春告精は古代より春を運ぶ   作:柿乃種

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 どうも、作者の柿乃種です。
 感想をくださった方、ありがとうございます。作者の励みになります。
 今回は、初めての番外編です。永琳が主人公と別れた後の話になります。
 では、今回もゆっくり読んでいってください。



閑話 八意永琳の冬

 この日、人類は妖怪から逃げ、宇宙に旅立った。

 周りの者は、妖怪から逃げ切れたことに歓喜している。しかし、周りを余所に私は、ひとり悲しみに暮れていた。

 

 「リリー…」

 

 今日私は、大切な友人 “リリーホワイト” を失った。リリーは、私達を逃がすため妖怪の大群にひとりで立ち向かったのだ。

 私は、後を追いかけようとしたが、周りに止められリリーの背中を見送ることしか出来なかった。

 

 「それじゃ、またね(・・・)。永琳」

 

 これは、最後にリリーが口にした言葉だ。

 ふと私は、あることに気付いた。リリーは、私に「またね」と言ったのだ。

 リリーはまだ生きている、地上で無事に暮らしている。そんな希望が私の中で生まれた。

 そして希望が生まれた瞬間、私に目標ができた。

 地上でリリーと再会する、その目標とともに私の冬が始まった。それは『暗く冷たい冬』ではなく『春を待つ希望ある冬』だった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 私の冬が始まってから、長い年月が流れた。

 人類は、月に到着してから老いる速度が格段に遅くなり、街も地上にいた時より発展していた。

 私は、街の運営から降り、様々な研究をする研究員となった。

 そして、私が研究を始めてから数十年後のある日…

 

 「やったわ!ついに完成したわ!」

 

 今日、長年続けてきた研究のひとつが完了した。

 

 「どうかしたんですか、師匠?」

 

 すると、知り合いが声をかけてきた。

 

 「豊姫、良い所にきたわね。ついに長年の研究が完了したのよ」

 

 「それは、おめでとうございます!」

 

 彼女は “綿月豊姫” 、私の優秀な弟子だ。妹の “綿月依姫” とともにこの街を支えている。

 

 「それで、何の研究なんですか?」

 

 「不老不死よ」

 

 「えっ!?不老不死の研究は、禁忌では…」

 

 「そうよ。でも私の目標のためには仕方なかったの」

 

 「目標とは?」

 

 「友人と再会することよ」

 

 そう私は、リリーと再会するために不老不死の研究をしていたのだ。

 

 「師匠のご友人ですか?」

 

 「えぇ、とっても大切な地上の友人よ」

 

 「そうですか…」

 

 豊姫は、そう言うと黙ってしまった。

 

 「安心しなさい。今すぐに行くわけではないわ」

 

 「そうですね!それでは、失礼します」

 

 豊姫の元気な返事をして研究室から出ていった。

 

 「リリー、あなたに会いに行くのは、もう少し後になりそうだわ」

 

 私は、そう呟き『蓬莱の薬』を薬品棚に置いた。

 

 その後、あるお姫様がその薬を飲んで地上へ放逐され、それを迎えにいった永琳が運命の再会を果たすのだが、それはまた別のお話…。




 今回も読んでいただきありがとうございました。
 番外編では、綿月豊姫と綿月依姫(名前だけ)が初登場です。
 次回から再び本編に戻ります。
 また、次回も読んでいただけたら幸いです。
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