ただ走りたいだけ   作:リョウ77

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ミスターシービーが実装されて、無事発狂しました。カツラギエースのウマ娘化と合わせて、シービーが好きになるきっかけになった某二次創作に思わず感想を投げにいってしまいました。
ターボ実装は予想通りでしたが、星1は思わず笑いましたわ。
新シナリオは・・・なんか情報が多すぎて途中から宇宙ネコになっていました。


これが頂点の世界か・・・

楽しみにしているときほど時間は早く過ぎるもので、あっという間にドリームトロフィーリーグの開催日になった。

 

「えーっと、たしかこの辺・・・あ、いたいた。おーい、コントレイルー!」

「ハヤテ先輩、イッカク先輩も、おはようございます」

「おはよう、コントレイル」

 

集合場所にしていた駅前の広場で座りながら待っていたコントレイルを呼ぶと、コントレイルもこっちに気付いて近づいてきた。

おはようって言うには少し遅いけど、まだ昼前だからギリセーフってことで。

 

「にしても、やっぱり人が多いね~。さすがドリームトロフィーリーグ」

「かつて頂点に君臨したレジェンド級のウマ娘によるレースですからね。当然と言えば当然です」

「なんていうか、アレだよね。アベ〇ジャーズ的な感じだよね」

「まぁ・・・あながち間違いじゃないですけど」

 

好きな人はとことん好きだよね、そういうの。私もけっこう好き。

ちなみに、私も有名と言えば有名ということで、帽子をかぶって伊達メガネもかけながら気合を入れて変装した。

これで一目で私とわかる人はそうそういないはず。

 

「んじゃ、集まったし早めに行こっか。東京レース場だよね?」

「うん。今回の夏のドリームトロフィーリーグは東京レース場の芝2400mだから」

 

今回のレースは、ダービーやジャパンカップと同じ条件の超王道コースだ。これもたぶん、ファンが多くなっている理由の一つなんだろうね。

私としても、勝てなかったダービーと同じ条件ってことで興味津々だったりする。

 

「今日出走するのは、知ってる人だと会長にスぺ先輩、テイオー先輩、オルフェ先輩、ウオッカ先輩、あっ、オグリ先輩もいる。他は・・・うわ、ナリタブライアンさんにミスターシービーさんに、ディープインパクトさんまで来てんの!?やっべー、三冠ウマ娘勢ぞろいじゃん!」

「須川トレーナーから聞いた話だと、ここ最近は第三次ウマ娘ブームが起こりつつあって、それを逃さないためにURAがかなり気合を入れてたって」

「なるほどね~」

 

そういえば、そんな話を聞いたことがある気がする。

その証拠に、合宿が終わったら私も企業提携とか取材の予定がけっこう詰まってる。

一応、菊花賞の1ヵ月前からはトレーニングに集中することになってるから期間は短いけど、逆に菊花賞が終わったらまた大量にそう言う話がくるんだろなー。

 

「にしても・・・ディープインパクトさんまで出てるのは、ちょっと意外かも。家のことで忙しいって聞いたことがあるけど」

「あの人も、いつも机の前で書類に向き合ってるわけじゃないですから」

 

ふと呟いた私の素朴な疑問に答えたのはコントレイルだった。

そういえば、コントレイルは面識があるのか。

 

「そうなんだ」

「ディーさ・・・ディープインパクトさんは他のウマ娘と比べても走りたいという欲求が強いので、現役は余裕をもって引退したこともあってドリームトロフィーリーグには積極的に出ようとしてます。というより、予定やレース条件が嚙み合わない場合を除けば毎回出てますよ」

「あれ、そうだったっけ?・・・いや、そうだったか・・・」

 

私が見たレース映像の中にディープインパクトさんの姿は・・・いや、いたな。知り合いや逃げウマ娘に意識が向いていたから、すっかり記憶から抜け落ちてたわ。

ディープインパクトさん、後方からごぼう抜きの差し・追い込み戦術・・・いや、戦術じゃないな。スペックに任せたごり押しだ、あれは。参考にできたもんじゃない。

逆に言えば、基礎スペックだけであの人外魔境の中でも頭一つ飛び抜けているってことでもあるから、本当に化け物としか言いようがない。

 

「・・・うん。それは置いといて、お昼ご飯はどうする?」

「露骨に話題を逸らしましたね」

「いやいや、この人混みだよ?持ち帰りで食べるにせよ店内で食べるにせよ、早くした方が良さそうじゃん?」

「はいはい。そうだね、ハヤテちゃん」

「そんな露骨な対応しなくても・・・」

 

もうちょっといい反応をしてくれたら私も嬉しいんだけどなー?

