それでは5作目スタートです!!
…と普段ならそれで終わるのですが、
始める前に一つだけ言っておかなければならないことがあります
重要なことですから、しっかり聞いてくださいね?
いいですか…
二人とも、ちゃんとしっかりタオルは巻いてます!!
二人とも、ちゃんとしっかりタオルは巻いてます!!
大事なことなので二回言いました!
それではどうぞ!!
※間違えてpixivで先に公開してしまったため、
こちらでも急遽公開することになりました。
ご迷惑をかけてしまい申し訳ありません。
カコーン…
静まり返った温泉に、鹿威しの音が響く
辺りは無音で、だからこそ、その音はとても高く、よく響く。
そして、そののんびりとした音は、竹の塀に囲まれた、純和風なこの温泉の隅々にまで染み渡る。
カコーン…
だけど、それは決して煩わしいものじゃない。
むしろ、その音はこの空間においては妙に心地が良い。
それはきっと、規則的に温泉の注ぎ口から流れる水の音の、ちょうど良い合いの手になっているからで…
カコーン…
古きよき日本の美観、わびさびってやつなのかな?
そういうものがあるとするなら、たぶんこんな感じなんじゃないかなって、それを聞いてマヤは静かな温泉の中でふとそう思う。
…そう、静かな温泉。
たまたま今日のお客さんがマヤ達以外誰もいないって理由で、今この温泉はマヤ達以外誰もいない。
完全な貸切状態。
…そう
…マ ヤ 達 の 貸 切 だ
それはつまり、
この温泉にはもう一人、
別の人間がいるってことで
カコーン…
またどこかから鹿威しの音が響く。
ふと見ると、温泉から沸き立つ湯気が、夜の闇の中に消えていく。
それは熱力学第二法則の御技。
熱エネルギーは高いところから低いところに不可逆的に推移するという自然界の法則に従って、温泉から出てきた湯気の熱量が周囲の空気に奪われる結果。
つまるところ、それだけの現象に過ぎないんだけど、その虚空に消えていく湯気の様子が、どこか美しく、そして儚く見えたから…
「…えっと…マヤ…さん?」
それを現実逃避気味に眺めていたマヤの背中から聞こえてきた声に…
「ひゃっ!」
思わず尻尾と耳を逆立てて驚いてしまう。
だからこそ、後ろからも慌てた雰囲気が伝わってきたんだけど…
「な、な、な、何!?」
「い、いやほら!温泉の具合はどうかなって!?」
「う、うん!最高だよ!!
本当に良いところだね!ここ!!」
「そ、そうか!そ、それなら良かったよ!!」
「う、うん!!」
「あぁ!!」
「…」
「…」
結局二人とも慌てているせいか、
まともに会話にならず、
また二人とも黙り込む。
そして…
カコーン…
またまた、どこからか鹿威しの音が響く。
さっきからマヤ達はそれを繰り返してるんだけど…
(うぅ~!これどうすれば良いの!?
マヤちっともわかんないよぉ~!!)
流石にちょっと涙目になってしまう。
何故なら…
(温泉が混浴なんて、聞いてないよ~!!)
そう、マヤとトレーナーちゃんは今、一緒に温泉に入っている。
それも、背中合わせでお互いに見ないように。
だからこそ気まずくて気まずくて仕方がない。
マヤはもうどうしたら良いか全然分かんないし、こういう時こそ頼りになるトレーナーちゃんも、温泉に入ったっきり黙り込んでる。
カコーン…
そして、そんなどうしようもない状況だからこそ、マヤは考える。
(い、一体…)
どうしてこんなことになったんだっけ?
目をぐるぐるさせながら、
現実逃避的にマヤはそんなことを考える。
すると、なんとなくこれまでの記憶が思い出されてくる。
そう、あれは確か一昨日の話で…
........................
.................
.........
「あっ、そうだトレーナーちゃん!」
あれは、URAファイナルズが終わってから少したった日のお昼のことだった。
お弁当を食べていたマヤが、隣にいたトレーナーちゃんにそう声をかけると、
「ん?どうしたマヤ?」
同じくお弁当を食べていたトレーナーちゃんが、顔をあげてこっちを見る。
その日はよく晴れた日だった。
だからこそ、いつもの貯水槽の上から眺める景色も綺麗だったし、吹き抜ける風も気持ちが良い。
そう、基本的にはマヤ達も他のウマ娘の子達と同じくトレーナー室を拠点にして活動してるんだけど、たまに天気の良い日にはこうしてこの貯水槽の上で一緒にお弁当を食べたりしている。
もちろん、いけないことだってことはわかっているんだけど、ここは周りの景色が綺麗な穴場スポットで、しかもマヤとトレーナーちゃんにとっては思い出の場所だ。
だからこそ、マヤとトレーナーちゃんは今でも天気が良い日とかなんかには、こっそり登って二人で過ごしたりしてる。
そして、そんないつもの特等席で、マヤがトレーナーに問いかけるのは
「そう言えば前に当てた温泉のペアチケットって、
確かトレーナーちゃんに預けたよね?」
いつかの福引きで当てたチケットのことであり、
「…あぁ、そう言えばそんなのあったなぁ!」
と、それを聞いて忘れていたらしいトレーナーちゃんも懐かしそうにうなずく。
そう、マヤ達は以前商店街の福引きで、見事特賞を引き当てた。
でも、その時は忙しかったから、一旦トレーナーちゃんに預けておいたんだけど…
「今なら大丈夫だよね?トレーナーちゃん!」
URAファイナルズも終わり、ちょうど次に何を目指すのかということを考える空白期間の今だったら、まさにそれを使う絶好の機会なんじゃないかな!
偶然その事を思い出したから、マヤはそれをトレーナーちゃんに言ってみたんだけど、トレーナーちゃんもそう思ってくれたみたいで、賛成してくれる。
「ん~…それもそうだな。
確かにまだ正式に二人でURAファイナルズのお祝いもしてなかったし…
よしっ!!」
そう言って残りの弁当を掻き込んだトレーナーちゃんは立ち上がる。
「それじゃあ、マヤ!良い機会だし、二人で温泉旅行と洒落込もうか!!」
そう言ってニッコリと笑ってくれたから、
「わーい♪それじゃぁいつ行く?いつ行く?トレーナーちゃん?」
そう聞くと
「まぁまぁ、待て待て。
まずはトレーナー室に帰ってチケットの有効期限を見てからな。
まあ今月中なら時間は取れるだろ」
そう言いながら、食べ終わったお弁当を片付ける。そして、
「それじゃあマヤ、今月は二人で温泉旅行だ!!」
「おー☆」
二人で貯水槽の上で両手をあげて歓声を叫ぶ。
そうしてマヤとトレーナーちゃんの温泉旅行が決まったのだった。
…ちなみに、その後トレーナー室に帰ってチケットを見たマヤとトレーナーちゃんが、その期限が一週間きっていることに気が付いて真っ青になるのは、また別の話。
改めて言うまでもありませんが、
もちろんうまぴょいも、うまだっちもする予定はありませんし、させません。
…もとからそんな気はさらさらありませんが、
一応書いておきますね…