それでは新年年初めの最初の一本
短編集4作目スタートです!(現在1月2日)
○月×日
明日はトレセン学園の入学式!
だから、せっかくだし今日から日記をつけてみることにする。
これからの学園生活、どんな日々が待ってるのかな?
早く明日が来ないかな?
○月△日
今日は待ちに待った入学式!
ということで、これから新しい生活が始まるんだけど、トレセン学園は全寮制で、おまけに二人一部屋だから、今日はそのルームメートとの初顔合わせ!
ちょっと緊張したけど、同室の■■■■■■■はスッゴく良い子!
すぐに仲良くなれちゃった。
今日から二人で頑張るぞ!
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「…はぁっ…はあっ」
やぁ、みんな!元気にしてる?
ボクはテイオー、トウカイテイオー!!
サイキョームテキのウマ娘だよ!!すごいでしょ!!
「…はぁっ…はあっ!」
まぁ、それは一旦置いといて…いつもこの小説を読んでくれてありがとね!
こんなメタい場面でしか言えないけど、この小説が続いているのは、
間違いなく読んでくれてるみんなの応援のお陰だし、
ボクたちがこんな風に活躍できるのもまた、みんなのお陰だよ!
本当にありがとね!!
「...はぁっ!...はあっ!!」
だから、作者君だけじゃなくて、ボクもまたみんなに感謝してるんだけど…ごめんね?今忙しくて、ボクはそのお礼をすることが出来ないんだ!
…なぜって?それは…
そこまで考えた時点で、
ボクは突然悪寒を感じ、
今まで居た場所から全力で横に飛び退く。
すると
シュッ!!
さっきまでボクの頭があった場所を、超スピードで何かが飛び去っていったから…
「ちょっ!こ、殺す気!?
今の避けなかったら死んでたよ!!」
そんな文句を後ろに投げても
「大丈夫です。主治医ですから」
なんて、抜き身の注射をクナイみたいに指に挟んだ主治医さん(らしい)からは、そんなまったく安心できない答えが返ってくるばかり。
どころか、その間にも次々にその注射針をボクに向かって投げつけてくるから…
「ワケワカンナイヨー!!」
ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!
そう言いながら、注射針の弾幕を潜り抜け、全力で逃げるボクはきっと間違ってないし、
「待ちなさい!テイオー!!」
そう言って主治医さんと一緒にボクを追いかけてくるマックイーンから逃げても、ボクはきっと無罪!
ノットギルティだ!!
…そう、ボクは今、全力で二人から逃げている。具体的には、マックイーンと、その主治医さんの二人と、全力で命懸けの鬼ごっこをしているんだ!
え?なんでそんなことしてるのかって?
それはね…
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「主治医だからです」
「それはもう良いから!!」
そう言って後ずさるボクの前に佇む
マックイーンの主治医さんは、手に持った注射器の先端を鈍く光らせながら、当たり前のようにそう答える。
そして…
「そうですわよ、テイオー」
そう言って主治医さんの後ろから出て来たウマ娘、ボクをこの部屋に呼んだ張本人のマックイーンが続けたのは…
「…あなた、今年の予防接種まだ打ってないでしょう?」
「うぐっ!」
そんな耳に痛い指摘で、それについボクも呻き声を出してしまう。
…そうなのだ。実を言うと、ボクはまだこの期に及んで今年の予防接種を受けていない。もうすぐ新年だって言うのに、いまだにワクチン的な意味での新しい年への備えが出来ていないのだ。
でも…
「流石に有マ記念に出る今年は、
そんなに簡単に打てないよ!!」
ボクにだって言い分はある。
そう、確かにインフルエンザに備えてワクチンを打つことは大切だ。
でも、今年ボクは有マ記念に出る予定が元々あった。それも、前の怪我から実に1年ぶりの復帰レース。絶対負けられない戦いだったのだ。
だからこそ、そんな大切な大舞台に万が一でも影響が出ないように、ワクチンとは言え病原体を体に打たなかったのだけど…
「えぇ、そんなことは分かってますわ」
その程度の言い訳はマックイーンには通用しない
「ですが…もう終わりましたよね?有マ記念。あなたの優勝で」
「うがっ!」
また痛いところを突かれて呻くボクに、マックイーンは畳み掛ける
「それなら打っても良いですわよね?」
