ハイスクール・フリート 菊の艦隊   作:梅輪メンコ

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憶測

立石の絶叫が聞こえ採血が終わると立石は涙目で刺された所を脱脂綿で抑えていた

 

「いや〜すごい声だったね」

 

と言いながら西崎は耳を覆っていた、どうやら立石の叫びは耳にきた様だ。

 

『どおしたの?』

 

杵崎姉妹が叫び声で飛んで来たみたいだ。

 

「実は・・・・」

 

と、真白が事情を説明した

 

「成程、それは叫ぶわけだ。」

 

「大変だったね」

 

そう言って立石を労った

 

ネズミに出会ったが為にこんな事になってしまったので立石はこれからネズミが大嫌いになった。

 

 

 

 

 

採血した血を静に渡す為に甲板に出たがそこにはガスマスクに防護服と見た目が凄い格好をした静がいた。

 

「あの、静さん?」

 

『何?』

 

「えっと、その格好は一体?」

 

『あぁ、これ?、これは今から日本武尊の医務室に行ってある実験をするからそのための対策。』と言って血の入った試験管と袋に入れたネズミを渡すとそれぞれスポンジの入った箱に入れ。

 

「さて、血も回収できたことだし、早く“佐渡先生”に渡すか・・・」

 

佐渡先生という言葉を聞いた時、美波が驚いた

 

「佐渡先生だと!もしかして佐渡 貴明医師か!!」

 

「え、ええそうだけど」

 

と、少し引き攣った顔で静は返事をした

 

「だったら、是非実験を手伝わして欲しい!頼めるか?」

 

美波は興奮した様子で頼み込んでいた。

 

静は、はぁ。とため息をついて通信機の電源を入れ

 

「佐渡先生、こっちから1人助手を送っても良いですか?」

 

と聞いて佐渡からは

 

「一体誰だい?」

 

と聞いて

 

「鏑木 美波さんです。」

 

と、返すと

 

「鏑木君なら是非連れて来てくれ、まさか晴風にいるとはな。」

 

そう言って美波も一緒に内火艇に乗って日本武尊に向かっていった。

 

 

 

 

その様子を見て明乃達は

 

「美波さんがあんなに興奮するなんて・・・」

 

「佐渡先生って一体どんな人だろう。」

 

美波のあんな興奮した様子は初めて見たので、佐渡先生と呼ばれた人が一体どんな人物なのか気になっていた・・・。

 

 

 

 

日本武尊に着くとまず静と似たような格好をした他の隊員が二つのケースを預かり美波用のガスマスクを渡した、それをつけて美波と一緒に医務室となりの“実験室”へと向かった。

 

「おう、来たか。」

 

実験室に着くとそう言って佐渡が席を立った。

 

「お久しぶりです“師匠”」

 

と言って佐渡に近づいて挨拶をした。

 

「さて、早速だがこれからやる事は口外無用だ、いいね。」

 

と、いつもでは考えられないくらいしっかりした口調で言った。

 

「了解しました」

 

と美波が言ってこれからやる実験の詳細を聞いた。

 

 

 

 

着けていたガスマスクや防護服などを消毒して甲板に出た静は下田から補給と今回"新しい機体"が来たとの事でその受領書にサインをしていた。

夜にやると危ないとの事で搬入は明日の朝する事となった。

 

 

 

 

 

次の日晴風が12、7cm砲から長10cm砲に換装をしていた。

 

 

「ヨーソロー、ヨーソロー」

 

と言って上から長10cm砲が下されていた。

 

「明石に長10cm砲のストックがあったなんて」

 

標準装置も九四式高射装置が取り付けられた

 

「凄い!前の主砲よりも射程が伸びましたよ」

 

「もう、戦闘にはならないだろうけどな・・・」

 

換装された長10cm砲を見て砲術科のクラスと一緒に見ていた。

 

「晴風艦長」

 

と、杉本が明石から出てきた

 

「ここに長10センチ砲のスペックが書かれている。後で目を通してくれ。」

 

