それでも、誰も殺さないと決めた   作:最上 イズモ

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∅24 反転攻勢

カエデ「……いいえ。本当に大丈夫ですか?」

 

執務室の朝は静かだった。

淡い光が差し込む中、セリオス(綾音)は椅子に腰掛けたまま、わずかに視線を伏せている。

 

セリオス(綾音)「はい。大丈夫ですよ。ただ、少し疲れているだけです」

 

カエデ「……それが一番心配です」

 

カエデは一歩近づき、声を落とす。

 

カエデ「綾音さんは、いつも限界まで頑張りすぎている気がします」

 

セリオス(綾音)「……そうかもしれませんね」

 

セリオス(綾音)「でも、私にはやるべきことがたくさんありますから」

 

その言葉には迷いはなかったが、わずかな疲労が滲んでいた。

 

カエデ「分かっています」

 

カエデ「ですが、ご自身の体を大切にしなければ、守れるものも守れません」

 

セリオス(綾音)「……そうですね」

 

セリオス(綾音)「今度からは、もう少し休む時間を作るようにします」

 

カエデ「それを聞いて安心しました」

 

カエデ「では、朝食を用意しますね」

 

セリオス(綾音)「ありがとう、カエデ」

 

セリオス(綾音)「君のおかげで、助かっていることが本当に多い」

 

カエデ「いえ。お世話になっている身ですから、当然のことです」

 

セリオス(綾音)「……私も、君のことを大切な仲間だと思っています」

 

一瞬、カエデの表情が柔らぐ。

 

カエデ「ありがとうございます、綾音さん」

 

カエデ「これからも、お互い支え合っていきましょう」

 

セリオス(綾音)「ええ。一緒に頑張ろう」

 

数時間後。

官邸の会議室には、張り詰めた空気が満ちていた。

 

セリオス(綾音)「これより、反転攻勢のための会議を始めます」

 

全員の視線が、一斉に彼女へ向けられる。

 

セリオス(綾音)「ファルムス王国への反転攻勢に先立ち、まず宣戦布告を行います」

 

セリオス(綾音)「衛星レーザーによる警告照射を実施」

 

セリオス(綾音)「同時に、上空からモニターを投下し、我々の存在と意思を示します」

 

カエデ「衛星レーザーによる照射と、モニター投下ですね」

 

カエデ「迅速に声明を出すことで、敵軍に強い動揺を与えられます」

 

セリオス(綾音)「その通りです」

 

セリオス(綾音)「敵が混乱している間に、侵攻中の部隊へ報復攻撃を行う」

 

セリオス(綾音)「こちらが主導権を握る、最初で最大の好機です」

 

カエデ「確かに、有効です」

 

カエデ「では、その後の戦術は?」

 

セリオス(綾音)「……私は条件を満たすことで、魔王になることができます」

 

会議室が静まり返る。

 

セリオス(綾音)「魔王の力を行使し、敵軍を圧倒する」

 

セリオス(綾音)「戦況は、一気にこちらへ傾くでしょう」

 

カエデ「魔王化……」

 

カエデ「それによる影響は?」

 

セリオス(綾音)「副産物として」

 

セリオス(綾音)「クデュックの国民として亡くなった者たちを、蘇生できます」

 

息を呑む気配が広がる。

 

セリオス(綾音)「民は希望を取り戻し、士気は最大まで高まる」

 

セリオス(綾音)「同時に、敵には絶望を与えることになる」

 

カエデ「……素晴らしい効果です」

 

カエデ「敵に致命的な打撃を与えながら、自軍を立て直せます」

 

セリオス(綾音)「ええ」

 

セリオス(綾音)「この計画を知った敵は、恐怖に震えるでしょう」

 

セリオス(綾音)「そして、降伏以外の選択肢を失う」

 

カエデ「敵軍の降伏が成立すれば、勝利は決定的ですね」

 

セリオス(綾音)「その通り」

 

セリオス(綾音)「では、細部を詰めましょう」

 

セリオス(綾音)「ファルムス王国への反転攻勢を成功させ、必ず勝利を掴む」

 

カエデ「はい」

 

カエデ「全力でサポートします」

 

カエデ「我々の絆と戦術で、必ず成し遂げましょう」

 

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