とりあえず、虚しくなったこの気持ちは思い切りラーメンを食べることで晴らした。

 

 

* * *

 

 

「えーと、席は・・・あ、ここだ」

 

昼ご飯を食べ、露店や屋台車で軽く時間を潰してから、私たちは東京レース場の指定席に座った。

幸い、今のところ私の顔はバレていない。というより、イッカクの白毛の方がよっぽど目立ってた。キレイだもんねー、気持ちはわかる。

 

「それで・・・ハヤテちゃんは、どう思う?」

 

パドックでのパフォーマンスが始まってしばらく眺めていると、イッカクが私に尋ねてきた。

 

「どうって、誰が勝つのかってこと?」

「うん」

「ん~、どうだろ。誰もがそれぞれ武器を持ってるしねー。展開次第としか言いようがないけど・・・やっぱり、本命は三冠勢かなー。その中でも、スペック的にはディープインパクトさんだよね。引退してからのブランクなんて、等しくあってないようなもんだし。でも、やっぱり全盛期と比べるとスペックはどうしても落ちちゃうから、会長みたいな策略タイプが有利なようにも見える。仕掛け方次第では、誰にでも等しくチャンスが訪れる場合があれば、そうでもない場合もある」

「つまり、わからない、ってこと?」

「ぶっちゃけ、私が理解できるレベルじゃない。っていうか、須川さんでも同じようなこと言うと思う」

「それは、たしかに・・・」

 

今回のドリームトロフィーリーグは、いつにも増してレベルが高い。

今回は特別仕様ということで、ダービーウマ娘に加えて、オグリ先輩を含めた『もしダービーに出走したら勝てたかもしれない』と言われる“幻のダービーウマ娘”も出ている。

つまり、全員がダービーを勝ったか、勝てるだけの実力があるってことになる。

よく分からない理由で負けた私が理解できる範疇を越えてるんだよなぁ。

でも、最有力候補は誰かと言われたら・・・

 

「やっぱり、ディープインパクトさんかなぁ」

 

ちょうどパドックでは、1番人気のディープインパクトさんがパフォーマンスをしているところだった。

このレースに出ているのは全員が全員レジェンド級のウマ娘で、体格も他と比べると小柄に見えるのに、纏っている空気が明らかに他とは違うことが分かる。

感覚としては“芦毛の怪物”と言われたオグリ先輩に似たものがあるけど、背中にのしかかるような重圧とも違う、まるで全身を突き抜けるような圧倒的な存在感。

その名の通り、まさしく『深い衝撃』という言葉が当てはまる。

これが、“近代日本ウマ娘の結晶”とも言われた史上2人目の無敗の三冠ウマ娘、ディープインパクトさんか・・・。

そんなことを考えていると、不意にディープインパクトさんがこっちの方を向いて、大きく手を振ってきた。

うわ、やっぱりファンサはしっかりして・・・いや、違うな?なんとなくだけど、視線が観客と言うか、ピンポイントで私たちの方に向いてる。

具体的に言えば、私の隣に座っているコントレイルを正確にロックオンしてる。

え?あの位置からこの人混みでわかるものなのか・・・?

さすがに気のせいかと思いながらコントレイルの方を見てみると、軽く引きつった笑みを浮かべながら手を振り返していた。あっ、これマジで見つかってるのか。

 

「・・・もしかして、仲が良かったり?」

「えっと、ディープインパクトさんの方から構ってくることが多いというか・・・」

「・・・そう言えば、ディープインパクトさんのことを“ディーさん”って言いかけてなかった?」

 

イッカクからの指摘に、コントレイルの肩がビクンッと跳ねた。これは図星ですな。

 

「なるほどねぇ・・・ちなみに、何か心当たりは?」

「僕からは何も・・・ただ、ディー、プインパクトさんからは、運命的なものを感じる、みたいなことを言われましたけど・・・」

「ふぅん?あっ、別に呼びたいならディーさんでいいからね?」

 

あらら、顔を真っ赤にして俯いちゃった。別にあだ名で呼び合うくらいはいいと思うけどな~。もしかしたら、ディープインパクトさんからは“コンちゃん”とでも呼ばれているんだろうか。

それにしても、運命的なもの、ねぇ。コントレイルにそれだけの何かがあるってことなのかな?

