どうも作者です。
保険としてタグ:残酷な描写を追加しました。
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評価と感想くれた人ありがとうございます。
以上
俺達がキョウノミヤコに来てから、ちょうど二日が経過した。
大神との調査の結果、ある程度までは調査する範囲を縮小させることに成功した。キョウノミヤコの全域を一気に調べていた初日と比べるとこれはかなり大きな進歩だ。
かといって、その狭めた範囲が本当に正確であるかといわれると、あまり確信は持てないらしい。
昼間にも話したように、大神の占術は今精度が落ちている。
その為、断言ができるほどではないらしい。
ここは大神を信じて全員でしらみつぶしでもいいから、赴きたいところではあるのだが、的外れである可能性も考えると、人が消えるという噂がある以上、あまり時間を無駄にするのは得策ではない。
かといって、すぐにこのまま向かうのもいささか早計であることもわかっている。
夕暮れも近いということで、一度宿に戻り方針を話し合うことになった。
俺と大神は調査を切り上げて宿へと足を向ける。
「ようやく、前進できそうだな。」
手がかりが近くにあることに、達成感を感じるよりもようやく見つかったという安堵が先に来る。
丸二日かけて、ようやく全貌に近づけるかどうかのペースに少し億劫になる。
「本当にようやくだよね。
今回は情報が少なすぎるのが問題だけど…、噂しか聞かないんだもん。」
大神によると、過去にも調査が長引いた例はあるらしいが、今回はその中でも長引きそうだとのことだ。
過去というと、俺と百鬼はおらず。白上と大神の二人の時か。
今回の半分の人数ということもあるが、大神の占術がフルで機能しているため、調査自体は早めに終わっていたそうだ。
そう考えると、占術の有無は調査において重要であることを思い知らされる。
「まぁ、噂が出始めてまだ日が浅いのもあるだろうけど。それにしてもだよな。」
噂は一週間ほど前から流れ始めているらしい。
前回の幽霊騒ぎでは、実物が目視出来たからこそ、最短で解決できた。
だが、今回は実例が消えているのだから情報の出ようがない。
それが今回の件を難解にしている原因だ。
無いものは探せない。
いつの間にか、遠く離れた場所にいたらしい。
しばらく歩いて宿へと到着する。
すでに、白上と百鬼は戻っていた。
二人はこちらに気が付くと手を振る。
「おかえりなさい、ミオに透さん。どうでした?」
「ただいま、手がかりまであと一歩かな。
それで2人に話があるんだけど、良いかな。」
聞いてくる白上に返すと、挨拶もそこそこに大神はすぐに話を切り出す。
二人共了承するのを確認すると、話始める。
「実は、占術である程度範囲が絞れたんだけど、そこをみんなで調査するかどうかの意見を聞きたくて。
フブキとあやめはどう思う?」
単刀直入なその質問に少し二人は考えると、すぐに答える。
「白上は全員でそこに向かうのがいいかなと思います。」
「余も賛成。」
二人そろって、全員で行くことに肯定的らしい。
今のまま続けて何も得られないより、全員で一気に探したほうが良いと考えるのは普通か。
確かに、全員でいけばそれだけそのエリアの探索時間は少なくて済むというのもある。
ある程度のリスクは飲んでしかるべきか…。
聞くと、二人共特に何も情報は得られなかったらしい。
これはいよいよ、明日の調査にかかっていそうだ。
俺はそう納得するも、大神は未だ決めかねている。
やはり、自分のワザに依存した結果であるために、現状の制度では不安が残るみたいだ。
「大神、一回全員で行ってみよう。もし、何もなくてもすぐに他に向かえば問題ないさ。」
少し、後押しをしてみると、二人も同調するように頷いてくれる。
大神も決心が決まったのか、顔を上げる。
「…よし、分かった。それじゃあ、明日はみんなで北に向かおう!」
「「「おー!」」」
大神がまとめると、全員で掛け声を上げる。
それからは、皆疲れがたまっていたのか、夕食を食べるとすぐに解散となった。
俺自身も早く横になって休みたかったため、部屋に戻るとベットに横になる。
すると途端に強い眠気が襲ってくる。
もう少し体力はつけた方がよいのかもしれないな。
一人ごちながら、意識は暗闇へと落ちていく。
ふと気が付くと、俺は町の通りに立っている。
あたりには深紅のカーペットが敷かれており、その胸の中には、耐えきれないほどの後悔の念が渦巻いている。
