第1話 魔力の発動
わたしの名前はマリア・キャンベル。魔法学園の一年生で、今生徒会で王子様たちや国でも最高位の貴族のご令息ご令嬢の皆さんと友人関係となり、楽しく学園生活を過ごせている。
思えば5歳のころ一緒に遊んでいたお友達がけがをしたのがきっかけだった。
それは今の幸せにつながるとは思えない悲しい出来事のはじまりだった。
わたしがみたとき、そのお友達は足を盛大にすりむいていてすごく痛そうだった。
「大丈夫?」
と声をかける。何とかしたいと思って彼女の足に手をかざした。けがが治れと強く願うと、なんと、手から光が湧き出して輝いた。彼女のけがをみるみる治していく。
お友達は青くなった。
「きゃあああ」
とお礼を言うよりも驚いて逃げて行った。
お母さんがわたしを探しに来たので
「お母さん」と話しかける。
「どうしたの?マリア?」
「お友達がけがをしたので、けがが治れと強く願うと、手から光がでてきてけがが治ってしまったの。お友達は驚いて帰っちゃった」
「わかったわ。」とお母さんはいい、
「町役場へ行きましょう」と話してくれ、町役場の窓口で事情を話した。
「なるほど...。」
町役場のお兄さんは
「これに状況を書いてください。」
と書類を出してきた。表題には魔力認定申請書と書いてある。
お母さんに起こったことをそのまま話して、お母さんが書き込む。
「ありがとうございます。それでは魔法省に提出します。一週間ほどで通知が来るとおもいます。」
一週間後国の審査で光の魔力保持者の認定通知が交付されたが、申請した当日のうちに、町ではわたしのうわさが広がっていた。奇異な視線で見つめられる。ぼそぼそと貴族の隠し子ではと噂しているようだった。
友達も付き合ってくれなくなった。
「マリアちゃんは貴族の隠し子なんでしょう。本当のお父さんを探してもらったら?」
「貴族とは身分が違うから遊べないよ。困るでしょう。」
お父さんは最初
「マリアは正真正銘わたしの子どもだ。 魔力を持ってるとか関係ない。光の魔力は貴族でも数が少ないんだろう。大丈夫だ。」
と言ってくれたが、一か月もうわさがやむことはなく家へもどってこなくなった。
お母さんともあまり会話をしなくなった。
やがてわたしは、初等科を卒業し、中等女学校に入った。ソルシェでは初等科を卒業すると男子は中学校、女子は中等女学校に入る。貴族は15歳になるまで学校に行かず、優秀な家庭教師にならう。後に魔法学園で知ったのだが子爵以下の家庭教師を雇えない貴族のための学校はあるそうだが。光の魔力を発動した私は、15歳になる前にここを卒業すれば魔法学園への入学が約束されている。魔法学園に入って優秀な成績を修めれば魔法省に就職できるとのことだったが、わたしはこの時点ではそこまで考えられず実家へ戻ってほそぼそと治療院でも営もうか考えていた。それよりも目の前のクラスで友人をつくることだと考えていた。
「マリアさん、すばらしいですね。100点です。」
先生は褒めてくれたが、クラスメイト達はよろこばない。
「マリアさんは特別だし。」
「光の魔力持ってるから。」
ぼそぼそと声が聞こえる。
「ジェーンちゃんすごいね。90点とったんだ。」
「まあ、だれかさんにはかなわないけどね。」
「キャサリンちゃんもすごーい。92点って。」
「ええ。」といってちらっと私の方をみる。わたしは作り笑いをしてしまう。
ぷいと顔をそむけ
「あの子にはかなわないけど上出来だと思うわ。」
わたしはいじめられることはなかった。しかしどう考えても避けられていた。
わたしは短距離走でも長距離走でも5位前後、体操もほめられた。男子は祭りをやる都合上笛と太鼓を習うのだが、女子は、教会で演奏するのでオルガンとピアノを習うのだがわたしもそれなりに弾けたので上位に評価された。
「マリアさんのように弾きなさい。」
と先生は言う。
「あの子は特別。」
「練習しなくても弾けるんじゃない。魔力で。」
「いいよね。才能ある人は」
「マリアさんは、なんでもできるんですね。素晴らしい。」
「あなたは特別な子です。魔法学園に入らなければならないので、貴族の方々と上手くやっていけるよう礼儀作法を学んだほうがいいですね。」
「あなたは特別ですから魔法学園に行って、将来は魔法省ですかね。勉強をしっかりやった方がいいですね。それから魔法学園で貴族の方々と結ばれる可能性もあるから礼儀作法をしっかりやったほうがいいですね。」
「先生、ありがとうございます。」
「何やってるんですか!マリアさんを見習いなさい!」
「マリアさんのように努力すればいいでしょう!」
「光の魔力なんてまねできません。」
「貴族の隠し子だから裏でずるしてるんじゃないですか?」
「わたしはそんなことしていません。」
「魔力をつかってごまかしてるんじゃないですか?」
「魔力持ってる人はいいなあ」
ある日のことクラスメートがお菓子をお昼休みにつくってきた。
「お菓子作ってきたの」
「へえ、すごいね。キャサリンちゃん!」
「おいしそう。」
「食べていい?」
「ええ。どうぞどうぞ。」
彼女は友人たちに囲まれ笑顔だ。
「わたしもいい?」
彼女に話しかける。
「ええ。どうぞ。」
そっけない顔だ。
「おいしい。」
「ありがと。でもさ、光の魔力持ってるあなたは特別だからもっとおいしいもの食べてるんじゃない?むりしておいしいといわなくてもいいんだけど。」
「そんなことないです。ほんとにおいしかったんです」
「あなたは、わたしたちと違って魔法学園に行くんでしょ。わたしたちと仲良くしてもあまり得にならないんじゃない?」
わたしはいじめられなかった。ただし中途半端に冷たくされる。それはそうだろう、美人で光の魔力を持ち成績優秀、ピアノもオルガンもできる。イジメようとしても先生方がかばうし、貴族がバックにいると思うからひどいことはされないのだ。先ほどのようにお菓子はわけてもらえる。声をかければ授業に限ってはグループには入れてもらえる。しかし本当の友達にはなってくれない。だから仲良くなろうとしてキャサリンちゃんにならってお菓子をつくってみた。何回も練習して上手くできたものを学校へもっていった。
「私、お菓子作ってきたの」
「ふ~ん。おいしそうだね。」
「きれいに焼けてるね。」
「貴族のお父さんに食べてもらったら。」
「そうだね。わたしたちが食べちゃったらまずいから持って帰った方がいいんじゃない。」
「もったいなくて食べられないよ。」
「これだけうまく作れるなら売った方がいいんじゃない?」
中途半端に褒められる。心のこもっていない褒め言葉。しかし誰も食べてくれない。
わたしはお菓子を持って帰った。目から涙がこぼれ、帰り道自分で食べる。
「マリア、お帰り。」
「ただいま。食べてもらえなかった。」
「そうなの?」
「うん」
「食べてあげる。」
「ありがとう。」
お母さんは食べてくれたがもう二度と人のために作ることはないだろうと思った。それでも自分が食べたいときはたまに作ってはお母さんも食べてくれた。ただし最低限の会話しかしない。早く魔法学園に入りたいとおもった。魔法学園に入れば魔力をもつ人が普通にいる。もっと気楽に過ごせるのではないかと思った。
中等女学校を卒業した。卒業生あいさつは首席になった自分がやった。在校生から送辞がくる。あまり感動もなく卒業した。さて4月からは魔法学園だ。ここなら生徒たちはみな魔力をもっている。普通に過ごせるだろうと期待して入学した。