浜名海兵団奮闘記〜しらしぐ日記〜   作:狢(ムジナ)

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言うなれば運命共同体
互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う
一人が皆のために、皆が一人のために
だからこそ戦場で生きられる


新候補生(2日目)

マルロクマルマル。起床ラッパの館内放送が鳴り響き、廊下にて候補生の点呼が始まる。

 

「番号!」

 

香取の声とともに候補生の番号唱和が始まる。

その間、白露と時雨は候補生の部屋にて寝具のチェック。

この辺は国防海軍海兵団の伝統的なもので、四人一部屋に有る二基の二段ベッドの寝具がキチンと畳まれ、かつ私物が整理されているかを事細かくチェックするのである。

この辺、また夜には使うじゃないかと言うボヤキも有るが、実際に現場を経験すると意外と言わなくなる。

何故なら、その夜も同じベッドで眠れる保証は無いのが分かるからである。

 

「はい、寝具が皺になってるよ。その場で腕立て10回したら直しなさいね。」

 

と白露が通達する。

実際は言い掛かりに近いものだが、連帯責任を教え込ませる為にはやはり必須なのである。

そして全員で屋外に出て国旗、海軍旗、連隊旗の掲揚。

これは初日の座学の中で教わった通りにやる。

ただ掲揚するだけでなく、持ち方や掲揚の仕方などかなり細かったりするのだ。

形式めいてはいるが、形式をおろそかにするなら公的組織には向かないのは確かであるし、ここで意見するくらいなら帰されるのが関の山。というか絶対に長続きしない。

そして香取、白露、時雨が前に来て、候補生も含めて海軍体操である。なんでも八十年近く前に日本に持ち込まれた体操を代々継承してやっているのだが、これがマトモにやると全身運動となり慣れない内は息が上がるのである。

そして朝食。ここまで来てマルナナマルマルである。

マルロクマルマル起床と言っても点呼がその時間なので、候補生も教官も実際はマルゴーマルマルまでには起きて支度しており、この時間になれば確実に腹が減る筈なのである。

 

朝食後、軽く休憩を入れてから座学。

敬礼から始まり、前日の艦娘の基本要綱の艦娘の存在意義についてである。

昨日の内容を香取が繰り返しつつ、時折候補生を指名して説明させている。

 

「やっぱ不知火候補生優秀だね。」

 

と白露が感想を小声で時雨に伝えた。

 

「元々スポーツ特待生だから、寮住まいでトレーニングと勉強を両立させるコツを知ってるんだろうね。」

 

と時雨が返す。

一日の教育訓練が終了するヒトナナマルマル。そこから夕食と入浴を済ませてから消灯のフタヒトサンマルまでは基本的に自由時間である。

候補生同士でコミュニケーション取るもよし、食堂でテレビを観るもよし。

だが、この時間にその日の復習したり教官にアドバイスを求めたりも自由であり、それをするかどうかが翌日以降に響く。

この辺を不知火候補生は心得てるという評価である。

 

「それともう一人ね。」

「霞候補生だね。昨夜は見えないと思ってたけど、やっぱり隠れて復習してたか。」

「隠れてやらなくても教えてあげるのに。」

「負けん気拗らせてるんじゃないかな?」

「あー、誰かさんと同じだね。」

 

と小声で何時ものやり取りをする。

一通りおさらいが終わると休憩を挟んで基本要綱の続き。

艦娘に関する基本的な法令関係が始まる。

そして終わると昼食を挟み、ひたすら基礎体力訓練が始まる。

座学も訓練も始まりと終わりはキッチリと礼法基本動作をやらされるため、候補生は二日目から気を抜けない。

そして基礎体力訓練がまたキツイのである。

いくら妖精さんのサポートが有ると言っても、全備重量がトン単位の艤装を極めてトップヘビー状態で身に付け、更に不安定な海上を30ノットの高速で滑走しつつ、12.7mm砲を撃ち酸素魚雷を当てるのだ。並みの体幹では勤まりはしない訳であり、比較的小柄な駆逐艦クラスの艦娘とは言えかなりの基礎体力が必要となる。

最初の1ヶ月はひたすらこれである。

これに絶えられなくて五月の連休で帰ってこない候補生もいたりするのである。

 

ヒトナナマルマル。

 

「はいそれまで。では夕食!移動!」

 

香取の声に候補生は敬礼し、ようやくため息が漏れた。

そして夕食。

 

「あーあ、やっぱりみんな食べれないね。」

「最初は仕方ないさ。」

 

給食とは言え、バランスが取れた栄養価の高い食事である。つまりクドい。

いくら志願者の中の上澄みの艦娘候補生とはいえ、まだ若い娘である。

朝から晩までガッツリ管理された上に、とことん体力作りした後ではなかなか食欲は出ないし、夜も気の高ぶりと不安で眠れなくなる。

そこでキチンと食べて、キチンと眠れた者が翌日にイニシアチブを取れる。

そして自由時間を有効に使えた者がキチンと知識を身に付けれる。

実際の現場では、しっかり身についたスキルと知識しか使い物にならない訳であるから、基礎教育課程はそれだけキツイのである。

 

そんな中、平然と食事をする不知火候補生と無理矢理食べている感が出てる霞候補生の姿を、香取が少し驚きを交えて見ていた。




ここまでガッツリ頭に浮かんだので書いてしまいました。
志願者の上澄みと言ってもトップガンに非ず、どちらかと言うならライジングサンかなと。
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