1stプログラム開始まで20時間
猿渡悟、猿のようにウキウキで自身の能力を確認
1stプログラム開始まで19時間59分
猿渡悟、ふて寝
1stプログラム開始まで10時間
猿渡悟起床、能力の詳細の実験を開始。同時に、冷蔵庫に入っていたバナナ三本完食。
1stプログラム開始まで12時間。
猿渡悟、縄を弄り始める
1stプログラム開始まで1時間
猿渡悟、軽い運動をする
1stプログラム開始まで5分
猿渡悟、猿顔を人間らしくしようと奮闘、少しオランウータンに近づく
1stプログラム開始》まで5秒…
そこは宝物庫だった。だだっ広い部屋に鎧や宝箱が無造作に置いてあり、床の大部分はコインに埋もれている。幾つもの豪華なシャンデリアがぶら下がっている天井はかなり高く、10mくらいあるかもしれない。
その中央付近に、二人は向かい合って立っていた。かたやイケメン、かたや猿。
『これよりファーストプログラムを開始します。どちらか一方が敗北宣言、気絶、死亡した場合のみ決着とします。それでは始めてください』
ー 5
猿「おいらは猿渡ってもんだ。お前は?」
ー 4
鳥「鳥羽田。」
ー 3
ファーストプログラムの相手は鳥羽田 響矢。大学生。男。美形な顔に、長い金髪。上から下まで天使のような真っ白な弓道衣を着ていて、それと対照的に吸い込まれるような黒い弓を持っている。
ー 2
猿(立ち方が不自然だ。多分矢を隠し持っている。左腕と懐にあるようだが、他にもあるかもしれない。)
ー 1
猿「そんじゃ、能力の試し打ち、付き合ってもらうぞ!」
鳥「ブーメラン。」
- 0
鳥羽田が矢を放つ。猿渡はドヤ顔でそれを|最低限の動きでで避けよとするも、頬を掠る。
猿「なるほど、それがお前の能力か。」
雑なブラフをかける。
鳥「ふ、もうばれたか。そう、私の能力は「舞天使」、羽を自由自在に操れる能力だ!」
ブラフにかかる。ついでにキャラがブレる。まさかかかると思っていなかった猿渡は一瞬固まり、え?とアホみたいな声を漏らす。
鳥「...え?...き、貴様、図ったなアアアア」
早くも騙されたことに気づいた鳥羽田は、原型を留めないほどの物凄い形相で|浮かび上がる。同時に、矢筒から矢が飛び出し鳥羽田の周りを円を描くように旋回する。本来は神々しいとまで思わせるその光景だが、顔がすごいことになっているせいで神々しさのかけらもない。
猿渡は警戒をするが、あまりの形相に集中ができない。アニメなどの「狂化」スキルでも持っているかのような変わりようにこみあげてくる笑いを堪え、さらに「図ったな」なんて言葉が現実の人間から出てくるのは初めて聞いたため、キレている人と笑いを堪えきれていない人が同じ空間にいるシュールな光景が広がっていた。
鳥「うおおおおおおお!!!」
10本の矢が猿渡に襲い掛かる。幸い、速度はあまりないので警戒していれば避けるのは難しくない。しかし、避けたそばから矢は方向転換し、また追ってくる。
猿渡はそれを猿より猫のような軟らかく素早い動きで避け続ける。しかし、鳥羽田の攻撃はそれだけではない。
能力を使っての初めての戦い、能力の扱いも、戦闘経験が無い人は戦闘そのものも素人だ。感覚的には初めて格闘ゲームをするようなものだ。特に鳥羽田のような能力なら、いきなりスマ〇ラのスネ〇クを使うようなもの。上手く扱うのは無理があるだろう。
しかし、逆に言えば、戦闘中に徐々に能力に慣れてくる。矢の精度はに上がっていき、すべての矢が一直線に進んでいただけものが加減速、フェイント、予測、挟み撃ち等を駆使し、猿渡を追い詰めていく。
遂に、一本の矢が猿渡の頬を掠る。極道という仕事柄痛みにはある程度の耐性があるとはいえ、一瞬怯んでしまう。
すかさず太腿に矢が刺さる。
変な体制だったことも災いし、猿渡は派手に転ぶ。
絶好のチャンスを前に、太腿に刺さっている矢を除いた9本の矢すべてが正面から襲いかかる。
誰が見ても、猿渡には絶体絶命だった。
しかし、猿渡は口角を少し上げ、いつの間にか手に持っていたボタンを前に投げ、能力を発動する。
《舞天使》
鳥羽田響矢さん
あなたの能力は
「羽を自由自在
に操れる能力」
です。