サラブレッドに生まれ変わったので、最速を目指します   作:Budge

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散々財布と相談しながらと言ったくせに、ダイヤちゃんを実装日の内に5000円の課金をして、無料ジュエルと合わせて30連で引いてしまいました。

ホーム画面をキタちゃんにしたら来てくれたので、呼んでくれたのかしら・・・だとしたら尊(ry


それはそうと、本編ではセキトに新たな招待状が・・・。



招待状、再び

『ふー、疲れましたっと』

 

「お疲れ様、すごい走りだったね」

 

ウイニングランの後、写真撮影やら勝利インタビューやら、大勢のお客さんに見守られながら口取り式を終えた俺は、すっかり日が暮れた頃になってようやく厩舎に戻ってくることが出来た。

 

いやー、しかし。あんなに爆走したってのになんだかあんまり疲れてないな。なんならまだ走れそうなくらいだし。俺なんかよりも、散々メディアに囲まれていたジュンペーのほうがよっぽど疲れてんじゃねえのか?

 

「セキトー、ご飯だよー」

 

『おー!ありがとな馬口さん!』

 

特にやることもなく、暇つぶしで馬房から顔を出しながら右から左、左から右へと忙しない人間達の観察に興じていると馬口さんが今日の夕飼いを持ってきてくれた。

 

それが馬房の金具に掛けられた瞬間、待ってましたとノータイムで顔を突っ込む。丁度腹が減ってたんだよ、やっぱ空きっ腹にかき込む飯ってのは馬になっても美味ぇわ。

 

「うわっ、そんなにお腹減ってたのかい!?」

 

『まあな!』

 

がっさがっさと勢いよくなんかの草やら種やらを胃袋に送り込んでいると、ジュンペーとセンセイと・・・おや、朱美ちゃんまで。団体さんが厩舎に入ってきた。

 

「セキターン!」

 

『ひひーん』

 

朱美ちゃんが俺に手を振ってくれたから、俺も飼い葉を食うのを止めていななきと前掻きで応える。いつものやりとりだ。

 

「さて、セキトは・・・おや、大丈夫そうですね。これならあまり間を開けなくとも次のレースに出られると思います」

 

俺の前まで到着すると同時に、センセイが早速次のレースの話題を出した。俺自身も余裕はあるし、せっかくだから今から大井のナイターあたりでもう一回走るか?

 

「セキタン、ほんと?」

 

『おう、余裕のよっちゃんだぜ』

 

心配するような朱美ちゃんの視線が俺に向けられたから、本当に大丈夫だって、と首を縦にぶんぶんと振ってみせた。

 

「わ、セキタン・・・そんなことできるなら大丈夫そうだね!」

 

それを見た朱美ちゃんはいつもの笑顔になったし、「おいおい、あんまり無茶をするなよ」とジュンペーが俺をたしなめ、少し笑いが起きる。はいはい、レースの後なのに調子に乗ってすんませんね。

 

「ところで、今日この場に来てもらったのはセキトの次走を決めるため、なのですが・・・天馬さん」

 

あれ?センセイ?なんだか妙に改まってどうしたんだ?そう思っていたら朱美ちゃんが「あ、はい」と返事をしてから、これまた上質そうな封筒を取り出した。

 

ん、あ、この流れって。覚えがあるぞ。たしか昨年のスプリンターズステークスで似たような物を香港の人から渡されていたような・・・。

 

「これ・・・さっき金髪の人達が『Please consider(どうかご検討ください).』って渡してきたんですけど・・・封筒になんかすっごい紋章があるんですよ」

 

ほら来た招待状ーー!!って。

 

朱美ちゃんが恐る恐る差し出してきたそれには、確かにどこか由緒正しい家柄らしき、ロイヤルな雰囲気が漂う紋章が。

 

こんなロイヤルなお家が開催している競馬場なんて、一箇所しか浮かばない。

 

・・・俺、まさかあの伝統ある競馬場・・・ロイヤルアスコットこと、アスコット競馬場のレースに招待されちゃったの?

 

「セキト・・・お前、やっぱすごいな」

 

ジュンペーも唖然とした様子で、封筒と俺の顔を交互に見ながらそう言った。ふふん、どうだ。

 

と、俺がドヤ顔をしている横でおもむろにセンセイが話し出す。

 

「先程中身を確認させてもらったのですが・・・どうやら6月に行われるロイヤルアスコットの競走に出走しないか・・・というお誘いのようですね」

 

ひょえー。俺がアスコット・・・確かイギリスだったか・・・欧州に遠征かあ。行くか行かないか、全ては馬主の朱美ちゃん次第だけど悪い顔はしないはず。多分。

 

「ロイヤルアスコット・・・?」

 

おや、まだ流石にイギリスの競馬は履修していなかったみたいだな、朱美ちゃん。センセイが「仕方ない」みたいな顔をしてるしすぐに説明してくれるよ。

 

「私が説明しましょう。ロイヤルアスコット・・・それは伝統あるイギリスのアスコット競馬場で行われる、王室が主催する特別なレースのことです」

 

「王室が!?」

 

「イギリスの王族は馬事文化の伝統を維持しつつ、さらなる発展を求めている・・・特にエリザベス女王は馬主もやっておられるくらいですからね」

 

「女王様が馬主!?」

 

やっぱり案の定、センセイがご丁寧に解説をしてくれるみたいだ。それにしても朱美ちゃん、どんだけ海外のことを知らないんだ・・・というか馬主になって四年なら、こんなもんなのかな?

