ザフト一般兵転生録~ジンさえあれば何も言わない~ 作:カニタマックス
12月はマジで忙しく書いてる暇ありませんでした。
何とか12月にあげたかったのですが寝てしまったので今に至ります。
次には学生編終わらせるのでよろしくお願いします
「有難うございます! ...じゃ行くか」
「ああ。言った通り朝から夜まで全部奢ってもらうからな」
「わかってるよ。シミュレーターでのされた奴らよりかマシだからな」
受付から外出許可を得て二人組の男子が定期便でプラントへくり出す。あのあと予想通りディアッカとラスティがバラし、ガイも共犯者だと宣ったが特訓を頼んでいる身であるということで減刑となり、ディアッカとラスティは仲間を売る根性が大変気に食わないと激怒しシミュレーターに引きづられていった...合掌。
今日はイザークと贖罪の旅へ出ることになっている。
外食全奢りオプションのツアーである。懐は寂しくなるが俺にもメリットが存在しており、イザークとシホが出会ったプラントの区画に来ているのだ。上手く行けばばったり出くわす可能性がある。のだが...
「おいガイ。どうした? 食わないのか?」
「あ、ああ。そうだな..」
なんもねぇ~!!! このままだと無難にご飯奢って終わりだよこれ! 現在昼飯終わり、イザークは奴らと違って
分別があるので奢りだからと卑しく死ぬほど食べたりしないし、アホみたいに高い店に入ったりしない。食べたい物を普通に食べる主義なのだ。しかもそれが若干高くなる場合軽く気を遣ってくる。言うなれば自然体のイザークはメチャメチャカッコいいのだ。だがそれは俺ではなく異性、主にシホに向けてほしいものである。
「イザーク、包丁を買っていってもいいか?」
「かまわないが、また買うのか? 先月も買っていなかったか?」
「確かにそうなんだが、また試したい料理に必要でな。
まぁ俺はそんなに散財しないし、さして問題はないな」
「そういうものか」
前世で料理をかじっていたこともあり此方でもたまにしたくなる。そう言うことでちまちま料理器具を買ったりしている。調理スペースは学生にも開放されているので問題なく料理が出来る。
因みに俺以外だもゴルドリオとたまにディアッカ、ゴルドリオは小さい兄弟が多くお菓子を振る舞うことが多いんだとか。ホールケーキを作ってしかもそれを贈っていたことに驚いた。それ腐らないんか?
ディアッカは料理をした事がなかったそうだがチャーハンだけ作るのがメチャメチャ巧い。ある意味イメージ通りである。
雑貨店でささっと包丁とバターナイフ的な物を何本か買っていく。イザークがやたら悩んで突っ立っていたので遠目に何を見てるのか確認すると、なんと御守りコーナーだった。
「!! (オイオイオイ! シホにあげる御守りこんなとこで買ってたのかよ! もっと良いのあるから! 考え直せ!
てか会って二回目でしょ!? まだ早いって!)」
1人であたふたしているとイザークが何も取らず何処かへ行ったので一呼吸おいて普段通りの雰囲気で合流する
若干妙な顔をされたが問題なく店を出る。
その後、今度の休養日に試そうと思っていた料理の材料を買いに大型ショッピングセンターに入る。ここは何でもありのショッピングセンターで平日だろうが人でごった返している。軍学校からも近く周囲を見渡せば大体顔見知りはいる。今の時間はラスティあたりがいると思ったがどうだろうか...
「なぁイザーク。この時間なら誰かいるんじゃないか?
ラスティあたりウロついてそうだけど...イザーク?」
急にイザークの反応が無くなるのが気になり振り返る。
すると立ち止まってやたら険しい顔で銀行をみている。
金を下ろしたい訳でもないだろうにどうしたんだろうか。ボケッとイザークを見ているとイザークが頭をガッと掴み地面に叩きつける。急な出来事で驚いたし困惑でパニックになりかけたが次の瞬間全てが繋がった。
「ガイ! 伏せろ!」
凄まじい爆音と共に入り口が塞がれた。轟音と共に三人組が拳銃2ライフル1の構成で周囲を取り囲む。まさかの銀行強盗らしい。周囲にいた俺たち含む合計30人の民間人が人質になった。
「てめぇら! 死にたくなかったら中央に固まれ! 早くしろ!」
パァンパァン! と遠慮無く発砲する犯人グループ。顔はフルフェイスヘルメットで隠しており確認できない。移動する間に知り合いがいないか確認するが誰もいなかった。子供が泣いたり恐怖する人々でごちゃごちゃしている隙にイザークに鋭めな小さいナイフをアイコンタクトで渡す。イザークの目は覚悟に満ちている。対照的に自分の手は小刻みに震えていた。
「落ち着け....これから何人もの人を殺すんだぞ...?
