違うそうじゃないって感じではありますけど、前のニシノフラワーと合わせてようやく短距離をバクシン&ヘイローから卒業できます。
今までありがとう、バクシン&ヘイロー。でも2人を覚醒5レべにして育成終わらせるまでもうちょい頑張ってくれ。夢の煌めきと諸々の優勝レイ(主に新タマモ用の春天レイ)がいくらあっても足りないんじゃ。
それはさておき、ついにあのウマが登場です。
それと、今回は血縁に関して大幅に独自解釈を入れています。
それを踏まえた上でご覧になったください。
皐月賞が終わってから、その翌日からそれはもう忙しくなった。
まずは、雑誌の取材がバカみたいに増えた。地方出身で無敗の皐月賞制覇だから注目されるのはそりゃあ当然だろうけど、にしたってめちゃくちゃ多かった。
ちなみに、そのめちゃくちゃ多かった取材だけど、あれでも学園と須川さんで厳選したらしい。厳選しなかったらどんな量になったんだか。
次に、企業からグッズの提携の話も出てきた。要は私モデルのグッズを製作・販売させてくださいって話で、これもジャンルによっていろんな企業から話が来る。ぬいぐるみからマグカップまで、いろんな企業から打ち合わせをした。
余談だけど、今のところ私のお気に入りはデフォルメキャラのキーホルダーで、聖蹄祭のときのデカ盛り次郎系ラーメンを食べてるときの様子がモチーフになってる。サンプルはもらえるらしいから、届いたらオグリ先輩にプレゼントしよう。スペシャルウィーク先輩の分は・・・あったらでいいや。
まぁ、そんなこんなでここ最近は午前の授業が終わってからは記者の取材と企業との打ち合わせで予定が埋め尽くされた。
一応、トレーニングを再開するようになってからある程度は減ったけど、まだまだ予定は埋まってるから忙しいことに変わりはない。というか、トレーニングの分でさらに忙しくなった。
だけど、今日は違う。取材や打ち合わせもないし、トレーニングもそんなに予定は入っていない。なんなら授業すら休める。
もちろんサボりとかじゃそういうのじゃない。
今日は、私の1つ下の世代の選抜レースが行われる日だ。
選抜レースっていうのは、トレーナーがついていないウマ娘が参加できるレースのことで、大勢のトレーナーが観戦している中でレースをする。そして、その結果や走り次第でトレーナーにスカウトしてもらうという、ウマ娘にとっての一大イベントだ。
逆に言えば、ここで結果を出すことができなければトレーナーがつかないと言うことでもあって、ある意味ではクラシックレースやG1レースよりも重要な、それこそ今後の運命が決まる重大イベントでもあるわけだ。
まぁ、私は直で須川さんにスカウトしてもらったから、がっつりスルーしてるけどね。
んで、じゃあなんで私が授業を休めるのかというと、トレーナーがチームじゃなくて専属でやっている場合、スカウトするウマ娘と担当の相性が悪いと今後の成績に響く恐れがあるから、こうしてトレーナーと一緒に選抜レースを観戦してスカウトするウマ娘を決めることができる。
だから、今日のためにわざわざ公欠届を出してここに来たというわけだ。
ちなみに、いつものごとくイッカクはお留守番だ。「ハヤテちゃんがいいって思った娘ならそれでいい」らしい。相変わらず私ファーストだなぁ。
「それで、須川さんが気になっている娘って誰がいるの?」
「さぁな。血筋や前評判であれこれ言うのは簡単だが、本当の実力は実際に見ないとわからん」
渋いこと言うねぇ。あるいは、特別な目を持つ須川さんだからこそのこだわりなのかな。
「じゃあ、距離は?」
「お前との併走を視野に入れるなら、1800mから2000mだな。ジュニア級でこの距離をなんなく走れるなら、クラシックも問題ないだろう。欲を言えば、お前と走れるようなステイヤーが欲しいが・・・まぁ、それは高望みだな。お前みたいな突然変異が何人もいるはずがない」
「それ褒めてるの?それとも貶してるの?」
「褒めてる褒めてる」
ほんとぉ?
ジト目で須川さんを見続けると、須川さんはフイっと目を逸らした。
やっぱ私のこと「頭おかしいやつ」って思ってるんだなこいつぅ。
「まぁ、それはさておきだ。そろそろ始まるぞ」
須川さんが言った通り、トレーニング場のコースでは今年入学したばかりのウマ娘たちが走っていた。
「ん~・・・今年入学したばかりってのを差し引いても、なんか全体的に小粒って感じだね」
「あぁ。ポテンシャルがあるウマ娘もいるにはいるが、飛び抜けたやつはいないな。あるいは、単に遅咲きが多い可能性もあるが・・・」
他のトレーナーさんを見る限り、私たちの考えとそう変わらないっぽい。
できることなら、即戦力とまでは言わなくても、せめて私がクラシックにいる間に一緒に走れるような娘がいいかな。
そんなことを考えている間も、選抜レースはどんどん進んでいく。
今のところ、これってのは見つからない。というか、そんな娘がいたら他のトレーナーが食いつくだろうことは容易に想像ができる。
ん~、最悪今年も私1人で頑張るのを視野に入れた方がいいかな~。
なんてことを考えていると、次のレースの準備が整った。
「・・・ん?」
その中の、1人のウマ娘が目についた。
そのウマ娘は他と比べると小柄で、青鹿毛に額には白い流星が走っている。体格は、他と比べると小柄かな?
