それでも、誰も殺さないと決めた   作:最上 イズモ

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∅13 天災?

数日後。

テンペストの正門前に、異様な圧迫感とともにドアルゴンが姿を現した。

その背には、明らかに人型とわかる大きな袋が担がれている。

 

セリオス(綾音)「……なんですか、それ?」

 

ドアルゴン「気にするな」

ドアルゴン「礼の証だ。受け取れ」

 

セリオス(綾音)「はあ……?」

 

袋が地面に下ろされ、口が開かれる。

中から転がり出たのは、縛られたままの一人の男だった。

 

カイジン「……べスターじゃないか」

 

セリオス(綾音)は一瞬で状況を理解する。

かつてドワルゴンで失脚した研究者。

能力はあるが、使いどころを誤った男。

 

ドアルゴン「有能な奴を遊ばせておくのは惜しい」

ドアルゴン「だが、俺の国で使うわけにもいかん」

ドアルゴン「好きに使え」

 

セリオス(綾音)「ありがとうございます」

セリオス(綾音)「ちょうど研究開発者が足りなくて困っていたところです」

 

べスターは慌てて膝をつき、深く頭を下げた。

 

べスター「王よ……」

べスター「今度こそ、ご期待に添えるよう精進いたします」

べスター「先日は申し訳ありませんでした」

べスター「許されるなら、ここで働かせてください」

 

セリオス(綾音)「もちろん」

セリオス(綾音)「給金は月金貨四枚」

セリオス(綾音)「新技術開発が成功したら、追加で二枚」

セリオス(綾音)「それでいい?」

 

べスター「……そんな大金を?」

 

セリオス(綾音)「大丈夫」

セリオス(綾音)「お金の錬金術はカエデが得意だから」

セリオス(綾音)「それに、これから忙しくなる予感がするしね」

 

セリオス(綾音)「よろしく」

 

べスター「ははぁ……!」

べスター「命を懸けて務めさせていただきます!」

 

ドアルゴン「では、さらばだ」

 

セリオス(綾音)「また今度」

 

ドアルゴンが去った後、テンペストはさらに慌ただしくなった。

ガビルとその一派も正式に仲間に加わり、戦闘班の再編が始まる。

 

セリオス(綾音)「これ、支給品ね」

 

ガビル「……なんですか、これは?」

 

セリオス(綾音)「身体能力を大幅に強化する専用スーツと装備」

セリオス(綾音)「魔法装備でもいいんだけど、これはどんな武器にも対応できるように作ったもの」

セリオス(綾音)「しかも今回は、沼地特化型」

 

ガビルは目を輝かせ、深く頭を下げた。

 

ガビル「ありがとうございます!」

 

部下たちにも名が与えられ、次々とドラゴニュートへと進化していく。

蒼影率いる偵察班には、スニーキングスーツと専用の小型銃、短刀が配備された。

 

同時に、地下都市では農業用ビルの建設が完了する。

長期戦闘時でも食料供給が途切れない体制が整った。

 

べスターは薬学の才能を発揮し、ポーションや薬草を応用した催眠ガス兵器の研究へと回される。

 

そのときだった。

レーダーが異常反応を捉える。

 

セリオス(綾音)「……超音速物体、捕捉」

セリオス(綾音)「予想到達時刻十五分後」

セリオス(綾音)「第一種戦闘配置」

セリオス(綾音)「対空迎撃準備、非戦闘員は避難開始」

 

戦闘班「速度が速すぎます! ロックできません!」

 

セリオス(綾音)「私を狙ってる可能性がある」

セリオス(綾音)「郊外に出る」

セリオス(綾音)「非常時は合図するから、いつでもミサイル撃てるようにして」

 

戦闘班「了解!」

 

郊外へ出た瞬間、空が裂ける。

轟音とともに、飛行物体が地面へ激突した。

 

クレーターの中心から、土煙を払って現れたのは、小柄な少女だった。

 

ミリム「初めましてなのだぞー!」

ミリム「我はただ一人のドラゴノイド!」

ミリム「デストロイの二つ名を持つ、ミリム・ナーヴァなのだ!」

 

セリオス(綾音)「……魔王?」

 

ミリム「お前が一番強そうだったから、あいさつに来てやったのだぞー!」

 

セリオス(綾音)「知り合ったばかりで悪いんだけど」

セリオス(綾音)「装甲板第一層から第二十層まで、一部損壊してるんだけど……」

 

ミリム「それはすまなかったんだぞー」

 

セリオス(綾音)「できれば、このエリア周辺で暴れないでほしい」

セリオス(綾音)「人的被害が出なければ、多少は目をつぶるけど」

 

ミリム「できるだけ、そうするのだぞー!」

 

セリオス(綾音)「……って、待って紫苑、攻撃しないで」

 

紫苑「待てません」

 

ミリム「ほう?」

ミリム「我と遊びたいのか?」

 

セリオス(綾音)「蒼影、街を耐核モードに」

 

蒼影「はっ」

 

ミリムは周囲を見回し、純粋な興味を浮かべた。

 

ミリム「なんなのだ、この町は?」

 

セリオス(綾音)「まあ」

セリオス(綾音)「未来の技術、ってやつです」

 

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