それでも、誰も殺さないと決めた   作:最上 イズモ

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∅26 魔王会議前

突然、執務室の扉が乱暴に開いた。

巨躯の男が、楽しげな笑みを浮かべて立っていた。

 

ヴェルドラ「我の封印を解いてくれてありがとな、リムル・テンペスト」

セリオス(綾音)「えっ、誰?」

ヴェルドラ「我が名はヴェルドラだ」

セリオス(綾音)「あー……あの時の」

セリオス(綾音)「封印、解けたんだ」

 

カエデ「大賢者がミカエル化した際、処理能力が二百五十六倍に上昇しました」

セリオス(綾音)「なにそれ、完全にチートじゃん」

セリオス(綾音)「じゃあ早速、ファルム王国の再建を頼もうかな。ヴェルドラに」

カエデ「えっ……まさか」

セリオス(綾音)「うん。ファルム王国、魔族国家に作り替えてもらおうと思って」

カエデ「本当に大丈夫なんですか?」

セリオス(綾音)「まあ、なんとかなるでしょ」

カエデ「……そうですね。綾音さんが言うなら」

 

それから数日後。

セリオス(綾音)は魔王会議、ワルプルギスへの招集を受けた。

 

セリオス(綾音)「はじめまして。クデュック国王、リムル・セリオスです」

ディアブロ「クフフフフ。これはこれはご丁寧に。私は魔王リムル様の忠実なる僕、悪魔公ディアブロ。以後お見知りおきを」

セリオス(綾音)「は、はぁ」

 

ベニマル「魔王リムル様配下、紅炎将軍ベニマルだ」

シュナ「魔王リムル様に仕える、巫女シュナです」

ソウエイ「影を司る忍者王、ソウエイ」

ハクロウ「剣聖ハクロウじゃ」

シオン「料理人兼親衛隊長、シオンです」

 

今回の戦争での功績により、彼らの肩書きは一段引き上げられていた。

 

その夜。

戦勝とヴェルドラ復活を祝う宴が盛大に開かれた。

街は笑いと音楽に満ちていたが、その裏で、綾音は休む間もなく書類に目を通していた。

 

ヴェルドラ「おーいリムル。起きろー。暇だぞー」

セリオス(綾音)「うるさいな。こっちは戦後処理で忙しいんだよ」

ヴェルドラ「ふむ。わかっておるが、少しくらい構ってくれてもよかろう?」

セリオス(綾音)「はいはい」

ヴェルドラ「で、何をしておった?」

セリオス(綾音)「同盟国への報告と、敵対国への対応会議」

セリオス(綾音)「戦争は終わっても仕事は終わらないの」

ヴェルドラ「大変そうだな」

セリオス(綾音)「まあね」

ヴェルドラ「我にできることはあるか?」

セリオス(綾音)「特にないけど……強いて言うなら大人しくしてて」

ヴェルドラ「なに!?我は暴れたいのだが!」

セリオス(綾音)「暴れるなら専用闘技場で。核爆弾級対応だから」

セリオス(綾音)「ミリムの通常攻撃くらいなら耐えるよ」

ヴェルドラ「本当か!!ならば必殺技の修行をするぞ!」

セリオス(綾音)「どんな?」

ヴェルドラ「お前がくれたアニメにあったのだ。かめはめ波とかいうやつだ!」

 

ヴェルドラは意気揚々と闘技場へ向かった。

その後しばらく、綾音は彼に付き合い、束の間の息抜きを得た。

 

数日後。

 

セリオス(綾音)「ミリムが魔王カリオンに宣戦布告?」

セリオス(綾音)「獣王国が消失して、避難民がこちらへ?」

セリオス(綾音)「あのバカ……何やってんの!」

セリオス(綾音)「『瞬間移動』」

 

荒れ果てた大地。

獣王国は瓦礫の山と化していた。

 

獣王「へへ……もうこの国に残ってる魔族は、あんたらだけだぜ」

ミリム「仕方ないのだ。今こそ真の力を見せる時なのだ」

セリオス(綾音)「バカ……一国消したって自覚ある?」

ミリム「また邪魔が入ったのだ」

セリオス(綾音)「逃げ足だけは早いんだから……」

 

セリオス(綾音)「カリオンさん」

カリオン「おお、久しぶりだな」

セリオス(綾音)「すみません。うちのバカが……」

カリオン「いや、こちらも対応が遅れた」

セリオス(綾音)「今は争ってる場合じゃないです」

カリオン「……ああ。無駄な犠牲は避けたい」

セリオス(綾音)「復興と仮住居はこちらで用意します」

カリオン「助かる」

カリオン「それにしても……ミリム、操られてるようだった」

セリオス(綾音)「まさか……」

 

獣王国壊滅の事実は伏せられ、復興が最優先された。

クデュックの技術で、再建は一ヶ月を見込んで進められた。

 

カリオン「俺は、ミリムに恨まれる覚えはねぇんだがな」

セリオス(綾音)「……ですよね」

カエデ「とりあえず、ご飯にしましょう」

 

食事を終え、静かな部屋で改めて話し合う。

 

カエデ「そもそも、なぜミリムさんはカリオンさんを?」

セリオス(綾音)「できるのは……クレイマンくらい」

カリオン「確かに、あいつならやりかねねぇ」

セリオス(綾音)「魔王会議で揺さぶってみる」

カエデ「クレイマン……私は苦手です」

セリオス(綾音)「カエデに嫌われるって相当よ」

 

カリオン「念のため、ルミナスにも話を通そう」

セリオス(綾音)「そうだね」

 

一方その頃。

 

クレイマン「くくく……上手くいっている」

クレイマン「ミリムの支配は、さらに盤石だ」

クレイマン「このまま魔王の頂点に立ってやる」

 

クレイマンは、暗闇の中で歪んだ笑みを浮かべていた。

 

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