Diving into Emotions.   作:粗茶抹茶

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心に沈む、感情に酔う

 

 一年が、終わる。そう感じたのはクリスマスのゴタゴタを終えた次の日の事だった。

 その日の営業を終え、深夜の街を自宅から眺めながら、僕は呟いた。

 

 

「今年も、もう終わりなんだな」

「なんだい、感傷にでも浸っているのか君は」

 

 

 透き通るような、けれどどこか仄暗い声をかけられて振り返る。

 

 

「まあ、そんなところだよ。タキオンはこの一年を振り返ってどうだった?」

「ふぅン……一年の総括、か。そうだねえ……思いのほか、楽しかった一年だったかな?」

 

 

 ソファに座る僕の隣に座ってきた彼女はそう言うと持ってきていたティーポットからカップへ紅茶を注ぐ。それに砂糖を入れると、スプーンで中身をかき混ぜ、一口。

 

 

「だけど、まだ今年は終わっていないだろう? それに大晦日にはアレ、があるのだからさ」

「ああ、アレか。場所はもう決まっているのかい?」

「勿論、場所は──県の────という旅館に決まったよ」

 

 

 先月、僕たちの間で、ちょっとした奇跡が起きた。その結果、僕は彼女と一緒に旅行に行くことになった。……勿論研究者の助手(被検体)として。それでも、僕は嬉しかった。どうしようもなく、彼女を好いてしまったからだろうか。

 

 きっとそうなのだろう。でなければ僕はあんなものを用意なんてしなかったのだから。

 

    ○○○

 

「そうかい、じゃあ今日のうちから準備を始めないとね」

「ああ、そうした方が良いだろう。年末の予定を諸々繰り上げることになるだろうからね」

 

 

 先程、私が行先を伝えた時、彼が首を縦に振ってくれるかが心配だった。もし予定が合わなかったら、行きたくないと言われてしまったら。

 その時の私は、G1レースを終えた時のように心臓を鳴らしていた。それほどまでに緊張していたし、それほどまでに失敗したくなかったのだ。

 

 けれど彼は頷いてくれた。嬉しかった。彼と一緒に行ける、それだけで私は有頂天外の気分だった。

 

 

 少し大きく息を吸う。思えば、私がこうして彼をより強く意識するようになったのはあの夏の日だった。

 

 "マンハッタンカフェ"彼女が運んできた一つの幸せの話が私にぬるま湯に浸かることを許さなかった。現状のままで居ることを良しとしなかった。

 けれども、やはり私はどうしようもなく怖かったのだ。今の小さな幸せを、閉じた世界を自分の手で壊してしまうことに。

 

 もし断られたら、もしそれに値するほどの相手として見られていなかったら。辛かった、苦しかった、そんな自分が嫌になった事もあった。

 

 

 そんな私にだって、チャンスというものは訪れるらしい。そのか細い光の糸を、私は手繰り寄せた。

 

「当日の予定はタキオンに任せるけど大丈夫かい?」

「ああ、それなら問題ないさ。二十八日にはもう今年の営業も終わりだからね、一日二日あれば予定なんて簡単に組めるとも」

「それなら君に任せるとしよう、大晦日が楽しみだ」

「期待して待っているといい。それじゃあおやすみ」

 

 

 

 私はそう言い、自室に戻る。五帖の部屋にあった大量の薬品もこの生活をしていく内に、残り僅かとなってしまい、部屋の広さを改めて感じる。それが心の隙間のようで苦しい。その隙間を埋めるように追加分の発注をした。到着は年始以降になるらしい。

 

 どうやら今年中はこの隙間は埋まらないようだ。

 

 体をベッドに放り投げる。ぎしりと、スプリングの硬さを感じる。まるで素直になることを拒む私のようで少しだけ嫌な気分になった。

 

 

 ──それでも、あと少しだけ君には待っていて欲しい。だから置いていかないでおくれ。

 

 

 

    ○○○

 

 

 

 部屋に戻る彼女を見送ったあと、僕は一本の瓶と、一つのグラスを用意する。満月のような丸い氷は用意できないから、冷蔵庫の製氷機から均一な形の氷を三つ取り、入れる。

 氷を入れたグラスに琥珀色に輝く液体を注ぐと氷は上に浮かんできた。グラスを持ち、適当に振ってみる。

 

 カラカラ、チリンチリン。

 氷と氷が、氷とグラスがそれぞれ違う音を出した。

 

 僕はその音に耳を傾けた後、中身を一気に飲み干す。紅茶の香りと、ほんの少しの甘さの中に、アルコールの匂いが混じっていた。

 

「──いつか君と『コレ』を飲める日が来ると良いな」

 

 

 

 口内に放り込んだ氷を噛み砕く僕は、グラスをシンクに入れて、自室のベッドへと吸い寄せられていった。片手にティーリキュールの瓶を持ちながら。

 