まぁ、そもそもウマ娘はスピリチュアル的な何かを信じやすい傾向にあるし、ディープインパクトさんがそうでも不思議ではない。

私はそういうの一切ないからなぁ。できることなら、私も運命的な何かを感じてみたいものだ。

スピリチュアル的な何かはしょっちゅう感じてるけどね。

 

「あっ、そろそろ始まるみたい」

 

そうこうしているうちに、全員のゲートインが完了した。

 

『さぁ!今年の夏のドリームトロフィーリーグが、今スタートしました!』

 

アナウンスと同時に、ゲートが開いて一斉に飛び出した。

前に出たのはマルゼンスキーさんで、他のウマ娘も固まり気味になりながら続いていく。最後方にはディープインパクトさんと少し出遅れたっぽいミスターシービーさんが控えていた。

全体的にマルゼンスキーさんが引っ張っていく形で早めのペースになっているけど、先頭のマルゼンスキーさんはまだ余力を残しているようにも見える。というより、後方を気にしてペースを控えめにしているっていうのが正しいかもしれない。

その意識が向いている先は、たぶんディープインパクトさん。出遅れたミスターシービーさんはともかく、ディープインパクトさんは生粋の追い込みウマ娘だ。正確なペース管理の術を身につけている可能性は高い。だからこそ、ハイペースによる消耗は狙わずに、仕掛けどころを探っているんだろう。

 

「・・・まだ誰も仕掛けないですね」

「全員が慎重に仕掛けどころを探ってる、って感じかな。でも、誰か1人でも仕掛ければ一気に状況が動くと思うよ」

「となると、誰が仕掛けるのかがカギになるのかな?」

「だね。仕掛けるとしたら、先頭にいるマルゼンスキーさんか・・・ディープインパクトさんの隣で走っているミスターシービーさん」

 

私がそう呟いたのと、レースが一気に動いたのは同時だった。

第3コーナーで仕掛けたのは、マルゼンスキーさんとミスターシービーさんの両方だった。

 

「2人が仕掛けた!」

「考えることは同じだったみたい」

 

ミスターシービーさんは早い段階でロングスパートをかけ、マルゼンスキーさんはトップスピードに向けて加速を開始した。

・・・その瞬間、2人とも領域に入ったところを私は見逃さなかった。

マルゼンスキーさんからは高速道路のような空間の、ミスターシービーさんからは地平線が見える雄大な大地のイメージを幻視した。

それを皮切りに、最終コーナーにかけて次々と領域が発動されていく。まさに領域の乱舞のような光景を前に、私の脳のキャパが限界を迎えようとしている。

いや、めちゃくちゃ内容が濃いな。

1人1人が違う領域を持っていて、参考になるのかならないのか・・・

 

「ッ!?」

「ハヤテちゃん?どうかした?」

「え?いや、イッカクは何か感じなかった?」

「? 私は何も・・・」

 

不意に飛び上がった私を見てイッカクが首を傾げるけど、えっ、マジで何も感じなかったの?

私も上手くは言えないけど、なんというか、こう、凄まじい衝撃みたいなものが・・・あぁ、いや、なるほど。そういうことね。

会長とか他のウマ娘がそうだったから勘違いしてたけど、視覚に作用するだけが領域じゃないってことか。

だとしたら、今のがきっと、ディープインパクトさんの領域。

実際、最終直線に入った段階で一気にディープインパクトさんがスパートをかけた。その時に入った領域の余波が、あの衝撃だったんだろう。

最後方にいたはずのディープインパクトさんが、長い最終直線を使って前へと迫っていく。

そして、最初にゴール版を通過したのは・・・

 

 

 

 

「いや~、すごかったねぇ。なんていうか、こう、圧巻としか言いようがない」

「そうだね」

「語彙力がなくなってますよ、ハヤテ先輩・・・まぁ、僕も似たような感じですけど」

 

レースが終わった後のウィニングライブも見終えて、私たちは帰路についていた。

それにしても・・・

 

「ディープインパクトさん、惜しかったね」

「あればっかりは、会長が上手だったとしか言いようがありません」

 

今回のドリームトロフィーリーグを制したのは、我らが会長だった。

大人しくしていたように見えて、実は最内から立ち位置やフェイントなんかで他ウマ娘全員の位置をコントロールしていたらしく、ディープインパクトさんが最終直線に入った段階で最外に追いやられたことであと一歩届かなかった。

それでもハナ差の2着に食い込んだあたり、やっぱり化け物なんだってのを実感するけど、その化け物を抑えきった会長もやばすぎでは・・・?

 

「にしても、いいものを見れたね。チケットを入手してくれた須川さんにはお礼しないと。お土産、これでいいかな?」

「いいと思いますよ。じゃあ、僕はここで」

「うん、じゃあね。次会うのは夏休み明けかな?」

「そうですね。それじゃあ、さようなら」

「またね~」

 

駅前に着いた辺りで、コントレイルと別れる。

別れたんだけど・・・コントレイルが向かう先には、一台のリムジンが止まっていた。まさかね?とは思ったけど、そのままコントレイルはリムジンに乗ってどこかへと行ってしまった。

あと、気のせいじゃなければ・・・

 

「・・・なんか、中にディープインパクトさんがいた気がするんだけど」

「たぶん、気のせいではない、かな・・・?」

 

マジで気に入られてんねぇ。

まぁ、私たちは寂しく電車に揺られて合宿先に戻るとしますか。

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