それでも、誰も殺さないと決めた   作:最上 イズモ

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∅27 魔王会議

ルミナス「久しぶりじゃな。」

魔王ルミナスの居城。

静かな大聖堂に、重い気配を纏って魔王カリオンが姿を現した。

 

カリオン「ああ、久しぶりだな。」

カリオン「ところで……少し頼みがある。」

 

ルミナス「なんじゃ?」

 

カリオンは一拍置き、これまでの経緯を順を追って語り始めた。

ミリムの異変。

獣王国の壊滅。

そして、背後にちらつくクレイマンの影。

 

話を聞き終えたルミナスは、顎に手を当て静かに目を伏せた。

 

ルミナス「なるほどのう。それは厄介な状況じゃ。」

 

カリオン「何とかならないか?」

 

ルミナス「……わかったのじゃ。」

 

その言葉に、カリオンの表情がわずかに和らぐ。

 

一方その頃。

別の場所で、歪んだ笑みを浮かべる影があった。

 

クレイマン「計画通りだ……。」

クレイマン「これで俺は魔王になる。」

 

欲望に満ちた視線が、遠くを見据えていた。

 

クデュック王国某宿。

 

セリオス(綾音)「獣王国の皆さんをお迎えするために、食事会を開こうと思うんだけど、誰か手伝ってくれない?」

 

カエデ「私、手伝います!」

 

セリオス(綾音)「じゃあ、カエデよろしくね。」

 

避難してきた獣王国の民が到着すると同時に、一行はクデュック屈指の高級料理店へ案内された。

重厚な内装と落ち着いた香りが、張り詰めていた彼らの緊張を少しだけ和らげる。

 

料理長のヴェルダが深く頭を下げた。

 

ヴェルダ「獣王国からようこそお越しくださいました。」

ヴェルダ「どうぞ、ごゆっくりしていって下さい。」

 

セリオス(綾音)「ありがとうございます。」

 

料理が運ばれ、食事会が始まる。

テーブルではクレイマンの動きや、今後の情勢について慎重な話し合いが続いた。

獣王国側も協力を申し出てくれ、しばらくクデュックで滞在することが決まった。

 

数日後。

 

通信魔法が起動し、カリオンの声が響く。

 

カリオン「なあ、魔王会議に合わせて、クレイマン軍がクデュックに進軍する予定らしい。」

 

セリオス(綾音)「なるほど……。」

セリオス(綾音)「じゃあ、クレイマンを少し挑発してみようか。」

セリオス(綾音)「軍勢の方は、多分すぐ片が付くと思うし、作戦を考えよう。」

 

カリオン「了解だ。」

 

そして迎えた魔王会議当日。

円卓の間には、すでに魔王カリオンの姿があった。

 

セリオス(綾音)「失礼します。」

 

ミリム「うむ。久しぶりなのだ!」

 

ラミリス「久しぶりねー!元気にしてた?」

 

ヴェルグリンド「最近姿を見なかったけど、どうしてたの?」

 

ルミナス「確かに、気にはなっておったがの。」

 

セリオス(綾音)「少し、事情がありまして……ご心配をおかけしました。」

 

ヴェルグリンド「では、今回の議題に入ろう。」

 

視線が集まる中、セリオス(綾音)は一歩前に出た。

内心で、ミリムの様子を探る。

 

セリオス(綾音)「改めて名乗ります。」

セリオス(綾音)「今回より新たに魔王となりました。リムル・セリオスです。よろしくお願いします。」

 

ラミリス「よろしくなの!」

 

ルミナス「よろしくなのじゃ。」

 

ヴェルグリンド「よろしくね。」

 

セリオス(綾音)「早速ですが……魔王としてふさわしくない行いを続けている者がいます。」

セリオス(綾音)「魔王クレイマン、あなたです。」

 

クレイマン「な、何を言っておるのだ?」

クレイマン「カリオンよ!」

 

カリオン「お前はもう終わりだ。」

 

セリオス(綾音)「あなたはミリムさんに呪いを仕込んだネックレスを渡し、洗脳しました。」

セリオス(綾音)「そしてミリムさんを使い、我が国と獣王国へ宣戦布告。」

セリオス(綾音)「結果として、獣王国は消失しました。」

 

ざわめきが走る。

 

セリオス(綾音)「さらに、オークロード事件も中庸道化連が主導していた。」

セリオス(綾音)「我が国への無通告攻撃、大虐殺……すべて、あなたの差し金ですね。」

 

クレイマンは額に汗を滲ませた。

 

セリオス(綾音)「魔王同士の争いは決闘で裁かれると聞いています。」

セリオス(綾音)「よって、決闘を申し込みます。」

 

セリオス(綾音)「日時は一ヶ月後。」

セリオス(綾音)「場所は、我が国です。」

 

セリオス(綾音)「魔王クレイマン、よろしいですか?」

 

クレイマン「……分かった。」

クレイマン「その決闘、受けよう。」

 

一週間後。

決闘当日。

巨大な闘技場には、魔王たちの視線が集まっていた。

だが、ミリムはクレイマンから意図的に目線を反らしてる。

 

カリオン「これより、魔王クレイマン対魔王リムル・セリオスの決闘を開始する!」

カリオン「クレイマンが降伏するか、リムルが戦闘不能になった時点で決着とする!」

 

セリオス(綾音)「なお、ミリムの通常対人用爆破攻撃規模までの攻撃は許可します。」

セリオス(綾音)「それ以上は、この闘技場が耐えられないので禁止です。」

 

カリオン「それでは……始め!」

 

クレイマン「死ね!雑魚どもが!」

 

瞬間、クレイマンは背を向けた。

逃走を選んだのだ。

 

セリオス(綾音)「無駄ですよ。」

セリオス(綾音)「私の能力からは逃げられません。」

 

これは迷う案件じゃない

 

セリオス(綾音)「空間圧縮。」

 

空間が歪み、クレイマンの動きが完全に封じられる。

 

セリオス(綾音)「クレイマンさん。」

セリオス(綾音)「私の勝ちです。」

 

セリオス(綾音)「……さようなら。」

 

その命は、静かに刈り取られた。

 

一週間後。

魔王たちの宴。

 

ルミナス「それにしても、どうやったのじゃ?」

 

セリオス(綾音)「クデュックの技術で、空間そのものを圧縮できるんです。」

 

ルミナス「なるほどのう。」

 

ラミリス「つまり、行動を予測して閉じ込めたってわけね。」

 

セリオス(綾音)「そういうこと。」

 

こうして、魔王クレイマンは滅び去った。

 

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