◆◆◆◆◆

 

 十二月三十一日、大晦日。多くの人々が街に繰り出し、次来る年への準備をするその日。私と彼は、新幹線に乗っていた。

 目的は勿論、来る年への準備などではなく、旅行の為だ。スマホの表示時刻は午前十一時とちょっと。帰省客や、私達と同じく、旅行目的の客達でグリーン車の中は満席状態だった。

 

「次の停車駅で降りるぞ■■君」

「ん、わかった。キャリーケース、忘れないでよ」

「わかっているさ」

「ほんとかなあ……」

 

 下車の支度を始めてから十分、目的としていた駅で私達は降りる。降りた先のホームは寒く、意識もしていないのに白い息が漏れ出す。

 

「寒いな……」

「どうやらマイナス気温らしいよ。このままいくと、今夜中には雪が降り出すそうだね」

 

 隣で天気情報を確認する彼が言う。それを聞く私は、ロングコートのポケットを探る。

 

「……無い。忘れたか」

「どうかしたの?」

「いや、手袋を忘れてしまってね」

 

 あれだけ前日に準備をして確認まで取ったのに、こんな初歩的なミスを犯すとは。どれだけ浮かれていたのだろうか。

 

 

 ひゅうと風が吹く、肌に感じる寒さに手を擦ってはみたのだが、全然暖まらない。指先は赤くなっているのに凍ってしまったように感覚が無い。

 しょうがないから自分の吐息を当てる。少しだけ、冷たいという感覚が返ってきた。

 指先がまだ生きていることを確認できただけまだマシか、そう思っていたところ、彼が声をかけてきた。

 

「タキオン、これ使いなよ」

 

 そう言うと、彼はチェスターコートのポケットから何かを取り出すと私の手に乗せた。

 

「これは手袋か。君の物かい?」

「うん、こっちに着いた時に寒かったら着けようかなって思って用意してたんだけど。使わないなら代わりにカイロあるけど……」

「いや、これでいい。ありがたく使わせてもらうよ」

 

 茶の革手袋に私は手を入れる。外見と反して、中はふわふわとしていて、それが裏起毛と気づくまでに時間はかからなかった。

 

 

 手袋をはめてから、私は少し嬉しい気分になった。この感覚には覚えがある。

 以前、彼と外出をした時、彼のジャケットを羽織った時も、温かいという感覚の他に、落ち着くといったリラックス効果を感じた。

 

 つまりだ、どうやら私は彼の衣服や小物を身につけることに何ら抵抗を感じないどころかむしろ、それを装着することでリラックスできるというわけである。

 私も随分と変わって(おとなしくなって)しまったものだ、昔の自分が見ればどう思っただろうか。案外嫌がらなそうだな。むしろ興味津々に私の事を質問攻めにするだろう。

 

「着け心地はどう?」

「ふむ、やはりだがサイズは全く合わないな。しかし、裏起毛というのは悪くない。手の感覚も元通りになったようだ」

「まあ、サイズが合わないのはしょうがないよね。でも君が温まれたようで何より」

 

 彼はそう言うと、もう片方のポケットから、カイロを振って、握りしめる。あちちと声が聞こえる。くすりと笑ってしまう。

 

 

 外にいる間、私はこの小さな幸せを手放すまいと、コートのポケットに両手を突っ込んだ。

 

 

 

 駅からは目的地である旅館に向けてシャトルバスが十分置きのスパンで運行していた。

 バスの中はせいぜい六、七人が入れる程度しか無い。それならこの間隔の短さも納得だ。

 しかし、私達の乗ったバスは私達以外の乗客はいなかった。昼時が近く、各々が近場の飲食店にはけて行った結果だろう。その結果、利用者がたった二人のバスは旅館へ向けて出発した。

 

「かなりの山道を走るなコレ。それに揺れるなあ」

「確かに、コレは中々のものだねぇ。気分とかは大丈夫かい?」

「乗り物酔いには強い性分でね。問題ないよ」

 

 バスは舗装されていない山道を登る、でこぼこだらけの道は思った以上に揺れた。

 古い時代には同じように山道を進む牛車(ぎっしゃ)という乗り物があったそうだが、その揺れもこんな感じだったのだろうか。

 

 しかし、これ程整備されていない山道というのも、現代日本では珍しいのではないだろうか。

 こういったオフロードの走りはダート走とはまた違った……いけないいけない、そういう目的で私はここに来たわけじゃないのだ。

 

 

 ぽんぽんと肩を叩かれる。窓の外を眺めていた私は振り返る。

 

「どうかしたのかい■■君?」

「いや、君の走りたいという顔が窓に写っていたからさ」

 

 驚いた、窓に写る私はそんな顔をしていたのか。

 

