余?うーん…、アヤカシの中ではいないと思うよ?」
道中、ずっと気になっていたことを聞いてみる。
仮に、戦闘とか暴動みたいなものが起きたとして、百鬼レベルがごろごろといるのなら正直逃げ切れる気がしないのだが。
何なら、その影響で建物の三つ四つは崩れそうなものである。
百鬼の言葉にほっとしていると、白上がこちらを向く
「あれ、透さん、もしかして気づいてなかったんですか?」
「何に?」
「あやめちゃんはアヤカシではなく、カミですよ?」
こともなげに言ってくる白上に、信じられず百鬼へ視線を向ける。
「うん、余、カミだよ」
自分を指さしながら、軽くカミングアウトする百鬼に、顎が外れてしまうのではないかと思うくらいに口が開く。
いや、確かに言われてみれば戦闘力的にはそうなんだけど、鬼だし…
てっきり鬼という、別のカテゴリにいるのかと思っていたが、どうやら違っていたらしい。
少しして、何とか落ち着きを取り戻す。
「あー、なるほど。色々納得した。」
道理で、あそこまで身体能力が高いわけだ。
ヒトやケモノがアヤカシになるわけだから、亜人がいるわけで、鬼も言ったみれば亜人の一種だし。鬼というだけで力が強いわけでもないか。
百鬼の強さは膨大なイワレに基づくものらしい。
「今の透君なら、普通のアヤカシの人たち相手なら一方的にやられることは無いから安心していいと思うよ。」
「おう、ありがとう。」
そんな百鬼にお墨付きをもらうと自信の一つでもつくというものだ。
それにしても、改めて考えると数自体が少ないカミが4人中3人を占めているのは、もはや異常というか、奇跡に近いな。
残りの一人もウツシヨからやってきた放浪者。
このパーティ、今考えるとカクリヨにおける一般人がいない。
たったの数日でよくここまで数奇な人生を歩めるものだ。
「そうだ、少し気になってたんだけど。
白上と大神は、百鬼と比べてどんなもんなんだ?」
丁度二人は前の方で話している。
正直、あの二人が攻撃的になるところを見たところがない。
かろうじて、ミゾレ食堂でそんな空気になりかけたが、あれだけで判断がつくほど経験などないし、百鬼ならひょっとすると。
「んー、微妙。二人同時にまでなら多分何とかなると思う。」
そんな期待通り答えが返ってくる。
しかし、やはりこの中では、百鬼が頭一つ抜けているようだ。
この鬼のそこが知れない。
少し戦慄を覚えた瞬間だった。
初対面の時目つぶしが効いてよかった。
でないと、全滅ルートが普通に存在している。
あの時の印象最悪だったし。
「なんの話してるんですかー。」
「うわっ!」
「きゃっ!」
いつの間にか背後に回っていた白上が、間から生えてくるように出てくる。
心臓に悪いなこいつ。
どうやって後ろに回ったんだ、そんな様子は見えなかったのに。
前を見ると相変わらず白上はそこにいる。
白上が二人?
「あはは、二人共驚きすぎだよ。
うちのワザも捨てたものじゃないでしょ。」
と大神が腕を振ると、大神の横の場所、もう一人の白上のいる場所が揺らめいて消えたかと思うと、こちらを向いてまた現れる。
「大神って忍者か何か?」
分身だろうか、動きもするし。
しかし、目を凝らしてよく見るとかすかに景色が透けて見える。
「残念、これはただの陽炎だよ。熱で光を屈折させてそう見せてるんだよ。」
さらっと言ってのけるが、とんでもないことを言っている。
まぁ、炎が扱えるなら、陽炎自体は作り出せるだろう。
だが、それを操作するとなると話は変わる。確かに原理上は可能だろうが。屈折する光を、狙って複数の色に染めるのだ。一個人では不可能の領域だろう。
「あやめちゃんは、不意打ちに弱いみたいですねー」
「うぅ、気を付けます。」
大神も十分規格外ということが分かったところで、今現在、意趣返しのように百鬼に絡んでいる白上に意識を向ける。
この流れ的に聞けはしないが、白上も何かしらとびぬけていると考えておいた方がいいな。
何かあったときにいちいち驚いていたら身が持たなそうだ。
そんな、驚愕に満ちた道中を得て、ようやくキョウノミヤコへと到着した。
「よーし、それでは早速ここから解散で!」
その大神の一言で、それぞれが決めておいた区間へと向かう。
現在地が南門のため北までの道のりは遠い。
前回見切れなかった部分も多々ある。そのあたりも観光しつつ、有益な情報を探そう。
「お、あんた、あの時の」
ふいに声をかけられて振り向くと、見覚えのある男性が立っている。
確か前回、イワレを封印されていたのがこの人だったはず。
「あぁ、どうも、あれから調子はどうです?」
「おかげさまで最高だよ!よかったらこれ持って行ってくれ。」
言われて押し付けるように渡されたのは袋に入れられた大量の
「トウモロコシ?」
「うちの畑でとれたんだ、持っていきな!」
そう言い残して、足早に去って行ってしまう。
遠ざかる背中に礼を言うと、軽くてだけ上げ返事をされる。
この量をそのまま渡してくるとは、何とも豪快な人だったな。
そう思いながらも、北側へと足を速める。
「…あれは…」
気に入ってくれた人はシーユーネクストタイム