こんなんじゃ駄目なんだよ...!」
機を伺うフリして初めての殺害行為にビビっていると拳銃を持っている1人が周囲に圧をかけるように叫びながら女性の腕を引っ張り上げる。
「女ァ! テメェは俺たちと来てもらうぜ!」
「やめて! はなして!」
「暴れんじゃねぇ! ぶち殺すぞ!」
「セルカ! 彼女を離して! 私が代わりになるから!」
「動くんじゃねぇ! 殺すぞ!」
イザークと俺は驚愕した。まさかの人質に取られた女性の連れがシホだったのだ。全然気づかなかった、男は激昂しシホに拳銃を向ける。直感で判る...撃つ気だ、人が死ぬんだとそう気づいた瞬間に自分の中で何かが切れた音がした。
「うおおおおおおあぁぁぁ!!」
「ガイ!? でぃええええええい!」
「ぐえぇ! ゴポッ! ゴポッ!」
「うあああああ!!!」
「ぐっ! あっ! あっ! ...」
首に目掛けてナイフを突き刺し怯んだ所で拳銃を掴んで
蹴飛ばしながら奪い取る。戦闘経験はあまりないのか急な抵抗に対応が遅れたリーダー格の男にむけ銃を発砲する。何度も、何度も。もう弾はとっくに切れているのに
「おいガイもういい..」
カチッ...カチッ...カチッ...
「おい! 止めろ! ガイ!」
「あ...ああ。悪い...ちょっと休ませてくれ..」
思考がハッキリしない中、近くにトイレがあったのでそのままふらふらと中に入り、内蔵がひっくり返る程吐いた。初めての殺人。終わったあとに嫌でも目に映る無惨な死体、次第に漂う血の匂い、赤の他人がやったなら未だしも殺害したのは自分。幾ら覚悟を決めようが平和な日本に住んでいた普通の大学生にこのような事実耐えられる筈もなかった。
程無くして治安部隊が現れ他の犯人グループは拘束された。後から聞いた話だと犯人グループは10人程度で全員ナチュラルだそうだ。最近はブルーコスモスの思想の下テロやテロ紛いの犯罪が多く今回もその類いらしい。
治安部隊の人たちに色々質問されたが結果的にナチュラルを殺した勇気ある学生として褒められた。人を殺して褒められるこの環境に狂気しか感じなかった。
精神的疲労が限界に達し褒められ若干上機嫌のイザークに声をかけ帰路に着こうとする。だがそこで二人の女性に呼び止められた。シホと人質にされかけたもう1人の女性、確かセルカとか言っていたか...
「お前は...シホか! 無事でなによりだ」
「イザークさんと...そちらの方もセルカを助けて頂き有り難うございました! その...大丈夫ですか?」
「少々具合が悪くて...すみません」
あまりに気分が悪いので無意識に立ち去ろうとしていたようで助けた女性から腕を掴まれて引き留められた。
「待ってください! 今度...一緒にお食事でもどうですか! どうしてもお礼がしたくて..」
恥ずかしさを紛らわす為か妙に大きな声で食事のお誘いをされた。
下向きながら顔を真っ赤にして話す彼女は愛らしく思えた。
渋った訳ではないが何処と無く遠慮している雰囲気を出すと掴まれている腕の力が徐々に強くなったので了承した。
その後は、連絡先を交換し学生寮に戻った。教官に事情を話すと、次の日の訓練は休んでも良いとの許可を得たので早速連絡した。異性との連絡はあまり経験が無かったのでやたら緊張したが直ぐに返信が帰って来たので変にホッとした。
<私も明日は休んでいいって言われました! 明日あいてますか?>
<うん。楽しみにしてるよ>
ありきたりな返事をして直ぐに床についた。それにしても今日は静かだった。パリピ集団が冷やかしにくるかと思ったが何も来ず、部屋には最低限の会話しかしないニコルがいるだけ。後から聞いた話だがイザークとニコルとアスランが冷やかしは止めるように触れ回ったらしい普段はアスランが止めただけでは止まる筈が無いが、イザークが今日の事件を有りのまま事細かく話すと鎮まったらしい。
早く今日の出来事を忘れようと目を瞑るが2回の人生で初めて見た殺人死体がちらつく。殺されそうだったので仕方ないのではあるが殺したのは事実というのが頭に残る。虚ろな死体の顔が現れては消えを繰り返し一向に寝れなかった。4時間くらい格闘していると体力に限界が来て気絶するように寝てしまった。
「......はっ!」
