ただ走りたいだけ   作:リョウ77

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祭りの屋台って割高なのが気にならなくなるよね

「おー、すっごいねー!」

 

日が暮れて、屋台も賑わう時間に件の神社にやってきたんだけど、思っていた以上に屋台と合宿に来ている生徒で賑わっていた。

というか、ほとんどトレセン学園の生徒しかいない。どこを見てもジャージを着たウマ娘だらけ。

だから、私とグランも目立たないようにジャージを着て回っている。

ちなみに、須川さんはいない。なんか来る途中で東条さんに捕まった。なんでかは知らん。

代わりに財布は預かった。まぁ、どうせ須川さんがお金出してくれるって話だったし、好きなだけ使わせてもらおう。

 

「何食べよっかなー・・・あっ、焼きそばだ」

 

暖簾にある金船焼きそばって、たしかクラスでちょくちょく話題になってるやつだよね。なんかおいしいらしいってのはわかるんだけど、要領を得ない話が多くて眉唾物だと思ってた。

まさか、こんなところでその存在を目の当たりにすることになるとは。

店員は・・・芦毛のウマ娘かな?けっこう美人な感じ。

 

「すみませーん。焼きそば2つくださーい」

「おうよ!下のメニューから選んでくれ!」

 

下を向くと、思ったよりバリエーション豊かな品ぞろいだった。

こうもいろいろあると悩むな・・・ん?芦毛の怪物盛り?

 

「すみません、この芦毛の怪物盛りってなんですか?」

「そいつは名前の通りだ!前にゴルシちゃんとしたことが、芦毛の怪物の食欲を見くびってうっかり材料を切らしちまったことがあるんだが、それを反省してゴルゴルポケットから材料を出せるようにしたんだ!おかげで材料には困らねぇが、むしろ余るようになっちまったから、せっかくだからあいつしか食えねぇような山盛りをメニューにしちまおうってことにしたんだ!ちなみに、時間内に完食したらゴルシちゃんの焼きそばの無料優先券をプレゼントしちゃうぜ!」

「やります」

「ハヤテちゃん!?」

 

ゴルシちゃん?とかいう店員さんの説明を聞いて、私は二つ返事で受け入れた。

内容は最後の方しか理解できなかったけど、無料優先券だよ?タダで食べれるチャンスがあるなら挑戦するしかないじゃん!

 

「オグリ先輩が挑戦したんなら、私も後に続かぬのは無作法と言うもの。ここで退くわけにはいかない!」

「おっ!いいなぁ、お前!よぉし、芦毛の怪物盛りいっちょう!そっちの嬢ちゃんは・・・」

「あ、私は普通のでお願いします」

「あいよ!6140円な!」

 

高いっつーかキリ悪いな。普通のやつが500円なのは、まだ許そう。芦毛の怪物盛りが5640円ってのはどういうこっちゃい。

ノリノリのゴルシちゃんさんは、大量の麺やら具材を取り出して鉄板の上に載せていく。その量は、鉄板全体に敷き詰められてなお巨大な山を形作っている。焼きそば自体は普通のやつなのか、グランのと一緒にやってるようだ。

・・・ていうか、どこから大量の具材を出したんだろ。明らかに質量保存の法則を無視してた気がするけど。後ろにも材料入れらしきものは見当たらないし。

あながち、ゴルゴルポケットとかいう〇次元ポケットもどきの話は嘘じゃないのかもしれない。

 

「ほらよ!普通の焼きそばと芦毛の怪物盛りだ!」

「いや、盛るっていうか盛ってなくないですか?」

 

鉄板ごと出してくるんかい。クッソ目立つじゃんこれ。

でも、これで5640円はむしろ破格すぎないか?

