【完結】色づく想ひ    作:ワンダーS

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 どうも作者です。
 誤字報告、感想くれた人ありがとうございます。
 以上


調査 (上)

 

 調査を開始してから早一時間が経過していた。

 

 昨日と同じくなかなか有益な情報は得られないままだ。

 しかし、まだまだ北町は広い、とにかく根気強く探すしかなさそうだ。

 

 「なぁ透、ちょっといいか?」

 

 「ん、どうした?」

 

 次の露店の店主に声をかけようとしていたところで、明人が止める。

 

 何だろうか

 

 振り返り、続きを促してみる。

 

 「少し離れたところで、妙な雰囲気を感じた。

  さっきの娘たちの中に探知系のワザを使う娘はいるか?」

 

 探知系?

 確か全員攻撃的なワザを主に使っていたと思うし、身体強化はできるだろうがそういう話は聞いたことないな。

 

 静かに横に首を振ると、明人は口角を上げる。

 

 「よし、それじゃあ早速向かうぞ。」

 

 言うと明人は力をためて跳躍する。

 屋根の上に着地すると腕を大きく振りこちらへ来いとアピールした。

 

 確かに人ごみの中移動するよりはよいのだが、屋根伝いに移動することを体験することになるとは思ってもみなかった。

 

 それが普通にできてしまう現状に呆れつつ、同じように身体強化をして跳躍する。

 

 「それで、どのあたりなんだ?」

 

 明人の隣に着地し、走りながら問いかける。

 もしかすると、白上と百鬼が見たという不審な人物かもしれない。

 

 「おう、大体ここから南に走って3分くらいだな。」

 

 割と近いような遠いような、キョウノミヤコの全体から見れば近いほうか。

 

 「それにしても、雰囲気を感じたって明人のワザなのか?」

 

 流石にカクリヨと言えどイワレの探知などは基本出来ない。

 というか基本的にイワレがそこら中にあるから出来てもあまり意味がないと言われているらしい。

 

 だが、ワザの関連であればその辺りの調整が効いてもおかしくない。

 

 「そうだ、といっても精度は低いけどな。

 

  出来るのは周辺の流れを読むくらいだ。」

 

 なるほど、だから大体の距離は分かっても何が起こったのかは分からないのか。

 

 しばらく走っていると、目的地に到着したらしく、人のいない場所に向かい明人が降りる。

 それについていく形で同じように降りるとすぐ近くから人の気配を感じる。

 

 件の人物かと、素早く目線を上げ周りを見渡すと。

 

 「あれ、透君?」

 

 「え、大神?」

 

 そこには朝に分かれたはずの大神が立っていた。

 

 なんで大神がここに?

 もしや、このあたりの調査を行っていたのか。

 

 「あー、透。この娘はお前と一緒にいた娘で間違いないよな?」

 

 「あぁ、間違いなく大神だ。本当にここなのか?」

 

 何かの手違いかと明人に確認をとる。

 本人も少し驚いたように目を瞬かせている。

 

 「そのはずなんだが…、どういうことだ。」

 

 手で口を塞ぎ考え込んでしまう。

 

 何に対して考えているのかは分からないが、時間がかかりそうだ。

 その間に一応大神にも確認はしておくか。

 

 唐突のことに呆然としている大神に声をかける。

 

 「なぁ、大神。突然で悪いんだが、ここで何かワザを使ってなかったか?」

 

 「えっと…、ごめん、その前に色々と説明してほしいかな…」

 

 俺の隣、明人の方へ視線を向けながら返してくる。

 そう反応するのが当然か。

 

 ひとまずはと、ここまでの経緯を簡単に説明する。

 

 「…つまり、このあたりでイワレの動きがあったから急いでここに来た、ってことで合ってる?」

 

 「そんな感じ。それで大神がここにいて明人が固まった。」

 

 そして今に至ると。

 

 これは俺も予想外だ。

 まさか知り合いがいるとは思ってもみなかった。

 

 何故ここで明人のワザに反応があったのだろうか。

 

 「ちなみに、大神はここでワザを使ってたか?」

 

 「うちは使ってないよ、使う必要もなかったし。」

 

 確かに、炎を出したところで何をするでもない。

 そもそも探知系ではない以上、どうやら大神ではないらしい。

 

 ならば、ここにいた他の誰かということになるのか。

 それなら、もう一回反応があるまで待つしかないか。

 

