ただ走りたいだけ   作:リョウ77

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ルメール騎手が“千鳥の相席食堂”に出てて草。
なんか予告でチラッとルメールって単語が見えたか聞こえたかしたんですが、気のせいか他人の空似かとスルーしてたらマジで出るとは思わなんだ。
千鳥のこと知らんかったのに、なんで出演することになったのか・・・。
恋さん?すまん、番組は見てないし芸人はさっぱりなんだ。

それと、シングレにホーリックス(候補)が出てきて、めちゃくちゃテンションが上がりましたね。
オグリとの絡みがどんな感じになるのか、もう楽しみでしゃーない。
あまりあからさまなのはあれだけど、食事の手を止めてホーリックスに見入るオグリを見た周りの知り合いが動揺してる場面くらいは見てみたい。


そうだ、私は悪くない・・・と思いたい

「なるほど?つまり、結果的にタキオンのおかげで悩みを解決できる糸口が見えて、それにテンションが上がって、思わず脱走して走りたくなった、ということでいいのかい?」

「まぁ、だいたいはそんな感じです。はい」

 

今現在、私は朝っぱらから美浦寮のエントランスで正座させられている。

原因は、まぁ私が門限をぶっちぎって寮を脱走してまで外に走りに行ったからだ。

別にヒシアマゾン先輩に見つからなければ問題なかったかもしれないんだけど、さすがに寮の外壁をフリークライミングして窓まで戻るのは目立ったみたいで、速攻で通報されてお縄になった、というわけだ。

いやでも、夜中に目が覚めて体を動かしたくなるのは仕方のないことですし、悩みを解決する糸口が見えて心も体も軽くなったんだから、ウマ娘たるもの走りたくなるのも当然のことだ。

だから、悪いのは最初に有無を言わさず私を誘拐・軟禁してこうなる原因を作ったあのマッドであって、私は悪くない。

そんな感じのことを時間をかけて説明した結果、

 

「それでも悪いのはお前さんだからね」

「あい」

 

言い逃れできなかったでござる。

いや~、自分的にはいい線いってたと思うんだけどな~。さすがに寮長を誤魔化すことはできなかったか。

 

「まったく、あんたが倒れたって聞いた時は、こっちも肝を冷やしたんだけどね・・・余計な心配だったかねぇ?」

「その節は、ご迷惑をおかけしまして・・・まぁ、見ての通り大丈夫です」

「そのようだね。まぁ、あたしはあまりダラダラと説教を続けるのは性分じゃないからね。これくらいで勘弁しておくけど・・・彼女については知らないからね」

 

そう言うヒシアマゾン先輩の視線の先には、悲しそうな表情を浮かべているイッカクがいた。

だけど、なぜだろう。私のことを心配していたってのは間違いないはずなのに、謎の圧を感じるのは。

ただ私が負い目を感じているだけかもしれないけど、その割には野次馬の他生徒の距離が遠く感じる。その中心にいるのは、私じゃなくてイッカクだ。

なら、やっぱり私の気のせいとか負い目とかじゃないのかな。

 

「ねぇ、ハヤテちゃん」

「あっハイ」

 

抑揚を感じられないイッカクの声を聴いて、体が一気に強張った。

これあれだ。愛の戦士が闇落ちする一歩手前みたいな感じのやつだ。というか、目から光が消え始めているあたり、実際に闇落ち寸前まで言ってる。

これはさすがに、ちょっと悪ふざけが過ぎてしまったかもしれない。

 

「私ね、ハヤテちゃんが連れ去られたって、しかも倒れたって聞いて、すごい心配だったんだ。もしハヤテちゃんに万が一のことがあったらどうしようって」

「それは、その・・・はい。言い訳のしようもございません。でも、事の発端はあのマッドが・・・」

「だからね?ハヤテちゃんが元気なのは、とても嬉しいんだ。でもね?目が覚めたのに、私に何も言わずに、勝手に外に出て行ったのは、イケないことだと思うんだ」

「はい。仰る通りでございます」

 

恥も外聞も全てを投げ捨てて、誠心誠意頭を床にこすりつけて土下座する。

イッカクがダークサイドに堕ちる未来を回避できるなら安いものだ。監禁バッドエンドルートに近づくことに比べればね!

