【完結】色づく想ひ    作:ワンダーS

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 どうも作者です。

 以上


番人(下)

 

 大神の拳と俺の刀がぶつかり、大きな音を立てて両者の動きが止まる。

 

 幸いなことに、仲間相手に寸前でブレーキがかかったらしく、何とか受け止め切ることが出来た。

 それでも、熱までは消し去ることもできない。放たれた炎が前髪の先を焦がす。

 

 「透君…、邪魔、しないで。」

 

 顔を伏せたまま、大神は呻くようにそう呟いた。

 だが、それは受け入れてはならない、何かを見落としている気がする。気が付かなくてはいけない、何かを…。

 

 「透さん、ミオ!」

 

 それを考えたくとも状況がそれを許しはしなかった。

 

 白上の声が響く。

 

 目の前でじっとしている獲物をただ眺めているわけもない。

 番人はその巨木のような両腕を振り上げると、こちらに目掛けて振り下ろした。

 

 俺と大神はその場から飛び退り、それを回避する。

あまり素早いわけではない。これなら余裕をもって対処できる。

 

 「…は?」

 

 その直後、口から洩れたその声をかき消すように轟音が響き渡り、砂煙が舞う。

 なるほど、明人の言う通りとてつもない膂力を持っているようだ。

 

 だが、それよりも。番人の首元から、俺は視線を離せないでいた。

 あぁ、そういうことか。そういうことだったのか。 

 

 今見えたものを、受け入れたくない。聞いた言葉に意味があると考えたくない。

 そんな結末断じて許せるものか。

 

 しかしそれと同時に、何故大神の様子が変であったのかも理解できた。

 

 何が頼ってくれだ。頼れるわけがないだろう。

 既に起こってしまったことをどうやって変えるのだ。無かったことにするのか。

 

 首元に埋まるようにしてくっついている、その見覚えのある開かれたロケット。

 それに入れられた、一人の母親と一人の子供の親子が笑って映っている、その写真。

 

 その際確かに聞こえた。意味不明なうめき声だと思っていた。

 

 「ガァ、ザン。」

 

 母さん。そう言っていたのだ、ずっとただそれを舌の回らない口で。

 

 落としそうになる刀を痛いほど握る。

 

 「二人とも大丈夫ですか!」

 

 「南無八幡大菩薩…」

 

 白上が声をかけてくるが、それに耳を傾けることもなく、大神はなおも詠唱を唱えると、番人との距離を詰めようとする。

 

 「待ってくれ、大神!」 

 

 肩を掴み、大神を止める。

 

 「離してよ透君、お願いだから…」

 

 「断る、ここで大神を行かせるわけにはいかない。」

 

 大神は俺の手を振りほどこうと身をよじり、前髪が揺れて、大神の瞳があらわになる。

 

 その瞳は涙に濡れていた。

 今にも決壊しそうになりながらも、何とか踏みとどまっている、そんな表情。

 

 それでもなお前に進もうとするお大神を何とか抑えていると、やがて、あきらめたように大神も力を抜く。

 

 「ミオ、透さん、二人共いきなりどうしたんですか。何でこんな…」

 

 「…あの番人がトウヤさんだから。」

 

 白上の問いに答えたのは百鬼だった。先ほどまで呆然としていたが切り替えられたらしい。

 しかし、その表情は今まで見たこともないほど暗いモノであった。

 

 「…そんな。」

 

 「なるほど、ケガレに飲まれたか。」

 

 白上と明人も状況を把握し、その表情を曇らせる。

 

 悪意に染まったイワレである、ケガレ。

 それが蓄積することにより、本来イワレが溜まればアヤカシとなるはずが、意思のない化け物へと変貌してしまう。しかも、その変化は、アヤカシに変化するものと同じであり。

 

 ケガレによって化け物となった後は、一つの心残り、怨念を晴らそうと彷徨い続ける。

 先ほどあの番人、もといトウヤさんが口にした言葉。それが、トウヤさんの心残り。

 

 「こんなこと、話してもどうにもならないよ。もう、元には戻せない。

  だから、うちが終わらせないと。救えなかったなら、せめて…」

 

 そう祈るように言う大神の涙に濡れたその瞳は、覚悟に染まっていた。

 

 大神の言うように元に戻す方法は確立されていない。

 ケガレに飲まれた人間にできることは、もう苦しまなくてもいいように処理するだけ。

 

 大神は知っていた、あの番人がトウヤさんだと。恐らく、今朝の時点から。

 だから周りが気づかないうちに終わらせようとした。自分一人だけ、苦しみを背負って。俺たちに背負わせないようにした。

 

 それに比べて、俺は。

 何が頼ってくれだ。すでに起こった出来事をどうやって変える。無かったことにするんだ。思い上がりも甚だしい。

 

