ただ走りたいだけ   作:リョウ77

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今回はちょっと長めです。
ついでに言うと後半くらいからグダグダ説明が続きます。


なんか私が悪いとか悪くないの次元を超えてきた

「・・・その、なんだ。お前は何かしら問題でも起こさないと気が済まないのか?」

「その、言い方はっ、いろんな、誤解を、招きそうっ、だから、やめて、くれないっ?」

 

翌日、私は気が付けば自室のベッドに寝かされていた。

イッカク曰く、タマモ先輩とゴルシ先輩が言い争っている(?)途中で私がのぼせて気を失ってしまったみたいで、それをゴルシ先輩が運んでくれたそうだ。なんか、私を丸ごと氷に埋めようとしたところをフジキセキ先輩に見つかってこっぴどく絞られたらしくて、さすがに罪悪感が芽生えたのかは知らないけど、その場で一番力持ちだったゴルシ先輩が私を起こさないように運んでくれたらしい。

ただ、その光景を他の生徒、特に新入生に見られたせいで、栗東寮でプチ騒動が起きたらしい。

なんか、どういうわけか「ゴルシがハヤテを襲った!」っていう噂が尾ひれどころか胸びれ腹びれ背びれのフルセットで後付けされ、主に新入生の間で「ゴルシ先輩っていうやばい奴がハヤテに変なことをした」みたいな空気になっているらしい。

一応、風呂場にいた面々とフジキセキ先輩、他にもゴルシ先輩を知っている先輩方には、ただ単に私がのぼせただけっていう正しい情報が伝わっているけど、どのみちゴルシ先輩関係で心労が溜まっていたのは間違いではないだろうから、噂の否定のしどころを探っているそうな。

ゴルシ先輩がやらかしたのは事実だけど、あくまで本人からすれば善意で悪意があるわけではないから、あんまりひどいことを言われるのはフジキセキ先輩としても本意じゃないらしい。

とはいえ、あの不可思議異次元生命体をよく知らない人が目の当たりにしたら、あれこれ変なことを考えてしまうのは仕方ないと思う。まぁ、その想像を軽々飛び越えるのがゴルシ先輩なわけだけど。

まさか事の発端が私の部屋に焼きそばを作りに来ただけなんて、誰が想像できるだろうか。

ただ、不幸中の幸いと言うべきか、私は被害者みたいな立場になっていて、私の寮の移動はおおむね受け入れられているらしい。

すべての元凶はゴルシ先輩だけど、さすがにこんなことになるのは私もちょっと予想外だったから、今度はちゃんと焼きそばをごちそうになろう。

あと、イッカクが私と同じ部屋に入って、なおかつ私がのぼせた時に介護してくれたのを見られたからか、私とイッカクが地元のよしみで仲がいいっていう噂も昨日の段階ですぐに広まった。おかげで、まだ正式に書類が受理されたわけじゃないけど、今日からイッカクがトレーニングに参加できることになった。

散々な目に遭ったけど、結果的にプラスになっているあたり、やっぱりゴルシ先輩は悪人というわけじゃないんだろうね。ちょっと善悪の定義が世間一般からかけ離れているだけで。

 

「それって、以前にもハヤテちゃんが騒ぎを起こしたことがある、ってことですか?須川トレーナー」

 

そのイッカクは現在、腕立て伏せをしている私の背中の上に正座で座っている。

もうすでに500回くらいはやってるかな。私が昨日のことを話すために、回数は須川さんがカウンターで数えてくれているけど、単純に回数を数えながらするよりも昨日のこと思い出しながら喋ってる今の方が辛い気がする。

 

「騒ぎってほどじゃないが、オグリキャップにお姫様抱っこされて、羞恥で気を失ったってのは電話で聞いた」

「ハヤテちゃん・・・?」

「あの時はっ、三女っ、神像、の前、でっ、急に、頭が、痛くっ、なって、それでっ、心配っ、してくれ、てっ、運んで、くれたのっ!」

 

決して百合百合していたわけではない、と言いたい。

 

「599、600!よし、いったん休憩だ」

「あ˝い」

「わかりました」

 

イッカクが私の背中から降りたのを確認してから、私は地面に座り込んで須川さんから水筒を受け取った。

 

「ふぅ~。にしても、前まではおもりを乗せてたけど、今日はイッカクなんだね」

「一番手っ取り早いからな。まぁ、さすがに男の俺が上に乗っかるのはいろいろとアウトだから、今まではやらなかったわけだが」

「イッカクが来てくれたから、トレーニングの幅が広がりそうだね」

「そ、そんな、私だって、少しでもハヤテちゃんの役に立ちたいから・・・」

「書類が受理されたら、他にもできることが増える。明日までの辛抱だ」

「わかりました」

 