なんかもう怖くて顔を上げられないから、ひたすら頭を下げ続けてイッカクの反応を待つ。

どれだけそうしていたのか、軽く時間感覚がぶっ壊れてた私にはわからないけど、不意に私の両頬に手が添えられた。

添えられた手に逆らわず顔を上に上げると、間近でイッカクのハイライトを失った目があった・・・いや、まだだ。まだイッカクの瞳には、かすかに光が残っている。つまり、完全な闇落ちはまだ避けられている!

 

「ハヤテちゃんが元気で、私は嬉しいよ?でも、あまり心配はかけさせないでほしいな」

「・・・うん、本当にごめん。次からは、黙っていなくならないようにする。あと、誘拐されないように気を付けるから」

 

そう言って、私はそっとイッカクを抱きしめる。イッカクも、私に抱擁を返してくれた。

そんな私たちの様子を見て、周りから拍手や歓声が巻き起こった。

「おめでとう!」「仲直りできてよかったね!」と声援を送られるあたり、本気で私たちのことを心配してくれたのか、それとも闇に落ちかけたイッカクが怖かったのか。

なにはともあれ、これで一件落着ということで!

 

「・・・仲直りできたのはけっこうだけど、ダメな彼氏と束縛する彼女のやり取りに見えるのはあたしだけかねぇ」

 

ヒシアマゾン先輩、それ言わないでください。自分でもちょっと同じこと考えてたんですから。

ていうか、そんな知識どっから拾ったんですか。

 

 

* * *

 

 

念のため今日の授業は休ませてもらって、現在は生徒会室で取り調べを行っている。

まぁ、私にって言うよりは、主にマッドに対してだけど。他には立会人としてマンハッタンカフェ先輩と須川さんもいる。

マッドの言い分に対して頭を抱えた会長に思わず同情しちゃったよ。副会長のエアグルーヴ先輩も額に青筋浮かべてたし。

 

「・・・事情は把握した。クラマハヤテに後遺症がないのは確かなようだし、目的があくまで対話というのも嘘ではないようだ。とはいえ、誘拐に加えてウマ娘に効くような麻酔の開発は看過できない。今度、生徒会で立ち入り調査を行って、件の麻酔や他に危険性のある薬物を押収させてもらう」

「それくらいはかまわない。さすがに私もやり過ぎてしまったと反省しているからね」

 

ほんとぉ?しょっちゅうトレーナーを発光させることに定評があるってさっき聞いたマッドの言うことなんて信用できないんですけど?

 

「さて、改めて尋ねるが、本当に体調に異変はないんだな?」

「はい。頭痛とかだる気とか、そういうのはないです」

「そうか・・・大事が無くて何よりだ。マンハッタンカフェが『おそらく大丈夫なので、そっとしておいた方がいいと思います』と言うからどうしたものかと悩んだが、問題がないならよかった」

「会長も知ってるんですか?マンハッタンカフェ先輩がそういう体質だって」

「半信半疑な部分はあるが、だからと言って彼女の言い分を無視してあり得ないなどと言い張るのは浅慮というものだ。それに、原因不明なトラブルもいくつか聞いていればね、信じざるを得ない部分もあるさ」

「なるほど。私はまぁ、見えないはずなのに何かいるってわかっちゃうので、納得するしかないんですけどね」

 

こうしている現在も、いるってことがわかっちゃってる。なんというか、あちこちから視線が刺さっている風に感じるあたり、私の周囲を飛び回っているのかな?そんなに私が珍しいのか。

 

「さて、クラマハヤテに体調面の問題がないことは確認できた。とはいえ、君が意識を失う直前は尋常ならざる様子だったと聞く。その辺りのことを聞いてもいいかな?」

「はい。わかりました」

 

会長から聞かれて、タマモ先輩とオグリ先輩に校舎を案内してもらった時の頭痛もひっくるめて話した。記憶云々の話はどうしようか迷ったけど、前世絡みになるしぼかすことにした。

ただ、その辺はマッドには話していない部分でもあって、また興味深そうな視線を向けられたから、ちょっとやらかしたかもしれない。

一通り話し終えると、会長が椅子にもたれかかって盛大に息を吐いた。

 

「ふぅ~・・・すまない。想定よりも突飛な話だったからね。少し考える時間がほしい」

「お構いなく。私もそんな話をしている自覚はありますし」

 

というか、こんな話をすんなり受け入れられるマッドがよっぽどおかしいだけだ。

 

