「朱衣〜、こっちこっち〜!!」
ショッピングモールの中で、大きく手を振っているのが、宮下愛……俺の彼女である。
俺は手を振り返し、小走りで愛の元へ向かった。
「ごめん、電車乗りそびれちゃって、はぁ…はぁ…待った?」
「ううん、全然待ってないよ!じゃあ、行こっか、早く行かないといい席取れなくなっちゃうよ?」
今日は、付き合ってから初めてのデートとして、映画を見に来ている。
(それにしても、今日の愛さん……可愛い、なんか大人の魅力出ちゃってるし、これ放っておくような男子いないだろってぐらいの色気でちゃってるよ……!!)
エスカレーターに乗りながら、そんなことを思っていると、
「そんなにジロジロ見てどうしたの〜?もしかして、見とれちゃってた〜?」
「うん。今日の服装とか…可愛いなって、思ってね//」
「えへへ、ありがと!今日初デートだから、気合い入れてみたんだよね〜」
「ほら、愛さん、ちゃんと前見て立ってないと、転んじゃうよ。ただでさえ、今日ヒールなんだから。」
「大丈夫だって!私には運動で鍛えた体幹とバランス感覚があるからね〜こんな段差なんて、引っかからないもんね、って、うわぁ!」
「危ない!!」
俺は慌てて、エスカレーターの手すりを左手でつかみ、余った右手で、転びかけた、愛さんの腰に手を回して、そのからだを支えた。
「愛さん、大丈夫?怪我とかない?」
「う、うん。大丈夫だよ、君が支えてくれなかったら、ほんとに危なかったよ。ありがと、それにかっこよかったよ?」
「はぁ〜、愛さん、ほんとに気をつけてよ、綺麗にフラグ回収しちゃったじゃんか。」
「ごめんね、許して〜!」
その後、エスカレーターの後ろが進まなくなったのは、考えるまでもない。それに気づいた俺と愛さんは足早にエスカレーターを登り、映画館へと行った。
「何みよっか、このアクション系もいいし、あ〜、でも、この恋愛系も捨て難いんだよな〜!」
「愛さん楽しそうだね。一緒に映画来た甲斐があったってもんだね」
「そりゃそうじゃん、朱衣と一緒に行きたいところなんて、いっぱいあるんだから、いつかは、一緒に旅行にも……///やっぱりなんでもない!忘れて!」
と言うと、彼女は、赤面しながら、チケットを買いに行った。それを遠目に見ながら、ポップコーンを買いに行く俺であった。
愛が選んだ映画は、恋愛系の方だった、ピンと来たのがそっちだったらしい。そして、映画を見ていると、あることが起こった。
ポップコーンと一緒に頼んだスプライトを飲もうとして、口に含むと……それは、完全に愛さんの麦茶だった。
それに気づいた俺は愛さんの方を見ると、愛さんも俺のスプライトを飲んでいた。映画の光で愛さんの表情がよく見え、彼女は、俺が口をつけたストローを咥えたまま、赤面していた。
そして、愛さんは、ストローから口を離して、トレーの上に置き、俺に小さく手招きをした。
俺は、耳を愛さんの方に近づけると、こう囁かれた。
「間接キス……しちゃったね。」
それを聞いた俺は、びっくりして、顔を上げると、愛さんは無邪気な笑みを浮かべていた。
それ以降映画中愛さんの顔を見ることが出来なくなってしまった。間接キスをしたことで、頭がいっぱいになり、映画の内容が頭に入ってこなかった。
映画を見終わってから、愛さんとお揃いのシャーペンや愛さんに似合いそうなシュシュを買ったりして、楽しんだ。
その後、電車に乗り、一緒に今日のことを振り返ったりして、話していたら、愛さんは、俺の方に寄りかかって寝てしまった。その寝顔が可愛くて、俺は寝れなかったが……起こそうとした時、触ったぽっぺたの感触を俺は忘れることは無い……いや、忘れられないと思った。