「ねぇ〜果林〜?」
俺は果林の後ろをついて、あるっていた。その果林は今Goog○eマップと絶賛葛藤中なのだ。
「………どうしたの?」
「すごく言いづらいんだけどさ〜この道あってる?」
「どうかしら…道間違えたのかしら……?」
「やっぱり,果林に任せた俺がバカだったのか〜」
「うぅ…言い返したいけど、その通りね。ごめんなさい。」
確かにさっきから同じところを何度も回っている気がしていた。誤算だったのは、彼女が極限に近いほどの方向音痴だということだ。
「一回見せてみ〜マップ。」
「はい。」
俺はマップを見たとき、とても聞き覚えのある名前のところに印が付いていた。
「ここって、果林のモデル仲間の人が教えてくれたところ?」
「えぇ、前に2人で食べにいったところ。久々に食べたくなってね。」
「そこだったら、俺覚えてるのに〜」
「いいでしょ。私がエスコートするって言ったんだから。」
「果林のエスコートは、まず地図覚えるとこから始めよっか〜。」
「…わ、悪かったわね!」
「そんな果林も可愛くて俺は好きだよ〜」
「うぅ…恥ずかしいわ………//」
「果林〜ぎゅ〜」
「ちょっと、こんなところで//」
俺は果林がどんどん自信がなくなって小さくなるのを見て、歩道の真ん中で後ろから抱きしめた。
「果林、常に大人なお姉さんみたいなポジションじゃなくてもいいと思うよ。」
彼女は抵抗したが、俺がずっと離さなかったら、抵抗せずに大人しくなった。
「私だってそうしたいわよ…」
「じゃあなんでそうしないの〜?」
俺の質問に彼女は黙った。それから少しして口を開いた。
「あ、あなたといると…その…緊張して…つい」
「ああ〜そっか〜果林とはまだマネージャーとしての俺といた時間の方が長いんだもんね〜。」
「ええ、それに、今までこんなことなかったから…あまりどう接していいかわからないのよ。」
「ふふ〜ん。こんなことって〜?」
俺は腕の中で縮こまる果林をいじった。
「むぅ…麗馬はこういう時すぐ意地悪になるわね…」
「果林が可愛くてつい。でも俺は昔までの関係より今の関係の方が短いけど、濃い時間を過ごしてると思うよ。」
「ええ、それは私も同じ意見よ。あなたと一緒にいると、肩の荷が一時的にでも落ちる気がするのよ。少しほっとするの。昔からだけどね。」
「そっか。好きな人にそう言ってもらえるのって男としては結構嬉しいな〜。//」
「あら、照れちゃって、さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」
彼女は俺に抱かれたまま俺のことを見上げる。その顔は不敵な笑みを浮かべていた。
「いや〜大好きな果林に必要とされてるってことが嬉しくてね〜えへへ//」
「あなたってほんとに私の前だと隠さないわね。」
「隠したら、すぐ拗ねる癖に〜」
彼女は図星を突かれ、俯く。それから少し顔を上げ、耳まで赤くして言った。
「………//なんでもお見通しってわけね。」
「まあ〜ね〜果林のことは、なんでもお見通しなのだよ〜」
「なんか見透かされてるみたいで、納得いかないわね…」
「さて、そろそろ行きますか〜。場所なくなるかもだし。」
「ええ、そうね。」
俺はそう言って、後ろから抱きつくのをやめた。
「あ〜、今離れたとか思った〜?手繋ごっか〜?」
俺は得意げにそう言ったが…
「いえ、思ってないわ。」
「あれ…そっか〜じゃあ、いいや。」
「ま、待って!誰も繋がないとは言ってないじゃない!//」
差し出した手を引っ込めようとした時、その言葉と同時に果林の手が俺の手を掴む。俺はその赤くなった顔を見ながら、ふふんと笑みを浮かべた。
「素直じゃないな〜」
「う、うるさいわね//
麗馬だって同じくらいよ。」
「俺も大概だけど、果林ほどではないよ〜」
果林から飛んできた言葉を華麗に受け流す。そういう感じの会話をしながら、俺と果林は、カフェ雪麗に向かった。
カフェで俺がカフェモカ、彼女が抹茶ラテを飲みながら、話が途切れた時、今まで気になっていたけど、触れてこなかったことについて果林に聞いた
「ねぇ、果林」
「なに?」
「聞きたいことがあるんだけどさ、今いい?」
「どうしたのよ、改まって。」
果林side
何かを聞こうとしている彼は、自分の前でだけ見せる子供っぽい彼の素ではなく、明らかに仕事の時に見せる真面目な表情をしていた。それを見た時、謎の緊張感が私を襲った。
「…そんなに身構えなくてもいいよ。あのさ、部で楽しくやってる?」
「部?そうね、楽しくないことはないけれど、それ以上に、充実しているわ。」
「そっか。ならよかった。」
「え、それだけ?」
思ってた質問と違って私は呆気に取られる。
「うん。なんかあった?」
「いや、だって一応敵対勢力なわけだし、なんでそっち行ったんだとか………」
「あ〜最初は確かに思った。けど裏切られたとは思わなかったよ。こうして会えるわけだし。まあ〜一緒にいられる時間は正直減っちゃうとは思ってた。」
