ルミナス「久しぶりじゃな。」
魔王ルミナスの居城。
静かな大聖堂に、重い気配を纏って魔王カリオンが姿を現した。
カリオン「ああ、久しぶりだな。」
カリオン「ところで……少し頼みがある。」
ルミナス「なんじゃ?」
カリオンは一拍置き、これまでの経緯を順を追って語り始めた。
ミリムの異変。
獣王国の壊滅。
そして、背後にちらつくクレイマンの影。
話を聞き終えたルミナスは、顎に手を当て静かに目を伏せた。
ルミナス「なるほどのう。それは厄介な状況じゃ。」
カリオン「何とかならないか?」
ルミナス「……わかったのじゃ。」
その言葉に、カリオンの表情がわずかに和らぐ。
一方その頃。
別の場所で、歪んだ笑みを浮かべる影があった。
クレイマン「計画通りだ……。」
クレイマン「これで俺は魔王になる。」
欲望に満ちた視線が、遠くを見据えていた。
クデュック王国某宿。
セリオス(綾音)「獣王国の皆さんをお迎えするために、食事会を開こうと思うんだけど、誰か手伝ってくれない?」
カエデ「私、手伝います!」
セリオス(綾音)「じゃあ、カエデよろしくね。」
避難してきた獣王国の民が到着すると同時に、一行はクデュック屈指の高級料理店へ案内された。
重厚な内装と落ち着いた香りが、張り詰めていた彼らの緊張を少しだけ和らげる。
料理長のヴェルダが深く頭を下げた。
ヴェルダ「獣王国からようこそお越しくださいました。」
ヴェルダ「どうぞ、ごゆっくりしていって下さい。」
セリオス(綾音)「ありがとうございます。」
料理が運ばれ、食事会が始まる。
テーブルではクレイマンの動きや、今後の情勢について慎重な話し合いが続いた。
獣王国側も協力を申し出てくれ、しばらくクデュックで滞在することが決まった。
数日後。
通信魔法が起動し、カリオンの声が響く。
カリオン「なあ、魔王会議に合わせて、クレイマン軍がクデュックに進軍する予定らしい。」
セリオス(綾音)「なるほど……。」
セリオス(綾音)「じゃあ、クレイマンを少し挑発してみようか。」
セリオス(綾音)「軍勢の方は、多分すぐ片が付くと思うし、作戦を考えよう。」
カリオン「了解だ。」
そして迎えた魔王会議当日。
円卓の間には、すでに魔王カリオンの姿があった。
セリオス(綾音)「失礼します。」
ミリム「うむ。久しぶりなのだ!」
ラミリス「久しぶりねー!元気にしてた?」
ヴェルグリンド「最近姿を見なかったけど、どうしてたの?」
ルミナス「確かに、気にはなっておったがの。」
セリオス(綾音)「少し、事情がありまして……ご心配をおかけしました。」
ヴェルグリンド「では、今回の議題に入ろう。」
視線が集まる中、セリオス(綾音)は一歩前に出た。
内心で、ミリムの様子を探る。
セリオス(綾音)「改めて名乗ります。」
セリオス(綾音)「今回より新たに魔王となりました。リムル・セリオスです。よろしくお願いします。」
ラミリス「よろしくなの!」
ルミナス「よろしくなのじゃ。」
ヴェルグリンド「よろしくね。」
セリオス(綾音)「早速ですが……魔王としてふさわしくない行いを続けている者がいます。」
セリオス(綾音)「魔王クレイマン、あなたです。」
クレイマン「な、何を言っておるのだ?」
クレイマン「カリオンよ!」
カリオン「お前はもう終わりだ。」
セリオス(綾音)「あなたはミリムさんに呪いを仕込んだネックレスを渡し、洗脳しました。」
セリオス(綾音)「そしてミリムさんを使い、我が国と獣王国へ宣戦布告。」
セリオス(綾音)「結果として、獣王国は消失しました。」
ざわめきが走る。
セリオス(綾音)「さらに、オークロード事件も中庸道化連が主導していた。」
セリオス(綾音)「我が国への無通告攻撃、大虐殺……すべて、あなたの差し金ですね。」
クレイマンは額に汗を滲ませた。
セリオス(綾音)「魔王同士の争いは決闘で裁かれると聞いています。」
セリオス(綾音)「よって、決闘を申し込みます。」
セリオス(綾音)「日時は一ヶ月後。」
セリオス(綾音)「場所は、我が国です。」
セリオス(綾音)「魔王クレイマン、よろしいですか?」
クレイマン「……分かった。」
クレイマン「その決闘、受けよう。」
一週間後。
決闘当日。
巨大な闘技場には、魔王たちの視線が集まっていた。
だが、ミリムはクレイマンから意図的に目線を反らしてる。
カリオン「これより、魔王クレイマン対魔王リムル・セリオスの決闘を開始する!」
カリオン「クレイマンが降伏するか、リムルが戦闘不能になった時点で決着とする!」
セリオス(綾音)「なお、ミリムの通常対人用爆破攻撃規模までの攻撃は許可します。」
セリオス(綾音)「それ以上は、この闘技場が耐えられないので禁止です。」
カリオン「それでは……始め!」
クレイマン「死ね!雑魚どもが!」
瞬間、クレイマンは背を向けた。
逃走を選んだのだ。
セリオス(綾音)「無駄ですよ。」
セリオス(綾音)「私の能力からは逃げられません。」
これは迷う案件じゃない
セリオス(綾音)「空間圧縮。」
空間が歪み、クレイマンの動きが完全に封じられる。
セリオス(綾音)「クレイマンさん。」
セリオス(綾音)「私の勝ちです。」
セリオス(綾音)「……さようなら。」
その命は、静かに刈り取られた。
一週間後。
魔王たちの宴。
ルミナス「それにしても、どうやったのじゃ?」
セリオス(綾音)「クデュックの技術で、空間そのものを圧縮できるんです。」
ルミナス「なるほどのう。」
ラミリス「つまり、行動を予測して閉じ込めたってわけね。」
セリオス(綾音)「そういうこと。」
こうして、魔王クレイマンは滅び去った。