(炎の中から一人のウマ娘が歩いてくる)
カツーン…カツーン…カツーン…
「…それじゃあ改めて自己紹介と行こうか?」
(ひび割れたコンクリートをしかと踏みしめる靴のアップ)
カツーン…カツーン…カツーン…
「…アタシの名前はゴールドシップ」
(炎が画面を通りすぎた後、側面からの真っ赤な勝負服のアップ)
カツーン…カツーン…カツーン…
「…かつて栄華を誇った、誇り高き名門、その最期の血を受け継ぐ者にして、滅び行く玉座の終焉を見届ける者」
(装着されたヘッドギアがアップで映り、炎に照らされて光沢を放つ)
カツーン…カツーン…カツーン…
「…そして」
カッ
(足音が止まると共に、不適な笑みのゴールドシップの顔のアップ)
「…絶望の未来を!変える者だ!!」
…これは、片翼の撃墜王の戦いの裏で行われていた…
(すやすやと眠る赤子を幸せそうに抱く妙齢のウマ娘と、それに話しかける年老いたウマ娘)
「…もう、名前は決めたのですか?」
「えぇ!この子の、私達の子供の名前は――…」
…もう一つの戦い
(教会の中に並ぶ、二つの棺の一つにすがり付いて泣き叫ぶ、幼いウマ娘)
「お父様ぁぁっっ!お母様ぁぁぁっっ!!
いやぁぁぁぁあああっっっ!!」
誰にも語られることのない…
(降りしきる雨の中、曇り空を見上げるボロボロのローブを纏った二人のウマ娘)
「いつまで続くんだろうな…
こんな時代…」
「ゴルシ…」
もう一つの黎明の物語
(炎の中で、ボロボロになりながらも謎の怪物の群れに立ち向かうウマ娘と、それを見て悲痛な叫びをあげるウマ娘)
「行けっ!ゴールドシップ!!
後は任せた!!」
「嫌だ!ジャスタウェイッ!!」
ゴォォォォオオオォォォォッッッ…
(炎に包まれた研究所の中で、横たわる白衣の人物を抱き抱え、座り込むゴールドシップ。両者共に目元は見えない)
「………わかったよ、おばちゃん」
(ゆっくりと腕の中のその人物を床に寝かせ、ゴールドシップが立ち上がる)
「…アタシが、必ず過去を変える」
(炎に包まれる研究所の外で、謎の化け物と命懸けで戦う、人間やウマ娘達の姿が映る)
「未来を救って見せる。
だから…」
(炎に包まれる研究室の中心で、
優しい緑色の光を放つ、白い機械が下から上へのカメラワークでゆっくりと映し出される)
「…また、100年後」
(横たわる白衣の人物背中を向け、歩きだしたゴールドシップが、立ち止まる)
「…ヒマなら宇宙で会おうぜ!」
(美しい芦毛を翻し、涙を流しながらも笑うゴールドシップの振り返る顔が、アップで映る)
~♪『Winning the soul』のサビが流れ始める
(どこかの走行中の電車の屋根の上で、白衣の女性と向き合うゴールドシップ)
「ついに見つけたぜ!安心沢!!」
(笑顔でこちらに手を差しのべるジャスタウェイ)
「まぁ、これからよろしく!」
(太陽を見上げるアングルのこちら側を、上から覗き込むオグリキャップ)
「…お腹が空いたのか?」
(こちらに背を向ける、オレンジ色の髪をたなびかせる、白衣の年老いたウマ娘)
「…テセウスシッププログラム、人類最期の希望だよ」
(紫色のオーラをまとった赤い目のウマ娘達の中央で、ニヤリと笑う安心沢)
「わ~お☆あんし~ん☆」
(降りしきる雨の中、こちらに背を向け窓からその様子を眺める、年老いた芦毛のウマ娘)
「「決別のクリスマス」…か…」
(星空を見上げ、にっこりと微笑むナイスネイチャ)
「…それでも、アタシは走り続けるよ」
(周囲でウマ娘達が傷つき、呻いている中、それでもたった一人で謎の怪物に立ち向かうゴールドシップに、メジロマックイーンが絶叫する)
「ゴールドシップゥゥゥッッ!!」
(大雨の中、数多のウマ娘や人間達が倒れている中心で、両手を地につけ泣き叫ぶゴールドシップ)
「ごめん、婆ちゃん!