あぁ、どうしてこうなった
あの時こうしていれば。
しかし、もう手遅れだ。もう、取り戻せない。
チャンスを棒に振ったのは俺自身だ。
どうしようもない無力感に打ちひしがれる。
ただ幸せを享受することさえ許されなかった。
あたりに四つの骸が転がっている。
その事実が俺を苛み、絶望に声を上げた。
「…っ!!!!」
「わっ!」
抑えきれぬ感情に、思わず飛び起きた。
体中から冷や汗が噴き出ている実感がある。
鼓動は全力疾走の後のように脈打っている。
心は冷え込み、絶望の余韻が後を引く。
乱れた呼吸を整えながら頭を整理する。
あれは夢だ、起きた今ならわかる。
現実味のある夢などいくらでも見るだろう。
そう、自分に言い聞かせながら、何とか落ち着きを取り戻す。
そういえば、起きたとき誰かの声が聞こえたような気がする。
横に目を向けると、そこには百鬼が心配そうにこちらを見つめていた。
何故百鬼が部屋にいるんだ、と思うも窓から太陽がすでに登り切っているのが見える。どうやら、少し寝過ごしてしまったらしい。
「…あー、悪い百鬼。遅くなった。」
「透くん、大丈夫?」
謝るもそれを無視して百鬼は聞いてくる。
まぁ、起きて取り乱しているのを見れば当然か。
「嫌な夢、見た?」
「大丈夫、驚かせてごめんな。」
笑いながら言うも、百鬼の顔は晴れない。
どうしたものかと考えていると、百鬼の腕が伸びてくる。
そのまま頭を掴まれると、さしたる抵抗もできないままに、グイッと引き寄せられた。
そして、百鬼の胸に抱かれる形となる。
唐突のことに理解が追い付かない。何なら、先ほどより困惑している。
なんでまたこんなことを。
固まっていると、頭に手を置かれる感触がある、どうやら頭を撫でられているようだ。
流石にここまでくると、一周回って冷静になる。
「あの、百鬼さん?これは一体…」
「余も、小さいころよくこうしてもらってたから、落ち着くかなって。」
落ち着くも何も、もう平気だと伝えたのだが。
ゆっくりと解こうとするも、抜け出せない。
「もう大丈夫だ、それより早く行かないと。」
「そんな顔で、フブキちゃんとミオちゃんの前に出る気?もっと心配されるよ。」
そこまでひどい顔をしているのだろうか。
血の気が引いた感覚はあったが、そこまで心は弱くないはずだ。
子供でもあるまいし、悪夢の一つや二つでそんなこと。
「透くん、記憶なくしてるんでしょ。そんな状態で、知らない土地、知らない世界に放り出されたんだもん。
心が弱ってもおかしくないよ。」
よく頑張ってきたねとやさしく言う百鬼に、心が休まるのが分かる。
自覚がなかっただけで、ずっと張りつめていたのか。
先ほどの夢がきっかけで、一気にそれが切れてしまったらしい。
時間は無駄にできないはずなのに、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。
しかし、このままでは話してくれそうもない。
だから、これは仕方がない。
そう自分に言い訳する。
「そっか…なら、少し借りる。」
「うん。」
優し気に言う百鬼。
本当に、いつものどこか抜けている姿からは想像もできない。
冷えていた心が温まっていく感覚。
どれほど時間がたっただろう。
部屋の扉がノックされる音が聞こえてくる。
「あやめ、透君まだ起きないの?」
その声に、意識が完全に覚醒する。
俺は何をしているんだ。
「百鬼、ありがとう。だいぶ楽になったよ。
大神も来たし、そろそろ行かないと。」
「えー、もう少し。」
もう少し、じゃないんだよ。
流石にこの態勢を大神にみられるのは避けたい。
鬼纏いまで使い、何とか抜け出すのに成功する。
「入るよー…二人とも何してるの?」
それと同時に大神が部屋に入ってくる。
まさに間一髪。残念そうな百鬼に苦笑いが出る。
何故楽しくなっているんだ。
「悪い、ちょっと寝ぼけてた。」
「そう?うちとフブキは食堂にいるから、早く降りてきてねー。」
それだけ言うと、大神は部屋を後にする。
百鬼も立ち上がるとそれに付いて行こうとする。
「…百鬼」
呼び止めると、百鬼は振り向く。
「その、ありがとうな。」
大神に聞こえないように注意して言う。
百鬼はそれを聞くと嬉しそうに笑い、小さくピースサインを返してきた。
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