私の様子が変わったのを目ざとく気づいた須川さんが尋ねてきた。
「ハヤテ、誰か気になる奴でもいたのか?」
「うん。あの青鹿毛に白い流星の娘」
「どれ・・・あれは、コントレイルだな」
「コントレイルって名前?」
「あぁ。他のトレーナーの間でも話題になってたらしい。なにせ、ディープのウマ娘だからな」
「ディープ・・・?」
コントレイルの名前のどこにディープって文字があった?
まぁ、それはさておき、私でもディープの名前は知ってる。
なにせ、史上2人目の無敗の三冠ウマ娘になった、あのディープインパクトによって生まれた新興の名門だからね。歴史という面で言えばシンボリやメジロには及ばないけど、あそこから数多くの名バが輩出されたって聞いてる。
「いわゆる分家・・・とはちょっと違うが、本家からは少し遠いらしい。たしか、母親は一般家庭からディープ家に入ったって話のはずだ」
須川さん曰く、新興の名門だからこそ他の優秀なウマ娘を取り入れる動きがわりと活発に行われているらしい。海外はもちろん、それこそ一般家庭からも。
コントレイルとその母親も、そういう経緯でディープ家に入ったという話だそうだ。
「お前は知らなかったかもしれないが、グランアレグリアもディープのウマ娘だ。血筋もよくて、ディープ家では初めてスプリントで活躍するかもしれないと期待されている」
「え、そうなの?」
そんな話、一度も聞いたことがなかった。
でも、有名なウマ娘といても慣れている様子だったし、言われてみれば納得、かな?
「それよりも、レースが始まるぞ」
須川さんの言葉でハッとして、私はターフに意識を向けた。
それとほぼ同時に、レースもスタートした。
スタートはきれいに決まって、コントレイルは中団に控える。
「ほう、綺麗な走りだな。休養明けだと聞いていたが」
「なんか怪我でもしてたの?」
「あぁ。球節炎で半年近く養生していたはずだが、ブランクを感じさせないのは見事だな」
話している間にも、レースは最終直線に入る。
その展開は、何か特別なことがあったわけじゃない。
スパートをかけたコントレイルが、当たり前のように前に出て、そのままゴールした。
良く言えば『優等生の走り』、悪く言えば『教科書通りの走り』、良くも悪くも面白みのない走りではある。
だけど、そんな面白みのないであれだけ圧勝できると言うことは、それだけ素のポテンシャルが高いということだ。
「なるほどね~。この世代はあの娘かな?」
「お前のスタミナやグランアレグリアの末脚のようなずば抜けた何かを持っているわけではないが、地に足を付けた強さだ。家での指導がよかったのか、元々ポテンシャルを持っていたのかまでは知らんが」
うん、欲しい。
ぜひともうちに来てほしい。
ただ、私たちは動き出すのが遅れてしまって、コントレイルはあっという間に囲まれてしまった。
「あ~・・・一応、私たちも行く?」
「だな。一言くらい声はかけておこう」
周囲と比べればゆっくりとした足取りで、私たちもコントレイルの下に向かう。
どうせ、これだけの数のトレーナーにスカウトされてるなら、すぐに返事を返すことはないはず。
ただ、その判断はちょっと甘かった。
「あっ、東条さんがいった」
「マジか」
まるで海を割るモーセのように、東条さんは大勢のトレーナーの間を通り過ぎていく。
傍から見ると、やべー奴が来て道を空けているように見えなくもないのはちょっと面白いかな。
とはいえ、東条さんが率いるチーム・リギルはまさに最強の名にふさわしいチームだ。そのトレーナーから直々にスカウトされたとなれば、断る理由はまずない。
「これ、コントレイルはリギルに行っちゃうかな?」
「だろうな。まぁ、様子くらいは見ておこう」
もはや『リギルのトレーナーが世代最強候補のウマ娘をスカウトする』というイベントを見に行くようなノリで、私と須川さんも人混みを割ってコントレイルに近づく。
ていうか、私が来たら来たでトレーナーさんたちの方から道を空けてくれた。
内心で『おらおら、今のクラシック最強のお通りじゃい』な気分を味わいながら、コントレイルの前まで進んだ。
とはいえ、スカウトを邪魔しないように東条さんよりも一歩引いた位置だけどね。
「お前たちは・・・」
「ども、お久しぶりです。あっ、こっちのことは気にせずに、どうぞ続けてください」
別に横取りするつもりはないという意思表示のために、もう一歩下がっておく。
それで東条さんも私たちのスタンスを感じ取ったのか、改めてコントレイルに向き直った。
「では改めて、私のチームに来る気はないか?コントレイル」
そう言って、東条さんは手を差し伸ばす。
それに対して、コントレイルは姿勢を正して、
「すみません、お断りします」
丁重に頭を下げて断った。あらやだ、すっごい礼儀正しい。
いや違う、そうじゃない。え、マジで?リギルのスカウトを断るの?