「確かに、この山道を利用したトレーニングも出来そうだなとは思っていたが……」

「やっぱり。君らしいや」

 

 そう言って微笑む彼に不満を覚えてしまう。彼には何が見えているのだろう。私の気持ちすら見えていないくせに。

 

「君から見てこの山道はどう思う?」

 

 突っかかりたい気持ちをぐっと抑えて、質問をする。私自身、ある程度のメニューを組むことはできたのだが、それは整ったコースのみのことだ。

 

 

「僕としては……絶対に認められないだろうね。確かに、雨や雪の重バ場や、荒れたコースを君達が走ることはあるだろう」

「ならいいんじゃないのか? 同じようなものじゃないか」

「荒れ具合が違いすぎる。ちょっとの窪み程度なら怖いけれど問題ない。でも岩や剥き出しの木の根なんかに引っかかろうものなら大怪我間違いなしだ」

 

 そこからは、トレイルランニングなるスポーツについてだったり、それで得られる効果だったりと、彼の元専門家(トレーナー)としての知識を余すことなく聞くことになった。

 

 

 

「つまるところ、リスクに対してのリターンが少ない、ということでいいんだね?」

「そう、あまりにも危険すぎる。僕はね、トレーナーだった人として、彼女達には人生を棒に振るようなトレーニングをして欲しくはない」

 

 力強い言葉と共に、私を見る彼の目は、あの頃のように鋭く何かに染まったような色をしていた。

 

 ──そうだ、私は彼の、この真っ直ぐな目に貫かれたんだった。ダービーの後、自分の足を捨てようとした(プランBを選ぼうとした)私を、アグネスタキオン()にならなんだってしてやりたいと、私以上に信じてくれた彼の心の在り方に絆されて、蕩かされて、いつしか望むようになったのだ。

 

 もっとも、それに気づいたのは今年に入ってからなのだが。それでも、二年近く積もったこの想いは、確信を持てるくらいには本物だった。

 

 

「それにね、そう思うようなったのはタキオン、君のおかげでもあるんだよ」

「私が、かい?」

 

 少し照れくさそうに、どこか嬉しそうに、感謝を伝えるように彼はそう言う。

 

「君が菊花賞を走り終えた後、話してくれただろ? プランAとプランB(君の戦い)について。あの後、すぐにトレーニングメニューを全部作り直したんだ」

「それはまた無茶をするもんだね。何故そんなことを?」

「正直に言うと、ちょっとだけ心配だったんだ。君の足が走りに耐えれるようになっても、絶対なんて無くて」

 

 少しだけ含みを持たせた後に彼は言った。

 

「君が走れなくなる要因があるとするならば、それはきっと僕だと思ったんだ。正確に言うなら、僕のトレーニングメニューが、かな? とにかく、もし君に何かあればすぐにでもトレーナーを辞めるつもりだった」

 

 

 

 それを聞いた私は、『違う』と言いたかった。彼のトレーニングメニューは並のウマ娘なら難なくこなせる負荷だったし、トレーニング後のケアだって十分だった、だから違うと。喉元まで出かかったこの二文字を、私は言えなかった。それを(辞めると)言う彼の顔は、覚悟を決めた人の暗さだったから。

 

 

「ま、そんなことを今更気にしてもしょうがないんだけどね。現に君は健康体そのものなんだから」

 

 ふっといつもの穏やかな顔に戻った彼はそう言うとまたカイロを握った。

 それを見て、聞いてから私の中で色々な思いが渦巻いた。

 

 

 初めて知った彼の覚悟、私はそれに対して何を返せたのだろうか。レースでの実績だって、ビジョンが見えていたのは皐月賞までだ。自分の才を信じて疑わない振りをしていたけれど、そこから先は、彼の言葉に、行動に(やさしさに)助けられてばかりだった。与えられてばかりだった。

 

 つまりだ、私は彼が与えてくれた(もちろん、彼はそんなことを考えてはいないだろうが)恩に対して、何一つ返せていない。そんな私が今度は彼の人生まで求めるなんて──

 

 

 ──烏滸がましいにも程があるんじゃないだろうか。

 

 

「──オン、タキオン」

 

 彼の呼ぶ声ではっとする。

 

「ああ、なんだい?」

「もう着いたよ、降りるから準備しといて」

「んん……わかったよ」

 

 自分でも少し呆れる声で背伸びをする。目に入った景色には一つの建築物があった。

 どうやら、バスは目的地である旅館に到着したらしい。そのままバスは正面入口の前で止まると、待っていたであろうスーツ姿の従業員の手によって開かれた。こんな寒い中ご苦労なことだ。

 バスを降りる。待っていたであろう数人の従業員が出迎える中、彼は荷物を持って先へと進んでいた。

 

 

