春告精は古代より春を運ぶ   作:柿乃種

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 お久しぶりです。作者の柿乃種です。
 リアルが落ち着いてきたので投稿を再開していきます。
 前回、巫女として神社に住むことになったリリー、はたしてどのような生活が待っているのでしょう… 。
 ※この話に博霊は、出てきません。

 では、今回もゆっくり読んでいってください。



第七話 春の巫女暮らし

 「それで?巫女ってまずは、何をすればいいの?」

 

 間借りのお礼をするため私は、諏訪子に巫女の仕事を尋ねた。

 

 「そうだね。まずは、掃除からだけど旅で疲れただろう。今日は、もう休んで明日から頑張っておくれよ」

 

 「いいの?」

 

 「その代わりリリーの今までに暮らしについて話してくれない?」

 

 「うん。わかったわ」

 

 私は、諏訪子の心遣いに感謝し今までの思い出を話した。生まれた時のこと、いろんな場所を旅したこと、大切な友人と暮らしたこと等たくさんのことを夜更けまで話した。そんな私の話を諏訪子は、楽しそうに聞いていた。

 

 太陽の眩しさに目を覚ました。いつの間にか話疲れて眠ってしまったようだ。

 ともあれ、今日から巫女の仕事の開始だ。

 目が覚めた私は昨日、諏訪子に言われたとおりまず、神社の掃除から始めた。室内、廊下、境内の順だ。掃除は、思っていたよりも簡単にすんだ。春風を使って塵を飛ばせば一瞬だ。

 

 「おはよう、もう掃除終わったの?早いね」

 

 私が掃除を終えて戻ると、起床した諏訪子が座敷にいた。

 

 「おはよー、諏訪子」

 

 私は、新しい同居人に挨拶を返す。

 

 「それじゃ、朝食にしよっか」

 

 机の上には、できたての食事が並べられている。

 

 「えっ?諏訪子が作ったの?」

 

 「そうだよ。冷めないうちにどうぞ」

 

 「いただきますー」

 

 ・・・妖精食事中・・・

 

 「ごちそうさまー」

 

 「お粗末さま」

 

 諏訪子の料理は、さすが今まで独りで暮らしてきただけに大変おいしかった。それに、久しぶりに食べる人に作ってもらう料理はすごく暖く感じた。

 

 「そういえばリリー」

 

 「なに?諏訪子」

 

 「巫女服を渡すのを忘れてたよ」

 

 そう言って諏訪子は、私に青と白の服を渡してきた。

 

 「里に見回りには、この服を着ていってね」

 

 「うん、わかった」

 

 私は、早速その巫女服に着替えた。

 

 「おぉー、似合ってるよ」

 

 「ふふっ、ありがとう」

 

 私は、久しぶりの貰い物に懐かしさを感じ笑みをこぼした。

 

 「喜んでもらえたようで良かった。朝も頑張っていたようだしこの調子でこれからも頼むよ」

 

 「うん、任せて!」

 

 高揚した気分のまま私は、次の仕事に取り掛かった。次は、朝食の後片付けや洗濯などの水仕事だ。食器も洗濯物もそこまで量が多くないのに加えて気分も良かったことから仕事は、滞りなく進んだ。

 そうこうしているうちに太陽が真上近くにきたので昼食作りに取り掛かる。朝食は、諏訪子に作ってもらったから、昼食は私が用意しよう。ちなみに献立は、裏の湖で採れた魚の素焼きだ。

 久しぶりに人に料理を出すので心配だったが、諏訪子は「おいしいよ。」と言ってくれたのでひと安心だ。

 昼食の後は、里の見回りだ。里を回り、生活で困っていることがないか調べるのだ。

 

 「じゃあ、いってらっしゃい。後片付けは私がやっておくから」

 

 「いってきまーす」

 

 諏訪子にそう告げて私は、里の見回りに出発した。

 

 「すみません、新しく洩矢神社の巫女になった者です。何か困っていることは、ありませんか?」

 

 まず私は、巫女として顔を覚えてもらうため道行く人に声をかけることにした。

 

 「ミシャグジ様の遣いの方ですか。それはそれは…」

 

 ミシャグジ様とは、諏訪子のことらしい。諏訪子は、里人からすごく尊敬されているようだ。

 

 「そうですね。これと言って困ったことなありませんね」

 

 「わかりました。ありがとうございます」

 

 仕事がなくて少し残念に思ったが、里が平和な証拠と考えることにして見回りを再開した。

 

 ・・・妖精見回り中・・・

 

 結局あの後、見回りをしたが手伝いを数件頼まれただけでこれと言った困り事は、なかった。里は、実に平和だ。

 そろそろ日が傾いてきたので帰るとしよう。夕食も用意しないといけないし。

 

 「おかえり、リリー」

 

 「ふふっ。諏訪子、ただいま」

 

 家に帰ると「おかえり」と言ってくれる人がいる。そのことに私は嬉しくなり、微笑まずにはいられなかった。

 

 「何を笑っているのさ」

 

 「何でもないよ」

 

 返ってくる挨拶、共に摂る食事。やっぱり、誰かと一緒に過ごすのは、すごく心が暖まった。

 私と諏訪子の暮らしは、まだ始まったばかりだ。この生活がいったい何時まで続くかわからないが、今をめいっぱい楽むと私は心に決めた。




 今回も読んでいただきありがとうございました。
 できればこの小説は、月~日曜日に一回ぐらいのペースで投稿していきたいと考えております。
 また、次回も読んでいただけたら幸いです。
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