宛てがわれた部屋に荷物を運び込む。やっと荷物をおろせた。肩が軽い。
「明日、確か模擬レースやるんだよな……」
荷物を片付けつつ、片手間にスケジュール帳を見る。
本格的な契約はもう4日先だが、その前にウマ娘達の様子を見ておきたい。選抜レース前の模擬レースだが、得られるものは多いだろう。
チームにも所属できるならしておきたい。サポート役になるだろうけど、役に立てるだろうし……。
おっと傲慢傲慢。とりあえず今日は休もう。明日に備えよう。
明日着る服をハンガーにかけておいて、必要なものをキャリーケースに入れて持ってきたカバンに突っ込んで机の上に。
必要書類はファイルに纏めて置いて、多分ヨシ!だ。
と、ふと時計を見てから外を見て、お腹が鳴った。いつの間にか夕方、夕飯どき。
リュックサックの中をあさり、何かあったかと探すものの特に出ない。そういやコンビニ寄るの忘れてたな。
「確か、食堂があったよな……」
たづなさんから聞いた話だったが、思い出す。校舎は見えているし、今度は迷うことは無いだろう。問題はまだあいてるかな。
──────
夕方の赤くなりかけの日差しの下、校舎へと向かう。トレーニングが終わり片付けをしている娘、ひたすら走り込む娘などなど。
流れてくる会話に軽く聞き耳を立てれば、明日の模擬レースについてとか、この前のレースの勝者についてとか、宿題多いとか。
なんとなくほのぼのした気持ちになりつつ進んでいると、何かが頭に当たった。
「痛っ……メガネ?」
赤いアンダーブローのフレームのメガネだ。落ちたメガネのレンズに触れないように拾い上げると、とても軽いことが分かる。誰のものだろうか。
周囲を見渡してみる。すると、白くてボリューミーな長い癖毛のウマ娘が、こちら側に向かいながら地面などをキョロキョロ見渡しているのが見えた。
「おーい、そこの長い葦毛の子」
「ん、私か?」
「これ、君の?」
「!ああ。私のメガネだ。キミが拾ってくれたのか……ありがとう」
メガネを手渡すと、彼女はフレームやレンズの破損がないかを確認して、問題ないと判断したのかメガネをかけた。
「丈夫なメガネなんだな……それにしても、どうしてメガネが飛んだの?」
「少々の事故だ。掛け直そうとした時に、走り込みをしているウマ娘の風圧で飛ばされてしまってな。レースに耐えられる仕様とはいえ、踏まれてしまえば壊れかねない。ありがとう」
「いや、いいよ。気をつけてね」
「ああ」
「ハヤヒデーーーーーー!!大丈夫ーーーーーー?」
「……友人が呼んでいるから、失礼させてもらう」
黒髪のウマ娘に呼ばれて、彼女は駆けていった。
まあよかった、と思いながら腹が減っていたことを思い出して、食堂へと急いだ。
ちなみに食堂は閉まっていた。ちくせう。
無理やりプロローグは終わらせました。無理やりだね!
次から模擬レースとチーム結成の予定です。うまくいくかな……