 彼を追う途中、私は車中でのことを振り返る。彼の新しい一面を知った時、私は複数の感情に覆われていた。驚愕、憤怒、悲哀、好意。その全てが混ざって私に流れ込む。

 それが私には苦しかった。彼を知れば知るほど、私は苦しくなって(感情に沈んで)いく。それはまるで、暗く深い海の底へ向かって潜っていくようで。

 

 

 

 もし断られるのならば、それでもいい。けれど、その感情の果てには、何が待っているのだろうか。私は、それが見たくなってしまった。

 

◆◆◆◆◆

 

 彼女より先に入った旅館のロビー、中は洋風なデザインで、どちらとも取れる施設なのだろう。ただ、外観が旅館に寄っていて、その先入観が植え付けられただけだったのだ。

 僕は、近くの来客用椅子に腰掛け、彼女が来るのを待つ。

 

「随分と遅かったじゃないか」

「君が先走りすぎなんだよ。どうだい、ここはひとつこのロビーで、醜態を晒して(無様に光って)みるのも」

「僕が警察の厄介(フダツキ)になって困るのは君だと思うぞ?」

「それもそうだな、ここではやめておこう。それじゃあ、チェックインは頼んだよ」

 

 彼女はそう言うと、テーブルを挟んで向かい側の席に座ってぽんぽんと、手を叩いた。どういうことだ。

 

「ああ、言い忘れていたんだが、予約をとる時に君の名前で入れさせて貰ったんだよ。だから君の身分証が必要なのさ」

「僕が休んだらどうするつもりだったのさ」

「さあ? そんなたらればの話に興味はないね」

 

 少しだけ、彼女の正気を疑いたくなったのだが、現にこうして、僕がここにいる以上、それも野暮というものだろう。

 

「わかったわかった、行ってくるよ」

「あとついでにウェルカムドリンクも持ってくるように頼んでくれ」

「それは君がやってくれ」

 

 えー、と言う彼女を置いて、僕は受付へと向かうのだった。

 

 

 

「──以上で、当施設の説明は終了となります。何か質問はございますか?」

「いえ、大丈夫です」

「かしこまりました。それでは、お荷物の方をお部屋まで運ばせて頂きます」

 

 丁寧な対応をする従業員に僕は自分のと彼女の、合わせてふたつのキャリーケースを預ける。元々、荷物に関しては僕に預けられていた節があったためこれくらいのことは彼女にとっては想定済みだろう。

 荷物を渡し終えたあと、代わりにいくつかのパンフレットと部屋の鍵を渡された。読め、ということだろう。

 

 

「戻ったよ」

「遅かったじゃないか。遅すぎて私は紅茶をもう二杯も頂いてるよ」

「ウェルカムドリンクってそういうもんじゃないでしょうが」

 

 二杯目の紅茶を飲む彼女にツッコミを入れられずにはいられなかった僕はそう言った。

「よいしょっと。……ああ、落ち着くなあ」

 

 少しの間しか座れなかった椅子に再び腰をかける。長旅の疲れをここで癒すのも悪くなさそうだ。椅子にもたれてから二、三分だろうか、唸り声のような音が近くから響いた。顔を上げると、彼女も顔を上げていて目が合ったがすぐにずらされてしまった。

 

「……そういえば、僕達まだお昼ご飯食べてないよね」

「そうだな」

「まだ部屋に入れるまで、時間がかかるから、先にご飯食べに行こうか」

 

 

 僕の言葉を聞いてから、彼女はぐい、と残りの紅茶を流し込むと「ああ、行こうか」と言い、館内マップの表示されている掲示板まで歩いていった。僕も彼女を追って、掲示板の側まで来た時、彼女は口を開く。

 

「ここからだと、蕎麦屋が近いねえ■■君」

「あ、ほんとだ」

 

 確かに、彼女が指さした先の蕎麦屋は自分たちのいる所から数十メートル先で一番近かった。

 

「でも今日は大晦日だよ? 多分中混んでるって」

「そんなこと百も承知さ。でも夜くらいはゆっくりしたいだろ?」

 

 そうじゃないのかい、とこちらを見る彼女に僕は何も言えなくなってしまった。確かに、せっかくの旅行だ。夜の貴重な時間に蕎麦を啜るというのもなんだか味気ない。

 

「……わかったよ、でも混んでても文句は言わないでよ?」

「それについては保証しないでおこう」

「嘘でも保証すると言って欲しかったなあ」

 

 こうして僕達は一足早く、年越し蕎麦を食べることになった。

 

 

 

「────酷いじゃないかタキオン、まさか僕の分の海老天まで持っていくなんてさ」

「のんびりしていた君が悪いだろう」

「言ったな? 食べ物の恨みは高くつくぞ?」

 

 僕は笑いながら言う。別に彼女の蛮行には慣れているため、最早気にはしていないのだが、それを他人にしないようにするためにも、軽く注意をする。

 