ほら、東条さんが手を差し伸ばした姿勢のまま固まっちゃてるじゃん。周りのトレーナーもまさかの結果にざわついている。
いったいどういうつもりなんだろうか。
そう思ってたら、今度は私たちの方に近づいてきた。あ、近くで見ると私とほとんど変わらないくらいの身長だったんだ。
ていうか、え?なに?何のつもり?
「あの、すみません。クラマハヤテ先輩と、そのトレーナーさんですよね?」
「あ~、うん。そう、だよ?」
「あ、あぁ。須川甚一だ」
「初めまして、コントレイルです。僕をスカウトしてください」
・・・・・・ん?
「ごめん、今なんて?」
「僕をスカウトしてください」
「・・・マジ?」
「はい」
「マジのマジ?」
「はい、本気です」
こ、これはっ、噂に聞いた逆スカウトってやつ!?まさか自分が体感することになるとは。いや、どちらかと言えば体感してるのは須川さんの方かな?
「え~と、なんで?」
「今のクラシックで一番強いのは、クラマハヤテ先輩だと聞いてます」
「え?そ、そう?」
へぇ~、ふぅ~ん、そっかぁ~。
なんていうか、同じウマ娘の後輩からそう言われると、なんかすごいむず痒くなるな。
「ま、まぁ?それほどでも?あるかぐぇっ」
ちょっとデレデレしたら後頭部にチョップを喰らわされた。
「・・・別に叩くことはないじゃん」
「テンションの上がり過ぎで勢い余ってゲートにぶつかったやつが何を言ってるんだ」
「ノーコメント」
結果的に勝ったからヨシってことにしてもらえない?してもらえないかぁ。
そんな私に代わって、今度は須川さんがコントレイルに質問を始めた。
「たしかに、今のクラシックで一番強いのはこいつだ。だが、今のURAで最強なのはアーモンドアイで、そのアーモンドアイが所属しているのはリギルだ。それに、リギルには2人のクラシック三冠を始めとして数多くの強者がいる。切磋琢磨すると言う意味でも、才能を磨くと言う意味でも、お前さんに適しているのはリギルだと思うが?」
なんかやけにリギルの肩を持つなぁ~。
なんて思っていると、須川さんの視線がチラチラと東条さんの方に向いていた。
それに釣られて私も東条さんの方を見てみると、なんかものすごい表情をしていた。
あくまでコントレイルの意思を尊重するつもりなんだろうけど、それはそれとして自分がスカウトしたウマ娘にフラれた挙句、目の前で知り合いを口説いている様子を見るのはいい気分じゃないんだろうね。
「いえ。
でも、そんな須川さんの説得もむなしく、コントレイルの意思はダイヤモンドばりに固かった。たぶん、私が「リギルの方に行ったら?」って言っても意味はなさそう。
まぁそれ以前に、私はコントレイルを逃がすつもりは欠片もないんだけどね。
「うん、私はぜんぜんいいよ。す・・・トレーナーもいいよね?」
「え?あ、あぁ、ハヤテがいいなら別に構わないが・・・」
よっしゃ、期待の新人ゲット。
なんで負けたか、明日まで考えといてください。そしたら何かが見えてくるはずです。ほな、いただきます。
「んじゃ、よろしくね、コントレイル」
「よろしくお願いします、クラマハヤテ先輩」
こうして、私は将来有望な後輩をゲットすることができた。
後日談だけど、須川さんはお詫びというか半ば腹いせのような形で、須川さんの奢りで東条さんとなぜか巻き込まれた沖野さんとでバーに飲みに行ったらしい。
なんか、沖野さんも過去にリギルのウマ娘を奪うような形になったことがあるみたいで、その繋がりで飲みに行ったらしい。
まぁ、須川さんは「通帳の桁が減りそうなんだが・・・」って嘆いてたけど、コントレイルをゲットできた分と考えれば安い方でしょ。知らんけど。
もしウマ娘にディープインパクトがいたら、という世界線を自分なりに史実準拠でシビアに考えてみました。
というか、二次創作要素てんこ盛りとはいえ史実を考えればこれくらいはやっててもマジでおかしくないんだよなぁ。
誰だ、最近の競馬を『ディープの運動会』って言ったの。
まぁ、さすがにディープ産駒すべてをウマ娘世界でも全員血縁にするのは無理なんで、その辺は絞りますが。
ちょっと種付けしすぎですよディープインパクトさん。
ついでに、コントレイルは僕っ娘にしました。
いい加減、一人称が『私』のキャラが増えてきたのと、自分のイメージ的に私より僕の方が合ってる気がしたので。