サラブレッドに生まれ変わったので、最速を目指します 作:Budge
そして、リアルダビスタにてシュシュブリーズの22(父サンダースノーの牡)が無事生誕しました!なんにも知らずに生放送開いた瞬間シュシュから脚が出てたのはビビったわ・・・。
欧州滞在中、散々お世話になったニューマーケットの馬場。
今日の俺は、その地にて行われる大レースの出走馬としてそこに立っていた。
前と同じくやたら距離感の近いパドックを周回して、馬場に入る直前、今度はスーツを着込んだ朱美ちゃんに「今度こそ勝とう!」って気合を入れてもらって。
ウィリアム先生からは「
「セキト、後がつかえちゃうよ」
『ん?あ、ああ』
気になったことを考える間もなく、俺はジュンペーに促されてニューマーケットの芝生へと繰り出していく。
「さあ、セキト、今日は思い切り行くぞ!」
『ここでレースをするってのもなんだか変な感じだなぁ・・・』
すっかり調教コースとして見慣れたこの場所を全力で駆け抜けなければならないというのも不思議な話だが、これが欧州のルールなのだと言われればそれに従う他ない。
それに。
『・・・やっぱりな』
おもむろに右の前脚でとんとんと何回か芝生を叩いてみる。
蹄に伝わる感覚は日本と比べれば相変わらずデコボコした、良し悪し両方の意味で欧州らしい馬場のもの。
けれどもその程度は前に走ったアスコットと比べればかなりマシで、これならば俺も全力を出せそうだと安堵して。
「セキト?」
そんな俺の様子を見て、ジュンペーが心配そうに声をかけてきたから。
『ああ、悪ぃな、大丈夫だ』
短い嘶きでそう返せば、ホッとしたような様子のジュンペー。そのまま帽子の上にあったゴーグルを装着し、口元でしかその表情を伺えなくなった。
『・・・にしても、歴史のあるG1とはいえ、こんなもんなのかね』
改めて返し馬に励む他の出走馬たちを見渡すと、これがどうにも格落ち感が否めない。
欧州特有の「緩さ」も影響しているのかもしれないが、なんというか・・・日本でG1レースに出たときのような殺伐とした感じというか、そういう火傷してしまいそうなくらいの強さを感じる馬ってのがこの場にはいない。
これなら勝てるかもしれない。確信に近いそんな感情を抱き始めた時だった。
『おい、オレ達を舐めるのは勝手だが・・・それで痛い目を見ても知らないぜ?』
『うわっ!?』
急に後ろに現れた鹿毛の牡馬にそう話しかけられ、俺は思わず飛び上がってしまう。
「おおっと!落ち着けセキト、ここで体力をつかうな」
『そ、そうだったな・・・悪ぃ悪ぃ』
ジュンペーの一言で今はレースの直前であったと思い出し、首を振るって気持ちを切り替える。
「
『なんだリチャード、ちょっと挨拶しただけだろう』
俺を驚かせたことに対して、向こうの騎手さんも牡馬をしっかりと叱りつけていた。当の牡馬は不服そうだけれども、欧州ってこういうところ厳しそうだよな。
にしても誰だこいつ。よくよく見れば年下っぽいし、ビビった俺が情けねぇ。
日本じゃお目にかかれない、真っ青な、しかし肩のところに白のラインが入った勝負服。隣同士で歩きながら前のレースでは見なかったその顔をまじまじと見つめていると、何かを察したのか彼の方から自己紹介してくれる。
『・・・マルハブだ。これでも少し前にG1を獲った』
『おお、そうなのか』
この年下牡馬、なんとG1馬であったらしい。
・・・にしては、あまり迫力が無いような?