 どうして、こんなに心優しい彼女がここまで苦しまないといけない。幸せな親子が引き裂かれないといけない。

 

 そんな世界の不条理を認めたくなくて。変えたいと強く願って。

 自分の無力さに歯を食いしばる。

 

 どうすることもできない自分への怒りからか、はたまた残酷な世界への怒りからか体中を焼き尽くさんばかりに熱が灯る。

 その熱はどこからか、頭、心臓、背中。

 

 否、例の宝石だ。

 

 右腕の宝石が熱を発していた。この体の中を炎が駆け巡るような感覚、百鬼との初戦闘の時感じたものと同じだ。

 

 それと同時に、自分の中の可能性。閉ざされていたその扉が開かれた。

 

 なんとなく、この宝石について分かった気がする。得体のしれないことに変わりはないが、俺に力を貸してくれるような、そんな意思を感じる。 

 

 何故、この宝石は力をくれるのか。一体全体これは何なのか。

 分からない。分からないが、これでトウヤさんを救えるのなら。こんな結末を変えることができるのなら、何だって使ってやる。

 

 とにかく、それはいいが何かを掴めそうで掴めない。まるで煙を掴もうとしているようだ。

 しかし、形は見えている。今何が必要なのかも。

 

 「一つだけ、試したいことがある。」

 

 「透君?」

 

 突然の言葉に、大神が呆然とこちらを見つめるが、一応は聞いてくれそうだ。他の三人も同様に、少し表情を明るくして、耳を傾けてくれる。

 しかし、そろそろトウヤさんの周りの砂煙が張れる。そうしたら、こちらへと向かってくるだろう。

 

 「トウヤさんを助け出せるかもしれない。力を貸してくれないか。」

 

 「…本当に…助けられるの?」

 

 信じられないといった風に聞いてくる大神に、大きく頷いて見せる。

  

 「上手くいけば。ただ、まだ扱えそうにない。だから時間を稼いでほしい。」

 

 今はまだ何の能力もない。それをこれから探しに行くのだ。

 正確には解決する道具があるかもしれない、それを見つけられる場所に今から向かう。

 

 「どのくらいだ?」

 

 「5分以内に何とかして見せる。」

 

 恐らく、それだけあれば間に合う。

 とはいえ、相手を傷つけない様にするというのは、ただ打ち倒すということに比べて、難易度が跳ね上がる。

 

 しかもトウヤさんの今の膂力は石造りの地面を易々と破壊できるほどであり、それを加味すると、反対されるのも無理はない。

 

 「分かった、余達に任せて。」

 

 だがそんな予想に反して、即答で答える百鬼。

 同じように大神と白上、明人も、協力してくれるようだ。

 

 ここまで簡単に信頼してもらうと逆に不安になってくる。

 だが、同時にありがたいことでもある。

 

 やがて、完全に土煙も晴れて、トウヤさんの眼が俺たちをとらえる。

 その眼からは理性など一かけらも感じない。

 

 最初に動いたのは百鬼だった。

 百鬼は駆け出すと刀を二本、抜き放つ。

 

 「シキガミ降霊『閻魔』!」

 

 そう言い放つ百鬼の背から、高く炎が立ち上がり、そこから鎧武者が形作られる。

 百鬼は、振り下ろされるトウヤさんの腕を足場代わりに軽々と舞い上がり、壁へ天井へと縦横無尽に駆け回り攪乱する。

 

 「エンチャント!」

 

 百鬼に続く形で、白上も援護へ回る。

 刀の形を変化させ、足に巻き付け、腕に巻き付け、動きを制限している。

 

 「オンビシビシ…詠唱省略、陽炎!」

 

 大神が熱を操り、いくつもの分身を作り出すことで、位置を把握させない。

 

 「…これ、俺必要なくねぇか?」

 

 出遅れた明人は完璧に仕上がってしまった時間稼ぎの陣を、遠い目をして呆然と眺めている。

 まぁ、気持ちは分からなくもない。

 

 とにかく、あちらは任せても大丈夫そうだ。

 こちらはこちらで集中させてもらおう。

 

 一つ深呼吸を入れて、未だに熱の灯る右腕へと意識を集中させる。

 やがて、深く深くへと意識が吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どんどんと水の中を沈む感覚。だが、息は苦しくない。ただ沈んでいるだけ。

 下の方にはいくつか光る物体がある。

 

 一つ一つが、それぞれ有益な力を秘めている。

 

 シキガミを生み出す力。

 熱を操る力。

 未来を占う力。

 

 (見覚えのある力が多いな。)

 

 それ以外にも読み取れないが、様々な力がある。これらの中に正解があるのか、もしくはすべてが正解なのか。掴み取るべきはこの中にあるのかも分からない。

 

 どれをつかみ取れば良い…。

 時間はかけられない。どうにかトウヤさんを救い出せる力を見つけなければ。

 

 悩んでいると、突然後ろから力を加えられて、さらに深くへと沈んでいく。

 何事かと、振り向こうにも力が加わりそれすら叶わない。

 

 背中に感じるのは誰かの手のひら。

 

 (押されている?)

