Twitterに彼氏くんたちのビジュアルを作ったので良かった見てみてください。
https://mobile.twitter.com/haming_fain/status/1481703643476676609
「で、一応聞くけどさ、璃奈。」
「何、蓮くん?」
「俺は璃奈の家に勉強しにきたんだよね……」
「うん。そうだよ?それがどうしたの?」
学校は冬休みに入り、新年を迎える。この日は同好会もなく、璃奈の家で勉強をしないかと誘われきたのだが……
「いや、シャーペンじゃない!これコントローラーじゃん!!」
「あ…気づかなかった。璃奈ちゃんボード:ボー」
「おい、嘘つくな。なんなら俺璃奈にゲーム誘われたんだぞ?」
家に入って早速勉強を始めるのかと思った俺は持ってきたリュックから英語のワークと筆記用具を出したときに、璃奈に袖を引かれ、それがはいはいの姿勢で、その上目遣いにドキッとしてしまい、断れず、対戦ゲームをして、早1時間……
1時間やっても、勝てず、俺が勝ったら終わるという条件で何度も何度も挑んでは敗れ、挑んでは敗れの繰り返し。ガチ勢ってほどではないけど、朱衣さんによく誘われてやってはいたからちょっとはできると思っていたから……少し悲しくなってくる。
「1時間経っても勝てないのか……璃奈ガチってんだろ…」
「そんなことはないけど…私、強かった?」
「そりゃ俺一回も勝ててないんだから強いに決まってるだろ。まあ、俺が底辺だったらわからないけど、俺からしたら璃奈は強いんじゃない?」
「そ、そっか……ありがと…」
なんとも歯切れのわるい返しが来たので、俺は彼女の方をみると少し俯き、赤面していた。璃奈には悪いと思ったが、これを好機だと思った俺は勝手に試合を始めるも、惨敗。もぅ、このゲームやめようかな……
「ああ〜〜!!なんで負けんだよ〜!!」
俺はコントローラーを置き、頭を掻きながら仰反る。すると璃奈もコントローラーを置き、璃奈ちゃんボードに手を伸ばす。
「急に始めるのはずるいと思う。璃奈ちゃんボード:ぷくぅー」
「いや、俯いてたから、このまま行ったら勝てるかなって思ったから。」
「だからってずるはだめだよ。璃奈ちゃんボード:じとー」
「わ、悪かったって!」
「ずるした人にはお仕置きする……」
そう言って璃奈は璃奈ちゃんボードから手を離して、膝立ちで両手を前につき、四足歩行のようにこちらに歩を進める。元々顔が幼いから四足歩行されると余計ちょっと大きい赤ちゃんみたいにしか見えなくなる。お仕置きと聞いた俺は少し怖くなって、後ずさる。気づくと後ろは壁になっていて、俺の逃げ場がなくなり、もう璃奈とタイマンを張るしかなくなる。
「逃げ場ないね。蓮くん」
「何する気だよ……一旦落ち着けよ。話聞くからさぁ…」
「無理……とう!」
その瞬間璃奈は俺に飛びついてきた。急なことにびっくりして、俺は足を伸ばし、お腹付近で組んでいた腕を広げて、璃奈を受け止める。それとどうじにごんという何かが壁にぶつかる音がした。どうやら璃奈が勢い余って壁に頭をぶつけたみたいだった。
「……痛い」
璃奈はぶつけたおでこをさすりながらそう言った。そしてそのおでこを俺の胸にすりすりしてくる。
「おい、なんで抱きしめてんだよ!離せって〜!」
どんなに腕を揺らしても体が璃奈の腕でホールドされていて動かない。離せって言ってもやだの一点張り。
「なんでだよ。お仕置きするんじゃなかったのかよ!」
「だめだよ。だって……」
彼女はすりすりしていた頭を止め、俺の方を向く。その顔はあまり表情は変わってないけど、口角が少し上がっている気がした。そんな笑みを浮かべ、やってやったりみたいな目で俺のことを上目遣いで見て、そう言った。
「せっかく捕まえたんだから、離れたくない。」
「!!//」
「蓮くんの胸、暖かい。」
俺は不意をつかれ、硬直した。そんなことは気にせず俺にくっついてくる璃奈。これがお仕置きなのか定かではないが、あんなこと言われて……まあ〜嫌ではなかった俺は璃奈の体をそっと抱きしめる。
「す、少しくらいなら…だ、抱きついててもいいから…//」
「うん。ありがとう。蓮くん」
あまりこうやって密着することがないから、久しぶりに鼓動が早くなる。胸に顔を当てている璃奈には当然聴こえているだろう。それが恥ずかしくてさらに心拍が上がっていく。その静まり返った空間に俺の鼓動と呼吸音が、やけに響く。段々と俺はそれに耐えられなくなっていく。
「も、もういいだろ!そろそろ離してく…れ。。」
彼女は寝ていた。肩を軽く揺らしたとき、さっきまでガッチリホールドされていた体から腕が簡単に外れ、微かに璃奈の寝息が聞こえる。どうやら俺の鼓動は璃奈の寝息をかき消すほどデカかったようだ。
(こないだのクリスマスデートの時もこうやって俺に抱きついて寝てたよな。そんなにいいのか…わからんけど、俺が璃奈のことを抱きしめるのが好きなのとおんなじもんなのかな…?)
そんなことは考えたってどう感じているかなんて、本人に聞かないとわからないことだ。俺が考えたって、あっているかすら定かではない。彼女がどんなことを考えて、これからどうしたいかとか、そういうことを顔に出せなかったとしても、彼氏である俺くらいは汲み取ってやったり、理解してあげられたらいいなとつくづく思う。
「ん…」
彼女はさっきまでだらんなっていた腕をふたたぶ俺の体に巻きつけ、密着してきた。恥ずかしくもあり、嬉しくもある。感情がこんがらがり、俺はなんとも言えない表情で赤面した。そして俺は彼女が起きない程度の小声で彼女に話す。一方的にだがな。
「やっぱりお前可愛いよな。確かに周りの子に比べて、表情出ないし、笑顔も少ないけど。周りがどんな評価をしてたとしても、俺は流されないから。璃奈のいいところを知ってるのなんて、俺だけでいい。とはいわないけど、スクールアイドルとしてこれからいろんな人に認められるように頑張ろうな。好きだよ。璃奈。これまでもこの先も。」
この空気をどうすることもできず、俺は璃奈を抱きしめている自分の腕に顔を埋める。叫びたかったけど、寝てる人いるから叫べないから、とりあえずどうすることもできないので俺は寝ることにした。
「おやすみ。璃奈」
俺は耳もとでそう囁いた。どうせ届かないけどね。
「おやすみ。蓮くん」
起きてたことに驚き、俺は体をぴくっと振るわせる。起きてたの?と飛び起きたいとこだが、さっきの言葉で燃え尽きちゃったみたいで、今は大人しく寝たい。
「俺も寝るから、一緒に寝ない?」
「うん。寝る。」
俺は璃奈の頭を撫でながら、そのサラサラの髪がどうも心地いい。そして俺はいつしか眠りに落ちていた。
いつしか凪さんや、太一さんみたいになれたらいいな……なんてな。
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