いつの間にか評価赤く染まっとる。
評価くれた人、ありがとうございます。
以上
「それじゃあ、本格的な調査は明日からな。」
その一言を残して、明人は人ごみの中に消えていった。
この世界のことについても知識があるようだし、協力者が増えるのはありがたい。
通りを歩きながらふと考える。
それからも、しばらく調査を続けるも有益な情報は得られなかった。
夕暮れも近づき空が赤らんできた頃には、帰路へとついていた。
「あ、透君。お疲れ様ー。」
宿にいたのは大神だけだった。
笑顔で出迎えてくれる彼女に癒される。
相変わらず包容力が限界突破している。
「ただいま、大神。
何か情報はつかめたか?」
大神は静かに首を横に振る。
どうやらこちらも収穫は無しらしい。
今回の件については前回のように目撃情報が無いことから、情報自体が少ない。
これで、消えてしまった人を知っている人物に出会えれば話は変わってくるのだが。
なかなか、その人物にたどり着かない。
「ただいま戻りましたー」
「ただいまー」
しばらくして、白上と百鬼も戻ってくる。
二人共疲れたのか、よろよろと歩いてくると、すぐに横になってしまう。
何があったんだよ。
「お疲れ様、二人共。
どうだった?」
「全然です、一応帰り際に怪しげな人物がいたので追ってみたんですけど。」
「撒かれちゃった。」
ぐったりとしながら悔しそうにしている。
この二人から逃げ切るって、どんだけ撒くの上手いんだよ。
相当の技術か、速度がないと確実に捕まるだろうに。
「そっか、取り合えずそこを中心に調べてみてもいいかもね。」
「だな、その怪しい人物ってのも気になるし。」
しかし、全員で一つの場所を探すわけにもいかない。
確実に捕らえる事が出来るならともかく、そもそも無関係の可能性すらあるのだ。
大神も同じ考えらしく、難しげに唸っている。
「…それじゃあ、明日はその怪しい人をあやめに探して貰おうかな。
相手の情報が無い以上、最悪荒事になる可能性もあるし。」
「おー、任せて―」
軽く返事をする百鬼が頼もしく見える。
実際、頼もしいのだが。普段接してみると割と抜けている部分が多いというか、そういうイメージがあまり無い。
何というか、強いけどポンコツというのが1番しっくりくる。
「あ、透くん、今余の事バカにした?」
唐突に眼を細めてこちらを見てくる百鬼に、ドキリと心臓がなる。
何故バレた。鬼は読心術のワザでも継承しているのか。
しかし、馬鹿正直に答えるほど命知らずではない。
「…してません。」
「その間は何。」
目線を逸らしながら絞り出す様に口にする。
もしかすると、俺は誤魔化すという行為において絶望的に才能がないのかもしれない。
その疑惑の瞳は強まるばかりだ。
「透さん、それはちょっと…」
「流石に今のはうちも擁護できないかな」
2人に助けを求める様に視線を向けるも、無慈悲に見捨てられる。
その顔はにやにやと笑っていることから、助けるどころか楽しむつもり満々らしい。
この様に、味方がいなくなってしまうとあたかも崖側に立たされている様な気分になってしまう。
要はとてつもなく居た堪れない。
これは早めに降参しておいた方が身のためなのかもしれない。
「…ごめんなさい、普段抜けててるのに頼もしいな的なことを考えてました。」
「あー、やっぱりバカにしてたんだ!
