フォビオから事情を聴取した結果、中央道化連という組織の存在と、今回の騒動が彼個人の暴走であることが明らかになった。
審議の末、フォビオは無罪と判断され、身柄は保護扱いとなる。
その空間に、強烈な闘気が満ちた。
空気が裂けるように揺らぎ、一人の魔王が姿を現す。
カリオン「気づいてたみたいだな、ミリム」
ミリム「当然なのだ」
カリオン「よう。そいつを殺さず助けてくれたこと、礼を言うぜ」
カリオン「お前がゲルミュットを使った、仮面の魔人なんだろ?」
視線がセリオス(綾音)に向く。
セリオス(綾音)「そうですね。できるだけ殺したくはなかったですけど」
次の瞬間。
鈍い音が響き、フォビオの身体が吹き飛んだ。
カリオン「悪かったな。部下が暴走したみたいだ」
カリオン「俺の監督不行き届きってことで、今回は許してやってくれ」
セリオス(綾音)「……分かりました」
カリオン「今回の件は借りにしておく」
カリオン「何かあれば、俺様を頼ってくれていい」
セリオス(綾音)「ええと。本来なら装甲板二十層分と戦車、対空ミサイル、それにICBMの費用で金貨千枚は欲しいところですが」
セリオス(綾音)「不可侵条約と自由貿易協定を結んでいただけるなら、それで構いません」
カリオン「よかろう」
カリオン「獣王国ユーラザリラ、ビーストマスターのカリオンの名において誓ってやる」
カリオン「貴様らに刃を向けぬ」
カリオン「そして自由貿易も許可しよう」
セリオス(綾音)「ありがとうございます」
カリオン「また会おう、リムル」
そう言い残し、カリオンはフォビオと部下を連れて転移していった。
その後、セリオス(綾音)は国へ戻り、カディブディスの鱗マシンガンの残骸と、召喚されていたサメ型の魔獣を持ち帰った。
その夜、街ではサメ型魔物を使った盛大な宴が開かれ、戦いを生き延びた者たちを労う声が響いた。
兵器開発部に鱗マシンガンの残骸を引き渡すと、技術者たちは目を輝かせ、大いに好評を博した。
ミリムは宴の途中、突然「仕事肉なのだ」と言い残し、魔王のもとへと帰っていった。
セリオス(綾音)「またねー」
その夜、セリオス(綾音)は次の行動を決めていた。
シズの未練でもあった、子どもたちの指導。
そのためにイングラシア王国へ向かうことにした。
移動手段はVTOL。
護衛としてヴォルフも同行する。
出立にあたり、国には非常用回線を常時接続。
非常事態が発生した場合に作動する自動攻撃兵器も起動状態に設定した。
カエデが用意した偽装身分証と、シズの形見を使い、王都への侵入は驚くほどあっさりと成功する。
その足で、自由組合本部を訪れた。
そこで待っていたのは、ユウキ・カグラザカ。
シズの教え子であり、現在は自由組合のトップを務める人物だった。
ユウキの計らいにより、セリオス(綾音)は自由学園の非常勤講師を務めることになる。
面談の中で、ユウキは彼女に五人の子どもたちの話をした。
彼らは国が秘密裏に召喚した召喚者。
しかし召喚は失敗し、行き場を失った子どもたちを、シズが引き取り、自由学園へと導いたのだという。
セリオス(綾音)「なるほど。それならクデュックの科学力で、何とかしてみせますよ」
ユウキ「本当ですか?」
セリオス(綾音)「最悪の場合、肉体が変わってしまう可能性はありますけど」
セリオス(綾音)「できるだけ、そうならない方法を探します」
ユウキ「ぜひお願いします」
ユウキ「できることなら、あの子たちを救ってあげてください」
セリオス(綾音)「成果が出次第、こちらの技術を提供します」
そうして、次なる物語の舞台は静かに動き始めていた。