『ああ。だが、一流と認められるにはまだまだ足りない。ここも勝って・・・オレは、スプリンターとして名を上げるんだ』
・・・成程、迫力に欠けるなんとなく分かった気がするぞ。
欧州ってG1の数が異様に多いんだよ。だからこそ、時にG3かってレベルのメンバーでG1が行われてしまうこともある。
例えそこで勝ったとして、G1馬の称号は得られても、種牡馬、繁殖牝馬としての価値にはほとんど影響をもたらさないんだよな。
つまり、こいつが言わんとすることは前走の勢いに乗って「本番」であるここで己が「本物」と証明したい、そんなところだろう。
うん、君の考えはよく分かったよ。よく分かる、けれども。
だからって、俺もみすみす勝ちを譲ってやれるほど背負った看板は軽くない。
『そのためには、まず俺を倒さないとだぞ?』
俺は軽く笑いながらも、マルハブを威圧する。なあに、本気じゃないしさっき驚かせてきた軽いお返しだ。
『・・・!』
その気配に気づいたのだろう、マルハブはぴくんと耳を動かしたが、それ以上は大きく反応することもなくやけに静かに返し馬に戻っていった。
『んー・・・ほぼノーリアクションか。効いたかどうかイマイチ分からんな』
マルハブに聞かれないよう、充分な距離が開いてから独り言を呟く。
まあ、その結果はレースで分かるとして。
「セキト、マルハブと何か話したのかい?」
走り去る彼を見ながらジュンペーがそう尋ねてきたから、俺はいつものように『ヒヒン』と返事をしたのだった。
第122回ジュライカップ(G1)
XX02年 7月11日
芝1207m ニューマーケット 天候 晴 馬場状態 Good to Soft
| 枠番 | 番号 | 馬 名 | 性 齢 | 鞍 上 | 斤 量 |
1 6[外]
2 2[外]
3 7[外]
4 9[外]
5 11[外]
6 12[外]
7 8[外]
8 4[外]
9 3[外]
10 5[外]
11 1[外]
12 15[外]
13 13[外]
14 10[外]
15 14(父)セキトバクソウオー 牡5 岡田順平 62
「セキト、今日は大外だよ」
『おう』
出走する各馬が続々とゲートインしていく中、俺の耳が確かにジュンペーの呟きを拾う。
大外か・・・今回のレースが直線コースで助かった・・・というか、隣に馬がいないからサンドイッチされる心配がない分寧ろラッキーだったかもしれないなんて思いながらゲートに身を収める。
「・・・今日は、作戦通りに行くよ」
他の馬を待っている間、またしてもジュンペーが囁いた。
作戦通り、つまり逃げて逃げて、力の限りぶっ飛ばす。
俺の親父が、サクラバクシンオーが得意とした、その走り。
いざその作戦を取るとなると、俺の脳裏でその作戦を拒みたい気持ちが強くなっていた。
俺と親父は全く違う馬なのに、たまたま血が繋がっていて、同じスプリンターで、スピードに任せた勝ち方をするからって何度「さすがバクシンオーの息子」といわれたことか。
そんな状態で、作戦まで真似してしまったら・・・俺は、どこかの誰かに今度こそ完全に親父と重ねられるのでは、と心の内で危惧していて。
チラリと横目で内の方を伺うと、もうじきにゲートインが終わりそうなタイミングだった。
・・・スタートの時が、近づいている。今更他の作戦なんて立てられない。
「逃げ場」を無くした俺がこれから走るのが「逃げる」レースというのがなんとも皮肉めいていて、小さく笑いがこぼれる。
『(正直最初から飛ばすなんざ、俺の性には合わねえんだよ)』
だって、走れと言われた瞬間にいきなり全速力で走るなんて、ゴールがあるって知ってる身からしたら・・・まるで馬鹿みたいじゃないか。
『はぁ・・・』
脳裏によぎるは、騎手の制止も聞かず、愚直なまでに体力が尽き果てるその瞬間まで己の全力を振り絞り続ける、逃げ馬たちの勇姿といっていいのか分からない姿。
大体の競馬ゲームとかならちょっとばかり強い馬を前に行かせておけばアホみたいな勝ち方をするけれど。
後ろの馬より速いか、そうでなくともどうにか騙せれば勝ち、一つ間違えただけで呆気なく後続に追い越されていく。現実世界の逃げとはそんなリスキーな戦法でしかないのだ。
勝つためならば、どれほど拒絶したとしても、人々は俺にその戦法を求めるのと言うのだろうか?