ひっどーい。」
唇を尖らせる百鬼に何とか機嫌は取れないものかと動揺する。
それを見てついに笑いがこらえられなくなったそこの二匹にはいつか仕返しはするとして。
「いや、違うんだ。良い意味で、良い意味で思ってたんだって!」
「へ―、そうなんだ」
だめだ、全然機嫌が直る気配がない。
つーんと横を向いたままいかにも不機嫌ですと言わんばかりの声音で答える百鬼に頭を抱える。
これでは言葉でどれだけ説明したところで無意味だろう。
ならば行動で示すか。
しかし、どうすればこの件を行動で謝罪できるのか、皆目見当もつかない。
むしろ、そこの肉食獣たちの腹筋にダメージを与えるだけだ。
道連れにそうしてやってもいいが、それでは解決とは言えない。
ならば
「あ、そういえばトウモロコシ貰ったんだよ、百鬼も食べるか?」
秘儀話題そらし。
これにより、今の話題を強制的に無かったことにする。
…無理があるだろ。
切羽詰まったときほど名案が浮かぶとは言うが、これはどう考えても下策も下策だろうに何故よりにもよってこの選択をしてしまったのか。
これはもう諦めるしかないのか
「そうなの?食べる食べる!」
輝くような笑顔で駆け寄ってくる百鬼に戦慄する。
例えるならば0.001%のあたりを単発で引いたかのような感覚。
あまりの急激な変化についていけなかった。
しかし、これはある意味チャンス。この機会は不意にできない。
「よし、じゃあキッチン借りて茹でてくるから少し待っててくれ。」
「いってらっしゃーい」
ぶんぶんと腕を振る百鬼に見送られながら部屋から離脱する。
これで誤魔化せているのだろうか、上手くいきすぎて逆に不安になる。
襖を閉める際にちらりと、白黒の二人がピクピクと痙攣しているのが見える。
笑いすぎて苦しんでいるらしい、思わぬ形で復讐が叶ってしまった。
それにしても、百鬼は今まで騙されたことが確実にある、ないことはあり得ないと思うレベルでチョロかった。
よくあそこまで純粋になったものだ。
こういうところがあるから、抜けているのだと思ってしまう。
頼りになるし尊敬しているのも確かなため複雑な気分だ。
宿の入り口の受付で、キッチンを使う許可をもらうと、すぐに向かい人数分のトウモロコシを茹でる。
そこでふと明人のことを話していなかったことを思い出す。
報告するの忘れていたな。
俺と同じウツシヨからの来訪者なのだからキーパーソンの一人だ。
カクリヨの異変の解決の為には欠かせないし、何なら一番鍵を握っているかもしれない。
これは、どうだろうか、許されるだろうか。
まぁ、多分大丈夫か。とにかく後で報告しておこう。
考えが纏まったところで、茹で上がったトウモロコシを取り出し皿に移して部屋まで運ぶ。
「お待たせ―。」
「待ってましたー!」
「トウモロコシー!」
「わーい!」
言いながら襖を開けると、テンションの上がった三人が即座に声を上げる。
その高揚ぶりに驚きながらテーブルへ皿を置く。
好きなのだろうか、トウモロコシ。
テーブルを囲うように座り、手を合わせる。
「「「「いただきます。」」」」
言うが早いか、四人で1本ずつ取りかじりつく。
噛んでみると、想像以上の甘みが口に広がる。
フルーツと見間違わんばかりのその糖度に思わず目を見開く。
確かに、これはテンションの一つでも上がるというものだ。
ほかの三人も顔をほころばせながら美味しそうに食べている。
もしかすると、カクリヨにおいてスイーツの立ち位置にいるのかもしれない。
ケーキなどはこちらに来て食べたことはないが、これ以上に甘いのか気になってしまう。
少なくとも同程度であることだけは確かだ。
先ほど話すと決めていたのに、あまりの衝撃にまた忘れそうになってしまう。
「さっき伝え忘れていたことがあった。食べながら聞いてくれ。」
言うと、三人はこちらに視線を向け、頷く。
それを確認すると、話を続ける。
どう伝えるか、とりあえず簡潔に。
「今日の昼くらいなんだけど、同じウツシヨ出身の協力者ができました。」
その言葉に、空気が凍る。
うん、そんな気はしてた。
そうだよね、割と重要な話題だよね。
「…透さん、ちょっとそこに座ってください」
「え、あの、座ってます」
トウモロコシを置き、笑顔で言い放つ白上。
ただひしひしと無言の圧力を感じ、軽口をたたくも素直に姿勢を正した。
他の二人からも同じような雰囲気を感じることから。
さて、どう言い訳したものか。
今日はこんなことばっかりだ。
その後、約一時間ほどこってりと絞られて、調査の初日は終了した。
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