トレーニングに参加できる目星がついて、イッカクも上機嫌だ。よかったよかった。

 

「それで・・・美浦寮に移るのは確定か?」

「うん。まぁ、さすがにゴルシ先輩もいい加減自重してくれると思いたいけど、なんかそれ以前に『やっぱやめます』って言える空気じゃなくなってきちゃってるし、なんならすでに荷物を運び出されてるはずだし」

 

荷物まとめに関しては、イッカクが夜中に私の分までやってくれた。ほんとに感謝しかない。

まぁ、栗東寮の中だけで解決できればよかったんだけど、ゴルシ先輩っていう爆弾が関わってくる以上、やっぱり確実なのは美浦寮に移ることになっちゃうんだよね。

 

「須川さん的にはどうなの?」

「俺個人としては・・・まぁ、いいんじゃないか?ぶっちゃけ、俺もゴールドシップのことをよく知ってるわけじゃないが、ゴールドシップ自身に問題がなくとも、噂の只中で普通に暮らしていられるほど、お前も心臓強くないだろ」

「美浦寮でも似たようなもんだと思うけど・・・そもそも、移動を言い出したのって私じゃなくてイッカクだしね」

 

そう言って、チラリとイッカクを見やった。

 

「やっぱり、自分が入る前に他の生徒が勝手に入ってたのは嫌だった?」

「そう、かな。それに、匂いがついてそうだったし」

 

あ~、それはあるかも。私も焼きそばの匂いが染みついた部屋で平常でいれらる自信はないなぁ。

こう、夜中でも食欲が抑えきれなくなりそう。

 

「それと、あくまで憶測だが、フジキセキやヒシアマゾン、会長殿はゴールドシップのことを考えてのことかもしれないな」

「そうなの?」

「あれの善意は世間一般とは大きく異なっているが、悪意から行動することは滅多にない。だが、あれをよく知らない奴はそれが分からないことが多い。今回騒いでるのも、おそらく関わりの無い新入生がほとんどだろう。ほとぼりが冷めるのを待つという意味でも、渦中にいるハヤテを遠ざけるのは間違ってない判断だ。おそらくだが、お前は他よりも外泊しやすい扱いになるんじゃないか?相手がいるかどうかは別だが」

「失礼な。相手くらいちゃんといるよ」

 

オグリ先輩とタマモ先輩しかいないけど。

 

「本当、新入生とは思えない特別待遇だな」

「あんまり特別扱いされてもなぁ」

「会長殿をはじめとして方々に気に入られたからな。今さらだ」

 

同じく地方から来たオグリ先輩だってこんな待遇受けてないと思うんですけど。

というか、私って中央に来てからあらゆる先輩に気に入られてるんだけど、もしかして・・・

 

「・・・私って、そんなに魅力的だったりします?」

「ハッ」

 

鼻で笑いやがったこいつ。

 

「須川トレーナー。ハヤテちゃんはとても魅力的です。笑うのはどうかと思いますよ」

「お、おう?そ、そうか、うん、そうだな。悪かった」

 

イッカクが力説するのを前に須川さんがたじたじになる。

そんなストレートに魅力的だって言ってくれるのは嬉しいけど、そんなにか?とは思う。

見た目は・・・まぁ、自分で言うのもなんだけど、可愛い方だとは思う。でも、胸はあんまり育ってないし、どちらかと言えばボーイッシュな格好のことが多いから、言うほど可愛いとか魅力的って言葉が追い付いてないような気もする。

 

「まぁ、真面目な話、デビュー戦を見てハヤテのことを期待してるってやつは大勢いる。そう言う意味じゃ、魅力的ってのもあながち間違いじゃないだろ」

「そんなもん?」

「そんなもんだ」

 

いまいち実感が湧かないなぁ。デビュー戦しか出てない上に、私自身そういうのにあまり興味ないから当たり前かもしれないけど。

・・・そうなると、美浦寮での私の評判がどうなってるのか、ちょっと気になるなぁ。

せめて、平穏に過ごせることは願おうか。

 

 

* * *

 

 

「やぁ、クラマハヤテ。今日からよろしく頼む」

 

平和は死んだ。

なんでいるんですか会長。

いや、会長だって美浦寮で生活してるんだから、いるのは当然と言えば当然だけど、なんでわざわざ待っててくれたんですか。

 

「こんにちは、会長。その・・・ヒシアマゾン先輩は?寮長だと伺ってるので、てっきり挨拶するものだと思ってたんですが」

「実は、君たちが美浦寮に引っ越すということで、歓迎会をしようという話になってね。ヒシアマゾンはその準備をしているところだ」

 

いや話が進み過ぎて心臓が口から出そうなんですが。

え?そんな話欠片も聞いてないんですけど?ていうかたかが新入生が移ってきただけにしては大事過ぎない?