 

 そのまま、下へ下へと進み続けると、一つだけ淡い輝きが見えてくる。

直観的に理解した。あれが、目的のものだ。

 

 そう思った俺は、その光へと手を伸ばす。

 

 光を掴む、その直前。

 今まで感じていた背中の手のひらが消えた。

 

 気づけば、体にかかっていた力も同じように消えている。

 

 (一体誰が…)

 

 自由に動くようになった首を後ろに回す。

 

 そこには人がいた。三人の。だが、逆光によってその顔も、姿も見えない。

 そして三つの人影がこちらに向けて手を振りながら消えていく。

 

 

 

 

 「頑張れ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「透!おい、聞こえるか!」

 

 次の瞬間、目に飛び込んできたのは視界いっぱいの顔。

 次いで、大きな声で呼びかける明人の声が聞こえてきた。

 

 …視界いっぱい?

 

 「いや近すぎるだろ!なんだよ明人!」

 

 後ろに仰け反り、距離をとる。

 いきなり顔面どアップで目の前に来られるのは心臓に悪すぎる。

 

 「なんだよはこっちのセリフだっての。いきなり目の焦点合わなくなったから何事かと思ったぞ。」

 

 どうやら、宝石に意識を向けてからいくらか時間が経過していたらしい。

 てっきり、俺の意識の中で一瞬の出来事かとも考えたが、そんなに都合の良いことはないか。

 

 「悪かったよ…それで、どのくらい意識飛ばしてた?」

 

 さっき散々かっこつけておいて、やっぱり駄目でした。なんてことになれば、軽く一週間は引きこもれる。…無理か、白上あたりが普通に突撃してきそうだ。

 

 「よかったな、きっかり五分だ。…行けんのか?」

 

 「当然。」

 

 手にしたばかりの新しい力。ワザの存在を確かに感じる。

 扱い方も直観的に理解できた。

 

 「三人共、下がってくれ!」 

 

 トウヤさんに向かい走り出しながら、攪乱している三人に声をかける。

 即座にその声に反応して、三人はトウヤさんから距離をとる。

 

 それを確認しつつ、さらに速度を上げ、トウヤさんの目前へと駆ける。

 

 「ガッ、ア!!」

 

 トウヤさんは俺に気が付くと、腕を大きく振りかぶり、左右へとでたらめに振り回し始めた。

 電柱のようなその腕は、当たれば確実に意識を持っていかれるだろう。

 

 だが、速度は速く無い。

 

 横薙ぎの一撃を下を掻い潜って回避し、トウヤさんの懐へと飛び込む。

 体が大きい分、一度近づいてしまえばこちらのものだ。

 

 狙うは胸の中心。心臓の上。

 ワザの存在を意識して、右の掌をその位置へと当て、発動する。

 

「『結』」

 

 その簡潔な一言を紡ぐと、掌が当たっている部分から薄く、全身を包み込む様に結界が張られていく。

 

 「ガ…ア!」

 

 自分の体が得体の知れないものに覆われていく中、トウヤさんはなおもこちらへと腕を叩きつけようとする。

 しかし、すでに腕の根元まで到達したそれが動きを阻害し、腕を振りかぶった状態で肩が固定される。

 

 ここまでくれば、もう逃げようは無い。

 やがて、結界はトウヤさんの全身を覆った。

 

 これでようやく下準備が完了。

 

 「『封』」

 

 続けて紡ぐと、トウヤさんを覆っていた結界がその内側へと収縮し始める。

 だが、トウヤさんが押し潰される訳では無い。

 

 結界は皮膚を透過し、肉を透過して、骨を透過する。

 そこに物理的な干渉は一切存在しない。

 

 干渉するのはそれ以外。

 トウヤさんを化け物へと変化させる原因となったケガレのみが、結界の内部へと取り残される。

 

 どんどん縮小していき、胸の中心部まで到達すると、当てていた掌を離すと、付随する様に、トウヤさんの体からキューブ状の結界が出てくる。

 中には悍ましい黒に染まったモヤが所狭しと漂っている。

 

 (これで、元に戻れるはず。)

 

 原因は取り除いた。しかし、どのような形で戻るのかまでは分からない。

 宝石からの知識は、ここまでの手順だけ。

 

 ケガレを取り出した部分を中心に、トウヤさんの体がひび割れていく。

 胸から広がっていく様に、ひび割れが全身を覆うと。全身が黒く染まり、やがて灰のように崩れ去っていく。

 

 首にぶら下がっていたロケットが地面に落ち、音を立てる。

 それに続いて、ドサリという音と共に人が倒れ込んできた。

 