でも。
それでもなのだ。
勝利の味というものは、それほどまでして追い求めるべき、至高の味わい。特にG1なんて一度味わってしまったら・・・病みつきだ。
・・・もしも、俺が「逃げ」れば勝てるというのなら。
そして、「相棒」が俺に他馬を置き去りにするほどのスピードを期待し、求めているというのなら、俺は。
嗚呼。この思いを表すには、今まで何度も兄弟たちの口から聞いてはいたけれど、どうにも恥ずかしくて口にできなかったこの言葉しか相応しいものが見つからない。
「セキトっ!」
その時、まるで俺の決意を待っていたかのように、ゲートが開かれた。
大丈夫だ、ジュンペー。
『逃げるってことは・・・もう、“
あれほど恥ずかしかったその言葉も、いざ口にしてしまえば不思議な開放感があって。
絶好のタイミングでゲートを飛び出した俺の気持ちは、最早前にしか向いていなかった。
「よしっ!このままいくぞ!」
『おう!』
絶好のスタートから、あまり馬が通らない上に、妨害のしようがない馬場の大外。その2つの要素が組み合わさった俺は余裕で先頭を奪い取る。
更にジュンペーは俺に馬群との距離を意識させるためか、スーッと手綱を左に引っ張り、俺を馬場の真ん中へと寄せていく。
『んな!速えーなお前!』
そこから1馬身ほど後ろにおいていかれる形になった、真っ青な勝負服・・・ゴドルフィンブルーって言うんだっけか?大御所の馬主さんの馬らしき鹿毛の牡馬が驚いたような声を上げた。
『お褒めに預かりどうも!』
顔は前に向けたまま、声だけを出してその驚きに答えてやる。悪いな、逃げてる以上、スピードを無駄にしないために前しか向けねぇんだよ。
『なんなの!?前と全然違うじゃない!こんなの聞いてないわ!?』
後ろから聞こえた困惑するような声の持ち主は、キングズスタンドステークスでも一緒に走った芦毛の牝馬ちゃんだ。何気に広い馬の視界が馬生ではじめて役に立った気がする。
『誰が逃げても僕には関係ないけれど・・・ちょっと速くないか!?』
続いてハイペースになりつつあるレースへの文句をたれたのはまだ若さ、というよりもあどけなさが残る牡馬。背中の鞍上は二番手のやつと同じくゴドルフィンブルーの勝負服を纏っていた。
『・・・』
5番手につけたのは内側に入ったマルハブ。さっきのこともあってか、何も言わずにひたすらこちらを睨みながら走っている・・・おお怖い怖い。
しかし、更にその内側。ラチ沿いに控えた馬の気配を感じ取った瞬間。ようやく俺の背筋にゾクリとした予感が走る。
『(最内のアイツ・・・強いな)』
ちらっと伺った時に見えた顔つきこそまだ幼さが残る・・・恐らく3歳馬なのだろうが、漂わせるオーラは名馬として遜色のないもの。
恐らく何もなくひたすら真っすぐに走ることが出来ればこいつが一番強いのでは。そう思えるほどには他の馬とは格が違う。このまま成長すれば、来年には歴史に名を残す強豪となりうるだろう。
とにかくアイツは気をつけなければならないなと走りながらあたりを付けて。俺はジュンペーの手綱捌きにいち早く反応するため、ひたすらに心を研ぎ澄ませた。
「(いいぞ、まだこのまま、このままだ)」
それに対しての返答は、手綱を持ったまま・・・つまり現状維持。
俺はそれに素直に従う形で、先頭のまま残り800mを通過する。
あとは何やら後ろの連中がごちゃごちゃと馬群を形成しているが、俺にとっては知ったこっちゃない。よく見えないしな。
あの最内のヤツのオーラを感じ取った瞬間、今の俺にとっての敵はアイツただ一頭・・・なぜだかそう感じられるほどには、あの馬が気になっていた。
しかし、何故だ?何故こんなにも・・・胸の奥がざわついている?
「セキト!しっかり!」
『ッ!サンキューなジュンペー!』
と、ジュンペーの喝が、どこか上の空になりかけていた俺の意識を引き戻す。
レースってのは他に何頭も競う相手がいて初めて成立するもの。名も知らぬアイツにばかり気を取られていては、他の奴らに脚元をすくわれてしまうことだろう。
たとえ何があっても、自らの走りを貫き、いち早くゴール板まで辿り着いた者だけが勝者を名乗れるのだ。
『(後ろの様子はっと・・・わーお。なかなか酷いことになってんな)』
再び少し後ろに意識を向ければ、ハイペースを作りながらも未だタレない俺に痺れを切らしかけているのか、何頭かが殺気立っているのが分かった。
そんな殺気立って力んでちゃ発揮できるものも発揮できなくなるぞと後ろの気配を難なくいなして、それに気づいた俺は随分大人になったもんだと心の内で苦笑する。
それに、ハイペースとは言ってもあくまで欧州基準。日本じゃこのくらいのタイムで逃げる馬なんてごまんといるだろうよ。
そして・・・こちとらスピード至上主義の日出る国で、2つしかないスプリントのG1を両方獲っているんだ。そう簡単には落ちないっての!
さあ、残り600、ここからが本当の勝負。先頭は・・・譲らねぇ!
『・・・ハァッ!!』
俺が引き連れた14頭の人馬たちはほぼ同じタイミングで追い出し始めたが、まず最初に動きらしい動きを見せたのは、馬群を縫って内を突いてきた2番のゼッケンを背負った栗毛馬・・・ってんん?なんかよく見たら見覚えがあるような?