 

「歓迎会といっても、私やヒシアマゾンを含めた美浦寮にいるリギルのメンバーだけのささやかなものだ。グランアレグリアから、君はあまり大規模な集まりは好まないだろうと聞いているからね」

 

ありがとうグラン。グランが美浦寮にいてくれたおかげでどうにか私の精神は死なずに済んだ。

いやまぁ、リギルのメンバーって時点でやばい人たちが揃ってるのは変わらないし、なんなら人数もかなり多いから大して変わらなさそうだけど、マシになったと思えばまだなんとか。

でも、それはイッカクも似たような感じだったみたいで、珍しく恐縮しっぱなしに見える。

 

「その・・・私までいいんですか?ハヤテちゃんと違って、私はただのスタッフ研修生ですけど・・・」

「何を言う。トレセン学園に来たのであれば、競争ウマ娘だろうとスタッフ研修生だろうと、そこに貴賤はない。友人を支えるために地方から来たのであれば、なおさら共に歓迎しなければならないだろう」

 

この生徒会長、性格まで完璧すぎない?器のデカさが太平洋超えてそうなんだけど。

まぁ、それを私たちが望んでいるかどうかは別として。

でも、ここまで大袈裟にやってると、ついつい勘ぐりたくなるな。

なんか、私の勘が何か他に理由があると告げている。

 

「・・・こう言ったらあれですけど、もしかしてゴルシ先輩か須川トレーナー、あるいはその両方で何か問題があったりします?」

 

思い切ってそう尋ねると、会長がわずかに眉をひそめた。

これは、当たりかな?

 

「そうだな・・・ここで話すことではないな。少し移動しようか。君たちの部屋で構わないか?鍵もヒシアマゾンから預かっている」

「いいんですか?荷物とか片付いてないと思いますけど」

「構わない。どうせなら、私も片付けを手伝おうか?」

「いえ、さすがにそれは結構です」

 

会長に片付けを手伝わせるとか申し訳なさすぎるので。

とりあえず、会長に部屋まで案内してもらった。とは言っても、構造自体は栗東寮とそこまで変わらないから、迷うことはなさそうだけど。

部屋の中に入ると、すでに私たちの荷物がある程度並べられていた。ただ、壁に立てかけられているゴルシ先輩の焼きそば優先無料券の存在感が地味にでかい。

椅子でも用意しようかと思ったけど、その前に会長がベッドに腰かけたから、私たちもそれに倣って二人で並んでベッドに腰かけた。

 

「さて・・・ゴールドシップと須川トレーナー、どちらから聞きたい?」

「両方あるのは確定なんですね・・・じゃあ、ゴルシ先輩から」

「ふっ、君は愛称の方で呼ぶんだな」

「まぁ、初対面の屋台でゴルシって名乗られてたので、その流れで」

 

ちなみに、私が須川さんのことをトレーナーって呼ばないのも似たような理由だったりする。初対面の第一印象が怪しいおっさんだったし、1ヵ月の仮契約もあったから、どうにもトレーナーって呼ぶ気がしないまま今に至る。

 

「そうか。ということは、君はゴールドシップのことを聞いている、ということでいいかな?」

「一応は。行動はぶっ飛んでますけど、基本的に悪意で動くことはないって」

「そうだな。概ねその通りだ。だが、全員が全員、そのことを知っているわけではない。第一印象が悪くなると特に」

「まさか、美浦寮でもそういう噂が流れてるんですか?私がゴルシ先輩に襲われた、みたいな」

「むしろ、噂の又聞きになっている分、一部曲解されているものもある。それこそ、ゴールドシップが君に悪質ないたずらをしようとした、とね」

「天井に穴開けて無断侵入は十分悪質ですけどね」

 

そのおかげで部屋を追い出されてるんだから、その点に関しては私も割とキレてる。

会長もその辺は同意見なのか、思わず苦笑を浮かべていた。

 

「それに関しては、君の気持ちも十分理解できる。だが、問題なのが『悪質』という部分が独り歩きしている、ということにある」

「まさか、それで好き勝手言ってる学生がいるってことですか?ゴルシ先輩は悪辣なウマ娘だ、みたいな感じで」

「厳密には、新入生の間でそのような流れになってもおかしくない、というのが正しいね。君がゴールドシップを蹴飛ばしたという噂も、それに拍車をかけている。それを払拭するためにも、やはり君から事実を語る機会を作りたかったんだ」