 「待て、透。」

 

 そう考え、これからの方針を話し合おうとしたところで明人から待ったがかかる。

 

 「なんだよ明人。どうした?」

 

 「そこの黒髪で間違いねぇ。…あんた、嘘つくの上手いんだな。」

 

 聞くと明人は大神をまっすぐと見ながらはっきりと断言する。

 視線を向けると当人は気まずそうに目を逸らしている。

 

 明人の言葉に間違いはないようだ。

 

 気まずい沈黙が流れる中、ついに耐えかねたのか大神が話始める。

 

 「…うーん、やっぱり無理だよね。ここから逃げ切るの。

 

  透君はうちのワザは熱を操るとかだと思ってるかもだけど、実はそうじゃないの。

  それも間違いじゃないんだけど、実は占術がメインなんだよ。

 

  それで手がかり見つからないかなって試してたの。」

 

 占術というと、前にやっていた占いもその一つだろうか。

 流石に趣味も含まれているだろうが、それがワザとなるのは相当だ。

 

 「占術?」

 

 引っかかる部分があったのか明人がぽつりと呟く。

 

 それ以上追求しないところを見るにただ占術事態に何か思うところがあるようだ。

 

 「そっか、悪かった大神。変に詮索して。」

 

 「いいよいいよ。うちの方こそ調査の邪魔してごめんね。」

 

 お互いに謝罪をして今回のことは水に流す。

 

 ワザのことをあれこれ聞くのは普通に失礼だった。

 今回ばかりは事情が事情なだけに仕方なかったが、これからは気を付けたい。

 

 しかし、これでまた振出しに戻ってしまったな。

 

 「どうする明人、もう一回戻って聞き込みでもするか。」

 

 聞いてみるも、明人から返事はない。

 

 ただまた何か考え込んでいる。

 大雑把に見えるが割と考えるタイプだな。

 

 「…ん、ああ悪い、透。ちょっと用事を思い出してな。

  急だが、これから別行動する。」

 

 明人はこちらを向き、口を開く。

 

 本当に急だ。

 しかし、引き留めるわけにもいかない。

 

 「…分かった、どこで落ち合う?」

 

 連絡手段がない以上、今のうちに決めておきたい。

 

 「時間がかかりそうでな、明日、今日と同じで。」

 

 それだけ伝えると、こちらに来た時と同様に跳躍しどこかへと走って行ってしまった。

 

 残された俺と大神でそれを見送る。

 

 昨日会ったばかりだがいまいちキャラがつかめない。ただ、あいつ自身何か隠していることもありそうだ。

 

 「ねぇ、透君。彼が同郷の?」

 

 「そう、イワレも溜まってるみたいだ。」

 

 カクリヨにおいて、イレギュラーでもない限りイワレは急速には溜まらない。

 そんな中、ワザを使えるまでに溜まっているということはかなり前からカクリヨにいるのかもしれない。

 

 だが、そんな明人もどこかへ行ってしまったことだし、また一人で聞き込みをするしかないか。

 

 「それじゃあ、俺もそろそろ行くよ、邪魔した。」

 

 「あー、待って待って。」

 

 それだけ言い残して、北に向かおうとすると大神が声をかけてくる。

 

 慌てて入れていた力を抜きその場に留まった。

 まだまだ、身体強化の使い方に慣れていない。 

 

 「さっき、占術で試した結果話してないでしょ。

  結果はね北に手がかりがあるみたいなの。だから、うちも北に向かうよ」

 

 「え、北に?…そっか…」

 

 つまり、俺はあるにも関わらず見つけ出せていなかったのか。

 自分の調査能力の無さに絶望する。

 

 大神も俺の顔が暗くなっていることに気が付いたのか慌ててフォローを入れる。

 

 「違うよ!北といってもかなり広いんだから、見つけられないのも無理ないよ。」

 

 優し気な笑みで必死に励ましてくれる彼女に、荒んだ心が少し癒される。

 さっきのこともそうだが、やはり優しい。聖女か何かだろうか。

 

 「とにかく、現地で何度か占術で探してみたいから、今日はよろしくね、透君。」

 

 「よろしく、大神」

 

 大神は空気を切り替えるように手を叩く。

 話がまとまったところで、二人で北へと向かう。

 

 元々明人との調査の予定が大神との調査になるとは思いもしなかったが、着々と解決に進んでいそうだ。

 

 

 

 

 





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