サラブレッドに生まれ変わったので、最速を目指します   作:Budge

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こんな自己満小説あんまり受けないだろうなー(投稿ポチー)


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Σ(゚Д゚)!?
 

(つд⊂)ゴシゴシ


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(´゚д゚`)


ウマ娘パワー、恐るべし・・・。


ウマが合わないのは仕方ない事だ・・・よな?

馬に生まれ変わっておそらく約一ヶ月?くらいだろうか。仔馬の成長というのは早いもので人間の感覚との違いに格闘している間にも身体は順調に成長。雪が溶けたことで寒さから俺の身を守っていた馬着も脱げた。

 

馬にとって死活問題になるというお通じに不具合が出ることもなく、今日も元気に走り回ったり、昼寝したりと気ままに過ごしている。人としてのプライド?生まれたその日に浣腸されて馬糞(ボロ)と一緒に捨てた。

 

生まれてから十分くらいで立ち上がってみたり、放牧地への道を一日で覚えたり、引き綱無しで勝手に帰宅したりと馬離れしたことをやってみたが気にされることはあっても怪しまれることはなかったので、割と自由にやっていこうと思ってる。

 

この前はいきなり唇をめくられて口の中を覗かれたから、なんだと思ったら歯のチェックだったらしい。もう大分揃っていて牧場の人曰くもう少し経てば青草も食べられるようになるとか。

 

歯といい、脚といい他の放牧地にいる仔馬より健康面でのチェックが多い気がするなあと思っていたんだが、この前スタッフさんの話を盗み聞くことに成功して納得した。

 

要約すると馬としての俺には、クロス・・・いや、なんちゃらブリードだっけか?とにかく速い馬を作ろうとして人間が生み出した方法の一つがかなり濃ゆーく入っているらしい。そういう馬ってのは極端に体質が弱かったり凶暴だったりするらしいが、幸いにして俺の性格や身体にはあまり影響を及ぼさなかったみたいだ。

 

それから、もう一つ報告がある。

 

放牧されている場所を見てもらうと分かるが、今ここにいるのは俺一頭だけ・・・母親はどうしたって?そう、まさに報告したいのはそこなんだよワトソンくん。

 

俺・・・育児放棄されました★

 

 

俺の母馬、通称ロッチさん。恐ろしいことに今まで何頭も産み落とした自身の仔を初乳を与えた後に放棄しているそうな・・・。とんだ不良ママである。しかも俺に関してはお乳を貰えないまま耳を後ろに倒して威嚇までされるという有り様。どうしてこうなった。お母さん、俺なんか悪い事した?

 

様々な事情で初乳を貰えなかったり、飲むまでに時間がかかったりした仔馬というのは非常に細菌に弱くなり、命を落とす確率が高くなってしまうと聞いたことがある。

 

そういう時のため、サラブレッドの生産牧場は必ず繁殖牝馬の初乳を採取して、優秀なお乳を保存しておくそうなのだが、当然俺にも緊急用のお乳が与えられた。ちなみに牧場で一番いい数字を叩き出した牝馬のものだったそうだ。貴重なものをどうもありがとうございます。その後もいろいろブスブス打たれたりしたけれどおかげですこぶる健康です。

 

まあ、中身が成人済みの人間である俺にとって母親がいなくたって精神的にはあまり影響はないんだが、なんせ身体の方は生まれたばっかりの仔馬だ。口にできるものと言ったらミルクだけ。

 

こういう時、別の牧場や業者に連絡して乳母馬を貸してもらったりするとどこかで見た記憶があるがどうやらこの牧場は金かコネか、あるいはその両方か?都合がつかず乳母馬がやってくることはなかった。

 

しかしミルクが必要であるという事実は変わらない。なんと牧場で働くスタッフさんたちが代わる代わるで一番多いときには一日1、2時間おきに、ある時は満面の笑みで、またある時は眠い目をこすりながら栄養と愛情たっぷりのミルクを作って飲ませにきてくれたのである。

 

特に深夜、馬感覚では余裕だが人間には起きているのも辛いであろう時間にミルクを持ってきてくれた時は感動を覚えたものだ。そんなスタッフの皆さんに俺ができることと言ったら完食・・・いやこの場合完飲か?と、ごちそうさまを伝えることに他ならない。

 

その甲斐あって今の俺は生後一ヶ月にしては大きめの馬体重になっているらしい。やったぜ。

 

今日も放牧地で好き勝手に走り回っていると、またスタッフの人がミルクを持ってやってきた・・・ってあの顔とこのニオイは!あの日生まれたばかりの俺にセクハラをしたおっさんじゃねーか!なんかここ数日こいつばかりミルクを持ってくるような気がするんだが気のせいだろうか。

気に入られようったってそうは行かないからな!お触りショックのインパクトが忘れたくても忘れられねぇんだよ!

