ハイスクール・フリート 菊の艦隊   作:梅輪メンコ

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久々の投稿です。これからもおそらく亀更新ですが、なるべく早く投稿できる様、頑張ります


視察団と世論

10月3日

 

開城市の陥落から一週間後。連合軍にある吉報が届けられた。それは連合軍が北朝鮮の首都平壌を制圧したと言う報告だった。この報告に軍令部や国民は喜びを露わにしていた。一方軍令部の中にはこの浮ついた雰囲気を危険視する考えをする軍人もいた。そのうちの一人が軍令部総長雷樹茂だった

 

「・・・不味いな・・・」

 

茂は自宅の書斎で新聞紙を広げながら平壌に入る10式戦車とM1エイブラムス戦車の写真を見ながらそう溢した。現在、連合軍は快進撃を続けているがこの状況がいつまで続くかは分からない。慢心をしているといずれしっぺ返を食らう可能性があるとそう思っていると書斎の秘匿回線電話に連絡があった、相手は忠教であった

 

「総理、今日はどうされましたか?」

 

『ああ、茂総長は朝刊は読みましたか?』

 

「ええ、今読んでいるところです」

 

そう言うと忠教は真剣な眼差しで茂に聞いた

 

『茂総長、貴官はこの進撃速度に疑問を覚えませんか?』

 

「・・・正直、いくら敵の抵抗が少ないとはいえ少し早すぎるかと・・・現在、海軍第9艦隊が日本海の北朝鮮艦隊を監視していますが。彼らは武器の積み込みや燃料の搭載すら始めていないとの事です」

 

『それは不可解ですな。もう平壌まで陥落したと言うのに・・・いや、それとも艦隊を動かすほど余力がないのか・・・』

 

忠教がそう考察をするも一旦はその事を頭の片隅に置くと茂に本題を話した

 

『ああ、そうでした。そういえば今朝ハワイのブルーマーメイド本部から連絡がありましてな。平壌に視察団と記者団を派遣させろと言う者でした』

 

「何を馬鹿な、平壌は占領したばかり。それに前線の目と鼻の先ですぞ。そんなところに視察団なんか派遣できるわけがない」

 

そう言って茂は驚きの声を出した。視察団派遣の話は開城市が陥落した時にも上がっていたがあの時は危険だと言って拒否をしていた。なぜなら連合軍の武器には軍事機密にされているものあり、とてもじゃ無いが記者団に見せる訳にはいかなかった

 

『ええ、一応返事魔は出していませんがマスコミもどうやら現地での映像が欲しいようでそちらの方からも電話が鳴り止みません』

 

「うーむ、困ったものですな」

 

今のところはマスコミを抑える事が出来ているがマスコミはせいつから送られていうる以外の映像が欲しいようで前線基地近くで憲兵隊に記者達が捕まえられている事もあった

 

『ですが、マスコミにもガス抜きをせねばならない場合もあります。内閣では一部地域での報道を開始する意見もありまして・・・』

 

「いいのでは無いでしょうか。軍部では奪還地域の安全は確保済みの報告も上がっています。記者団には一応安全の補償は出来ないと言っておけばいいでしょう」

 

そう言って茂は忠徳にそう提案をすると早速その案は採用される事になった

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍が平壌に進駐したニュースは全国に届いていた。そんな中、帝都のとある中等学校でも朝から生徒達は連合軍の快進撃に浮ついた雰囲気をしていた

 

「さて、次の授業は・・・歴史か・・・」

 

そう言ってブラウンヘアに特徴的な黄色の瞳をした少女はカバンから教科書を取り出していると少女は隣から声をかけられた。声をかけたのは黒髪に少女と同じ黄色の瞳を持った青年だった

 

「真由美、ちょっといいか?」

 

「お兄ちゃん。どうしたの?」

 

そう言って二人は席を立つと教室の外に出た。同級生の中では美形で成績も優秀な二人は学校の中でも注目の的だった。両親が近衛軍(菊花艦隊と菊花師団を合わせた俗称)の菊花艦隊司令長官とその航空参謀で祖父は軍令部総長ともなればむしろ注目されない方がおかしなくらいだった。その為、二人の学校の行き帰りには必ずと言って良いほど護衛がついていた

 

「それで?わざわざ呼び出してどうしたの?」

 

「さっきじいちゃんから連絡があって母さん達が帰って来るらしい」

 

「本当!?」

 

和樹の言葉に真由美は心底嬉しそうだった。ここ最近は例の戦闘のこともあって中々帰ってこられなかったが為に真由美達は早く帰ってこないかソワソワしていた

 

「ああ、今日の夜に帰って来るらしい」

 

「そうなの?じゃあ、今日は早めに帰ろう」

 

「ああ、そうしよう」

 

そう言って二人は嬉しそうにしながら両親の帰りを今か今かと待ち続けた

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、雷樹邸に一台の車が止まるとそこから静と輝が降りると早速和樹と真由美の二人が私服姿で出迎えていた

 

「「おかえりなさい父さん(母さん)」」

 

そう言って二人は無事に帰ってきた静達に喜ぶと静達も返事をした

 

「ああ、ただいま」

 

「どうだい学校のほうは?楽しくやっていけているか?」

 

「はい、楽しくやって行けていますよ」

 

そう言って四人は久々の親子の再会に花を咲かせていると真澄が出てきて食堂で夕食の準備をして待っていた。そして四人は少し早めの食事を取っているとそこに茂が帰ってきた

 

「おーい、帰ったぞー」

 

「あ、じいちゃんが帰ってきた」

 

そう言って和樹は食堂の入り口の方を見るとそこから茂が入ってきた

 

「お、静達はもう戻っていたか。思ったより早かったな」

 

「ええ、少し早めに仕事が終わったので」

 

「ご無沙汰していますお義父さん」

 

「ああ、構わんよ」

 

そう言って茂も荷物を置いて着替えてくると夕飯を取り始めた




補足説明
この世界の学制は初等学校6年、中等学校3年、高等学校3年、大学校4年で、中等学校まで義務教育で飛び級制度がある

静の士官学校時代は必要か否か

  • 読みたい!!
  • 要らない

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