 

「ええ。名種牡馬であるナシュワン、ネイエフの兄弟を送り出したハイトオブファッション、そのハイトオブファッションの母のハイクレア等を生産した、世界的にも有名で、立派な馬主です」

 

センセイの話を聞きながら、ふと日本競馬の至宝なんて言われたディープインパクトもその母系はハイクレアに連なっていたなと思い出す。

 

もしもハイクレアがいなければ、ディープはもちろんその兄のブラックタイドも生まれなかった・・・。つまり2010年以降のG1馬はほとんどいないことになるって考えれば、エリザベス女王様本人は海の向こうにいらっしゃるにも関わらず、日本へどれほどの影響力を与えているのかなんて一目瞭然だろう。

 

海を超えて、今現在も日本にその枝葉を広げつつある偉大な血統だし、この時代なら入手のチャンスもある筈だ。ぜひ朱美ちゃんにも覚えてほしいところだが・・・。

 

「ハイ、クレア・・・?ハイトオブファッション・・・?女王様が主催で馬主・・・?」

 

って、ああっ!余りにも一気に多くの情報を与えられて朱美ちゃんが混乱しているっ!?

 

「おっと、天馬さん!?しっかりしてください!天馬さん!」

 

『戻ってこーい!』

 

「・・・はっ!ふにゃあ・・・」

 

センセイと俺の呼びかけで何とか戻ってきた朱美ちゃんだけど、ありゃまあ。目を回してらっしゃる。こりゃ限界が近いかな。

 

「・・・少々前置きが長かったですね。要するに、セキトをイギリスに遠征させるか否か・・・その判断を仰ぎたいのですが」

 

伸びかけた様子から、センセイもすべてを察したらしい。会話の流れをガン無視した単刀直入な話題を振って方向転換を図る。

 

「イギリス、かあ・・・行きたいですけど、セキタンは大丈夫?」

 

『んー・・・まあ、大丈夫だろう』

 

朱美ちゃんの問には、少し考えてから首を振って大丈夫と答える。

 

どうせ馬だからな。海外に行くにしたって航空機輸送・・・香港の時とあんまり変わらない感じだろう。掛かる時間は文字通り桁違いだろうけども。

 

「うん、セキタンが大丈夫って言うなら!行きましょう、太島センセイ!」

 

その返事を受け取った朱美ちゃんが、威勢よく言い放った。頷くセンセイ。

 

「分かりました、それでは、承諾するということで・・・」

 

『うんうん、いいんじゃないの?それじゃあ、俺の活躍を祈って・・・』

 

よっしゃ。海外G1・・・それも、競馬発祥の地、欧州の伝統あるレースに殴り込みだ。勢いに乗ってそこも勝つぞ!と気合の嘶きをあげようとした瞬間。

 

「ま、待ってください」

 

そこまで話して、急にジュンペーが声を上げた。

 

『ヒン!?』

  

なんだよもう、びっくりして変な声が出たし。

 

せっかく吸った空気を無駄にするのも癪だと思ったから、抗議の声の素として有効活用させてもらうことにしよう。

 

『おう、なんだよジュンペー!水を差すなよー』

 

「セキト、ごめんって、でも気になってさ」

 

嘶いた俺の声が気に入らないという感情を乗せているのだと気づいたジュンペーは、気にしないでくれよとすぐに謝ってきた。

 

・・・こうやってナチュラルに俺と会話?が成立しているあたり、ジュンペーも随分と慣れたもんだな。それに、気になってる?一体何が?

 

「どうした、ジュンペー?」

 

センセイが不思議そうな顔をしながらジュンペーの意図を尋ねると、ジュンペーが慌てたような様子で喋りだす。

 

「欧州遠征って・・・騎手は一体どうするつもりなんですか?」

 

あー・・・なるほどな。確かに普通に考えるならば、ジュンペーのような復帰したての騎手ではなく、海外での騎乗経験があるベテランに乗り代わってもらうってのが確実に実績を上げる手段ではある。

 

けれども、な。俺は「普通」じゃねーんだよ。

 

そして、センセイや朱美ちゃんもまた、「普通」の考えなんてハナから持っていなかったみたいで。

 

 

「・・・は?何を言っているんだ、お前が着いていくに決まっているだろう」

 

「・・・へ?」

 

センセイからは何を言っているんだコイツみたいな表情で。

 

「え?ジュンペーさん以外に誰がいるっていうんですか?」

 

「・・・え?」

 

朱美ちゃんからはポカンとしたような表情で。

 

それぞれ「お前が乗るに決まっているだろう」という返事がごくごく自然に返ってきたジュンペーは。

 

「えええええぇぇぇぇ!?」

 

鞍上はそのまま、という決定に戸惑いの声を上げたのだった。

 

・・・ジュンペー。お前は忘れてるみたいだけど、お前だって「復帰後初勝利がG1」って時点で、もう既に「普通」の騎手じゃないんだからな。

 

海の向こうでも、どうかよろしくたのむぜ、相棒?

 

俺は急な遠征が決まって慌てふためくジュンペーを見守りながら、大きくあくびをしたのだった。

 




はい、届きました。届いちゃいました。ロイヤルアスコットの招待状!

そして、ここで前々から言っていた企画を発動します!

皆様には、このロイヤルミーティングのどのレースに参加するのか、選んでいただきたいのです。

候補となるレースは
・キングズスタンドステークス(芝直1006m)
・クイーンアンステークス(芝直1600m)
・ゴールデンジュビリーステークス(芝直1207m)

の3つとなります。

マイルに挑むか、手堅くスプリントか・・・すべては皆様の投票次第です。


尚金曜更新分は一旦本編をお休みし、番外編を投稿する予定です。
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