春告精は古代より春を運ぶ   作:柿乃種

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 皆さん明けましておめでとうございます。作者の柿乃種です。
 昨年は、この小説を読んでいただきありがとうございました。どうか、今年もよろしくお願いいたします。

 では、今年もゆっくり読んでいってください。



第十二話 春の旅立ち

 あれから早咲は、すくすくと成長していき、私を越すぐらいの背丈にまでなった。仕事の方も幼少期から私を手伝っているおかげか、最近では、私と同じぐらい手際が良い。もう、そろそろ早咲に仕事を任せようと私は考えている。

 

 「おっと……ふぅ、良かった…こぼれなくて」

 

 そんなことを考えていると、危うく味噌汁を吹きこぼしそうになった。

 

 「早咲、諏訪子と神奈子を呼んできて」

 

 「はい、わかりました。リリー様」

 

 もうすぐ、朝食が完成するので私は、早咲に二人を呼んでくるように頼んだ。そういえば、早咲は私のことを様付けで呼ぶ。何回も訂正したのに、私のことを諏訪子や神奈子と同じ神様だと認識しているようだ。

 

 「おはよう、リリー」

 

 「諏訪子、おはよう。神奈子もおはよう」

 

 朝食を作り終え、居間へ行くと全員が揃っていた。私は、諏訪子に挨拶を返し、朝食を机に並べていく。

 

 「それじゃ、いただきます」

 

 「「「いただきます」」」

 

 その声とともに今日もいつも通り、賑やかで楽しい日が始まった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 今ごろ永琳は、どうしているだろう?最近、そんなことを考えることが増えてきた。おそらく、今の楽しい生活があの頃の日々と重なって感じられるのだろう。

 そろそろ、前みたいに旅を再開するとしよう。永琳のこともあるし。よし、そうと決まれば諏訪子たちに話してみよう。そう決断し私は、諏訪子たちがいる居間へ足を向けた。

 

 「仕事、終わったのかい?お疲れさん」

 

 私が居間にいくと、諏訪子が労いの言葉を掛けてくれる。それに返事をしつつ私は、全員が揃っているのを確認し、話を切り出した。

 

 「実は…私、ここを出ようと思うの」

 

 「「「ええっ!?」」」

 

 私がそう言ったとたん、諏訪子たちが驚愕の声をあげる。

 

 「急にどうしたんだい?今の暮らしに何か不満でも?」

 

 「そうだよ。本当に何かあったのかい?」

 

 「リリー様が…出ていく?」

 

 諏訪子と神奈子は、私が急に出ていくと言ったことに焦落ち着きを失い、早咲は、驚きのあまり呆然としていた。とりあえず私は、諏訪子たちに落ち着いてもらうため訳を話し始めた。

 

 「それでね。出ていく理由なんだけど…」

 

 ・・・妖精説明中・・・

 

 「なるほど…昔にそんなことがあったんだね」

 

 「なら、私たちに止める理由はないよ」

 

 「そうですね…寂しいですが、仕方ありません」

 

 私の話が終わると諏訪子たちは、口々にそう言った。永琳のことは、諏訪子には話したことがあった気がしたが、初めて聞くようだった。

 

 「それで、いつ出るんだい?」

 

 「う~ん…一週間後にするよ」

 

 「そうか…それなら、今から一週間、めいっぱい楽しまないといけないね」

 

 それから一週間は、諏訪子の言葉通り今まで以上に楽しんだ。みんなで湖へ行楽に出掛けたり、神社の大掃除をして思い出をたくさん作った。

 

 そして一週間後、とうとう旅立ちの日がやってきた。

 

 「リリー、準備はできたかい?」

 

 「うん!大丈夫だよ」

 

 忘れ物もないし、仕事も早咲に引き継いでもらった。準備万端だ。

 

 「寂しくなるねぇ」

 

 「…ぐすっ……んえっ…」

 

 早咲は、私の準備が終わる前からすでに泣いていた。しかし、それは当然のことだ。諏訪子や神奈子とは、違って早咲は人間だ。人間の寿命は短く、もう私と会う可能性は極めて低い。だからこそ、この中でいちばん悲しみが強いのだろう。

 

 「ほら早咲、いつまで泣いてるんだい。リリーに言いたいことがあるんだろう」

 

 神奈子がそう言って早咲を肩を叩いた。肩を叩かれた早咲は、嗚咽まじりの言葉でゆっくりと話し出した。

 

 「…リリー様…育てていただいてっ……ありがとうございました…」

 

 「私だって…一緒に暮せて楽しかったよ。ありがとう!」

 

 早咲の告白を聞いて私まで涙が出てきたが、湿っぽい別れは嫌なので涙をこらえ、笑顔で返事を返した。

 そんなやり取りをしていると、ついに別れの時が訪れた。

 

 「リリー様…お元気で!」

 

 「ここには、またいつでも寄っておくれ」

 

 「諏訪子の言う通りだ。気軽に帰ってきなよ」

 

 「ありがとう!それじゃ、またどこかで…」

 

 最後にそう言い残し私は、空へと旅立った。




 今回も読んでいただきありがとうございました。
 昨年は、できるだけ週一投稿を頑張りましたが、今年は、学業のこともあり投稿頻度が下がると思われます。ご了承ください。
 ではまた、次回も読んでいただければ幸いです。
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