目の前に建つ、でっかくて敷地もとんでもなく広い建物。
「わぁ……」
中央トレセン学園。全国各地に在籍するウマ娘やトレーナーにとっての最高峰。地元の系列の学園と比べ物にならないくらいデカい。地元のやつもまあまあデカイほうらしいけど。
とりあえず、貰った校内図を頼りにトレーナー寮へ向かおう。
─────
……が。
「迷った……迷ったなこれ」
絶賛迷子タイム。どこここ???ここどこ??
確かに俺は地図を確認して歩いていたはずなんだけども?どうして?
「いや本当にここどこ?!」
地図を回しつつ、周囲に何かないか探すものの、現在地は不明。トレセン学園の敷地内なのは確かだが……
「やあやあ、そこなお人。どうしたのかな〜?」
「へぃ!?あ、えーっと」
声をかけられた方を見れば、空色の髪のウマ娘が、なんというか……面白そうなものを見る目?で見てきていた。真横から。
「トレーナー寮へ行こうとして、間違えて……」
「トレーナー寮……新人トレーナーか。まーここ、広いからねー。はじめて来たなら迷うのは当たり前当たり前。うんうん。」
よくわかるよくわかる、とでも言うような大袈裟な表情でウマ娘は頷く。彼女は校内について知っているようだ。
「トレーナー寮ならあっちだよ。反対方向。真っ直ぐ行って左に行くといーよ」
「あ、ありがとう。」
「いいっていいって。私はお昼寝タイムだから、それじゃーね」
あ、昼寝の邪魔しちゃったから、さっさと行って欲しいからか。申し訳ないことをした。
もう一度礼を言うと、言われた通りの道へと向かった。
──────
と、なんとかトレーナー寮が見えてきた。ちょっと時間が微妙だが、迷ったと素直に言えば……許してもらえるかなこれ。
「ま、その時はその時か」
若干上り坂の舗装された道をキャリーケースを引きながら進む。
それからなんとなく、ふと足元に目を向けると、何やらオレンジ色のものが入った容器が転がってきた。
「……にんじんプリン?」
「まってー!!にんじんぷりんさーーん!!」
駆けてくる桜色の髪をひとまとめにしたウマ娘。どうやらこのにんじんプリンの持ち主らしい。
キャリーケースで受け止め、拾い上げる。
「君の?」
「わわっ!ありがとー!袋から出したにんじんプリンが落ちちゃって、転がっちゃったの!」
「それは良かった。気をつけてな」
「うん!」
それだけの言葉を交わしてわかれ、やっと寮へとたどり着く。
寮母さんに叱られかけたものの、事情を説明したら何とかなったりしたが、ここは割愛させてもらおう。
まだプロローグが続きます。次回かその次で終われるかな、プロローグ…