『よう!島国の駄馬!今日はリタイアしなかったんだな!』
ああ!そうだ!キングズスタンドステークスで一緒に走った奴らの中にこいつもいたんだ・・・って。いきなり失礼なやつだなオイ!?
どう言い返したもんかと考えていると。
『あら!そのレースでかわいい
『さらにその次でオレに負けたのは、どこのどいつだっけか?』
一気にペースが上がり、残り400を切った辺りで、外側から上がってきた赤地に黄色い襷が印象的な勝負服の騎手を乗せた牝馬ちゃんと、同じく位置取りを上げてきたマルハブがその言動にツッコミを入れた。
ほー。キングズスタンドステークスで三歳牝馬に負けて、その次でマルハブに負けたと。
『んん?ひょっとしなくても・・・お前、そんなに強くないな!?』
『ぐぬぬ・・・!ふんッ!!』
2頭に続くように思い切りからかってやると、2番の栗毛は心底悔しそうにハミを噛み締めた後、思い切り加速してきた・・・って、やべ。
「セキト!行くよッ!!」
『おうよ!!』
それを見たジュンペーもいよいよ手綱を扱き出し、俺は徐々に足の回転を早めてスピードに乗っていく。
『置いてかれる! ・・・あれっ?』
『おっとっと・・・んん!?』
牝馬ちゃんとマルハブも慌てたような様子でラストスパートをかけ出したが、いまいち伸びがない。
その一方で、俺・・・と、2番のやつの脚が、まるで止まらない。
『島国の馬のくせにしつけーな!?』
『へっ!しつこいのはお互い様だ!』
お互いに悪態をつきながら、徐々に後方に差をつけつつ激しく競り合っていると、残り200mを知らせるハロン棒が左後方にすっ飛んでいった。
『(後200・・・!そろそろか!?)』
「・・・セキト!」
日本と違って、欧州にはムチの使用回数に上限が存在している。
破れば戒告、賞金の減額、時には騎乗停止命令が下るときだってあるくらいには厳格なそのルールにおいて。
貴重な一発が・・・俺の、右トモに飛んだ。
『よっ・・・しゃあああああああ!!』
その瞬間、俺は走り方をピッチからストライドへと切り替え、より遠くへと脚を伸ばす・・・うん、ガタガタだから日本よりはめっちゃ走りづらい、が・・・出来ないって程でも、ない!
『はあああああ!!』
俺の最高速に到達した走りによって、2番との差が徐々に開いていく。
半馬身差まで詰まっていたその距離が、四分の三、1馬身・・・このままいけるか!?
『んな!?反則だろそれ!?クソっ・・・負けるかぁ!!』
ところが、驚いたことにムチをもらった2番が再び伸びを見せ。1馬身まで開いていた差が、四分の三、半馬身、四分の一・・・とジリジリ詰まっていく。
更には。
『っくうぅ・・・!!コン、ティネントぉぉおお!行っけえええええ!!』
『クソっ、もう一頭来たか!』
大外からもう一頭、コンティネントと呼ばれた2番と全く同じ勝負服の栗毛馬が、持てる限りの声で僚馬へのエールを叫んだ。
決して大きくはないその声だったが、高性能な俺達の耳はしっかりとその内容を捉えていて。
『バハマ!!?・・・っぐ、う、お、ああアァァァァァ!!』
100mを切って2番・・・いや、コンティネントは、バハマと呼び返した馬に触発されたか更に伸びを見せだした。
『(まずい・・・!このままだと・・・!)』
負ける。
負けてしまう。
この背に乗せた、夢が、希望が、見えかけた光が、全部、全部消えてなくなって。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
『さ、させる・・・かあ!!』
逃げていた分、いつもより早く上がり始めた脚を振り抜いて、抜かせまいと粘ってみせる、が。
『うああああああ!!』
『ぐあああああっ!!』
『ぐ、う、ふぅぅぅ・・・!』
勢いは完全にあちらに分があった。ゴールまではあと50mほど、ほんの僅かな差で、俺は再びの敗北を喫しようとしている。
何が。一体何が足りないというのだろう。
俺一頭でそれを考えるにはあまりにもゴールまでの時間が足りなくて。
あとちょっとで、皆の夢に応えられるというのに。
本当にあと・・・いや、ほんの少しなんだ、どうか、誰か。
誰か・・・「助けてくれ」。
打つ手が無くなって、普段は全く信じていないくせに神仏に縋るように思いを絞り出した瞬間。
『(・・・よっしゃあ!!ようやく出番だぁ!!)』
『はぁっ!?』
どこからか、拍子抜けするほどにテンションの高い声が聞こえてきて。
『(お前っ!一緒に走るぞっ!!)』
『え、あ、おお!?』
今度はそう聞こえたかと思えば狼狽する間もなく、あれほど重かった筈の脚がふっ、と軽くなった。
なんだか知らないけど、これならば・・・行ける!!
