■とある特典武具の意思
私は水の中に居たの。暗い暗い光も届かないくらい深い水の底。でも怖くは無かった。いつの間にか手を掴んでいたから。
その手は私より小さくてその気になれば簡単に折れてしまいそうな見た目をしているけどその暖かさは本物だった。
どれだけ経っただろう? 時間にしてみれば一週間も経っていないだろうけど、私は何年もこの水の中で揺らいでいるように感じた。
ふとそんな事を考えたときだった。光が差し込んだ。
境界を無理矢理こじ開けたかのような穴から手が伸びる。その手は普通の手では無かった継ぎ接ぎで手の形は保っているが色々な手が合わさっているようであった。でもその温もりは変わって無かった。
私達はこの手に引っ張られた。
□【クローズ邸・就寝室】
■【キメラ王シリーズNo.2 ブルーローズ】
「おはようございます。ブルーローズ」
目が覚めた。久しぶりに感じる日を浴びると言う感覚と眠気でまどろんでいる感覚はとても気持ちの良いものだった。
「さてローズ。私は一応、貴方の先輩になります」
手に違和感があった。手を自分より一回り大きいあの継ぎ接ぎの手が握っていた。
「ああ、その馬鹿は目覚めない可能性を考慮し無かったせいでとりあえず自分の部屋のベッドに寝かせて。『失敗原因を探し出そうとしたけど安定はしてるから拒否反応でも無いから全然分からない』とか言ってひたすら《ヒール》かけまくって手を繋いだまま【気絶】しただけですよ」
さっきから喋って居る姉さんの言ってることは断片的にしか理解出来ないけど今は──
「眠い」
この温もりに浸りたい。
「……三十分後に起こしに来ますから」
後にクロは語った。その光景は偽りの無い家族であったと
■【元試作品キメラ王シリーズNo.1 クロ】
さて、二人とも寝てしまったので皆様に私のご紹介を。
私の名前はクロと申します。マスターのメイドをやっております。私の生まれた経緯を説明しますと以下の通りです。
とある吸血鬼に関する病気の研究
↓
出来立てホヤホヤの病気で死んだ死体
↓
研究の為に色々やっていた
↓
フランが変なボタン押してキメラ化始まっちゃった
↓
完成
と言った生まれ方です。最初に聞いた時はフラン様を宙吊りにしましたよ。
まあ、このお陰か私はある意味失敗作の【キメラ王シリーズ】に成れました。私は【吸血鬼】のジョブを与えていただきましたが何故か【吸血鬼】のスキルがほとんど使えないのです。まるで
【キメラ王シリーズ】はマスターが作るキメラの中でも特異な存在のことです。条件は以下の通り。
①ジョブを持っている(ランクS)
②人型で人並みの知能を有している
③本来付けているべき枷(無意識的な反意の喪失など)を持たせていない(付けれない)
この3つ以外にも条件がもう一つあり私はそれを
「ただいまー」
と声がしたのでスキルを使って大広間に瞬間移動する。
「あら、帰り早いわね。トロファス」
「姉さん久しぶり。元気にしてた?」
「ええ、元気よ。この前に貰った除草薬はありがたく使わせて貰ってるわ」
「それは良かった。ところで新しい子が生まれたんだってね。姉さんの伝書鳩で知った時は驚いたよ」
「今はマスターと寝ているわ。……何でうちのマスターはお人好しなのですかね」
「ああはは。まあ外のキメラと遊んでるから用事があったら呼んで。怪我したら僕が見るよ」
「分かってます。【キメラ王シリーズNo.1 トロファス】」
目の前に居る彼はトロファス。キメラ王シリーズのNo.1だ。扱うジョブ【医師】大体の病気などは彼が研究すれば大体は解決法が見つけられる。
「あっそうだ。主張先のお土産とお茶だ。使ってくれ」
「分かりました」
そう言って私はスカートの中に
「そのスキルおかしいですよね。条件はあるけど無限に入れられるアイテムボックスなんて」
「まあ、それが私のジョブ
私は
ですから私のメインジョブは
後はマスターが言っていたことなのですが『超級職は普通のジョブと違って外付けのジョブ──つまりはジョブのスロットを使わないジョブだったことも関係しているかな?』とマスターは考えているようです。
「さて、キメラ達の朝ごはんの準備をしますか」
そう言って私はキッチンへ向かった。
■【 】レン・クローズ
「……寝てたか」
あれからどれくらい経ったかは分からないが自分の肉体に『対象個体のバイタルの異常変動』をキーに激痛が走る設定にしてあったので寝ても別に問題は無かったのだが
「心拍数……息も正常。寝てるな」
《鑑定》や《看破》を使ってステータスを確認すると【睡眠】の状態になっていたので問題なしと判断する。
「No.1も帰ってきてたのか……通りでキメラ共が騒がしくないわけだ」
【キメラ王シリーズNo.1 トロファス】は私が初めて作ったキメラ王シリーズでアイツはキメラ達の世話が上手い。生まれも近く王シリーズもまだクロしか居なかった為か、基本的にキメラに話しかけていた。あるとしたら【獣医】のジョブも持っているべきだろうと突っ込みたくなる程、体のコンディションに関しては私より一歩先に行く。
「さて、起きないとクロに血を持っていかれてしまう。……ただえさえ【貧血】で辛いのに」
起き上がろうとすると何かに白衣を強く掴まれる。
「……夜はレバーだな」
爆睡する子供を見ながら嘆いた。
リアルが忙しいのです