そうしてニッコリ微笑みながら言ってくるけど
「で、でもでも!それならなんでマックイーンの主治医さんがここにいるのさ!!」
それでも、この人がここにいるのはおかしい!そう主張するボクに
「だってテイオー、あなた自身に任せたら、絶対自分からは予防接種受けに行きませんわよね?」
「…」
そんなド正論を平然と返すマックイーンから、ボクはつぅーっと目をそらす。
だからこそ…
「…主治医」
呆れたような顔でそうつぶやくマックイーンの声に
「かしこまりました、お嬢様」
そう、主治医さんが応えたと思った次の瞬間には目の前に注射針があって………って
「うぇっっ!?」
慌てて首を横に倒してそれを避けると、その瞬間に、
後ろからドコッっと謎の音がする。
だから振り向くと、そこにはコンクリートの壁に突き刺さる一本の注射器があって…
「おや?外しましたか」
そう首をかしげる主治医さんと
「あらあら…メジロの主治医の針を躱すなんて…やりますわね?テイオー」
なんてズレたことを言いながら目を丸くしてこっちを見つめるマックイーンがいたから…
(…あ、これダメなやつだ)
ボクは確信する。
…確かに、確かにボクは注射が大嫌いだ。
どのくらい嫌いかって言うと、毎日遅刻か否かのギリギリのバトルを先生と繰り広げているマヤノと同じように、ボクも毎年注射の時期になると、先生や同級生達と、注射から逃げきれるか否かのギリギリのバトルを繰り広げているぐらいだ。
これに関してはもうほとんど年中行事みたいなものになってるから、予防接種の時期には、毎年学園の総力をあげて、ツチノコ探しみたいな感じで、ボクと予防接種とのバトルが繰り広げられるんだけど...(本人はこう言っていますが、毎年割とあっさり見つかって取っ捕まってます by作者)
「…次は外しませんよ?」
そう言いながら、なんだかラスボスみたいなオーラを纏いながらこっちに歩いてくる主治医さん
「…これはわたくしも、手伝わなければならないようですわね」
そして、そんな台詞を吐きながら、何だかよく分からない白いオーラを拳に纏いながらこっちに近づいてかるマックイーンの放つ圧力は、流石にそんなボクから見ても、明らかにジャンルが違うものだったから…
ボクはその場でくるりと回れ右をする。
そして…
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ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!
ドガァンッ!バゴォンッ!!
「ワケワカンナイヨー!!」
今こうなってるってわけ!!
悲鳴をあげながら逃げるボクと、それを追う主治医さんとマックイーン。
…なんか爆発とか轟音が聞こえるような気がするけど、全力で逃げるボクには振り向いてる暇なんてない。
文字通り、死力を振り絞ってボクは逃げる!
でも、そんな騒がしいボクたちの上にも広がる空は、どこまでも青く呑気に広がっていて…
「もう勘弁して~!!」
「お断りします。なぜならわたしは主治医だからです」
「あなたこそ、いい加減捕まりなさ~い!!」
そんなボクの悲鳴も、マックイーン達の怒声も、そんな空の彼方に吸い込まれていくから…
…トレセン学園は今日も平和だった
ちなみに、
同じく注射嫌いなマヤちゃん(公式設定)も、
注射の日は毎年テイオーに便乗して寮から脱走してます。
こちらはテイオーよりもはるかに高度な、
それこそ某〇ネークレベルの超絶隠密技巧で、注射の回避を試みていますが、
こういう時だけやたら有能なトレーナーちゃんに、毎年テイオーよりも早く、速攻で取っ捕まってます
バタンッ!!
マヤちゃん「ト、トレーナーちゃん!?ど、どうしてここが分かったの!?」
トレーナーちゃん「はっ!俺はお前のトレーナーだぜ?愛バが行きそうなところ
位、簡単に想像できるっての!!
…それじゃあたずなさん!やっちゃってください!!」
たずなさん「はい!いつもありがとうございます、トレーナーさん!!
…それではマヤノさん、行きましょうね♪」ズルズルー…
マヤちゃん「いやあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?」(たづなさんに付けられた手錠でドナドナされるマヤちゃん。なお、アンソロジーネタ)
…本当は年内にあげる予定だったのですが、
思ったよりもかなりの難産でした。
遅れてしまい申し訳ありません。