白くて、何故かウマ娘のオッスに転生してしまった俺の話 作:沼りぴょい
4月。遂にトレセン学園への入学が決まった。
え? 期間が開きすぎ? いやいや、特に何も語るような事なんて無かったよ?
ざっと振り返るなら、年明けにキタとダイヤの三人でお参りしに行ったり、バレンタインでチョコを貰いすぎて男子生徒にからかわれたのをきっかけにそいつの胸ぐらを掴んだり……特筆するとしたらこれくらい?
あとはもう勉強よ。俺はほら、前世の記憶があるから大丈夫だったけど、キタとダイヤの勉強を見てたからな。
だから、本当に語ることなんて何にも無い。
「うわぁ……! 遂にトレセン学園入学だね! ドンナーくん! ダイヤちゃん!」
「そうだね、キタちゃん!」
毎度の如く、俺の両隣にはキタとダイヤがおり、その身にはトレセン学園の制服を身にまとっている。
俺もトレセン学園の制服────おい待て。変な勘違いするなよ。スカートとか身につけてねぇから。
配色は同じだが、ブレザータイプの制服で、大きなリボンの代わりにネクタイを付けている。ズボンも同じ配色で、横に白のラインが引かれている。
最初見た時は「おぉ……」と感動したな。制服は普通にかっこよかったから。前世の高校に通っていた時の制服とかクソダサかったからな。多分それの反動もあった。
「私! 一番乗り!」
「待って! キタちゃん!」
「あ、おい!?」
楽しみなのか、そのまま小走りでトレセン学園の門を抜けていったキタ。その後を慌ててダイヤがおい、少し遅れて俺も走る。
俺ら以外にも新入生いるんだぞ! 曲がり角とかで別の生徒にぶつかったらどうす────
「あいたっ!」
「キタちゃん!?」
「あーあ……」
思ったそばからだよほんと……。運良くすぐ後ろにダイヤがいたから、支えられ、倒れなかったから良かったものの……。
「すまん、ウチの連れが迷惑かけたな。立てるか?」
「……っ!? は、はい!?」
俺は慌てて曲がり角を曲がって、膝を着いてから彼女に手を伸ばす。
制服の感じからして同じ新入生だろうか。悪いことをしたな。
ちょっとした罪悪感を感じながらしばらく待ったが、俺の手を握る気配のない彼女。それどころか少し俺の顔を見すぎでは……?
「あの……?」
「…………っ!? あ、は、そ、その! ありがとうございます!」
声をかけるとようやく再起動したのか、俺の手を何故か両手で握り始めた彼女。それに少し疑問に思いながらもゆっくりと支えながら立ち上がった。
「そ、その、ごめんなさい! 私、楽しみで楽しみで……」
「お怪我はありませんでしたか?」
「は、はい、その、大丈夫です……」
俺の後ろからキタとダイヤが彼女に声をかける。うん、見た感じどこかを怪我したとか、そういうことはなさそうだな。
「俺のツレがすまんな。知ってると思うけど、俺はホワイトドンナー
よろしくな」
「私キタサンブラック……あの、本当にごめんね?」
「サトノダイヤモンドです。よろしくお願いします」
「し、シンハライトっていいます……」
なるほど。シンハライトって言うんだな………………ん?
………………んんっ!? シンハライトォ!?
その事に気づいた俺の耳としっぽがピクリと反応した。どうやら二人には気づかれていないっぽい。
……こほん、えー。こちらのうぐいす色の髪を肩ほどまで伸ばしたこのお方はシンハライトでさんです……オークス馬です、はい。
父親ディープインパクト、母親シンハリーズ、母父はシングスピールでございます。なんとジャパンカップ勝ってるんですよねぇ母父。
良血統と言っても過言ではこの牝馬。生涯戦績はなんと六戦五勝。
秋華賞目前で屈腱炎が発症しちゃって、その後は快調の見込みが見れなかったから、そのまま引退してしまったが、間違いなく強い馬だっただろう。
いやぁ、まさかここで2016年のオークス馬と邂逅出来るとはなんたる幸運。今のうちにサインもらいたい。
でも、ここってサザ○さん時空並に色々な世代ごっちゃになってるからなぁ……もしかしたら前年覇者のミッキークイーンだったり、翌年覇者のソウルスターリングが出てくる可能性もなきにしもあらず。
……アーモンドアイ? あの子が出てくるのはあと二年後だから。もうちょっとゆっくりしてて、最強馬。
その後は、シンハライトを加えた四人でクラス発表が行われている所へ向かう。さてさて、できるだけキタとダイヤとは同じクラスになっておきたいなぁ。知り合いが同じクラスにいると安心するし。
入学式が終わった。理事長は秋川やよいさんだったし、生徒会長はしっかりとシンボリルドルフだった。生シンボリルドルフだった。ちょっと興奮した。後でサインとか貰えないだろうか……。
終わったあとは、各自教室に戻って、軽い説明を受けてから今日は解散という流れだった。時間もちょうどお昼時だし、カフェテラスへ俺、キタ、ダイヤ、シンハライトの四人で来たのだが…………。
「はぁ……ドンナーくんと同じクラスじゃない……はぁ……」
キタがめちゃくちゃ落ち込んでいて食べるどころじゃなかった。なんと、クラスは俺だけが三人と違うクラスだった。
そのせいで初日は話せる友達がいなかったため、少し空いた時間とか久しぶりに腕を枕にして寝たフリをしてしまった。明日から友達作りは本気出すまる
「ほれほれ、元気出せキタ……ぶっちゃけ、俺も少し悲しい」
「はい、あーん」
「あー」
テーブルに程を押し付けたままダイヤに差し出された人参を食すキタ。行儀が悪すぎる。
「あはは……でも、私も少し残念です。せっかくお知り合いになれたのに別のクラスなんて……」
シンハライトがキタの様子を見たあとにそう言ってくれる。
「そう言ってくれて嬉しいよシンハライト」
はぁ、とりあえずにんじんハンバーグでも食べて気持ちを切り替え────
「ホワイトドンナー。いるか?」
「ん?」
カフェテラスに、一際大きな声が響いたのでちらりとそちらの方向へと目を向ける。
そこには、まず見て目につくアイシャドウを付けたこの学園の副会長────
…………んんっ!? エアグルーヴ!?
女、女帝だ!? 是非ともサイン欲しいし握手したい!