皇立航空兵学校の入学式の日から一ヶ月ほどが経った頃、硫黄島要塞では静が熊谷と連絡を取っていた
「・・・じゃあ捕まえた集団は米国と欧州各国ですか・・・」
「それに中東地域の工作員だな」
「はぁ、全く呆れたものです。そんなに面子が大事なら捨ててしまえばいいのに」
「それができたら苦労はせんさ」
そう言って静は熊谷から今まで摘発した工作員の件数とその国を聞いて呆れていた。すると熊谷が話題を変え、新しく来る艦艇のことを聞いて来た
「ああ、そう言えば新しく来る艦艇があったよな」
「はい、“木曽型巡洋艦”ですね」
「ああ、それだ。あれはどのくらいのスペックなんだ?」
「えーっと。どれくらいだったっけ?」
そう言って静は隣にいた香織に聞くと
「えーっとですね・・・武装は127mm三連装砲四基に20式垂直発射機が三つに三連装魚雷発射管二基に20mm機関砲四つに近接防空噴進弾が二つ、それにホ式豆爆雷投射機八つ、レーダーは20式遠水平線レーダーに海中には21式海中探知機を使用しています」
「すごいな、それだとかなり船体が大きくなるのでは?」
「はい、巡洋艦では世界最大の大きさになりますね。まぁ、巡洋戦艦並みの大きさですよ」
「それは大きいな」
「しかも建造ドックで大忙しで作ったので武装の取り付けは要塞で行うんですよ」
「それは大変だな」
「それで海軍の方でも『もがみ型フリゲート艦』の建造も急いでいますよ」
「ああ、だが陸軍の方ではこの戦闘を機に朝鮮を再び支配し、大陸の足掛かりとしようと考えている奴らも一定数いるそうだ」
「はぁ、呆れたものです。今更何をするんですか、むしろ南北朝鮮を統一させて冷戦時代の遺物の処理を行った方がよっぽど良いのに・・・」
「それには同感だ。総理達は『強硬派』と呼んでいる彼等を抑えるのには苦労しているよ。まぁ、陸軍内部のほとんどは総理派と皇族派で埋まっているから今のところは抑えやすいが・・・」
「問題はもし戦闘が陸戦が主流となったっ場合。ですか?」
「ああ、そうだ。もし陸戦がメインとなれば、陸軍の強硬派が勢力を伸ばすことになる。そうすれば厄介な事になる」
「大陸進出を危険視するロシアと米国が手を繋ぎ、日本に圧を掛けてくる・・・と?」
「そういう事だ、強硬派の連中は目先の欲に駆られやすいからな。其処をついてクーデターを起こすやもしれん」
「・・・その時は私たちが動かないと行けませんね」
「ああ、我々は“皇族”の部隊だ。だからどんなにクーデターがあっても我々は今上天皇の命令が第一優先となる」
「そうですね、今上天皇は賢明な判断をしますから」
「ああ、だから我々は信頼をする事ができる」
「そうですね」
そういうと二人は今度行う合同訓練の調整で話を詰めた
「それでは、一週間における合同訓練はこの様な日程で」
「ああ、了解した。では、また訓練の日に」
そう言って熊谷は通信を切った
「・・・ふぅ、強硬派か・・・面倒な事をしてくれる」
「そうですね、今のところは落ち着いた様子ですが・・・」
「まぁ、それは戦闘があった後の話だ。今は目の前の合同訓練に集中だ、いつ戦闘が起こるか分からんからな」
「そうですね、司令」
そう言うと静は会議室から出て武御雷艦橋へと上がり、発艦訓練の様子を見ていた
そして数日が経ち、この日から一週間行われる菊花艦隊と菊花師団の合同訓練が開始された
「久しぶりだな」
「はい、直接会うのは秋の要塞事件以来ですね」
「ああ、今日から一週間よろしく頼むぞ」
「はい、こちらこそ」
そう言って二人は握手をすると早速、訓練が始まった。訓練場となった島にある市街戦を想定して作られたコンクリートのビルのとある一室の入り口に数人の兵士が秒読みを刻み、中に突入を行なった。また、別の海岸ではトーチカを模した沿岸砲台に訓練弾が装填され、海辺には多数の上陸艇と海鋼が上陸訓練を行っていた
「撃て撃て!敵は目の前だ、上陸を阻止しろ!」
「敵、沿岸砲台からの砲撃あり。繰り返す、沿岸砲台からの砲撃あり。至急、援護を求む」
「こちら萩野隊、了解した。直ちに援護行う」
そう返事が来ると上空に萩野率いる航空隊が沿岸砲台を爆撃するために上空を通り過ぎた。沿岸砲台も負けじと対空火器を撃ち、初日から合同訓練は活況を呈していた
その日の夜、静は熊谷を武御雷の会議室に通し、大高総理から渡された報告書を読んでいた
「・・・今の所北中国、並びに北朝鮮は各部隊で弾薬、並びに相次いで合同訓練を行っている。おそらく戦闘準備をしている可能性あり・・・だそうですが」
「ああ、だが開戦の兆しは今の所なく、もし始まるとすれば再来年の冬頃と・・・」
「うーん、なかなか面倒な事をしてくれるな」
すると静の持っていた電話が鳴った
「ん?誰からだ?」
そう言って静は一時退席をし、電話に出ると相手は珍しい人物からであった
「お久しぶりです。静殿」
「おや、テアちゃんかい。久しぶりだね」
そう言って、冬にドイツに帰ってしまったテアからの連絡であった
「如何したんだい。こんな時期に」
「・・・父上からの伝言です」
テアの父親からの伝言。つまりそれはドイツ海軍の参謀会議で決定された事の報告である事を認識すると静の表情は真剣になった
「今度、ドイツ海軍は日本に遠洋派遣艦隊として第二機動隊群の派遣が決定されたそうです。尚この事はドイツ時間の明日午前0時に発表するそうです」
「と言う事は日本時間の明日八時発表か・・・分かったわ。お父さんに感謝するって言っておいて」
「分かりました。では」
そう言って電話が切れた
「・・・第二機動隊群が・・・ドイツ如何やら本気の様ねドーバー海峡の守りを半分にしても日本の味方をする様ね」
そう言ってドイツ政府が本気で日本との航空機の直行便の本気度が伝わると、すぐにこの事を会議室にいる熊谷に伝えた
木曽型巡洋艦
これは作者の完全オリジナル艦艇。船体はロシア海軍のキーロフをモチーフにメンコが考えたもの(ロマンたっぷりのバ火力巡洋艦をイメージしたもの)大きさが少しおかしいかも知れませんが・・・
武装
50口径127mm三連装速射砲×4
20式垂直発射機×3
三連装魚雷発射管×2
ホ式豆爆雷投射機(アルファ対潜迫撃砲)×8
20mm機関砲(ファランクス)×4
近接防空噴進弾(RAM)×2
レーダー
20式遠水平線レーダー
21式海中探知機
艦載機
竹扇×1
松花×1
ちなみに大きさは特に考えていません。(多分230mくらい?)後、一応描いてみたので見て下さい(少し文字と絵が汚いです。ごめんなさい)
静の士官学校時代は必要か否か
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読みたい!!
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要らない