 無事に成功した、手応えもあった。宝石からも、何の不備もなかったことが伝わる。

 

 ふと、ここで一つ疑問が生まれた。先程はトウヤさんが灰の中から出てきたのかとも思った。しかし、それにしてはあまりにも音が軽い。

 

 不審に思いながら、トウヤさんと思わしき人物へと視線を向ける。

 

 「…子供?」

  

 そう思わず溢れてしまう。

 

 視線の先には、10歳ほどの子供が横たわっている。

 

 まさか、ワザのどこかに不具合があったのか。いや、そんなはずは無い。

 俺はイワレのみを対象にワザを使用した。それ以外に干渉することは絶対にあり得ない、そう断言できる。

 

 そして、この子供には見覚えがあった。いや、今も見比べることができる。

 

 ロケットの中にある写真。10年前の物だと考えていた。あまりにもヨウコさんの容姿が違っていたから、やつれて老けこんで見えたから。

 俺を息子だと勘違いしていたから。

 

 …違った。

 

 その写真に写るトウヤさんと今目の前にいる子供は同じ容姿をしている。この子供がトウヤさんだ。

 

 自分の考え違いに、体が固まってしまうが、今は何よりトウヤさんの安否を確認しておく必要がある。

 

 「透君、この人が、…いや、この子がトウヤさんなの?」

 

 すぐ後ろから大神の声が聞こえる。いつの間にか全員こちらに来ていたらしい。

 

 「間違いない、写真の子と同じ顔だ。…ただ気絶してるだけみたいだ。一応大神も見てやってくれないか。」

 

 「うん、任せて。」

 

 呼吸も安定して落ち着いている。外傷の類も見当たらない。

 しかし、専門的な知識は何もないため大神に任せておく。

 

 大神は先程とは打って変わり、いつもの穏やかな声で応える。

 

 「やったな、透!大成功じゃねぇか!」

 

 嬉しそうに明人が背中をバシンと叩きながら言ってくる。

 確かに、何はともあれ上手く行った。誰も傷ついていない。これを成功と呼ばずに何と呼ぶ。

 そう思うと、段々と安堵が込み上げてくる。

 

 お返しとばかりに明人の背中を叩こうと腕を上げる。

 

 (…腕が上がらない。)

 

 まるで重しをつけているような腕に重みを感じる。

 確認するも、当然何もついているはずは無い。

 

 腕だけでは無い、身体全体に重みを感じる。

 

 「透さん、大丈夫ですか?」

 

 「ん、あぁ、大丈夫。ただ、倦怠感が酷くてな。」

 

 心配して聞いてくる白上。

 

 一度自覚してしまうと、一気に疲労感が押し寄せてきた。

 十中八九、先ほど使用したワザが原因だ。

 

 「たぶん、ワザの副作用というか、燃費が異常に悪いみたいだ。

  一回使っただけで、しばらく動きたく無い程度には体力を持っていかれた。」

 

 だが、それに応じた効果はあった。

 しかし、新しくワザが使えるようになったのはいいが、相変わらず鬼纏い以外は自分へのリスクが高い。常用はできそうにないな。

 

 「そうだ、透。さっきのは何だったんだ?あんなワザ使えるなんて聞いてねぇぞ。」

 

 明人の言葉に、同じく興味があるのか、百鬼や白上もこちらに視線を向ける。

 

 「まぁ、さっき使えるようになったからな。概要は『結』で覆った対象を『封』で内部に封じる。封じたものは何からも干渉されないし、することもない。という感じ。」

 

 だが、覆ったものがすべて対象になるわけではなく。一つのモノしか対象に設定できない。

 一度決定した対象は再決定は不可能らしい。そして、その総量に応じて代償も決まってくると。

 

 「なるほどな。それでケガレを取り出したってことか」

 

 「ケガレというか、イワレ全体だな。量がそこまで多くなくて良かった。」

 

 これで、白上達のようなカミに成る程の量だったらと思うと結果はあまり考えたくないな。

 

 「うん、大丈夫みたい。しばらくしたら目も覚ますと思うよ。」

 

 そこまで話すと、丁度大神の診察が終わったらしく、声をかけてくる。

 ひとまず、一度引き返したほうがよさそうだ。このまま、乗り込むわけにもいかない。いっそ、二手に分かれるのもありか。

 

 「誰か来てるよ。」

 

 これからのことを相談しようと口を開きかけたところで、百鬼の声がそれを遮る。

 その言葉通り、耳をすませばこちらへと向かう足音が聞こえる。

 

 それは俺たちが入ってきた通路とは反対側。つまり、相手は言わずとも知れる。

 

 やがて、鬼火に照らされてその姿があらわになる。

 

 赤いタキシードに、シルクハット。ピエロの化粧をした道化師。

 今、一番遭遇たくない、その相手がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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