「手応えが・・・!?負けるな!セキトォッ!!」
それに気づいたジュンペーが、すぐさまムチを、一発、ニ発、三発と連打して。
『う、おぉぉぉぉぉぉぉ!!』
『(おりゃああああああ!!)』
「行、く、ぞぉぉぉぉ!!」
正体不明の声とまるで双子のように雄叫びを、更にそこへジュンペーの奥の手の剛腕追いを重ね合わせて首を振り下ろせば、俺の視界が再び加速する。
『・・・なぁっ―!!?』
『はぁ―!?』
すっかり勝った気でいたのだろう。右側によれながら半ば怯えるような表情でこちらを振り返ったコンティネントと、バハマという馬の内側を突いて、突き抜けて。
「行けぇぇぇぇェェッ!!」
『おらああアァァーーッ!!』
『(うりゃあーーーっ!!)』
栗毛2頭を交わすその寸前、血走った4つの眼が向けられたのが分かった。
うん、コンティネント。さっきは弱いとか言って、すまんかったな。
そしてバハマとやら、お前もこんな走りが出来るほど強かった。
お前たちは何も悪くはない。
ただ、一つ。たった一つだけ。
「俺」というイレギュラーがいなければ、彼らはG1の一着馬と2着馬だった。
しかし、そうはならなかったという
・・・半馬身。それが、1番にゴールを駆け抜けた俺と、2着のコンティネントとの着差だった。
以上、謎の存在()にも力を借りて、セキト大勝利!なジュライカップでした。
次なる戦いへ向けて・・・の前に、なにやら人間たちの方で動きが・・・?
以下今回の史実馬紹介となります。海外馬のためレースの格付けなどが間違っている可能性も大アリですが、それでも良ければ読んでいただければと・・・。
・今回の史実馬解説
・
父 Lake Coniston
母 krisia
母父 kris
・被害ポイント
ジュライカップ1着→2着
・史実戦績
70戦7勝
・主な勝ち鞍
ジュライカップ(G1)
・史実解説
1997年生まれの栗毛馬。そのデビュー戦は遅れ、99年の10月にドーヴィルでデビューすると、これを3着で終える。
続く未勝利戦と、1100mのハンデキャップ競走を快勝しグループ2(ポンド法によって決められたレーティングによる格付け)へと昇格。
しかし次走のグロシェーヌ賞(G3)で5頭立ての最下位に敗れると、その後出走した2戦もいいところなく着外に終わり、他の馬主へと売却され3歳シーズンを終えた。
2001年になり、ニューマーケットのクラスBレースから始動するも22頭立ての21着、ポントフラクトのクラスCレースで15頭立ての3着、アスコットのクラスCレースで16頭立ての8着、グッドウッドのクラスBレースでは30頭立ての12着といいところがないまま連敗を重ねた。
しかしその次のアイルで行われたアイルゴールドカップ(クラスB)では軽ハンデと展開を味方につけ久々の勝利を飾る。
次走、アスコットのトライフェクタステークス(クラスB)でも3着と健闘してみせたが、年が明けて出走したドンカスターのランダムベッドドットコムステークス(クラスB)では11着に敗れ苦いスタート。
続くケンプトンパークのクウェールコンディションズステークス(クラスC)では2着に入り、決して実力がないわけではないというところを見せつける。
続くニューマーケットのアバーナントステークス(リステッド)でも2着に入り、手応えを感じた陣営は次走に同じニューマーケットのビクターサンドラパレスステークス(G3)を選択、果敢に挑むもここは7着に敗れた。
続くヨークのヨークステークス(G3)は八着、サンダウンパークのテンプルステークス(OP)は最下位の11着に敗れてしまった。
ところが次走のアスコット、キングズスタンドステークス(G2)で勝ち馬
その後はレーティングが上がったことによるハンデの増加が影響したか低迷し、2004年のノッティンガムで行われたウェザビーズコンディションズステークス(クラスC)のでの勝利まで9戦を要した。
そのレースを最後に再び低迷し、6勝目はなんと5勝目から数えること26戦目、2007年に入ってからのニューマーケット、レディースデイオンサードジュライハンデキャップ(クラス3)と格下のレースであった。
そこから三戦挟んだ、グッドウッドのアウディQ7ハンデキャップ(クラス3)での勝利が最後の勝利となり、2008年6月のヨーク、Hss.comハンデキャップ(クラス3)で最下位に敗れたのを最後に引退した。
・代表産駒
セン馬のため産駒なし