 

「おーい、セキトー!飯やでー」

 

そうだ、おっさんが呼んだみたいに今の俺はセキトって呼ばれてる。なんでも毛色が他の馬より赤っぽいとかなんとかで、三国志に登場するあの馬にちなんでいるらしい。俺から見えるのは白くない前足と両方の先っぽだけが白い後ろ足と、頑張って背中がちょっとくらいなので自分では確認しようがないのが少し悔しい。

 

「おーい・・・ってどこへいくんやー!」

 

せっかくのミルクの時間だが、セクハラ野郎の元にそのまま駆け寄るのも癪なので、俺はわざとおっさんから離れるように放牧地を一周走ってやろうと思う。

 

あ、それはそうとミルクはきっちりいただきます。

ミルクイズライフライン。

 

 

 

 

「何やっとるんやアイツ・・・」

 

一ヶ月ほど前に生まれた仔馬、セキト。母馬から育児放棄されてもうたから、マキバファームのスタッフ総出でミルクを与えて育てとる。

 

ワイは馬を生産するようになって十年ほどの、業界ではまだまだ若輩者やけどセキトは今まで見てきた中で最も風変りな馬と言ってええ。特に母馬と離されようもんなら鳴き叫んで助けを呼ぶもんなんやが、セキトは全く鳴かへんかった。無駄だと分かっていたのだとしたら・・・いや、ただの馬鹿かもしれへん・・・うん、これはあんまり気にしたら駄目や。

 

今日はワイがミルクを持っていったんやが人の顔を見るなり放牧地の反対側へと逃げ出してもうた。やはり脚がよく伸びるきれいな走りをしとるなあと思うと同時にひょっとしてワイ、嫌われとる?と別の可能性に気づきかけたところでアイツが戻って来おった。

 

相変わらず赤みの強い燃えるような毛色をしとる。こんな馬、写真でも見たことあらへん。段々と産毛が抜けて毛が生え変わり始めとるがますます赤くなっとらんか?鹿毛なのか、栗毛なのか、昔は使(つこ)うとったっちゅう文字通りの赤毛なのか。

 

「ほんまええ飲みっぷりやなー」

 

まあ、その判断はもう少し育ってから登録審査の時にやってくる専門職の方々に任せるわ。哺乳瓶にしゃぶり付き、めっちゃ勢いよくミルクを飲み干していく生命力に感心しつつ、やはりロッチの育児放棄はどないもならんものなのかと思案する。

 

前の牧場から「そういうところがある」と聞いてはいたんやけど、まさか産んだばかりの我が子を威嚇するとはなぁ。悪化しとるがな。

 

他の親子の世話、そして今年の種付けもあるしで大変やけど、大切な馬を一頭でも多く競走馬として送り出せんなら少なくともワイにとって深夜の寝起きなんてのは苦痛やない。

 

しかし、馬同士の序列の決め方とか仲の深め方とかは大体母馬から教わるもんや。生まれてきた仔馬のことを思うと、母親が近くにいたほうがええんは間違いあらへん・・・そうや、そういう意味ではロッチも恵まれん馬やったな、と思い出した。

 

ロッチ、正式に言えばサクラロッチヒメはお腹の中におるときから母親のサクラスマイルの体調が安定しのうて、出産直後に初乳を与えて力尽きてしもたと聞いとる。まさかとは思うがそれが原因で子育てっちゅうのは立ち上がった仔馬に初乳を与えたらお終いだと思っとるんか?

 

幸か不幸かサクラスマイルの娘であるということは、悲劇の二冠馬サクラスターオーの妹にして、名牝スターロッチの血を引いた牝馬であるっちゅうことや。未勝利戦しか勝ってないロッチが繁殖に上がれて、しかもこんなで処分されんかったんは、偉大な曾祖母様のおかげでもあるんやろうな。

 

歴史ある血を持つ牝馬やし、前の牧場だってどうにかしたかったに間違いあらへん。しかしそれがセリに出されることになったんは、育児放棄の悪癖は全然よくならんままノーザンテーストやトニービンといった良血の娘が生まれて後継牝馬が出来たことで、諦めが付いてしもたのやろうか。

 

その判断を責める気はあらんが、大手の牧場からスターロッチの末裔が上場されると温まっとった会場の空気が育児放棄の癖があるとアナウンスされた途端一気に冷え込んでお通夜状態になったあの瞬間は今でも忘れられへん。

 

そりゃまあ十数頭、何十頭と繁殖牝馬を抱えとる牧場にとっては爆弾みたいな牝馬にしか映らんかったやろう。しかしこっちは繋養頭数一桁の弱小牧場、人手ならなんぼでも余っとる。

 

育児放棄癖や雰囲気もあって血統の価値に比べたらめっちゃ安い買い物になったとは思うんやけど、家にとってはしばらくもやし生活をせなあかんほどの冒険やったなぁ。

 

その時から最悪人の手で育てられればええと想定はしとったから、実際に育児放棄が起きたときもあまり動揺はなかったんやが・・・深夜のミルク当番でスタッフの何人かがダウンしおった。若いのに情けないで。

 

「ひひーん」

 

「おお、飲み終わったか・・・今回もスッカラカンやな、えらいなー」

 

丁度ここでミルクを飲み終わったらしいセキトが鳴いた。こいつこうやって毎回飲み終わると鳴くんやけど、もしかしてごちそうさまとでも言っとるんか?・・・んなわけあるか。相手は馬やぞ。

 

「よーし、腹一杯になったところで軽く走ってこいや」

 

「ひひん!」

 

来年以降もこういう調子になるんやったら乳母馬を用意して貰う必要があるなあ、とまるで言葉を理解してるように走り出したセキトを見ながら思うのやった。

 

さあ、そろそろ今年の種付けの相手を決めないとあかん。北海道の春はこれからや。




はい、今作の時空上もっとも改変されたポイントが出てきました。
サクラスターオー、天涯孤独を脱出。しかし妹はやさぐれる。

次回はちょっと時系列が飛びます。
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