二次創作とか書くの初めてでドチャクソ緊張してますがお楽しみいただければ幸いです。
書いた目的?自給自足です
「トレーナー、なんだその顔は?わざわざこの私が自ら出向いてやったというのに。相変わらず汚い部屋だな。やはり私がいないと貴様は生きていけないのだ。…私も人のことは言えないがな」
目にクマをつくり、土に汚れ、性格を表すかのようにまっすぐ切りそろえられていた髪はボサボサになっている。かつての栄光を知る人が見れば皆驚くようなその姿の中で、眼だけが爛々と瞬いている。
堪えきれないといった様に靴を脱ぎ捨て抱きついてきたエアグルーヴを受け止めながら、どこで間違えてしまったのか、男は一人思案した。
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「はぁ…午後はまずメジロドーベルのトレーニングに付き添って…一段落したら今度の会議の資料を完成させて…講義の資料も作っとかないとな。最近めっきり忙しくなってしまった」
府中の夏が始まる。過ごしやすかった春も終わり、30℃を超す日も出始めた。外を見てみれば名物のけやきも夏の準備を迎えている。スポーツ関連職では最難関と呼ばれる華の中央トレセンに所属することになってから月日は流れ、今から3年前、ようやく新人を抜け出せたかというタイミングでエアグルーヴを担当することになった。
にしてももうじき半年かぁ。
半年前、俺たちのトレーニングの集大成、トゥインクルシリーズを見事勝ち抜き、中距離最強の名をほしいままにした。あれからエアグルーヴはサマードリームトロフィーに向けて練習を重ねつつ、ずっと続けていた後輩の指導や生徒会の仕事とこちらも多忙な日々を送っている。エアグルーヴの前も何人か担当はしていたがエアグルーヴの戦績は俺のトレーナー人生でも初の快挙だ。月刊ウマ娘の特集号では女帝を導いた「宰相」トレーナーなんて大仰な見出しがでかでかと書かれていた。
「女帝」だなんて、他人から言われたら気分を害しそうなものだが。それを受け入れて名乗るようになったあたり、あいつも自覚はあったのだろうな。それとも最初から織り込み済みか?自他共に厳しい顔を持ちながらウイニングライブでは心からの笑顔を振りまくその姿に内外問わずファンは多い。結果的にそのギャップがウケたというのもあるだろうな…。いや余計なことを考えるのは止めよう。アイドル的要素はあくまで副次的な、運営側の金策の事情によるものだ。それをショーとして成り立たせているのは彼女の走りだ。
「おい」
あの気性難に最初はどうしたもんかと悩んだが、ある意味あの確立された自己は俺のやり方に合っていたかもしれないな。
トレーナーとしてどうウマ娘に向き合うか、そのスタンスはかなり人によって差が出る。東条トレーナーの様に徹底管理を掲げるタイプもいるが、俺はどちらかというと沖野トレーナーに近いやり方だ。3年という月日は青春に費やすには長いが人生としては短い。他のトレーナー達の、指導に対する反発で揉めたり無理なトレーニングで潰れてしまった娘たちを見てるうちに、いつしか個々人のスタンスに合わせて管理をするようになっていった。
「おい、聞いているのか?」
そもそもエアグルーヴを担当することになったのは、生徒会の仕事を無駄と言った先代トレーナーとの喧嘩別れだ。どう見ても過度な干渉を好むタイプでは無い。であれば、こちらからのアプローチは簡単だ。合理的なメニューさえ提示できればエアグルーヴは満足するのだから。先日はきちんとエビデンスがあることを示してやろうと参考文献としてトレーニングに関する最新の論文をつけてやった。全く、俺たちはなんて理想的なパートナーだろうか。ああでもいい加減シンボリルドルフの駄洒落に対してやる気を下げるクセは直して「おい!!」
「うぉお!!?」
突然背後から大声がしたかと思うと、ツカツカとこちらに寄ってくるのはこの時間は坂路トレーニングをこなしている筈のエアグルーヴだった。
「この私を無視するとは偉くなったものだな?」
「す、すまない。だがなんでここに?今はまだトレーニングの時間だろう。何か用なのか?」
「用という程ではないがな、最近の貴様を見て言いたいことがある」
なんだろうか。メニューはいつも通り完璧に近い仕上がりだし、休みも本人の希望で少なくはあるがしっかり与えている。蹄鉄は2週間前にメンテナンス済みだし連絡事項もきちんと今朝メールで伝えているし何も責められるいわれは
「貴様、最後に面と向かって話をしたのはいつだ?なぜ私の様子を見に来ない?」
…2週間前きりですね、はい。
こんなのでいいのだろうか?
そこまで長くならないつもり