「まあ、僕だから問題ないけれどさ。マンハッタンカフェ辺りにやったら君の飲み物全部コーヒーになってるだろうね」

「随分と怖いことを言うじゃないか。しかし彼女ならやりかねないな。まあ、後にも先にも君にしかやらないからいいのだが」

 

 

 相手を気遣えと言いかけた口を閉じ、言葉を飲み込む。彼女の言葉には聞かないふりをした。ふと目にした壁掛けの時計は午後二時を示していた。

 

 

 

「さて、ここが部屋のようだね」

「鍵は忘れていないかい? ここまできて部屋に入れませんでしたは即実験だからな、■■君?」

 

 カランカランと試験管を見せつけるタキオン。いつの間に取ってきたんだろうか。

 

「大丈夫だって、ほら」

 

 代わりにチリンと鈴の音を鳴らすストラップの着いた鍵を彼女に渡す。

 

「君が選んだ部屋だ、最初に開けるべきなのは君だと思うよ」

「ああ、そうさせてもらおう」

 

 そう言うと彼女は鍵を差し込み、回す。カチャリと軽い音が鳴った。

 

「さて、部屋の方はどうだろうか……」

「へえ、なかなかいい部屋みたいだね」

 

 彼女の後に部屋に入る僕は言う。十畳の広々とした居間の中にはテレビにテーブル、座布団と十二分にくつろげる空間が広がっていた。部屋を仕切っていた障子に手をかける。

 

「お、こっちは広縁か。外の景色も良さそうだね」

「せっかくの旅行なんだ、景色のいい所を選ぶのは当然だろう? 感謝してくれよ?」

「どうもどうも、ありがとうね」

 

 ふふんと、鼻を鳴らし得意そうにしている彼女は放っておいて、僕は座布団に座る。テーブルの上にあったお菓子の封を開けていると彼女は正面に座って、雛鳥のように口を開けていた。

 

「……なにしてんの」

「見て分からないのかい? そのお菓子を食べさせてくれと表現しているのだがね」

「ちゃんと言葉にして言いなさいな」

 

 そう言って僕は彼女の口にお菓子を放り込む。

 意識せずに出た言葉は、自分に向けたものだった。

 

 

 ただ想い、焦がれるだけじゃ意味なんて無くて、ちゃんと自分の口で、自分の言葉で伝えないといけない。

 そんなことは分かっている、分かっているはずなのに、この一歩が、どこに踏み出したらいいのかがてんでわからない。ただ、宙に浮いて向かうべき方向を見失ってしまったように。

 

 ふわふわと浮いてしまったこの感情のある場所は、あまりにも暗くて、寒くて、深いと見紛うくらいには苦しいと感じる。

 そこは、太陽の光が届かない宇宙の果てのようだった。

 

 

 

 部屋に入ってから五時間が過ぎた。テレビをつけても、どのチャンネルも年末の特番ばかりで、些か飽きてしまった。どうやらタキオンもその頃には飽きていたようで、館内探索もとい実験ツアーなるものをすることになった。

 

「──しっかし全部失敗するとはなあ」

 

 奇妙な冒険をした数時間前を振り返る。試験管の中身を飲んで館内を巡り、時間が経てばまた別の薬を飲む。

 それだけの事だったのに思いの外疲れてしまった。いつ光ってしまうか分からないというのはなかなかに恐ろしかったし、周囲の目線が気になって仕方がなかったからだろうか。

 しかし、館内を回っている間に飲んだ薬は全て体を発光させることは無かった。

 

「まさかの結果だったね■■君。これでは変化した環境下でのデータが取れないじゃないか」

「そんなこと言われてもなあ……」

 

 

 これに関しては僕がどうこうできる事では無いのだ。

 

「なんでもいいから感じたことを話してくれよ」

「ううん……そうだなあ、薬がいつもより甘かったことくらいかなあ」

 

 

 良薬口になんとやら、という訳では無いのだが、彼女の精製する薬は大抵美味しいとは言い難い。しかし今日の薬は、喉に粘り着くくらいに甘かったのだ。

 

「そうか。……むう、ここまで結果が得られなかったのは初めてだよ」

 

 不満げにため息を吐く彼女は、テーブルに顔を乗せて、脱力していた。猫のようで少し愛おしい。

 

「……実験はもういいとして、今日の晩御飯はいつ来るんだい?」

「えっと……八時半に食事が運ばれてくるそうだよ。旅館みたいな外見で、ホテルみたいな内装なのに。ここはどっちなのかわかんなくなっちゃったよ」

 

 チェックインした時に渡されたパンフレットを眺めながら、僕はそう答えた。

 