 

「まぁいいや。いただきまーす」

「ちなみに、制限時間は1時間な!」

 

1時間か・・・せっかくのグランとの夏祭りでそんだけ時間使うのももったいないな。

 

「30分・・・いや、20分で終わらせる。ちょっと待ってて、グラン」

「は、ハヤテちゃん?」

 

ちょっと本気出していこう。

箸を構えたら、取り皿代わりとして渡してくれた空パックに移す時間も惜しんで焼きそばを胃に流し込んでいく。

ズボボボッって音を鳴らしながら食べるのはちょっと行儀悪いし、よく噛まずに流し込むのも良くないことだけど、効率重視だからしょうがない。

それに、軽めとはいえ本格的にトレーニングを始めたからか肺活量も上がって、前よりも一気にかき込めるようになった。

以前の私ならこの量は30分以上かかっただろうけど、今の私なら20分で事足りる。

そして宣言通り、私は20分弱で芦毛の怪物盛りをすべて食べきった。

 

「ふぅ・・・ごちそうさまでした」

「え、えぇ・・・?」

 

久しぶりに腹膨らませてまで食べた気がする。

その横では、グランが困惑していた。

まぁ、食堂でいっぱい食べてるところは何度か目にしてたけど、ここまでの量は初めてだったし、仕方ない・・・のかな?

 

「おぉ!すげぇなお前!気に入ったぜ!」

 

対するゴルシちゃんさんは、私の後ろに回ってバシバシと背中を叩いてきた。ちょっ、痛くはないけど力強すぎ。

 

「なぁなぁなぁなぁ!お前、名前は?」

「えっと、クラマハヤテです。今年からデビューしました」

「オーケー、覚えたぜ!そんじゃ、また会おうな!それと、約束の優先無料券だ!」

 

そう言ってゴルシちゃんさんが渡してきたのは、工事現場に立てかけているような看板にデカデカと”焼きそば金船”と書かれたものだった。一応、隅っこに『無料優先券』ってあるけど、店名の自己主張が激しすぎる。

え、なに?これを背負っていけと?私に宣伝させるつもりか?てかこれもどこから出してきた?

・・・なんか、考えるだけ無駄な気がしてきた。

とりあえず、貰うものは貰ったということでその場を後にしたけど、看板のせいで目立つし、何より短い時間でいろんなことが起こり過ぎて、どうにも理解が追い付かない。

 

「えっと・・・とりあえず、どうする?」

「・・・なんか甘いもの食べたい。かき氷食べよう、あとわたあめも」

 

あの量の焼きそば食べたせいで、口の中がちょっとしょっぱい。

グランから「え、まだ食べるの・・・?」みたいな顔を向けられるけど、まだいける。

それに、射的とか輪投げもあるし、腹休めしながら食べればもっといけるはず。

 

 

* * *

 

 

「・・・で、ここまで使い込んだ、と」

「えっと・・・ごめん?」

 

あの後もいろんなものを食べたり遊んだりしてたら、軽く2万くらい吹き飛んでしまった。4分の1はあの焼きそば代だけどね。

 

「いや、別に謝る必要はない。どちらかと言えば、あと1万くらい飛ぶのは覚悟してたからな。むしろ思ったより少なくすんで驚いてるくらいだ」

「そんなに食べると思ってたの・・・?」

 

まぁ、屋台の価格設定って基本的に割高設定だし、私の胃を満たそうとしたらそれくらいは飛ぶかもしれない。

そう考えると、やっぱりあの焼きそばの5640円は破格だったんだろうね。

 

「まぁ、好きに使えと言ったのは俺だから、それはいいんだが・・・背中に背負ってるやつはなんだ?」

「そうなるよね」

 

須川さんが言ってるのは、私が背中に背負っている無料優先券のことだろう。

とりあえず、あったことをありのまま話す。

すると、須川さんが微妙な表情になった。

あっ、この顔見たことある。アグネスデジタルのときと同じだ。

 

「あー・・・そいつは多分、ゴールドシップだな」

「そんな有名なウマ娘なの?」

「有名と言えば有名だが・・・その、なんというか・・・こう、筆舌に尽くし難い変わり者、と言うべきか・・・まぁ、そんな感じだ」

「は、はぁ・・・」

 

とりあえず、相当やばい奴ってのはわかった。須川さんがここまで言いよどむって、私の知る限りは初めてだ。

グランも、どう言えばいいのかわからずに視線を右往左往させてるし。

 

「まぁ、ゴールドシップは別にいい。癖は強いが、迷惑をかけるようなことは・・・いや、精神的に疲れるから結果的に迷惑かもしれんが・・・とにかく、あぁいう生き物だと思って接すればいい」

「扱い方が珍獣に対してやるのと大して変わらないじゃん」

「実際そうなんだよ」

 

なんか、トレーナーたちが裏でゴルシちゃんさんの対応マニュアルを持ってても不思議じゃないような気がする。

まぁ、定期的に焼きそば食べさせてくれるっぽいし、悪いことばかりじゃないと前向きにいこう。

 

「そう言えばさ、祭りに行く途中で東条さんに捕まってたけど、何したの?」

「俺が何かしでかした前提で話を進めるな・・・リギルの方で花火をやるから、一緒にやらないか誘われたんだ。後は、2人で祭りを楽しんでもらうため、ってのもあるが」

「えっ、ほんと!?」

 

まさかリギルの方から誘ってもらうことになるなんて!