ごめん、おばちゃん!!」
(悔し涙を流すゴールドシップの横顔のアップ)
「…やっぱり、アタシじゃ…!
アタシなんかじゃ…!!」
(真っ暗な画面を横断するように、誰かが右手を差し出す画像が映る)
「…ううん、ゴールドシップちゃんは、そんな人じゃないよ」
(はっとして顔をあげるゴールドシップが写った後、誰かの口許が映る)
「それにね?」
(真っ暗な画面に、先ほど伸ばされた手が、別の手を握っている画像が映る)
「キミは一人じゃないんだよ!」
(満面の笑みを浮かべるマヤノトップガンの顔のアップの後に、真っ白い背景の中央で、その場に座り込みながらも自分の手を握るマヤノトップガンを呆気にとられた表情で見上げるゴールドシップと、そんなゴールドシップの手を笑顔で握るマヤノトップガンの二人の姿が横からのカメラアングルで映る)
「うおおおおぉぉぉおおおっっ!!」
(左斜め下から、ボロボロのゴールドシップが白いオーラを宿した拳で走る様子が写し出され、徐々にカメラの角度が上向きに時計回りで変化していく。
そして、カメラがゴールドシップの正面に向いた瞬間に、ゴールドシップが思いっきり振りかぶり、こちら側に渾身の一撃を叩き込む。そしてインパクトの瞬間に画面がセピア色になり、今までの映像が早回しで巻き戻される)
果たして、ゴールドシップは未来を変えられるのか?
彼女は、大切な人達との約束を守ることができるのか?
(冒頭のシーンまで巻き戻った瞬間に、画面の中央から光が放たれ、一瞬画面がホワイトアウトする)
劇場版 片翼の撃墜王
外伝
不沈艦抜錨~もう一つの黎明~
ザザーン…ザザーン…
(水平線の向こうから朝日が昇る港のふちで、こちらに背中を向けるボロボロのゴールドシップに、メジロマックイーンが話しかける)
「…さようなら、だなんて絶対に言ってあげませんわ。
だからこそ…」
(泣きそうな顔で、それでも微笑むメジロマックイーンが、正面からのアングルで映る)
「…いってらっしゃい!ゴールドシップ!!」
(その言葉を受け、光になって消滅しながらも、それでも振り返りながら不適な笑みを浮かべるゴールドシップの顔のアップ)
「…あぁ!行ってくる!!」
2121年5月6日午後4時
ロードショー
同時上映!「ミホノブルボンの夏休み!~ふしぎなもりのあおいばら~」
さらに!前売り券を買うと、今なら「光る!ゴルシちゃん人形」がついてくる!!
みんなも劇場へゴルシちゃんを見に行こう!!
…以前、作中でほとんど出番が無いにも関わらず、
ゴルシだけは本編の後日談の設定があると言いましたよね?
この設定自体は後付けなのですが、
なぜかそれで本編のご都合主義な部分のいくつかを説明できるのと、
まいた覚えがない、無駄に張り巡らされた伏線があるせいで、
実はゴルシの裏設定ってものすごい量があるんですよね。
…下手すると、本編より長い独立した長編をいくつも書けるレベルで。
ですから、本来はこのゴルシの話の一部をのせるつもりで、実際エピローグまで書いて完結させたのですが、
残念ながら世界観が過酷すぎて泣く泣くお蔵入りに。
それでも、諦めきれなかったので偽予告という形を取ることで、
読者の皆様に内容を想像していただくという形に切り替えました。
なお、これが正史であるかは作者にも分かりません。
なにせこの作品でのゴルシの立ち位置を想像した瞬間に、
突然降ってきたものなので。
やっぱヤベぇわ、あのゴルゴル星人…