「まだ一時間近くあるじゃないか……。退屈は死とは言い得て妙なのかもしれないな」

「そんなに退屈なら大浴場に行ってきなよ。もしかしたら雪見風呂が出来るかもしれないし」

 

 スマホを開き、現在地の天気情報を見せる。画面には、今の時間から、翌日早朝までの間で降雪があるという表示がされていた。

 

 

「雪見風呂か……興味深いね。……よし、行こうか」

「行こうかって、僕も行くの?」

「当然だろう? これも実験、だよ」

 

 そう言う彼女は、ほいほいと自分の分のタオルと浴衣を手にすると、颯爽と部屋から出ていってしまった。

 どうやら行くしか無さそうだ。

 

 

 

「ううん、極楽極楽……」

 

 他の客には感謝しなければならない。この利用者の少ない時間帯で、天気予報は雪。露天風呂は僕一人の貸切だった。

 一人静かな世界で、こうして降る雪を眺めながら乳白色の温泉に浸かる。これができる僕はかなりの贅沢者だろう。

 

「そういえばタキオンはどうしているかな」

 

 無論だが、ここの温泉に混浴は無い。ちゃんと男女別で分けられている。泊まる部屋にも、バスルームはあるが一緒に使うことはないだろう。

 しかし、こうして姿が見えないだけで心配になるのはどうしてだろうか。彼女自身、人の気をあまり好まない性分なのは、四年も見ていればわかる事だった。

 

 

 心配だ。

 嗚呼、心配だ。湯で温まっているというのに肌は逆立つ。慣れない人の多さに萎縮してしまってはいないだろうか。ゆっくりこの雪見風呂を満喫できているだろうか。

 

 

 ふと、考える。僕はどうしてこんなにも彼女の身を案じてしまうのだろうか。

 彼女は強い。物理的にも、精神的にも。だからこそ彼女は自分の足で駆け抜けること(プランA)を選び、勝ち取った。

 そんな彼女を何故僕が心配する必要がある?

 彼女は自立できる。自炊だってできるようになったし、家事もこなせるようになった。

 

 

 もう、いいんじゃないか? 彼女を僕に縛り付ける必要なんてどこにも────

 

「ちがう……ちがう……!!」

 

 

 ばしゃんと、浸かっていた温泉に全身を沈める。冷えた顔が一気に熱くなり、思わず息を吐く。

 そうだ、違う。

 決めるのは彼女(タキオン)だ、僕じゃない。それに。

 

(言わず仕舞いでまた明日。じゃあ僕は一体、なんのためにアレを用意したってんだ……!)

 

 あの日、僕が言った言葉『感情を殺すな、自分を殺すな』この自分の言葉から僕は逃げてきた。逃げ続けてきた。けれど今日、ようやく正面から向き合える。

 

 湯から顔を上げる。冷えた空気が顔を引き締める。

 

「……上がろう」

 

 

 僕は温泉から上がり、脱衣場へ向かう。途中空を見上げた。雲は空を覆って、月はその奥に隠れてしまった。別に構わない。

 

 

 

 僕のこの感情に、言葉はそんなに要らないだろうから。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 浴衣に着替えて、脱衣場の外に出ると、既にタキオンが待っていた。ほんのりと上気した彼女の頬に思わず手が伸びかける。すんでのところで手を引っ込めると、彼女が口を開いた。

 

「私を待たせるとは、随分余裕があるもんだね」

「長風呂しちゃってね、ちょっと体冷まししてた」

「何をしているんだ君は……。まあいい、早く部屋に戻ろう。もうすぐ食事の届く時間になる」

 

 そう言って、僕の前を歩くタキオン。その顔は、少しだけ不満そうだった。

 

 

 

「はは、結構豪勢だ。これ全部タダって考えると嬉しいね」

「確かに、実家でもなかなか見ないものがいっぱいだ。これも旅行の醍醐味というやつだろうな」

 

 部屋に戻ってすぐ、くつろぐ間も無く料理が運び込まれた時は少し驚いたが、そんなことどうでも良くなってしまうくらいには、美味しそうな料理が並べられていた。

 

「食べ終わった食器は外に出しておけば回収してくれるらしいし、もう食べちゃおうか」

「ああ、今年最後の食事だ。しっかり味わおうじゃないか」

 

 

 共に手を合わせ、いただきますをする。

 

 

「合図もないのに、同じタイミングで言うとはね」

「偶然だろう」

「言えてる」

 

 それからはゆったりとしたものだった。彼女の分の伊勢海老の殻を剥いたり、カニの足を取ろうとして失敗する彼女を見て笑ったら頬を膨らませた。

 

 話だって沢山した。

ジュニア(出会い)の話を。

クラシック(彼女の戦い)の話を。

シニア(感情)の話をした。

 

 

 尽きぬ話題は、料理と共に消費されていって、気づけば空の皿ばかりだった。

 