「お早うガイ。大丈夫ですか? 昨日の夜は結構うなされてましたけど..」
「意外とスパッと切り換えれる物なんだな。思ったより快調だな」
「そうですか。軍人としては良い資質ですね。心配して損しましたよ...これから出るんですよね? また巻きこれないように気をつけてくださいね」
「ああ...避けれるかどうか判らんが努力するよ。じゃあ訓練頑張ってくれ」
ぱぱっと身支度を済ませ町に繰り出す。イザークとすれ違った時説教を食らうかと思ったが何も言われなかったイザークも俺と同じで休みがとれるのだが、休日返上して訓練に出ている。精神的にまいっている俺が不思議なのだろう。大半のコーディネーターはナチュラルに対して差別的思想が少なからずあるため罪悪感が少ないのもあるだろう。軽く挨拶を交わし市街地へ向かった。
「ここか...? もう一個奥のところか。5分前には着きそうだな」
「うーん...(緊張でちょっと早く着いちゃった...それにしてもガイさんだったっけ、結構参ってたけど大丈夫かな?)」
「よし着いた! あっ」
「よし着いた! あっ」
2人とも端末でナビを出しながら歩いていた為声が重なった時に初めて気づいた。しかも角で待ち合わせしていたため近距離で向かい合う形になり二人とも軽く赤くなってしまった。ガイが後退り軽く息を吐いた後、声をかける。
「ハハ...ごめんな。いるとは思わなかったよ」
「い、いえ! 私こそ! 来ていただいて有り難うございます!」
「いやいや。おれも誘ってもらえて嬉しかったよ。早速だけど行き先は決まってるのかい?」
「はい! といっても直ぐそこのレストランですけどね。
「そうだったのか! それじゃ入るか」
時間帯的に客は居ないが雰囲気の良い店内に相手のセンスを感じつつお互いの状況や体調について情報交換した。その後はかなり詳しくお互いの自己紹介を始めた。就活中であることやシホと同じくMSの研究者でセルカはスラスター工学らしい。流石に前世のことは話さなかったが一番驚いたのは母を知っていた事だ。
卒論のような物があったそうだが専攻と言えど闇雲にスラスターの推力向上をするだけでは当然使えないので本体の姿勢制御も考えなければならない。そこで母の姿勢制御理論が大いに役にたったそうだ。
そう言えば母の研究所は何処なのかとかリーダーは誰なのかとか全然気にしたこともなかった。前世から親のやることにはあまり興味がなかったし仕方ないと言えるか
「あの...ガイさん。ガイさんはジンに乗るのを想定して訓練されてるんですよね?」
「そうだけど、まだ実機は歩かせるくらいしか乗ったことはないよ?」
「後学の為に使用感とか改善点とか色々教えてもらってもいいです?」
「もちろん! 詳細なことはあまり話せないけどね」
「有難うございます! まずは...」
なるほどな...コズミックイラは宇宙世紀のようにジオニックとツイマッドで会社で争っているわけではないから浪漫屋が分裂しなかったのか。こいつは間違いなくスラスター狂のツイマッドだ...物凄い圧を感じる。
「へぇ...やっぱりそのままのジンは遅く感じますか?
「イザークもそうだが、シミュレーターをするときはデフォルトからかなり足回りの性能を上げている。そろそろ上限を叩きそうだがまだ物足りない感じがする」
「ええ!? 軍学校のシミュレーターは制限等かけられていませんよ!?」
「え? そうなのか? てっきり学生用に調整されたものだと思ってたよ..」
「そうですよ! ふわぁ~..!! こんなエース級の逸材と知り合えるなんて! 夢みたいです!」
わかってはいたが圧が凄すぎる...怒涛の質問攻めに泡を吹きそうになりながらも何とか捌いていく。だが専門用語の雨にだんだんキツくなってきたので会話を無理矢理切り替えようと話題を差し込む
「ですから! 現行の機体では! ..」
「セルカさん!」
「はい? 何か質問でもありますか?」
「機体に関しては大変勉強になった。そう言えばセルカさんのフルネームはなんなんだろうと思ってさ」
動きが固まりポカンとした顔で此方を見る...話をまともに聞いてないと思われたか...? 何でも良いとにかく何か喋ってくれ! この空気はキツすぎる!
