出会って5びょ「猿渡を強化します」え?   作:✝みsoshiru_✝

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仲介人

 猿渡(さわたり)口角(こうかく)を少し上げ、いつの間にか手に持っていたボタンを前に投げ、能力を発動する。

 

 シュルシュルシュルと風切り音(かざきりおん)とともに、ボタンが変化する。

 

 現れたのは、(なわ)を巻いて()んで作られた、直径190cm近くある大きな円形の盾だった。猿渡(さわたり)を狙っていた矢が全て盾に(はば)まれる。

 

 すかさず盾を押し倒し、刺さっている矢を折る。地面を蹴り、進みながら体制を(ととの)え、鳥羽田(とりはた)に向かい走って行く。

 

 しかし、鳥羽田(とりはた)は宙に浮いていて床から7mくらいは離れている。さらに、シャンデリアを背にしていて直視し辛い。

 

 遠距離攻撃手段を持っていない相手はもちろん、持っていても有利に立ち回れる良い策だ。しかし、猿渡(さわたり)相手には悪手だった。

 

 猿渡(さわたり)は大きく腕を振り(かぶ)り、ジャケットの(そで)のボタンが伸び、10mの投げ輪になる。

 

 (むち)のようにしなりながら(せま)る縄を、鳥羽田(とりはた)(なん)なく避ける。

 

 しかし、猿渡(さわたり)の狙いは鳥羽田(とりはた)ではなかった。

 

 後ろのシャンデリアに縄が掛かる。すかさず縄が縮む。瞬く間に二人の距離は一メートルを切る。

 

「っ!」

 

 とっさに下がる鳥羽田(とりはた)。縄をボタンに戻し少し上から落ちてきた猿渡(さわたり)のドロップキックが、ほんの一瞬前まで鳥羽田がいたところを通る。

 

 距離を取ろうとする鳥羽田に、先程と同じ縄が伸びる。避けるも、別のシャンデリアに掛かり縮み、すれ違いざまに蹴りが炸裂(さくれつ)する。

 

 人間とは思えない動きで天井を縦横無尽(じゅうおうむじん)に動き回る猿渡(さわたり)に対し、鳥羽田(とりはた)は手も足も出なかった。

 

 高速の縄が飛んで来る。これは速度をつける為か、直前に腕を突いたり振ったりするので、なんとか避けられる。だが、避けたあとには必ず縄はシャンデリアを捉える。

 縄に引かれものすごいスピードで猿渡が突撃してくる。近距離でのこれは来ることが分かっていなければ絶対に避けられない。

 息をする暇もなく、次の縄が来る。

 

 流れるように畳みかける猿渡の猛攻に反撃できるほど、鳥羽田(とりはた)は戦い慣れていなかった。打開策(だかいさく)、いや、取れる手段は一つしか残っていなかった。

 

 地上に降りることだ。

 

 地上に降りれば、状況は悪化するかもしれない。しかし、このまま空中で戦っていても、いずれやられるだけ、そう判断した鳥羽田(とりはた)は重力に従う。

 

 無事着地した鳥羽田だが、休む時間はない。彼の頭上に影が差す。

 

 現在、猿渡(さわたり)鳥羽田(とりはた)のほぼ真上で落下している。よって、鳥羽田から見るとシャンデリアを背にしていて、姿が捉えずらい。

 

 急いで後ろに飛び衝突を()ける。

 

 猿渡は手から地面に落ち、受け身を取り、転がるように鳥羽田に跳躍(ちょうやく)する。一瞬で落下のエネルギーの(ほとん)どを推進力(すいしんりょく)に変えたのだった。

 

鳥「グハ!」

 

 この速度のタックルに反応できず、鳥羽田(とりはた)の腹に直撃する。

 

 二人とも倒れる。鳥羽田が急いで猿渡に膝を当て、浮いて距離を置く。

 

 ここで一旦状況を確認する。

 

 猿渡(さわたり)の手にはボクシングのグローブのような縄が巻き付いていて、肘や肩の関節も縄で補強されている。そのため、無茶な動きをしてもある程度ダメージは抑えられている。そして、今までとどこか変わったような違和感(・・・)がある

 

 一方、鳥羽田(とりはた)はもう体が(ろく)に動かない。彼の能力で服の中に入れている羽を動かして浮いているが、これがなければもう降参していただろう。

 

 半分諦めながら、鳥羽田(とりはた)は弓道着に忍ばせていた二本の矢を飛ばす。

 

 先ほどは10本を(さば)いていた猿渡(さわたり)だが、10m近くの落下が()いているのか上手く対処しきれていない。たまに(かす)っている上に、動きや表情から必死さがにじみ出ている。

 

鳥(これならいけるかもしれない)

 

そう考え、隠していた最後の矢を放つ。

 

 直後、違和感の正体に気づく。

 

鳥(こいつ、ジャケットどこやった?)

 

 頭上にあることに気づくも、もう遅い。ジャケットの前のボタン四つが大きな(あみ)に変化し、鳥羽田を捕らえる。

 

 網の重みで地面に拘束(こうそく)される。

 

 しかし、矢はまだ残っている。力を()(しぼ)り頭を上げ、絶望する。

 

 目に映ったのは、(よろい)を着ていて、折れた矢を持っている猿渡の姿だった。

 

 矢を全て折られ、網に掛かり、体力も残っていない。勝ち目はもうないだろう。

 

鳥「負けだ。」

 

『勝者、猿渡(さわたり)(さとる)

 

 アナウンスと同時に、能力が解除され、縄が全てボタンに戻る。

 

 程なくして、猿渡(さわたり)(さとる)鳥羽田(とりはた)響矢(きょうや)の両方が意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲介人(connector)

猿渡悟さん

あなたの能力は

「ボタンを縄に

変える能力」

です。

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