あ、でも、リギルって会長の他にもやべーウマ娘が揃ってる魔窟らしいし、リギルに所属してるグランはともかく、私なんて場違いすぎない?

 

「なんでも、会長殿が来てほしがってるらしいぞ」

「あの人って実は天然だったりしない?」

 

本人は善意でやってる辺り、ちょっとどころじゃなく質が悪い気がする。私の胃に穴を開けるつもりですか?

でも、せっかく誘ってくれたんだし、断るのもちょっと悪いかな?

・・・って、あれ?

 

「そう言えば、なんで会長も合宿に参加してるの?もうとっくに引退してなかったっけ?」

「トゥインクル・シリーズはな。トゥインクル・シリーズを引退しても、優秀な成績をおさめたり注目されたウマ娘は、ドリームトロフィーリーグに出ることになる」

 

あー、言われてみれば、授業で習った気がする。あくまでそういうレースがあるってだけ聞いたから、記憶から飛んでたのかも。

 

「ドリームの名の通り、世代を超えた強者が集うことになるから、たとえトゥインクル・シリーズを引退してもトレーニングは欠かせないのさ」

「へ~。ってことは、私も会長やオグリ先輩と走ることができるかもしれないってこと?」

「とはいえ、ドリームトロフィーリーグに出るウマ娘なんてかなり限られるし、そもそも目立った故障もなく引退できなければ出走するのは難しいから、今は深く考えなくてもいい。そういうのは、早くてもシニアになってからだ」

 

まぁ、それもそっか。引退の話なんて、ジュニア級の私たちにはまだ早い。怪我なんかが原因で引退することはあるかもしれないけど、そうなったらドリームトロフィーリーグ以前の問題だ。

本当に、今はまだ考えなくてもいい。

 

「まぁ、その話はいいや。花火は、せっかくだし行こうかな。グランはどうする?」

「私も行きたい。挨拶もしておきたいし」

 

満場一致で、リギルの花火大会にお邪魔することになった。

ちなみに、一人だけ部外者だった私に配慮してか会長がずっとエスコートしてくれて夢女子になりかけた。

会長がイケメンすぎて惚れそう。

でも、私のジャージの裾をちょこんと摘まんでいたグランに挟まれてギリギリ落とされなかった。

というか、言葉に出さずとも態度で不満を表すグランが可愛すぎて思わず抱きしめそうになった。

でも、何が気に入らなかったんだろうね?私にはわからなかったし、たぶん会長もわかってないような感じだった。

わかってるっぽかったリギルのメンバーは遠巻きに見てて話しかけられなかったし、結局謎のまま旅館に戻って寝ることになったんだけど、一緒の布団で寝たら機嫌を直してくれたから結果オーライってことで。

まぁ、筋肉痛がひどくてそれどころじゃなかったけど。




や、やべぇ、自分にハジケリストはまだ早すぎた・・・!
というか、あれは世代じゃなければ追いつけないレベルでネタに偏ってるしなぁ・・・事前に履修しておけばよかったか・・・。
でもまぁ、シングレで品切れ喰らってたし、アニメでも後ろで食べてたし、これくらいならありえなくもない、か?
なお「麺類は飲み物」を地でいくハヤテ。オグリも「ぞばっ!」ってやってたしいけるいける。

「新サポカに出てきた新しいウマ娘デアリングタクト説」でてきて発狂しました。
というかメインストーリー全部良すぎてずっと発狂してました。
マジだったらめっちゃ嬉しいけど、もしそうでも実装はまだ先だろうなぁ・・・どうせならコントレイルも出てきてくんねぇかな・・・。
そうなったらキャラ設定がらk、わざわざ2019クラシック路線にした甲斐があったってもんですよ。
まぁ、実装がかなり先になるのはほぼ確定なので、半分くらいはオリキャラになりそうですが。
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