「っとと、かなり食べたね……」

 

 空っぽになった皿を部屋の外に出しながら僕は言う。

 

「ああ、今年最後を飾るには満足いく内容だった。改めて来て良かったよ」

 

 珍しく緑茶を飲む彼女はそう言う。

 

「おや、緑茶とは珍しい」

「珍しいって、私だって食事に合った飲み物くらい選ぶさ。君こそなんだい、その右手に持ってる瓶は」

 

 彼女が指さす先、僕の右手には一本の瓶が握られていた。

 

「ああ、これね。これはお酒だよ。ティーリキュールってやつ」

「ティーリキュール……ああ、紅茶のお酒というやつか」

「そそ、せっかくの旅行なんだ。久しぶりに飲みたい気分でね」

 

 備え付けのグラスに、階下の売店で買ってきた氷を入れる。そこにティーリキュールをグラス半分まで注ぐ。パキパキと氷にヒビが入っていく。

 酒の入ったグラスと瓶を持って、さっきまで座ってた座布団の上に再度座る。目の前のタキオンは瓶の方を興味ありげに眺めている。

 

 それを見てから、僕はグラスの中身を一気に嚥下した。

 

「……うん、美味しい」

 

 アルコールを楽しむ最中、タキオンの視線が僕に向いていることに気づく。

 

「どうしたんだい? 僕のことジロジロ見て」

「いや、君がそんなにも蕩けた顔でそのお酒を飲むもんだからね。ちょっとばかし興味が湧いてしまったのさ」

 

 人差し指と親指で小さく表現する彼女にフッと笑みがこぼれてしまう。アルコールのせいだろうか。

 

「けれど私はまだ飲めそうに無い。まだ未成年だからね、その点君が羨ましいよ」

 

 

 少し拗ねたような顔をする彼女に、グラスの中身を飲み干してから、僕は言った。

 

 

「飲んでみるかい?」

 

 

 未成年を非道に引きずり込む言葉なのは分かっている。けれど、彼女の顔を見た時に、そんな気持ちは露と消えた。

 

「飲むって……言ったじゃないか。私はまだ未成年だし、成人するまでは当分先なんだ。飲みたくても飲めないんだよ」

「だったら、今日くらいは数え年でも良いじゃないか。数え年なら君は二十歳。ほら、お酒の飲める成人じゃないか」

 

 そう言って僕は空になったグラスにティーリキュールを入れる。そして彼女の前に置く。

 

 

「随分と、曲解の上手な人だな君は」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

「でも、本当に良いのかい? 君のお酒だろう?」

 

 彼女の後ろを歩き、広縁の椅子に座った僕はこう答えた。

 

 

「いいんだよ。いつかこうして君と飲み交わしたかったんだ。それが今日だっただけの事さ」

「そうか、なら遠慮なく……乾杯」

「乾杯」

 

 

降る雪を眺めながら、僕は一言そう言った。

 

 

 

   ○○○

 

 

 

 彼から渡されたグラスを少し傾ける。カランと音が鳴って琥珀に輝く液体が揺れる。

 私はそれを少し口に含む。仄かな甘みとアルコール、そして紅茶の香りを感じる。

 

「ん……なかなかキツイな、喉に絡んで焼け付く感じだ」

「もしかしてストレートで飲んじゃった? さすがに度数高いから最初は炭酸水で割ったりするのが良いよ」

 

 

 彼にそう言われて、後ろを振り返ると、広縁の椅子に座っていた彼の側、テーブルの上に炭酸水のペットボトルが置かれていた。いつ用意したのだろうか。

 

「そういう事は早く言ってくれよ■■君」

「ゴメンゴメン、初めてのお酒でむせる君を見てみたかったんだ」

 

 

 手玉に取られてるようでちょっと悔しい。

 私はグラス片手に、広縁のもう一つの席に座った。テーブルを挟んで、正面に降る雪を見つめてる、彼の顔が見える。お酒のせいだろうか、彼の顔が上気して見えた。

 

 

 そんな顔を見て私は、きっと今がチャンスなんだろうと考えた。お酒の力に頼ってしまうのは些か不満が残ってしまうが。

 

 

「なあ、■■君」

「なんだい、タキオン」

「思えば、君と私の物語は長いようで短い。短いようで長い。あっという間かと言えばあっという間だったし、長い道のりだったと言えば長い道のりだったね」

「うん、そうだね。気づいたらいろいろな事があった」

 

 

 さっきまで外を見ていた彼の双眸がこちらを見る。ああ、本当に綺麗な目をしている。

 

 

「私は、他のウマ娘とは違った。速さがあった代わりに、脆く崩れやすかった。君がトレーナーになった後も私の考え方が揺らぐことは無かった」

「うん、出走のキャンセルとか手続きがかなり大変だったよ」

「ただ、そんな私も限界を見てしまった。壁が見えてしまった」

「ダービーの後、だっけ」

 