「それもそうでしたね! 私はセルカ・ターナーと言います。父は市議会員をやっていて母はMSの開発をしています!」
「俺はガイ・ランディアだ。父は議員をやってるがトップの取り巻き程度だ。母はセルカのお母さんと同じくMSの技術開発をしている」
すると幽体離脱でもしたかのようにセルカの動きが止まる。そして念仏のようにぶつぶつと呟き始めたかと思いきやカッと目を開き此方に詰め寄る。
「もしかしてお母様はアリア・ランディア技師では無いでしょうか!!」
激しく目を煌めかせ大声で更に詰め寄る。何故母を知っているのかという謎と上品な態度だったのが急に崩壊した衝撃と美少女に詰め寄られるという未知の経験によって頭が限界を迎え冷静さを保つことが出来なくなった。
テンパった思考で理性的な言動など出来る筈も無く...
「セルカさん!? 近い近い! 可愛すぎてドキドキするからちょっと離れて! ...ん?」
瞬間、時が止まる。咄嗟に口走った事のヤバさを徐々に
感じながら彼女の顔を見る。するとあちらも急な爆弾発言に固まっていたが、段々と言葉の意味が理解できたようでどんどん顔が真っ赤に染まってく。セルカの恥ずかしさが頂点に達した所で神速の平手が飛んで来た。
「ぶふわぁ!!」
「もう! ガイさんたら! 可愛すぎてドキドキするだなんてあるわけ無いじゃないですか~///」
「ぐふぅ...そんな事無いと思うけどな..」
「え? 何か言いました?」
「いや...何でもない」
酷い目にあったがもう一度軽く褒めようとしただけで若干赤くなったので止めた。単なる照れ隠しで毎回鋭い平手をもらっていては体が持たない。二人とも軽く落ち着いた所で話を戻す。
どうやらセルカは、うちの母親と知り合いらしい。なんでも卒業論文みたいなものでスラスターを改良させる研究をした際、行き詰まり悩んでいたところで母アリアから助言を受け姿勢制御を見直しをすると上手く行き、賞を貰ったらしい。そしてその実績から同じ会社に就職することが出来たらしい。
「ガイさんはMSの開発に興味は無いですか?」
「え? 無くはないが技術的な面はそこまで明るくないからなぁ...今更1から勉強するくらいならパイロットやってた方が興味あるかもしれないな..」
当たり前である。SEED本編の登場人物と関わりを持ちたい。MSを操縦して戦闘したい。直ぐ側に殺し合いがあるという現実に打ちのめされそうにもなったがそれは変わらない。いちファンとして世界見届ける使命感すら感じる。だからこそ前線に身を投じずにはいられないのかもしれない。当面の目標はクルーゼ隊に入る事だ。言っちゃ悪いが悠長に研究などしてられないのだ。
「そうですか...でもでも! テストパイロットとして配属される人も中にはいますので考えてみて下さい!」
「テストパイロットか、考えとくよ」
内心そこまで良く思ってなかった為当たり障りの無い返しをした。セルカとはなかなか濃い出会いをしたが、まだ会って一週間も経っていない。しかもオリジナルキャラなので思い入れもない。エース達と共に戦える喜びを投げ捨ててまでMSの開発に携わろうとは思わなかった
そろそろ良い時間になったので解散する流れになり会計を済ませ店を出た。
「今日はありがとうございました! タメになる話が出来て良かったです! また連絡してもいいですか?」
「ああ俺は問題ない。独自の理論とか素人目でも面白かったから母さんにも話してみるよ」
「アリアさんにですか!? お手柔らかにお願いします..」
「? まぁいいか。ともかく今日は楽しかったよ。機会があればまた集まろうな!」
「はい! またお話聞かせてください!」
そのまま寮に帰ったが、俺が普段通りと見るやディアッカとラスティがめちゃめちゃセルカについて聞いてきた
清楚系なのか元気系なのかとか色々質問攻めにあったが
ガチメカニックと答えると二人は固まりススッーと消えていった。休みはもらったがボーッとしていると直ぐに最終訓練評価が来る。成績にめちゃくちゃ影響するやつである。赤服にはなれないまでも一歩手前位でなくてはクルーゼ隊には入れないだろう。少しでも使える択を増やしておこう..