「それに、こればっかりは自分でどうにかするしかありませんからね。マンハッタンカフェ先輩なら、まぁ、割となんとかしてくれそうな気もしなくはないですけど」

 

そう言ってちらりとマンハッタンカフェ先輩の方を見ると、フルフルと首を横に振られた。あっ、出来ることと出来ないことがある?そうですか・・・。

それはさておいて、会長の方に向き直る。

 

「・・・それでも、自分で背負い続けてきたものくらい、自分でケリをつけたいので」

「そうか・・・君がそう言うのであれば、私からもあれこれ口を挟むのは控えることにしよう。アグネスタキオン、君もだ」

 

がっつり念を押していくあたり、会長もマッドのことはあまり信用していないのか、ただただ私が来月に菊花賞を控えていることを気にしてくれているのか。

でもまぁ、菊花賞が終わるまでは生徒会の方で拘束してくれるとありがたいかもしれない。

 

「それでは、これで取り調べは以上とする。私たちはこれから現場に向かう。クラマハヤテと須川トレーナーは帰ってもらってかまわない。大丈夫だとは思うが、今日はゆっくり休むといい」

「あはは・・・お気遣い、ありがとうございます」

 

そう言って、私と須川さんは生徒会室から出て行った。

 

「それで・・・今日はどうすればいい?」

「寮でゆっくりしてろ。イッカクからも散々心配されてるんだろ?今日1日くらいは一緒にいてやれ」

「はーい」

 

須川さんの言う通り、今日は一日ずっとイッカクと一緒にいてあげよう。私の方は本当に心身共に問題ないから、イッカクのメンタルケアを徹底しよう。

なんかいつもと立場が逆転してるけど、今日くらいはそれでもいい。それくらい、今回の件でイッカクには心配をかけちゃったからね。

さて、今日はイッカクと何をしようか・・・あー、でもグランに一報入れた方がいいかな?あとコントレイルにも。でもすぐに他の女に連絡をとるってのもなー。どうしたものか。

 

「・・・なぁ」

 

どうすればいいのかあーだこーだ考えていると、須川さんから遠慮がちに声をかけられた。

 

「ん~?」

「・・・お前さんの秘密ってのは、どうしても教えられんものなのか?」

「なに、そんなに私のことが知りたいの?」

「あまり冗談めかすな・・・と言いたいが、敢えてそうだと言おう」

 

あら、これは意外。須川さんって、恋バナに片足突っ込むようなことは言わないんだけどね。それだけ真面目ってことでもあるけど、今回はそんな冗談を口にしてでも知りたいってことなのか。

ん~、その姿勢は割と好ましいんだけどな~・・・

 

「ごめんね~。まだ言うつもりはないかなぁ。もしかしたら、お墓まで持っていくことになるかも」

「そこまでか」

「そこまで」

 

本当にそうなるかはまだ分からないけど、なんとなくそうなる可能性が高いって気はする。

どっちにしろ、話すかどうかは思い出した内容によるね。

 

「だったら、俺からは何も聞かねぇよ。お前の好きな時、好きな奴に話せばいい」

「ちなみに、須川さんには話さなくて他の知り合いに話したら、拗ねちゃったりする?」

「そこまでガキじゃねぇよ・・・内容は気になると思うけどな」

「ははっ、ちゃっかりしてるねぇ」

 

まぁ、なんだかんだこれくらいの距離感でいいんだろうね。好きな時に好きなようにする、今の関係で。

いつかは話すかもしれないし、ずっと話さないかもしれない。だからといって、どっちにしても関係性が変わるわけでもなくて。

やっぱり、須川さんがトレーナーになってくれたのは、今まで生きていた中で一番の幸運だったのかもしれない。

さて、それはさておき・・・

 

「そういえば、イッカクの機嫌を直すためには何をあげればいいかな?」

「お前をくれてやればいいんじゃないか?」

「つまり、私自身がプレゼントになるんだってこと?」

 

それってなんてプレイ?




いよいよ次は菊花賞・・・の前にコントレイルのデビュー戦を挟みます。
社台のネオユニヴァ―スに始まり、なんかラッキーライラック匂わせまで発見されて、いろんなところで妄想が膨らんでますね。
どうせなら、自分もデアリングタクトの同室不明で匂わせからのコントレイル実装を期待してもバチは当たらんでしょう。てか実装されるまで意地でも続ける。
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