 

なんというか、思った以上に大事になってたらしい。

でも、どうしてそんな事態にまで発展してんだろ。

そんな疑問が表情に出てたのか、会長が説明してくれた。

 

「この問題の原因は、互いに学園から注目されていることにある。片やオグリキャップにも引けをとらないだろう地方から殴り込みにきた逸材、片や公私で派手な行動を振りまいて強い印象を残している破天荒。注目している人数が多い以上、どうしても噂の出所は多くなる」

「そして、情報もねじ曲がりやすくなる、ということですね」

 

私の編入初日もそうだったけど、私は同期からけっこう注目されてる、らしい。だから余計に、ゴルシ先輩をよく知らない新入生の間で噂が回るのも早かったのかもしれない。

 

「でも、新入生って言っても、そんなにゴルシ先輩のことを知らないものなんですかね?あれだけ派手なら、ゴルシ先輩の人柄って知れ渡りそうなものですけど」

「学外なら、エンターテイメントの色合いも強いからそうかもしれない。でも、学内でプライベートな部分も関わってくるとなると、必ずしもそうとは言えなくてね。そもそも彼女は神出鬼没だし、自分から特定の新入生相手にちょっかいをかけるのは極めて稀だ。それに何より、素性もあまり明らかになっていない」

 

・・・ん?

 

「え?トレセンの生徒なんですよね?」

「それはそうなんだが・・・実は、それを証明できる書類が存在しなくてね。在学している、という事実は確認できても、入学日はおろか学年ですら私や学園も把握していないんだ。これでも、私は1度顔を覚えれば忘れないから、間違いないと言っていい」

「・・・なんでいるんですか?」

「それを知っているのは彼女だけだろうね。まぁ、尋ねたところでまともな答えは返ってこないだろうが」

 

・・・とりあえず、ゴルシ先輩のことは考えるだけ無駄、と。

 

「そういうことなら、ゴルシ先輩のことはわかりました。私の口から事実を言って、誤解を払拭してほしい、ってことですね?」

「その通りだ」

「まぁ、私もちょっと悪いかなって思ってましたし、焼きそばも食べたいので、協力します。イッカクもそれでいい?」

「まぁ、ハヤテちゃんがそれでいいなら・・・?」

 

イッカクがどこまで納得してるかはわからないけど、とりあえずゴルシ先輩のことに関しては解決方向に動くってことで。

焼きそばは美味しかったから、私にできることはやろう。

 

「それで、次は須川さんのことですよね?」

「そうだな。だが、その前に・・・2人は、須川トレーナーについてどこまで知っている?」

「私はだいたいのことは聞いてます。昔なにがあった、とか」

「私はなにも・・・」

 

会長も全部知ってるっぽかったから、私から須川さんのあれこれを話すことにした。

天才と呼ばれて驕っている時期があったこと、それが祟って練習中に担当ウマ娘の1人が怪我をして、それが原因で引退することになったこと、それを他の恨みを買ったトレーナーから叩かれてトレーナー業を干されることになったこと、そして、私はそれを聞いて特に須川さんのことについて何も気にしていないこと。

最後まで聞いたイッカクの表情は、複雑そのものだった。

 

「そっか・・・そういうことがあったんだ」

「うん。ちなみに、イッカク的にはどう?」

「私も、別にって感じかな。ハヤテちゃんがいいならそれで」

「それでいいんだ・・・?」

 

私がいいならそれでいいって、ちょっとメンヘラ拗らせてない?大丈夫?私いつか無理心中されない?

 

「まぁ、それは置いといて、実際の所、今でも須川さんを目の敵にしてる人ってどれくらいいるんですか?」

「そう多くはない。というより、心から敵対視しているのは1人しかいない」

「例の、須川さんにチームを奪われたトレーナーさんですか?」

「そうだ。それに、彼は曲がりなりにも優秀なベテラントレーナーだ。他のトレーナーやウマ娘にもそれなりの影響力を持っている。彼が須川トレーナーを悪人呼ばわりすれば、それに賛同する者も少なからず現れる」

「でも、それって今さらじゃないですか?それならもっと早い段階で文句を言ってきてもおかしくないと思いますけど」

「そうだ。事実、彼のトレーナーも今まで口を出すような真似はしなかった。だが、今回の事件で無理やりこじつけてでも悪評を立てようとしたらしい」

「え?それってどういう・・・もしかして、私ですか?」

 