 

 彼はお酒の入ったグラスに炭酸水を入れて混ぜる。渡されたそれを少し飲む。飲みづらさが無くなった代わりに、パチパチと舌の上で弾ける感覚があった。

 

 

「ああ、そうだね。ダービーで私は限界を見てしまったんだ。だから私はもう一つのプランに舵を取ろうとしたんだ」

「足を壊してでも、データを取る。だったっけ。今でもそっちに進んでいたらと思うとゾッとするよ」

「けれどやめた。その理由は……君も知ってるだろう? 君の目だ」

 

 

 高くそびえ立っていた限界という壁に、一撃。その一撃が今の私を作ってくれた。

 

 

「思えば、その時からだったんだろうね。私が君の事を気になりだしたのは。それから私が走る時は、君に見て欲しいという気持ちが混ざるように……混ざるようになったんだ……」

「うん……続けて」

 

 喉が震える。

 息が詰まる。

 目頭も少し熱い。寒くないのに指先も震えていた。

 言葉が、心が、感情が出かかっているんだ。

 

 

「だから……だから……! 私は君の目を見たあの日から、今日までずっと抱えていたんであろうこの……この感情に今! 今答えを出したい!」

 

 席から立ち、前のめりになる。

 

 

 

「私は! 君がたまらなく好きなんだ! ずっと傍に居たい! ずっと隣にいて欲しい! 君を愛したい! 君に愛されたい! 私は……! 私は……!」

「タキオン」

 

 

 嗚咽混じりの声を出す私の頬を彼がそっと撫でる。その手は大きく、あたたかかった。

 

 

「■■君……?」

 

 俯いていた顔を上げると、

 目の前には彼の顔があって──

 

 

 

 窓に写る私達は一つになった。

 

 

 

 

Diving into Emotions.(君と手を取って)

 

 

 

「落ち着いた?」

「うん……」

 

 

 渡された水を思いっきり飲む。それでも上がった体温は下がりそうにない。

 

「それで君は……私のこの答えを聞いてどう、だった……?」

「うん……君が、僕の事をこんなにも想って、想いすぎて苦しんでいたのを僕は知らなかった。酷い大人だよ」

「そんなことないさ! 私は君にずっと助けられてきたんだ!」

「うん、わかってる。でもね、僕は君に一つだけ、犯罪を犯させてしまったんだ」

 

 

 犯罪……?

 彼は何を言っているんだろうか。

 すると、彼は席を立ち上がると、自分のキャリーケースを漁り始めた。

 

「あった……」

 

 

 何かを見つけた彼は、再度席に戻ると私に語りかける。

 

「僕はさ、君にそのお酒を飲ませたよね」

「ああ、でもそれが今更問題になるってのか?」

「大アリだよ。未成年の教え子にお酒を飲ませるなんて。トレーナー以前の問題だ。でも、君が黙っていてさえすればバレやしない」

「つまり、私に共犯者になれと?」

「そう、だから────」

 

 

 彼はそう言うと、懐から一つの、小さな箱を取り出した。探していたのはそれだったのだろうか。

 そして彼は、その蓋を開ける。きらりと、小さく光るそれを見て、私の目頭が、心が、感情が熱く震える。

 

 

「あ、ああ……」

 

 

 

 

「僕の一生の共犯者になってくれませんか?」

 

 

 

 

 私の願いはようやく叶った。

 

 

 

 思いっきり彼に抱きつく。恥も外聞も語るものがいなければ無いに等しい。彼に、この人にだけ晒せる私の姿だ。

 

「……バカ、バカモルモット! うう……。遅い! いつまで私を待たせたと思っているんだ!」

「ずっと、ずっと迷っていたんだ。君に渡したい、けれど縛り付けたくない。そうやってずっと考えていた」

 

 私と同じように涙を流す彼はそう言う。

 

「でも、君の言葉を聞いて、君の心に触れて、君の感情を知って、いてもたってもいられなかった。遅くなってごめんね」

「うう……、うん」

 

 

 鼻水を吸い、涙を止める。

 私達は分かり合えた。いや、既に分かり合っていた。お互いに足りなかったのはたった一歩の踏み込みだったんだ。

 

 その一歩を、大事な一歩を踏み出せたからこそ、私は次の一歩も踏み出せた。

 

 

 

「その指輪、ただ私に見せるために持ってきたわけじゃないんだろう?」

「うん、どうする? 君はどっちに着けたい?」

 

 

 その問に私は、彼の手を取って答える。

 

「そんなもの、決まっているだろう?」

「……やっぱり君らしいね」

「ああ、カフェには申し訳ないけれどもね」

 

 二人して息を吸う。そして答えた。

 

 

 

「「左手、薬指」」

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