「はい、どうも有難うございます。」

 

「それで、本当に教官艦が攻撃してきたの?」

 

明乃にUSBデータを渡したときに杉本が聞いてきた

 

「うん」

 

「我々は演習が終わった後で合流する予定だったから状況がわからなかったの」

 

「じゃあどうして補給を?」

 

「校長先生の指示で・・・」

 

「お母さ・・校長の?」

 

「さっき連絡があって古庄教官の意識がやっと戻ったみたいだから、これで何が起ったか証明できるね」

 

これでなぜ実弾で攻撃をしたのか、なぜ猿島が沈んだのか、なぜ晴風を反乱と見做したのか。これでこの真相がわかるのも時間の問題だと思った。

 

「それじゃあ私は立石さんの事情聴取をするわ、あとは頼んだわよ」

 

^『はい』

 

平賀達は事情聴取へといった

 

 

 

「ありがとう」

 

「なぜ、私に?」

 

突然、有難うと言われ真白は困惑した

 

「だって、シロちゃんのお母さんが私たちを信じてくれたから。」

 

「うちの母は、自分の信念を貫く人だから」

 

「それこそブルマーだよね!」

 

「ブルマー?」

 

真白はブルマーという言葉に疑問を抱いた

 

「みんなブルーマーメイドの事をこう読んでいるよ!」

 

「ブルーマーメイドを略すな!」

 

ブルーマーメイドを略したことに大きな声をあげた真白はある事に気づく。

 

「ん?」

 

そこには五十六に加え三毛猫とロシアンブルーの猫三匹がいた

 

「うぁ〜」

 

と明乃が言っていたが真白は

 

「な、なぜ猫が増えている!」

 

「ああ、うちと明石の猫よ」

 

「そうなんだ」

 

「補給艦ではネズミが発生しやすいの」

 

杉本が猫を飼っている理由を話した、すると猫は真白に近づいた

 

「く、くるな・・くるな・・・来るな!」

 

「うわーーーーーあ。」

 

と言って真白は逃げるが猫は真白を追いかけていった。そんな様子を明乃は

 

「シロちゃんって猫に好かれていいなぁ〜」

 

と呑気に答えていた

 

 

 

 

「ところで何だけどさ、あの船って何?」

 

と杉本が指した先には日本武尊がいた

 

「ああ、あれですか?あれはね・・・・」

 

と日本武尊の話をした

 

「なるほどあれは海軍の実験艦か・・・でもそれにしては随分と重武装だなぁ〜」

 

そう言って感想を述べたが実験艦の割にはかなり大掛かりな武装だと疑問にも思った

 

「それって普通じゃないの?」

 

藤田が杉本に聞くと杉本は

 

「いや実験艦ていうのはもっと色んな実験をするために色んな兵装をつけてごちゃごちゃしてるはずなんだ、なのにあの艦は随分とスマートになっている」

 

そう言って改めて兵装を見ると確かにバラバラではなく武装が綺麗にまとまっていた。

 

「それに実験艦特有のつぎはぎした後もないし、それに極め付けはあの独特の船体だ、あんな船体は今まで見たことがない。」

 

船体を見ると確かに両端に行くほどシャープな形となっており艦橋を変えると本当に”潜水艦”のような見た目をしていた。

 

「珊瑚が見たことがないってことは相当ね」

 

しかし次の杉本の言葉に藤田達は驚いた

 

 

「もしかするとあの艦は次期日本海軍総旗艦の艦なのかもしれない」

 

 

その言葉に藤田はもちろん明乃も驚いた。

 

「それってどういう事?」

 

「そのままの意味だよ、あれは日本海軍の最新鋭艦だと思う、そして主砲は恐らく”51cm砲”。」

 

その言葉に藤田達はさらに困惑した

 

「それってもしかして大和型より強い?」

 

明乃が聞くと

 

「当たり前だよ、ヘタをすると巡洋戦艦なんかも一撃だと思う」

 

その言葉に藤田達は次の言葉が出なかった。

静の士官学校時代は必要か否か

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