まだプロローグ……です。
俺がトレーナーを志したのは、多分物心ついた頃からだと思う。姉がウマ娘で、見るテレビも基本的にレースが多かった。だから、夢を考えるような年齢になると、自然に「俺もねーちゃんを支えられるようなトレーナーになりたいなぁ」なんて思っていた。
時は経ち現在。俺こと
「……やっぱり椅子の並びって違うんだなぁ」
電車に揺られながら、見慣れた二人がけの席が並んだものでは無い内装を見て、ぽつりと出てきた。姉のレースの観戦と応援ために日本各地のレース場に行ったことはあれど、だいたい飛行機だったので慣れないものは慣れない。
幸いにも、時間帯の関係か人は比較的少ない。キャリーケースにデカいリュック持ってるから座れてよかったよ……。
と、ボケーッとしてる間に駅に着いた。重い荷物を引きつつホームに降りる。比較的人は少ないとはいえ、かなり大きな駅だ。電車に乗ろうとする人も多い。
気をつけて階段を降り……ようとしたところ、人を避けようとして階段を踏み外した。
「おっわあああ?!」
ズリズリズリと落ちて、気がつけば一番下にいた。しばらく呆然となっていた。
が、声をかけられて我に返った。
「だ、大丈夫〜?」
「え……あ、うん。ありがとう……」
顔を上げれば、とても大きなウマ娘がいた。黒鹿毛の色の髪をツインテールにした少(?)女だ。差し出された手をとり、なんとか立ち上がる。リュックに荷物詰めすぎたなこれ。
「よかった〜!突然落ちちゃったからびっくりしたよ〜!」
「はは……申し訳ない。バランスを崩してしまってね。ありがとう」
「いいのいいの〜!」
話しながら、改札口まで来ていた。それから、その少女は俺の向かう方と反対側の出口に用があるらしく、そこで別れた。
──────
ゴトゴトとキャリーケースを鳴らしながら、トレセン学園への直通バスが出ているはずのバス停へと向かう。交通量は地元の都市部よりも少し多いか?と思うくらいには多い。
飲食店やコンビニが結構な間隔で目に入る。オシャレなカフェとかもある。抹茶ラテを頼みたいとこだが、また別の日に、だ。
隣のビルには、某アニメグッズショップが入っているらしい。こっちも時間を作って行きたいな。地元にはちっちゃいのしかないし……と、考えながら歩いていた。
「〜〜うえぇ?!」
すると、突然ビルから出てきたウマ娘の少女が、目の前でずべっとすっ転んだ。
少女が持っていた手提げカバンの中から、ドサドサと大量のグッズが滑りでた。
その中には、エ……あー……薄い本がチラリと見える。ヤバい。あれはヤバい。主にあの少女の尊厳がヤバい。
火事場のバ鹿力と言うべきか、ほかの通行人がその内容を目に入れないようにキャリーケースを起きつつ正面にまわりこんでしゃがみこみ、一緒に滑りでていたクリアファイルとファンブックで薄い本を隠しつつ拾い上げる。
「あばーーー……って、あ、ど、どうも……」
「えーっと、大丈夫?ほらこれ」
「ひえぇ、もっ、申し訳ない……」
「流石に公衆にお見せするもんじゃないもんね……気をつけて」
「あぅ……ありがとうございます」
桃髪のツインテールのウマ娘の少女は、本気で申し訳ないと言った様子で受け取ると、すんごい深い一礼をしてから、逃げるように去ってしまった。すっごい恥ずかしいよな、気持ちはよく分かる。
ふと時計を見ると、そろそろバスが来る時間。
「あ、やっべ」
そのまま駆け足でバス停へと向かった。バスには無事乗ることが出来た。
まだプロローグです( ˇωˇ )