「そうね。確かに減ったわね。部きついし、厳しいから」
「それだけじゃないよ。あの子………えーと、誰だっけ………ん〜と」
「ランジュ?」
「そうそうそいつ!そいつとか言っちゃったけど…」苦笑
彼はそんなこと言って笑う。さっきまで真面目な顔してたのに、段々と子供っぽい彼にまだ戻りつつあった。
「そのランジュって子さ、高咲さん完全否定ウーマンじゃん?だからあの、高咲さんの発案の彼氏できたらさらに輝けるってやつももちろん否定だから、彼氏である俺らとしては彼女のおかげでそれぞれの関係があるわけだから。そっちに行く気はない。」
「だから、部に近づけないてこと?」
「まあ〜そんなとこ。朱衣も同じこと言ってたし」
「そうなの?東間くんよくきてるわよ?」
「え?!なんで?」
「なんか、ランジュも今一緒に住んでるみたいで。」
「うわぁ〜かわいそう〜せっかく夫婦水入らずの空間に、一番いらない…んん!てことはあの2人家でもイチャイチャできないってことか〜?!きついな〜」
「しかも、客室用の和室あるらしいんだけど、そこが狭いだの、畳だの色々言ったみたいで、結局東間くん、自分の部屋空け渡したとか」
「まじか〜やっぱりあの子のやり方気にいらないわ〜でも果林が毒されてなくてよかった。」
「私は私、ランジュはランジュだから。真似はしてるけど、ああなろうとはしてないもの。」
「そっか〜。それ聞いて安心した。」
彼はそう言って、満面の笑みを浮かべた。みんなの前でも、自分の前でさえあまり見せない顔で、私は少しドキッとした。
「あ、見て!雪降ってるよ!」
そう言って彼は嬉しそうに外を指差し私を見つめた。
「珍しいわね。ホワイトクリスマスね。」
「そうそう。はいこれ〜、クリスマスプレゼント〜。もうちょっといい雰囲気がよかってんだけどね〜」
彼はガサゴソとかばんを漁って、色鮮やかな用紙に梱包されたプレゼントを私に手渡した。
「ありがとう。じゃあ果林サンタからの、プレゼントよ」
「ありがとう〜開けてい〜い?!」
「ふふ、ええ。」
麗馬side
「あっ、これ、ネックレス?」
「そうよ。私とペアのね。」
そういうと彼女は首につけた上弦の三日月のネックレスを持ち上げた。形は同じだが、俺のものは黒で、彼女の色は白だった。
「へぇ〜さすが果林!なんでこれにしたの?」
「え、あなたに似合いそうだし、お揃いの欲しかったから…それだけ。」
「意味とかは?」
「意味なんてあるの…?」
「そうなんだ〜でもありがとう。大切にする〜でも、高くなかった?」
「………高くなくはなかったけど、お金より気持ちでしょ?それに、半分は私のこれの値段だから。」
「じゃあ、俺の黒のネックレスの値段は、そのプレゼントで返すよ。」
「期待してるわ。」
果林はそう言って俺のプレゼントを開ける。それを見た時、彼女の目ははっとしたその後、満足そうに微笑んだ。
俺が送ったのは、ネイルだ。色はピンクゴールド。もちろん持ってないことは知っている。こないだ自前の化粧セットを見せてもらった時に、確認した。どちらかと言われたら、大人な色というよりは可愛い系の色だ。しかし万人が果林を見て大人な女性と思うわけではない。見る人が見れば彼女も可愛く映る。
「ありがとう。こういう系持ってないのよね。」
「果林、可愛いから似合うよ。」
「//大切にするわ。」
「俺は果林がカメラの前で最高に輝けるように、影で果林のことを引き立てる。」
「私は自分だけでこういう風に慣れたとは思ってないわよ。」
彼女はそう言って、俺のことを真っ直ぐに見つめる。その瞳は真剣で俺もそれに応えないとって思った。
「侑や同好会のみんな、それと麗馬がいてくれたから今の私があるの。だから…いつまでも私から目を離さないでよね//」
「俺は果林のファン第一号だから。俺は果林のアシスタント兼マネージャーとして。果林は読者モデルとしても、スクールアイドルとしても、一緒に成長していこう。」
「ええ、みんなに負けないように頑張らないと」
そして俺らはニコッと笑い合う。その後、荷物をまとめてカフェを出た。果林がお手洗いに行っている間、俺は夜風にあたりながら、首につけたネックレスを見る。
(さすがというべきか。ここまで俺らにピッタリとは……)
少し前、一応意味がないか調べてみた。すると、月の満ち欠けにはそれぞれ意味があるらしく、新月が新たな始まり、上弦の月が成長、満月が完成や達成、下弦の月が次を始める準備。という意味があり、上弦で三日月ということは、まだ成長し始めたばかりということだ。そして俺が黒で果林が白。俺自身が影から彼女を支えてると考えると、本当にジャストだと思った。そしてこれを狙わずに選ぶことができるのは、果林自身のセンスが凄すぎるんだと思った。
「お待たせ、気に入ってくれたみたいね。」
「うん。ありがとう〜果林好きだよ〜」
「こ、こんなところで言わないで!!//」
そんなことを、雪が降る中繰り広げる二人であった。