まさかと思って確認すると、会長は静かに頷いた。

 

「今回の事件はクラマハヤテにも問題があるのではないか、そしてそれは担当しているトレーナーの責任でもないか、そういう噂を立てようとしたらしい」

「・・・それ、上手くいくものなんですか?」

「さて、どうだろうね。結果的に、君が被害者としての噂の方が広まるのが早かったから、彼の目論見は失敗している。だから、今回の件と直接関係があるわけではないが、私としても君が彼の標的になるのは避けたい。理事長からも注意がいっているはずだ」

「そういえば、今まで理事長に会ったことありませんね」

 

学生を除けば、今まで会った学園関係者って須川さん、沖野さん、東条さんくらいかな?むしろなんで今まで会ってないのか不思議なレベルだ。

 

「あの人もあの人で忙しい身だからね。なかなか時間が取れなかったようだ。だが、近々話しをしたいとは聞いている」

「わかりました」

「話を戻そう。そういうことがあったから、円満に寮を移ったということをアピールをするために、今回の歓迎会を開くことになったんだ」

「・・・そんな面倒くさいところまで突いてくるんですか?」

「彼が優秀なのは間違いないが、須川トレーナーのことが絡むとどうしても、ね」

 

どんな恨みの買い方をしたんだ須川さん。イッカクのラブコールがマシに思えてきそうなドロドロ具合なんだけど。

これ、場合によってはいつか直接叩き潰すのも視野に入れないとだめかなぁ。

 

「まぁ、そういうことならわかりました。ここまで準備してもらって断るのも申し訳ないですし、引き受けさせていただきます。イッカクもいいよね?」

「ハヤテちゃんのためになるなら、こちらこそ」

 

とりあえず、事情はわかったということで話はまとまった。今回の話も、明日須川さんにしておかないと。

 

「では、そろそろ私は戻るとしよう。歓迎会は7時から始まるから、それまでに食堂に来てほしい」

 

そう言って、会長は部屋から出て行った。

7時からか。今は6時過ぎだから、あと1時間もない。部屋の片づけをするにしても中途半端・・・

 

「ふぅ、思ったより大事になっちゃったね、ハヤテちゃん・・・ハヤテちゃん?」

「あああぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁ!!」

 

や、やばいっ、なんか大事になり過ぎて胃が跡形もなく溶けそう!心臓もバクバクなり過ぎて破裂しそうだし!ていうか会長を自分の部屋に上がらせるってやばくない!?しかも須川さん抜きで話すのも初めてだし今までで一番長く話したし前よりもいろんな表情を見れた気がするし何よりベッドに座って向かい合ってたからメッチャ顔が近くてまつ毛とか唇とかくっきり見えたし会長が美人すぎてそんな会長が心から私を心配していろいろと便宜を図ってくれているしというかあんな会長と同じ寮で暮らすってことはもしかしたら一緒にお風呂に入ることがあるかもしれないってことでそんなの考えたらもう情緒がめちゃくちゃにぃぃぃぁぁあああ!!

 

 

 

結局、この後歓迎会が始まるギリギリまで私はベッドの上でのたうち回った。

なんかイッカクからゴミを見るような視線を向けられたけど、こればっかりは仕方ないと思うんだ、うん。




やべー奴だけど悪い奴じゃないゴルシを初見で理解できる人って実は意外と少なそう。ウマ娘世界の新入生とかは特に。
リアルでも、120億事件でゴルシのことをよく知らずに賭けた人はキレてたらしいですし。
それでもその全てを「ゴルシだから」で黙らせられるあたり、やっぱゴルシなんだなって。
これを機に広辞苑並みの分厚さがある対ゴルシマニュアルが作られそう。

基本的にウマ娘同士って仲がいいですしレースでドロドロさせるのはちょっと気が引けますけど、トレーナー間なら泥沼の1つや2つはあっていい気はする。
実力主義ならなおさら、才能の差で嫉妬に狂うトレーナーだって1人くらいは見たい・・・見たくない?

余談ですが、ウマ娘化されてない競走馬、ウマ娘化はしてるけど実装されてる面々の中でリギルに所属してそうなのって何がいるんでしょうね。
競走馬枠だと、アーモンドアイは間違いなく所属してそう。あと、シービーは分かんないですけど、ルドルフとかブライアンいるなら三冠は基本的にリギルに集中してそう。
でもオルフェーヴルはスピカですね間違いない。てかステゴ産駒は基本的にスピカいってそう気性的に。
とりあえず、夢だけ広げていきましょう。それくらいが面白い。
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